ゲスト
(ka0000)
玻璃の瓦礫―針の工場―
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- シリーズ(続編)
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,300
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/05/28 07:30
- リプレイ完成予定
- 2016/06/06 07:30
オープニング
●
報告を受け取ったハンターオフィスの職員達が簡易設置の詰め所の天幕の中で話し込んでいる。
ハンター達も同席を請われるが、彼等はすぐに出発できるよう、得物を手に外を睨んでいた。
「――報告は、以上」
「詰まり?」
「今まで追っていた歪虚は既に消滅に近く、漸く顔を見せたもう1体は再び行方不明に。攫われた女性は契約……してしまったのでしょうね、恐らく」
「……契約ですか」
職員達の顔に影が落ちた。
契約とは、とまだ年若い職員が尋ねた。
年長の職員がハンターを一瞥して答える。
「彼等の様に精霊の加護を得て、覚醒者となる方々がいらっしゃいますね。歪虚の力を得て、その力を行使しようとするのが契約者です。心身ともに負のマテリアルに晒すことになりますから消耗は激しく、数度その力を使っただけで死亡……或いは、歪虚となってしまうことでしょうね」
彼女も、と焦る若い声に、深々と溜息を吐く。
「契約を解消するか、或いは、契約した歪虚を滅ぼすか……どちらも難しいことですが、せめて連れ帰ってさえ貰えれば、安全で清浄な場所で保護して、マテリアルの状態を幾らか保つことは出来ると思いますよ」
暫くはオフィスにいて頂きましょう。
オフィスは彼等の出入りもあっていつも賑やかで明るいですし、歪虚が追ってきても私たちの目が届きます。
落ち付いたら、彼女のお店に戻って貰うことも出来るかも知れませんよ。
励ます言葉を並べ、年長の職員は、ぱんと小気味良い音で手を叩き、空気を切り替える。
見付かりました、と、職員がテーブルへ資料を広げる。
「これが教会、これがお爺さんの言っていた鎧の工場です。これは多分玩具の部品で、こっちが釘、裁縫針、一番最近の、と言っても大分古いですが、錐ですね……これで全てでは無いと思いますが――階段の場所は変わらずここ、ハンターさんの向かわれた部屋はここで、歪虚はこのドアから出て行って、……こっちは崩れているので……下りて、1階の……」
負のマテリアルが蝕むホラーハウスの装いの解けた廃墟はその本来の姿を現した。
通りすがりの老人が、ここはかつて、教会だったらしい、その後、鎧の工場に、手工業の作業場にと有り様を変えたと言っていた。職員が見付けてきたのは、その建物が使われていた頃の見取り図。
奇妙に長く演出された階段はただ2階へのみ続き、奥へ広がる様に見えた部屋の、正しいルームプレートには所長室と煤けた文字で刻まれている。
長い年月を経て2階の大部分は崩落、部屋の形を残しているのは1階に3つ並んだ工房の内1つ。
残りの2つは潰れて、天井の所々に穴が空いているらしい。
教会だった頃の面影は薄く、しかし砕けたステンドグラスの鮮やかな色が微かにそれを思い出させる。
「確かに、子どもを遊ばせるには危なっかしすぎるわね」
老人から話を聞いていた職員は、図面と霧の薄れた廃墟を眺めて呟いた。
●
掲示された依頼は2つ。
『確認可能な歪虚の撃破』『女性の保護、或いは、回収』
曖昧な依頼ですね、と別の職員が眉を寄せた。
「恐らく廃墟内に残っているだろう傲慢歪虚は消滅させて下さい。もう1体は、……逃亡を図っていた場合は深追いせずに、廃墟内で確認された場合のみ、攻撃を行って下さい」
再び行方を眩ませた歪虚の情報は乏しい。追うべきだ、追わないべきだと、職員の間でも意見は分かれている。
是非追いかけて討つべきだと不満そうにする声を制し、依頼の説明を続ける。
「女性について、ですが。……契約者であり、歪虚の力を何等かの形で行使可能だという前提で当たって下さい。そして、その力は彼女の生命力に直結していることも覚えて置いて下さい。今の彼女は、歪虚の力に蝕まれている状態です。放置すれば歪虚になりかねません。死亡したとしても必ず回収をお願いします。」
契約者の状態に補足出来ることは無いと職員は言葉を閉ざした。
「――助けを、求めたそうですね、彼女。助けて、と、言っていたと。それから謝罪も……意識はある。人らしい理性は、まだ生きているはずです」
ハンター達を見送りに来た職員が、そう告げて頭を垂れる。
●
暗闇の中、微かに光りが零れてくる。
それを掴めばきっと助かるのに、冷えて悴んだ指が動かない。
遠く聞こえていた足音が、すぐ側に迫っている。
