ゲスト
(ka0000)
ボラ族、帝国に移民するの巻
マスター:DoLLer

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在10人 / 4~10人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/09/03 09:00
- リプレイ完成予定
- 2014/09/12 09:00
オープニング
「と言うわけだ。辺境からの移民は今後とも予測される。今回移入の話があった部族、ボラ族を受け入れに成功すると、今後も継続的な移民が考えられる。帝国は有用な労働力を確保することができ、外交にも好い影響を及ぼすだろう。そういう意味では今回の受け入れは重要だ」
バルトアンデルス城の会議室に集まった十数人の文官を前にして、彼らの長は窓の外を見つつそう告げた。
「重要な案件ならば兵士が任務にあたるものではないでしょうか」
おずおずと一人の文官が手を挙げて質問した。
「こんな話がうちに回って来たということはだ。察しなさい。地方内務課というところはそういうところなんだから」
長、つまり地方内務課の課長はひらひらと手を振って質問に答えた。先の話では重要だと言いながらも、やる気のない態度は彼を通り抜けて、その案件が通り抜けてきた人々の態度であることを課員は見通してしまい、はぁ、と返答ともため息とも取れるものを零して押し黙った。
地方内務課はゾンネンシュトラール帝国にある政府機関の一つだ。名前の通り地方に関する様々な事務を所管している。聞こえはいいが、歪虚と積極的に戦う方向で運営されている帝国において、軽視されがちな地方のよしなしごとを一手に引き受けており、その活動は極めて広汎であり雑多である。地方である各州ごとに国民リストの編纂をし、財産を把握し、地域の活動を支援し、些末なもめごとを解決し……地方のナニカ、と言えば地方内務課は呼ばれるのである。
今日の辺境からの移民に関する案件もそうだ。とかくこの課では仕事は急に降ってくることが多い。今でも十分に雑多な仕事が積み上げられている課員達にとって気が重い通達であった。
「辺境の部族ってことは、帝国のマナーとかルールとかを手とり足とり教える必要もあるんですよね」
「あるだろうな」
「最初は付きっきりで相手しないとダメじゃないですか」
「寝食を共にすることもあるだろうな。というわけで今から担当者を決める」
課長の言葉に揃って視線を逸らす課員達。好き好んで中央を離れ、まともに話が通じるかどうかもわからないような、しかもイザコザを起こせば外交問題にまで発展しかねないような輩を相手にして、何日も付き添うような仕事など誰も積極的に関わろう思うはずがなかった。
「じゃあ、こちらから指名する。メルツェーデス、君が移民の専任担当とする」
「は?」
「今回、移民してくる辺境の部族、ボラ族は明後日には帝国入りするので、ちゃんと迎えるように。以上会議終わり」
興味なさげに自分の髪をいじくり回していたメルツェーデスと呼ばれた女性は、しばらく茫然としていた。他の皆は自分に火の粉が飛んできてはたまらない。と、そそくさと自分のデスクへと去っていく。残されたのはポツンと立つメルツェーデスだけだった。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ! か弱い女性にそんな寝泊まりまでするような仕事振る!?」
「何を言うかな。現陛下は即位されるまで一人で何日も旅をしていた。APVのタングラム様は毎日ハンターと触れ合っている、それにメル。君の歯に衣着せぬところは適任だと思う。……ま、貧乏くじ引いちゃったと思って行ってきてよ」
課長はにへらと笑って、メルツェーデスことメルを送り出したのであった。
●
「で、あんたら、いきなり何やってくれてんのよ!!」
「手土産」
