ゲスト
(ka0000)
想いとは、無限か夢幻か、反照してみよ。
マスター:DoLLer

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在10人 / 4~10人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/05/17 22:00
- リプレイ完成予定
- 2016/05/31 22:00
オープニング
●
歪虚スィアリは、猫のような瞳のハンターのマテリアルを吸いつくすところだった。
その瞬間、白い女が間に割って入ったかと思うと、ハンターを包み込んで餌食の身代わりとなった。
「存在をかけて助けたいカ? 愚かナ」
侮蔑に満ちた一言に、割って入った女はちりぢりになる綿のように掻き消えながら微笑んで返した。
「命は有限ですが、想いは無限です。スィアリ様……貴女様も全ては大いなる何かの中で存在し続けると知っているから、こうされ て いる ので し ょ う?」
世の中の生命など、いずれも生きることだけに拘泥し、この欲界の些事に振り回されているだけに過ぎない。
だから女が笑って消えた瞬間はスィアリにとっては多少なりとも驚きをもたらしたのは間違いない。
歪虚は時が止まった存在。肉体も、思考も、魂も。
だが、彼女を食らった瞬間。止まった砂時計がちらりと流れ出した。
あの言葉は真理か。それとも巧みな世迷言か。
●
スィアリは帝国をさまよい、見つけたのは滅びた森だった。
風も死に、大地も塵ばかりとなって、莫寂とした世界だけが広がるも、微かに黒ずんだ木の欠片や、大地から顔を出したまま立ち枯れている植物に目を下ろせば、森の跡であることはすぐわかった。
何もない世界。いずれは僅かに残る木も草も形としてあるものは消えてなくなり、あるべきところに集約される。
スィアリにとって涅槃に近い世界観であった。
僅かに鼻先を通る新鮮な空気を除けば。
瑞々しい空気の出所を掴むのはそう難しいことではなかった。
朽ちた世界の中に、広がる緑の絨毯と、若木達の壁。周囲には清涼な風が吹き乱れて、水の溢れる音が響いていた。
「歪虚よ。立ち去りなさい」
幼い森に足を踏み入れたスィアリの目の前に、長杖を構えるエルフが立ちはだかった。
土で汚れたローブと、緑の髪は、まさしくこの小さな世界の創造者であるのだろう。
「ここは大いなる流れへと戻った地。逆らってまで、何を成す」
「森の命がすべて消えたわけではありません。豊かな命は尽きはせず。ここに眠る魂のために、ここに宿る想いの為にも、私はこの森を守り育てる。この森から生まれ育ち、旅立った子もいるのです。帰る場所を失わせるわけにはいきません」
毅然とした言葉であった。そして目に宿る力、言葉にこもる力、溢れる精霊の力からしてそのエルフの女は相当な力の持ち主なのであろう。
「想いの為? 蒙昧。ここに死んだ生命が残すマテリアルはない。想い出にすがるお前の傲慢に、植物たちは振り回されているだけだ」
「なんですって……」
話ができるという歪虚に出会ってエルフは狼狽しているようだったが、それよりもその言葉に心乱されているのはわかった。
「命は群れて、食い合い奪い合って、肥大し続ける暴食の象徴。こんな場所では庇護無しには生きられぬ。本来ならば生き争う場所もあろうに、ここではそれもままならず、其方の意志に振り回されている。其方の夢が散れば、定めを共にするこの命を『儚き』と言わずしてなんとしよう」
「互いに富み、分け与えるが命の本質です。歪虚よ。自然と共に歩む辺境の巫女の姿をしつつも、もうそれすら忘れましたか」
愚かだ。
詠唱を始めるエルフの姿を見て、スィアリは侮蔑の瞳を向けた。
「我欲によって定めを捻じ曲げ、怒りによって冷静な判断を失う。これほどの世界を作りながらも無痴の病は深刻なようだ。煩我の毒に冒された病人よ」
スィアリはそう言うと、槍を大地に突き立てた。
「吹け、静謐の風よ。何物にも左右されぬ我を思い出させよ」
詠唱が結実した瞬間。
エルフを守っていた清涼の風がぴたりと吹き止んだ。あらゆる力も詠唱には応えなくなり、自然法則のまま鎮まりかえっていた。
「お前は力を振り回して、独善を勧めていただけだ。それを『無痴』と言う。ここに至るまでも思い通りにならずに苦しんだことも多かろう」
それでも諦めぬ静かな怒りを燃やすエルフが杖を構えて戦う姿勢を見せる。
そしてそれに応えたのは、植物ではなく、ドワーフだった。
「勝手なこと言わないでもらおうか。そこのエルフ、アガスティアは自分の原因ではない災害に一人で頑張ってたんだ。……歪虚が来なきゃ森が消えることもなかったんだからよ! 汲めども尽きぬ想いがあったからこそ、今につながってんだ!!」
