• 戦闘

玻璃の瓦礫―三重螺旋―

マスター:佐倉眸

シナリオ形態
シリーズ(続編)
難易度
やや難しい
参加費
1,300
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/04/15 09:00
リプレイ完成予定
2016/04/24 09:00

オープニング


 斥候の亡骸が回収された。通信機を握り締め、庭の端に横たわっていたらしい。
 霧の中では端が遠く、雑魔や歪虚を追って走ったように感じた庭も、霧が晴れるとその広さは然程もない。
 蔦の絡むアイアンレースの柵が囲う寂れた庭は、これまでの犠牲者が折り重なって積まれていた。
 廃墟の近くに設けた拠点から出た職員は、弔いの支度を進めていく。
 ハンター達に次の依頼が示された。

『傲慢歪虚の追撃』『嫉妬歪虚の確認』

 庭を開放して戻ったばかりのハンター達から集めた情報により、この廃墟には2体の歪虚の存在が確実となった。
 1体は少女の姿をした傲慢の歪虚、ハナと自称し、一般女性のユリアを誘拐。
 同時に3本までの針を投じる攻撃を行い、人間を真似た行動を取る事もある。
 従えていた雑魔は、確認された物は全て撃退されているが、廃墟内の残存数は不明。
 もう1体は嫉妬の歪虚であると思われるが、それ以上の一切が不明。
 傲慢の歪虚が従えていた鎧は、現在庭で発見され調査中だが、錆びた金属製の鎧であり異常は無い。
 恐らくこれを操っていたのが、傲慢の歪虚が「マスター」と呼んだ歪虚で有り、この類いの能力を有する嫉妬に属するものでは無いかと結論を得た。
 また、傲慢の歪虚が従っている点から鑑みても、強力なもの、危険なものだと推察される。
 傲慢の歪虚の目的は、嫉妬の歪虚にユリアを届けることと思われるが、その目的は不明。

「――友達だと言っていたそうね」
「歪虚に、友達なんて」
「歪虚が友愛を理解するとは思えません。ですが、彼等がそう呼ぶものがいるとすれば」

 それは、彼等に等しく歪んで虚ろな存在だけだろう。


 庭を抜けた斥候は報告通りの階段を見上げた。
 色硝子の中赤く塗られた螺旋階段が続いている。
 昇っていった足跡も見付けた。和装特有の草履の跡だ。
 階段の色は赤い。異様に感じるのはステップの大きさが不揃いな所為だろう。
 斥候は双眼鏡を出して頭上へ続く階段を見上げた。
 螺旋階段は上に行く程広がったすり鉢状、上の方は黒い霧が濃く漂い目視出来ない箇所がある。
 通信機を繋いだまま赤い階段に足を掛けた。

 明るい。そう思って見上げると瓦斯灯だろうか、ぼんやりと発光している球体が霧の中から吊り提げられて揺れている。
 真上のそれは明るいが、数歩先の物は消えており、他にも幾つか消えたり点滅している物があるらしい。
 一つで十分な範囲を照らしているようで、光源としては問題なさそうだ。
 そう結論づけて更に昇った。
 足の先に小石が落ちている。それがこつんと爪先に触れると、ころりと下に転がっていった。
 ステップに跳ねる度に勢いを増して落ちていく。
 危ないと思いながら先を見ると、小石程では済まない岩や、刺の生えた物、よく転がりそうな丸い物が不安定に置かれている。
 歪虚の足跡はその隙間を縫うように続いていた。
 最初の灯りの下を越えて数段昇った辺りで、背後にガシャンと何かの砕ける音を聞く。
 構えて振り返ると、先程まで点っていた灯りが消えている。
 ステップの上に落ちたのだろうかと見下ろすと、丁度灯りの吊られていた真下辺りがぽっかりと穴を開けていた。
 灯りはまだ幾つも続いている。このまま、灯りを越える度に落とされて穴を開けられては撤退も敵わないだろうし、ハンターの進行も難しくなる。
 斥候はそれ以上は進まずに双眼鏡で見上げた。
 霧の中へ繋がる階段はこれだけではないようだ。
 半分程の辺りまで内側に黒い階段が、さらに半分までは硝子の階段が、赤い階段と平行に並んでいる。
 黒い階段には鎧が、それぞれ武器を手にした格好で置かれており、報告を聞く限り動くのだろうと察せられ、武器の中には鋭利な刃物も有る。
 ここから届く距離ではないが、ロープを使うのはやめておいた方が良さそうだ。
 慎重に上方を観察する。黒い階段には鎧が並んでいるが、硝子の階段にはそれがない。赤い階段のような岩やボールでもないが、何か動く物が置いてあった。
「――一度退くか、……何だ?」
 手摺りもない階段を慎重に降りる。その目の端が何かを捕らえた。