件の帝国への移住を希望したという部族、ボラ族の手には道中で狩ったのであろう羊の姿があった。これからお世話になる相手に手土産を持参するというのは殊勝な心がけだと思わなくもないが、彼らの後ろに立っている鬼の形相をした羊飼いの姿を見ればそんな感謝の念は消えて当然である。
「この羊はその人が育ててたの。所有物! わかる?」
「所有物……? 大地にあるものは皆同じ命。互いに命を支えあって生きている」
羊飼いに平謝りして、羊の代金を支払う手続きをしながら、メルは目の前が真っ暗になっていた。こいつら辺境出身というより、秘境か魔境の出身なんじゃないか? 辺境といってもだいたい共通の理解ってものがあるだろうに。
「あんた、帝国の人間か? ならついでに山に棲む狼を退治してくれないかね?」
不意に羊飼いの依頼にメルは人を殺してしまいかねないような悪魔の形相でこたえる。
「これ以上、あたしに仕事振らないでくれる?」
「ほう、山に」
しかし、食いついたのはボラ族の族長イグであった。反応があることを幸いとしてか、政府の人間であるメルを放っぽらかして羊飼いはボラ族たちに話を進める。
「んだ。あの山、ほら見えるだろ? あそこに中腹に割とでけぇ炭焼き小屋があったんだけどな。そのあたりに狼の群れが出没するようになったんだよ。あそこは清水も湧くし、山菜も色々とれるいいとこなんだがなあ。狼は結構な数がいるらしいし、どでかい狼もいるってんで近づけんのよ」
「なるほど、それは大変な話だ。よし、我々が力を貸そう」
「待て、コラ。勝手に話を進めるな」
「メルツェーデス殿。我々は狼を退治する、そこに住む。我々は山の恩恵にあずかることができる。狼は我々がいる限り近寄れない。帝国の人々にも喜んでもらえる」
ははぁ、己に良し、相手にも良し、世間にも良しの三方良しって考えなワケね。
先ほどまで怒髪、天を衝いていたこともすっかり忘れて、族長イグの言葉にふむ、と頷いた。
「あなた達は戦えるんでしょうけど……大きな狼ってのはちょっと気になるかな。歪虚っぽい感じがする」
「ヴォイドは敵だ! 奴らは我々の大地を汚す、命を根こそぎ奪う! 我々は戦うぞ」
イグの言葉にボラ族全体が各々の武器を掲げて叫び出す。彼らにとっては歪虚は恐怖の存在ではなく、明確な敵であるようだった。その流れから彼らがどんな道を歩んできて、なぜ帝国に移って来たのか、わかるような気がした。
「わかったわかった、だけど、こういう時にはハンターに協力を依頼するのがセオリーなの」
そして、ハンターに色々と教えてもらうといいわ。とメルは付け加えた。
本音が後者なのは言うまでもない。
バルトアンデルス城の会議室に集まった十数人の文官を前にして、彼らの長は窓の外を見つつそう告げた。
「重要な案件ならば兵士が任務にあたるものではないでしょうか」
おずおずと一人の文官が手を挙げて質問した。
「こんな話がうちに回って来たということはだ。察しなさい。地方内務課というところはそういうところなんだから」
長、つまり地方内務課の課長はひらひらと手を振って質問に答えた。先の話では重要だと言いながらも、やる気のない態度は彼を通り抜けて、その案件が通り抜けてきた人々の態度であることを課員は見通してしまい、はぁ、と返答ともため息とも取れるものを零して押し黙った。
地方内務課はゾンネンシュトラール帝国にある政府機関の一つだ。名前の通り地方に関する様々な事務を所管している。聞こえはいいが、歪虚と積極的に戦う方向で運営されている帝国において、軽視されがちな地方のよしなしごとを一手に引き受けており、その活動は極めて広汎であり雑多である。地方である各州ごとに国民リストの編纂をし、財産を把握し、地域の活動を支援し、些末なもめごとを解決し……地方のナニカ、と言えば地方内務課は呼ばれるのである。
今日の辺境からの移民に関する案件もそうだ。とかくこの課では仕事は急に降ってくることが多い。今でも十分に雑多な仕事が積み上げられている課員達にとって気が重い通達であった。
「辺境の部族ってことは、帝国のマナーとかルールとかを手とり足とり教える必要もあるんですよね」