喉が痛む、苦しい、声が出ない。
「――マスター、本当にここを捨てるみたい。居心地悪かったのかしらね? まあ、いいわ……ユリア、いつまでそうしているの? 私たち、お友達って言ってくれたわよね。私をいじめる人達のこと、一緒にやっつけてくれるわよね」
乱れた髪を梳き、痛めた爪を磨き、衣装の埃を払う歪虚。
その傍らで膝を抱えて蹲る黒いドレスの女性。
報告を受け取ったハンターオフィスの職員達が簡易設置の詰め所の天幕の中で話し込んでいる。
ハンター達も同席を請われるが、彼等はすぐに出発できるよう、得物を手に外を睨んでいた。
「――報告は、以上」
「詰まり?」
「今まで追っていた歪虚は既に消滅に近く、漸く顔を見せたもう1体は再び行方不明に。攫われた女性は契約……してしまったのでしょうね、恐らく」
「……契約ですか」
職員達の顔に影が落ちた。
契約とは、とまだ年若い職員が尋ねた。
年長の職員がハンターを一瞥して答える。
「彼等の様に精霊の加護を得て、覚醒者となる方々がいらっしゃいますね。歪虚の力を得て、その力を行使しようとするのが契約者です。心身ともに負のマテリアルに晒すことになりますから消耗は激しく、数度その力を使っただけで死亡……或いは、歪虚となってしまうことでしょうね」
彼女も、と焦る若い声に、深々と溜息を吐く。
「契約を解消するか、或いは、契約した歪虚を滅ぼすか……どちらも難しいことですが、せめて連れ帰ってさえ貰えれば、安全で清浄な場所で保護して、マテリアルの状態を幾らか保つことは出来ると思いますよ」
暫くはオフィスにいて頂きましょう。
オフィスは彼等の出入りもあっていつも賑やかで明るいですし、歪虚が追ってきても私たちの目が届きます。
落ち付いたら、彼女のお店に戻って貰うことも出来るかも知れませんよ。
励ます言葉を並べ、年長の職員は、ぱんと小気味良い音で手を叩き、空気を切り替える。
見付かりました、と、職員がテーブルへ資料を広げる。
「これが教会、これがお爺さんの言っていた鎧の工場です。これは多分玩具の部品で、こっちが釘、裁縫針、一番最近の、と言っても大分古いですが、錐ですね……これで全てでは無いと思いますが――階段の場所は変わらずここ、ハンターさんの向かわれた部屋はここで、歪虚はこのドアから出て行って、……こっちは崩れているので……下りて、1階の……」
負のマテリアルが蝕むホラーハウスの装いの解けた廃墟はその本来の姿を現した。
通りすがりの老人が、ここはかつて、教会だったらしい、その後、鎧の工場に、手工業の作業場にと有り様を変えたと言っていた。職員が見付けてきたのは、その建物が使われていた頃の見取り図。
奇妙に長く演出された階段はただ2階へのみ続き、奥へ広がる様に見えた部屋の、正しいルームプレートには所長室と煤けた文字で刻まれている。
長い年月を経て2階の大部分は崩落、部屋の形を残しているのは1階に3つ並んだ工房の内1つ。
残りの2つは潰れて、天井の所々に穴が空いているらしい。
教会だった頃の面影は薄く、しかし砕けたステンドグラスの鮮やかな色が微かにそれを思い出させる。
「確かに、子どもを遊ばせるには危なっかしすぎるわね」
老人から話を聞いていた職員は、図面と霧の薄れた廃墟を眺めて呟いた。
●
掲示された依頼は2つ。
『確認可能な歪虚の撃破』『女性の保護、或いは、回収』
曖昧な依頼ですね、と別の職員が眉を寄せた。
「恐らく廃墟内に残っているだろう傲慢歪虚は消滅させて下さい。もう1体は、……逃亡を図っていた場合は深追いせずに、廃墟内で確認された場合のみ、攻撃を行って下さい」
再び行方を眩ませた歪虚の情報は乏しい。追うべきだ、追わないべきだと、職員の間でも意見は分かれている。
是非追いかけて討つべきだと不満そうにする声を制し、依頼の説明を続ける。
「女性について、ですが。……契約者であり、歪虚の力を何等かの形で行使可能だという前提で当たって下さい。そして、その力は彼女の生命力に直結していることも覚えて置いて下さい。今の彼女は、歪虚の力に蝕まれている状態です。放置すれば歪虚になりかねません。死亡したとしても必ず回収をお願いします。」
契約者の状態に補足出来ることは無いと職員は言葉を閉ざした。
「――助けを、求めたそうですね、彼女。助けて、と、言っていたと。それから謝罪も……意識はある。人らしい理性は、まだ生きているはずです」
ハンター達を見送りに来た職員が、そう告げて頭を垂れる。
●
暗闇の中、微かに光りが零れてくる。
それを掴めばきっと助かるのに、冷えて悴んだ指が動かない。
遠く聞こえていた足音が、すぐ側に迫っている。
喉が痛む、苦しい、声が出ない。
「――マスター、本当にここを捨てるみたい。居心地悪かったのかしらね? まあ、いいわ……ユリア、いつまでそうしているの? 私たち、お友達って言ってくれたわよね。私をいじめる人達のこと、一緒にやっつけてくれるわよね」