 硝子の階段から滑空してきた陶器の人形が1体、斥候の眼前に迫ってくる。
 咄嗟に庇った右腕が閃光と爆風に吹き飛ばされ、傷口には人形だった陶器の破片が刺さっていた。

 手当てを受けている斥候の報告を伝えた職員が、ハンター達を見渡して頭を下げた。
「無事を祈ります」

 無理をしないで下さい。
 ユリアの帰りを待つ少女が言った。
 ハンターさん達が傷付くことをユリアは望まないからと。
 ユリアはハンターに救われて生きている人だから、と。

解説

目的 廃墟内全ての歪虚の撃退
 (螺旋階段を突破し、ハナに到達する)

●階段
上に行く程広がった、すり鉢状の螺旋階段
中央は吹き抜けで、最上部の直径は大凡50メートル程度
ステップの幅は1メートル程で、高さや奥行きは一定ではない
この階段の色は赤に塗られており、手摺りや柵など壁になるものはない
上には疎らに子どもの頭程の大きさの発光する球体が吊されているが
点滅している物や消えている物も有る
落下して砕けている物も有る

1/2程の高さから上へ、内側に階段が追加され、平行の二重螺旋となっている
ステップは概ね赤い物と同じで、壁もないが、色は黒に塗られている
光源はない

3/4程の高さから上へ、外側に螺旋階段が追加され、平行の三重の螺旋となっている
ステップは概ね赤い物、黒い物と同じで、壁もないが
この階段は色硝子を貼り合わせたようで、特定の色では塗られていない
定間隔でランプが置かれている

それぞれの階段の隙間は2メートル(1スクエア)程度
高さは大凡60メートル程度
攻撃により破壊される事もあるが、完全に壊されなければその場に残り
支えが無い状態でも落ちることはない
飛び移る、或いは橋となる物を用いて階段間を移動することは可能だが、落下した場合ダメージを負い
黒い階段以上の高さからの落下の場合重体となる

階段の外側は霧が覆っており、その中へ手を伸ばすと瓦礫に触れ
それ以上進むことは出来ない

●エネミー
赤い階段に、拳大から等身大以上まで様々な大きさの球体
歪な物、刺の有る物など、形も多様
歪虚は迂回しながら上ったらしい

黒い階段に脚部パーツのない鎧
鞭やフレイル、槍や剣といった類いの武器を持っている

硝子の階段に人形。
陶器の物、一定の自立行動を確認
1体落下に際して爆発を確認

傲慢の歪虚(自称:ハナ)
振り袖に厚底の草履、黒髪を結った小柄な少女の姿
ユリアを誘拐中

嫉妬の歪虚
傲慢の歪虚を従えている。委細不明

マスターより

よろしくお願いします。
第二話です。階段を昇りきると、歪虚に追い付いてクリアです。

以下、解説からはみ出したNPCです。

ユリア;攫われた店長代理。生存を確認(ローレンツ、モニカ:オフィスで待機)
斥候:人形の爆発により片腕を飛ばされて治療中
職員、受付嬢:拠点に数人待機、簡単な物資の支援が可能(価格、重量等によっては不可能)

※OPラストの、ユリアの救われた~云々は、ユリア初出の話しです(【深棲】私を海へ連れてって)。

関連NPC

  • 店長代理
    ユリア・エーレンフリート(kz0155
    人間(クリムゾンウェスト)|26才|女性|一般人
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/04/23 23:47

参加者一覧

  • 弾雨のイェーガー
    冬樹 文太(ka0124
    人間(蒼)|29才|男性|猟撃士
  • 支援巧者
    ロニ・カルディス(ka0551
    ドワーフ|20才|男性|聖導士
  • 真白き抱擁
    カリアナ・ノート(ka3733
    人間(紅)|10才|女性|魔術師
  • 盾の矜持
    リディア・ノート(ka4027
    人間(紅)|13才|女性|闘狩人
  • 背徳の馨香
    ブラウ(ka4809
    ドワーフ|11才|女性|舞刀士
  • 拳で語る男
    輝羽・零次(ka5974
    人間(蒼)|17才|男性|格闘士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/04/13 00:09:45
アイコン 螺旋階段のその先へ
ロニ・カルディス(ka0551
ドワーフ|20才|男性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2016/04/15 04:45:27