「あるだろうな」
「最初は付きっきりで相手しないとダメじゃないですか」
「寝食を共にすることもあるだろうな。というわけで今から担当者を決める」
課長の言葉に揃って視線を逸らす課員達。好き好んで中央を離れ、まともに話が通じるかどうかもわからないような、しかもイザコザを起こせば外交問題にまで発展しかねないような輩を相手にして、何日も付き添うような仕事など誰も積極的に関わろう思うはずがなかった。
「じゃあ、こちらから指名する。メルツェーデス、君が移民の専任担当とする」
「は?」
「今回、移民してくる辺境の部族、ボラ族は明後日には帝国入りするので、ちゃんと迎えるように。以上会議終わり」
興味なさげに自分の髪をいじくり回していたメルツェーデスと呼ばれた女性は、しばらく茫然としていた。他の皆は自分に火の粉が飛んできてはたまらない。と、そそくさと自分のデスクへと去っていく。残されたのはポツンと立つメルツェーデスだけだった。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ! か弱い女性にそんな寝泊まりまでするような仕事振る!?」
「何を言うかな。現陛下は即位されるまで一人で何日も旅をしていた。APVのタングラム様は毎日ハンターと触れ合っている、それにメル。君の歯に衣着せぬところは適任だと思う。……ま、貧乏くじ引いちゃったと思って行ってきてよ」
課長はにへらと笑って、メルツェーデスことメルを送り出したのであった。
●
「で、あんたら、いきなり何やってくれてんのよ!!」
「手土産」
件の帝国への移住を希望したという部族、ボラ族の手には道中で狩ったのであろう羊の姿があった。これからお世話になる相手に手土産を持参するというのは殊勝な心がけだと思わなくもないが、彼らの後ろに立っている鬼の形相をした羊飼いの姿を見ればそんな感謝の念は消えて当然である。
「この羊はその人が育ててたの。所有物! わかる?」
「所有物……? 大地にあるものは皆同じ命。互いに命を支えあって生きている」
羊飼いに平謝りして、羊の代金を支払う手続きをしながら、メルは目の前が真っ暗になっていた。こいつら辺境出身というより、秘境か魔境の出身なんじゃないか? 辺境といってもだいたい共通の理解ってものがあるだろうに。
「あんた、帝国の人間か? ならついでに山に棲む狼を退治してくれないかね?」
不意に羊飼いの依頼にメルは人を殺してしまいかねないような悪魔の形相でこたえる。
「これ以上、あたしに仕事振らないでくれる?」
「ほう、山に」
しかし、食いついたのはボラ族の族長イグであった。反応があることを幸いとしてか、政府の人間であるメルを放っぽらかして羊飼いはボラ族たちに話を進める。
「んだ。あの山、ほら見えるだろ? あそこに中腹に割とでけぇ炭焼き小屋があったんだけどな。そのあたりに狼の群れが出没するようになったんだよ。あそこは清水も湧くし、山菜も色々とれるいいとこなんだがなあ。狼は結構な数がいるらしいし、どでかい狼もいるってんで近づけんのよ」
「なるほど、それは大変な話だ。よし、我々が力を貸そう」
「待て、コラ。勝手に話を進めるな」
「メルツェーデス殿。我々は狼を退治する、そこに住む。我々は山の恩恵にあずかることができる。狼は我々がいる限り近寄れない。帝国の人々にも喜んでもらえる」
ははぁ、己に良し、相手にも良し、世間にも良しの三方良しって考えなワケね。
先ほどまで怒髪、天を衝いていたこともすっかり忘れて、族長イグの言葉にふむ、と頷いた。
「あなた達は戦えるんでしょうけど……大きな狼ってのはちょっと気になるかな。歪虚っぽい感じがする」
「ヴォイドは敵だ! 奴らは我々の大地を汚す、命を根こそぎ奪う! 我々は戦うぞ」
イグの言葉にボラ族全体が各々の武器を掲げて叫び出す。彼らにとっては歪虚は恐怖の存在ではなく、明確な敵であるようだった。その流れから彼らがどんな道を歩んできて、なぜ帝国に移って来たのか、わかるような気がした。