乱れた髪を梳き、痛めた爪を磨き、衣装の埃を払う歪虚。
その傍らで膝を抱えて蹲る黒いドレスの女性。
解説
目的 ユリアの保護
●エネミー
傲慢歪虚
振り袖に厚底の草履、小柄な少女の姿をしているが、長い髪の合間から角が生え、手には鋭い爪が生えている
針の投擲(対象1~3、最大射程5程度を確認)による攻撃、及び爪による攻撃と防御を確認済み
生命力は高いが、現在大きく減少している。攻撃の威力は高いが貫通するような攻撃は未確認
3つの針の内、回避されなければ2以上は当たる程度の命中
防護点は高くないが、爪を防御に用いた場合大きく増加する。
●場所
手工業の工房
______________
|A =B★|C |
| =瓦礫|完全|
| =廃材|崩落|
| = | |
 ̄戸 ̄ ̄戸 ̄ ̄戸 ̄ ̄ ̄
工房Aの、戸、から入室(B、Cの戸は開かない)。
AB間の壁は完全に崩れている。
Cへは天井が落ちており移動出来ない。
★の辺りに歪虚とユリア(Bの奥、どうにか立っていられる辺り)。
Bは瓦礫や廃材が溢れ、移動が困難なほど足場が悪くなっている(移動力が1以下)。
また、Cに近付くほど天井が低くなる。
Aは幅5、奥行7スクエア程度、Bの直立移動可能な範囲は幅3奥行き6程度。
工場内に灯りはない
瓦礫や廃材でもダメージは発生する。
(PL情報として:
嫉妬歪虚の所在と行動
C天井裏。
傲慢歪虚撃破後に廃材や瓦礫の中で動かせる物を飛ばし、数秒間撹乱を行う。
隙が出来ればユリアを連れて、不可能ならば単身で逃亡。
建物の強度について
現状でバランスを保っているため壊れたり、今以上に崩れることはないが、
意図的に壊そうとした場合、倒壊する。
ユリアの行動
歪虚の強要による詐称は解けているが、精神的に疲弊しており、契約の知識もない。
その為、意図せず力を行使する場合がある。その場合、以降30ターン以上行動不能。)
●エネミー
傲慢歪虚
振り袖に厚底の草履、小柄な少女の姿をしているが、長い髪の合間から角が生え、手には鋭い爪が生えている
針の投擲(対象1~3、最大射程5程度を確認)による攻撃、及び爪による攻撃と防御を確認済み
生命力は高いが、現在大きく減少している。攻撃の威力は高いが貫通するような攻撃は未確認
3つの針の内、回避されなければ2以上は当たる程度の命中
防護点は高くないが、爪を防御に用いた場合大きく増加する。
●場所
手工業の工房
______________
|A =B★|C |
| =瓦礫|完全|
| =廃材|崩落|
| = | |
 ̄戸 ̄ ̄戸 ̄ ̄戸 ̄ ̄ ̄
工房Aの、戸、から入室(B、Cの戸は開かない)。
AB間の壁は完全に崩れている。
Cへは天井が落ちており移動出来ない。
★の辺りに歪虚とユリア(Bの奥、どうにか立っていられる辺り)。
Bは瓦礫や廃材が溢れ、移動が困難なほど足場が悪くなっている(移動力が1以下)。
また、Cに近付くほど天井が低くなる。
Aは幅5、奥行7スクエア程度、Bの直立移動可能な範囲は幅3奥行き6程度。
工場内に灯りはない
瓦礫や廃材でもダメージは発生する。
(PL情報として:
嫉妬歪虚の所在と行動
C天井裏。
傲慢歪虚撃破後に廃材や瓦礫の中で動かせる物を飛ばし、数秒間撹乱を行う。
隙が出来ればユリアを連れて、不可能ならば単身で逃亡。
建物の強度について
現状でバランスを保っているため壊れたり、今以上に崩れることはないが、
意図的に壊そうとした場合、倒壊する。
ユリアの行動
歪虚の強要による詐称は解けているが、精神的に疲弊しており、契約の知識もない。
その為、意図せず力を行使する場合がある。その場合、以降30ターン以上行動不能。)
マスターより
よろしくお願いします。
最終話です。
今まで有り難う御座いました!
(シリーズは完結ですが、とぱぁずはもうちょっとだけ続きます)
最終話です。
今まで有り難う御座いました!
(シリーズは完結ですが、とぱぁずはもうちょっとだけ続きます)
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/06/07 01:51
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談 カリアナ・ノート(ka3733) 人間(クリムゾンウェスト)|10才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/05/28 00:47:50 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/05/26 11:44:12 |