ドワーフの機導砲の一撃が、槍を持つスィアリの手を撃ちぬき、続いてドワーフに呼びかけられたであろうハンターが展開した。
その顔ぶれを一瞥すると、スィアリは独り言のように呟いた。
「よろしい。その森への想いが、無限なのか、夢幻なのか。確かめさせてもらおう」
歪虚スィアリは、猫のような瞳のハンターのマテリアルを吸いつくすところだった。
その瞬間、白い女が間に割って入ったかと思うと、ハンターを包み込んで餌食の身代わりとなった。
「存在をかけて助けたいカ? 愚かナ」
侮蔑に満ちた一言に、割って入った女はちりぢりになる綿のように掻き消えながら微笑んで返した。
「命は有限ですが、想いは無限です。スィアリ様……貴女様も全ては大いなる何かの中で存在し続けると知っているから、こうされ て いる ので し ょ う?」
世の中の生命など、いずれも生きることだけに拘泥し、この欲界の些事に振り回されているだけに過ぎない。
だから女が笑って消えた瞬間はスィアリにとっては多少なりとも驚きをもたらしたのは間違いない。
歪虚は時が止まった存在。肉体も、思考も、魂も。
だが、彼女を食らった瞬間。止まった砂時計がちらりと流れ出した。
あの言葉は真理か。それとも巧みな世迷言か。
●
スィアリは帝国をさまよい、見つけたのは滅びた森だった。
風も死に、大地も塵ばかりとなって、莫寂とした世界だけが広がるも、微かに黒ずんだ木の欠片や、大地から顔を出したまま立ち枯れている植物に目を下ろせば、森の跡であることはすぐわかった。
何もない世界。いずれは僅かに残る木も草も形としてあるものは消えてなくなり、あるべきところに集約される。
スィアリにとって涅槃に近い世界観であった。
僅かに鼻先を通る新鮮な空気を除けば。
瑞々しい空気の出所を掴むのはそう難しいことではなかった。
朽ちた世界の中に、広がる緑の絨毯と、若木達の壁。周囲には清涼な風が吹き乱れて、水の溢れる音が響いていた。
「歪虚よ。立ち去りなさい」
幼い森に足を踏み入れたスィアリの目の前に、長杖を構えるエルフが立ちはだかった。
土で汚れたローブと、緑の髪は、まさしくこの小さな世界の創造者であるのだろう。
「ここは大いなる流れへと戻った地。逆らってまで、何を成す」
「森の命がすべて消えたわけではありません。豊かな命は尽きはせず。ここに眠る魂のために、ここに宿る想いの為にも、私はこの森を守り育てる。この森から生まれ育ち、旅立った子もいるのです。帰る場所を失わせるわけにはいきません」
毅然とした言葉であった。そして目に宿る力、言葉にこもる力、溢れる精霊の力からしてそのエルフの女は相当な力の持ち主なのであろう。
「想いの為? 蒙昧。ここに死んだ生命が残すマテリアルはない。想い出にすがるお前の傲慢に、植物たちは振り回されているだけだ」
「なんですって……」
話ができるという歪虚に出会ってエルフは狼狽しているようだったが、それよりもその言葉に心乱されているのはわかった。
「命は群れて、食い合い奪い合って、肥大し続ける暴食の象徴。こんな場所では庇護無しには生きられぬ。本来ならば生き争う場所もあろうに、ここではそれもままならず、其方の意志に振り回されている。其方の夢が散れば、定めを共にするこの命を『儚き』と言わずしてなんとしよう」
「互いに富み、分け与えるが命の本質です。歪虚よ。自然と共に歩む辺境の巫女の姿をしつつも、もうそれすら忘れましたか」
愚かだ。
詠唱を始めるエルフの姿を見て、スィアリは侮蔑の瞳を向けた。
「我欲によって定めを捻じ曲げ、怒りによって冷静な判断を失う。これほどの世界を作りながらも無痴の病は深刻なようだ。煩我の毒に冒された病人よ」
スィアリはそう言うと、槍を大地に突き立てた。
「吹け、静謐の風よ。何物にも左右されぬ我を思い出させよ」
詠唱が結実した瞬間。
エルフを守っていた清涼の風がぴたりと吹き止んだ。あらゆる力も詠唱には応えなくなり、自然法則のまま鎮まりかえっていた。
「お前は力を振り回して、独善を勧めていただけだ。それを『無痴』と言う。ここに至るまでも思い通りにならずに苦しんだことも多かろう」
それでも諦めぬ静かな怒りを燃やすエルフが杖を構えて戦う姿勢を見せる。
そしてそれに応えたのは、植物ではなく、ドワーフだった。
「勝手なこと言わないでもらおうか。そこのエルフ、アガスティアは自分の原因ではない災害に一人で頑張ってたんだ。……歪虚が来なきゃ森が消えることもなかったんだからよ! 汲めども尽きぬ想いがあったからこそ、今につながってんだ!!」
ドワーフの機導砲の一撃が、槍を持つスィアリの手を撃ちぬき、続いてドワーフに呼びかけられたであろうハンターが展開した。
その顔ぶれを一瞥すると、スィアリは独り言のように呟いた。
「よろしい。その森への想いが、無限なのか、夢幻なのか。確かめさせてもらおう」