「わかったわかった、だけど、こういう時にはハンターに協力を依頼するのがセオリーなの」
そして、ハンターに色々と教えてもらうといいわ。とメルは付け加えた。
本音が後者なのは言うまでもない。
解説
山奥に出没する狼20頭の退治が主目的です。ボス格とみられる狼は歪虚であり、普通の狼よりかなり大き目です(仔馬くらいはあります)
戦いには辺境からやって来たボラ族20名と、帝国内務課のお姉さんメルツェーデスが同行します。族長イグは覚醒者(霊闘士)です。他はメルも含めて一般人です。ボラ族は老若男女いますが皆狩りをしたりしてますので戦闘の勘はあります。よって自衛はできますので、保護対象とはなりません。
保護対象になるのはメルの方です。彼女は戦闘経験皆無です。戦闘を目にする機会もないような暮らしをしていたので、ちょっとしたことで混乱をきたすこともあります。そして彼女はすり傷一つで小一時間はブーたれます。
場所は山中です。木々に覆われており、馬がかろうじて歩ける程度の道しかありません。そして結構な急な坂です。
山に入って3時間ほどで炭焼き小屋にたどり着けます。参加者全員が泊まれるくらいの大きさは十分にあります。山小屋といってもいいですね。ただし宿泊する備品などはありません。
狼が出没する時間は夜です。巣穴を探せば日中にこちらから攻撃できるかもしれません。
成功ラインは、ボス狼を討伐できるか。です。
ボラ族とメルの関係を取り持ってくれると、彼らはとてもいい関係を築けるこになるかもしれません。
プレイングの白紙提出にならないよう、正式参加後にやりたいことを書いておき、相談が進んだら適宜編集していくことをお勧めします。
戦いには辺境からやって来たボラ族20名と、帝国内務課のお姉さんメルツェーデスが同行します。族長イグは覚醒者(霊闘士)です。他はメルも含めて一般人です。ボラ族は老若男女いますが皆狩りをしたりしてますので戦闘の勘はあります。よって自衛はできますので、保護対象とはなりません。
保護対象になるのはメルの方です。彼女は戦闘経験皆無です。戦闘を目にする機会もないような暮らしをしていたので、ちょっとしたことで混乱をきたすこともあります。そして彼女はすり傷一つで小一時間はブーたれます。
場所は山中です。木々に覆われており、馬がかろうじて歩ける程度の道しかありません。そして結構な急な坂です。
山に入って3時間ほどで炭焼き小屋にたどり着けます。参加者全員が泊まれるくらいの大きさは十分にあります。山小屋といってもいいですね。ただし宿泊する備品などはありません。
狼が出没する時間は夜です。巣穴を探せば日中にこちらから攻撃できるかもしれません。
成功ラインは、ボス狼を討伐できるか。です。
ボラ族とメルの関係を取り持ってくれると、彼らはとてもいい関係を築けるこになるかもしれません。
プレイングの白紙提出にならないよう、正式参加後にやりたいことを書いておき、相談が進んだら適宜編集していくことをお勧めします。
マスターより
そのままでは全く絡み合うことのないボラ族とメル。そんな二者を取り持つのが皆様。皆様の過去や趣味、アイデアが二者を取り持つニカワのような存在として描いていけたらと考えております。
それでは皆様、よい冒険を。
それでは皆様、よい冒険を。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/09/05 04:30
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 ジング(ka0342) 人間(クリムゾンウェスト)|24才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2014/09/03 00:31:42 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/08/31 19:23:16 |