• 調査

ビューティー・アンド・ザ・ビースト3

マスター:神宮寺飛鳥

シナリオ形態
ショート

関連ユニオン
APV

難易度
普通
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/04/28 19:00
リプレイ完成予定
2016/05/07 19:00

オープニング

「ジュリ? いやそれがのう、ジュリの奴はゼナと共にリグ・サンガマに行ってしまってな。何か用でもあったのか?」
 第十師団都市アネリブーベ。帝国最大にして唯一の監獄都市にタングラムの溜息が零れた。
「この間来た時も同じこと言われたですが、あいつはどんだけ遠征してるんですか」
「陛下がお倒れになった今となっては前線にいる方が気が楽なのかもしれんがのう。ちゃんと替えの下着はジュリに持たせたぞ」
「奴のおパンツ事情などどうでもいいのです。私の目当てはそのジュリの方ですからね……」
 がっくりと肩を落としたタングラムの背中を見送るマンゴルト。絡んでくる囚人に飛び蹴りをかます姿に思わず冷や汗を流した。

 元盗賊のエルフ、ジュリ。彼女はタングラムに扮し、金持ちから財宝を盗んで恵まれない人々にばらまく、いわゆる義賊としてハンターに逮捕された。
 その後は当然だがアネリブーベ送りになり、囚人兵として労働に従事している。そんなジュリをタングラムが探しているのにはワケがあった。
 ハンターらが発見した、先代皇帝ヒルデブラント・ウランゲルに酷似した記憶喪失の男。タングラムは彼を訪ねて寂れた農村に足を運んだ。
 見たところ、男は紛れも無くヒルデブラント本人だが、やはり記憶喪失でタングラムを認識できなかった。
 そして男は村を離れたくないと言う。だが、結果的にはそれで問題ない。
 今、帝国はヴィルヘルミナという大黒柱を失い水面下で大きな混乱のさなかにある。ここに行方不明になった――つまり正式には帝位を譲っていない皇帝――が現れてしまっては、とにかく話がややこしい。
 そもそも、まずは彼が本物のヒルデブラントであるという確認が必要だった。
 今ではとっくに沈静化したが、ヒルデブラント失踪直後は“自称皇帝”という輩があちこちから帝都に集まって詐欺を働いたし、彼がそうではないという保証も今のところなかった。
 記憶があれば本人確認など簡単だが、今となっては彼の身元を証明するものは帝国軍の軍用タグか、一品物の専用装備にしかない。
 帝国軍は首から提げるタグ以外にも盾の裏側に個人認識票をつけるのが一般的で、その盾がセットであればよかったがそれもない。
 となると、残るは皇帝の専用装備。当時若干16歳のナサニエル・カロッサが作ったという機械剣、“絶火剣シャイターン”である。
 皇族のための鎧であるライン・オブ・サンズやテュランといった外套は、少数が流通に乗っている為本人確認にはならない。
「シャイターンですか? うーん……確かにあれはヒルデブラント様以外には使えないようにしてありますけど。マテリアル認証なんですよ。ヒルデブラント様くらいスタミナとタフネスがないと死ぬんで」
 とナサニエルも言っていたし、このシャイターンを使えるのならヒルデブラント本人であると断じて問題無いだろう……死ぬかもしれないが。

「え? この剣ですか? ええ、ええ。お嬢さんはお目が高い。この剣は見たところ一品物! 類を見ないほど精巧で、しかし耐久性を忘れていないしなやかな作り……天賦の才を持つ刀匠が作ったに違いありません!」
 と語るのは小太りのおじさん。帝都の近くに巨大な屋敷を持っている豪商ペッペル氏。
 彼のお屋敷にはいくつかの展示室があり、その一つ。最も価値のある財宝を押し並べた第一展示室に、シャイターンはあった。
「……で、ペッペル氏はこのシャイターンをどこで入手したんですか?」
「それは……私くらいになると独自のルートがありましてな。偶然。そう、偶然ですな! 財宝の方が私を求めているというか……」
 ペラペラと長話を続けるペッペルにタングラムは小さく舌打ちした。
 何故ここにシャイターンがあるのか。それを知るには二年ほど時計の針を巻き戻さねばならない。
 生活費に困る村人たちの為に記憶喪失のヒルデブラントは行商人にシャイターンを含む装備品一式を売り払ってしまった。
 その商人はシャイターンをたいそう気に入ってしばらく保持していたのだが、ある日賊に入られ盗み出されてしまう。
 そう。そのシャイターンを盗んだのがジュリだったのだ。
 その後ジュリは帝国軍に捕まりほとんどの財宝の隠し場所を吐いたのだが、シャイターンについての情報はなかった。
 ジュリは昔から本当に貴重なものは別の場所に隠す癖があり……タングラムがそう教えたのだが……とにかく、帝国軍はシャイターンを回収できなかったのだ。
 その結果、ジュリ以外にシャイターンの在り処を知る者はいなくなった。これは本人を締め上げるまでお手上げかと考えながらも独自のルート……元々盗賊としてブイブイ言わせていた頃の知り合い……を辿った結果、偶然にもここにシャイターンがある事を知ったのである。
「ペッペル氏。この剣、幾らでしたらお譲りいただけるですか?」
「え!? この剣はお金に替えられるようなものではありませんよ! 手放すつもりはありません!!」
「どうしても?」
「どうしてもです!」
「盗品なのに?」
 ギクリと青ざめるペッペル。ぎりぎりと、錆びた歯車を回すように振り返る。
「ナンノコトデスカナ?」
「この絶火剣シャイターンはある場所から盗み出されたものです。一品物ですから間違いありません」
「どどど、どこに証拠があるのです!?」
「本当はお前の悪事を全部暴いて帝国軍が接収してもよいのですが、それだと手続きとか調査で時間がかかるのです。金で解決できるならその方が痛手もないでしょう」
「ふざけないでいただきたい! 言いがかりですぞ! あなたのようなちんちくりんの少女に帝国軍を動かす力などあるはずもない! 早々にお引き取り頂きたい!」
 首根っこを捕まれ、ポイっとつまみ出されたタングラムがごきごきと首を鳴らす。
「盗んじゃえばいいじゃない」
 声に目を向ければそこには仮面をつけたエルフの姿があった。タングラムではない。キアラという、これまた元盗人であった。
「アイリスなら余裕でしょ?」
「他に穏便に解決できる手段があれば良いのですがね……。キアラ、情報提供には感謝しますが、くれぐれも余計なことはしないように」
「はーい。僕もそこまでヒマじゃないし……穏便に済ませたいならハンターでも使ったら? 君がやると後々面倒でしょ」
「ぬぐ……それは……確かにそうですが」
 クスリと笑ってキアラは路地裏に姿を消す。
 残されたタングラムはわしわしと頭を掻き、ユニオンに戻る事を決めた。