解説
●概説
帝国の奥地で、一度は歪虚の侵攻を受けて滅びかけた森がありましたが、森の住人であったエルフ、アガスティアによって復興されようとしています。
そこに歪虚スィアリが踏み入りました。この森を守るべくスィアリを退かせてください。
●舞台
森とは名ばかりのまだ草と若木ばかりで、広さも50m四方くらいです。その他は無人の荒野が広がっています。
●スィアリ
弓と槍を装備した暴食型歪虚です。能力は次の通り。
『生命還流』自周囲のマテリアルを吸収し、行動阻害を起こす
『天譴の雨』光の雨を降らせて広範囲にダメージを及ぼす。
『静謐の風』指定範囲にいる者のアクティブスキル・パッシブスキルを一時的に不活性化(使用不能)する。 ←new
以前はカタコトでしたが、ここに至るまで数多のマテリアルを吸収をしたことにより、まともに喋るようになりました。
●NPC
アガスティア エルフ 森の管理者です。
ギムレット ドワーフ 機導士 森に関与していて、アガスティアの再興の手伝いをしています
●その他
スィアリが生命還流や天譴の雨を使った瞬間、幼い森は死んでしまいます(時間をかければ再生可能かもしれませんが)ので、これらのスキルを使われた時点で依頼失敗となります。
静謐の風がオープニングで発動していますが、リプレイ開始時には解除されているとします。
スィアリはNPCとして登場しますので、お話があればどうぞ。
帝国の奥地で、一度は歪虚の侵攻を受けて滅びかけた森がありましたが、森の住人であったエルフ、アガスティアによって復興されようとしています。
そこに歪虚スィアリが踏み入りました。この森を守るべくスィアリを退かせてください。
●舞台
森とは名ばかりのまだ草と若木ばかりで、広さも50m四方くらいです。その他は無人の荒野が広がっています。
●スィアリ
弓と槍を装備した暴食型歪虚です。能力は次の通り。
『生命還流』自周囲のマテリアルを吸収し、行動阻害を起こす
『天譴の雨』光の雨を降らせて広範囲にダメージを及ぼす。
『静謐の風』指定範囲にいる者のアクティブスキル・パッシブスキルを一時的に不活性化(使用不能)する。 ←new
以前はカタコトでしたが、ここに至るまで数多のマテリアルを吸収をしたことにより、まともに喋るようになりました。
●NPC
アガスティア エルフ 森の管理者です。
ギムレット ドワーフ 機導士 森に関与していて、アガスティアの再興の手伝いをしています
●その他
スィアリが生命還流や天譴の雨を使った瞬間、幼い森は死んでしまいます(時間をかければ再生可能かもしれませんが)ので、これらのスキルを使われた時点で依頼失敗となります。
静謐の風がオープニングで発動していますが、リプレイ開始時には解除されているとします。
スィアリはNPCとして登場しますので、お話があればどうぞ。
マスターより
難易度は久しぶりに「難しい」です。森を守るにしてもスキル一発で吹き飛んでしまうのと、歪虚ですから精神的成長、変化が非常に起きにくいことによるものです。
それでも、皆様のお力ならばあるいは。
なお、森については拙作「小さな森、」で始まる3作の舞台となっています。ご興味があればそちらをどうぞ。
御尽力をよろしくお願いいたします。
それでも、皆様のお力ならばあるいは。
なお、森については拙作「小さな森、」で始まる3作の舞台となっています。ご興味があればそちらをどうぞ。
御尽力をよろしくお願いいたします。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/05/24 09:05
参加者一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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森を護る為に(相談卓) エアルドフリス(ka1856) 人間(クリムゾンウェスト)|30才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/05/17 07:57:52 |
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豊穣の巫女に問いかけ、話す卓 エステル・クレティエ(ka3783) 人間(クリムゾンウェスト)|17才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/05/17 09:32:17 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/05/12 19:22:18 |