解説

●目的
絶火剣シャイターンを手に入れろ!


●概要
……と、事情はこんなところです。
つまりヒルデブラント様の問題を解決する為には、まずはあの絶火剣が必要ってことです。
ペッペルは私が見た感じ完全に黒で、叩けばいくらでもホコリが出てくるでしょう。
恐らく盗品を洗浄流通させるようなルートを取り仕切っているからこそ、あの豊かさなのでしょうね。
といっても正直、余計な詮索があの村に入る前に迅速に事を進めたいところで、帝国軍にシャイターンを接収されるのはそれはそれで困るのです。
ヒルデブラント様の事はまだ誰にも知られない方がいいですからね……。

となると、方法は二つ。
一つは正攻法、私の手持ちの金、300万ゴールド以内で交渉し、なんとか奴から絶火剣を買い上げる。
もう一つは絶火剣を盗み出す事……ただ、こちらは推奨はしません。
ただ盗むとなれば犯罪ですから、奴の罪の証拠を暴き、その証拠品として一時的に回収する、といった詭弁が必要です。
どの方法をとったとしても、帝国軍には報告し、ペッペルは捕まえてもらいます。
腕っ節で解決できる事ではないので、基本的には頭を使わないといけませんね。

ペッペルは財宝を自慢する為に展示室を作り、月曜日と水曜日以外は入館料を払えば屋敷の中の展示室にいつでも入れます。
警備員はいますが、非覚醒者です。展示品は透明かつ頑丈なケースに入っていますが、まあ覚醒者がスキルぶっ放せば木っ端微塵でしょう……。
マフィアみたいなものなんだからもう少し警備もちゃんとしたほうがいい気がしますが……まあ、奴の勝手ですからね……。
ヘッペル本人は特に刀剣の蒐集家として有名なようです。
後は女好きで、金の力で女を屋敷に招いては毎週のようにパーティーをしているそうですよ。
色仕掛けだけでお気に入りの宝を譲ってくれるとは思えませんが……参考までに。

マスターより

お世話になっております。神宮寺でございます。

というわけで、ちょっと変則的ですがこんなシナリオです。
キアラはもう帰っちゃったのでいませんが、タングラムはいます。
絶火剣を入手する方法はなんでも構いませんが、できれば戦闘にならない方が望ましいものとします。
尚、質問や相談にはタングラムが応じられます。

それではよろしくお願い致します。

関連NPC

  • 帝国ユニオンリーダー
    タングラム(kz0016
    エルフ|15才|女性|疾影士(ストライダー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/04/29 19:46

参加者一覧

  • 完璧魔黒暗黒皇帝
    デスドクロ・ザ・ブラックホール(ka0013
    人間(蒼)|34才|男性|機導師
  • 龍奏の蒼姫
    ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239
    エルフ|15才|女性|闘狩人
  • ツィスカの星
    アウレール・V・ブラオラント(ka2531
    人間(紅)|18才|男性|闘狩人
  • 紅花瞬刃
    花厳 刹那(ka3984
    人間(蒼)|16才|女性|疾影士
  • 夢への誓い
    ハッド(ka5000
    人間(紅)|12才|男性|霊闘士
  • 細工師
    金目(ka6190
    人間(紅)|26才|男性|機導師
依頼相談掲示板
アイコン 相談の卓
金目(ka6190
人間(クリムゾンウェスト)|26才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2016/04/28 03:51:53
アイコン 質問卓的なヤツじゃな
ハッド(ka5000
人間(クリムゾンウェスト)|12才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2016/04/27 13:12:49
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/04/23 22:27:12