ゲスト
(ka0000)
ボラ族、兵士として勧誘される
マスター:DoLLer

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/07/27 07:30
- リプレイ完成予定
- 2016/08/05 07:30
オープニング
「メルツェーデス。ボラ族は相変わらずのようだな」
ゾンネンシュトラール帝国の政府の一つである地方内務課。そこで書類整理をしていたメルツェーデスに声をかけたのは係長のラーウィックであった。
あんな非常識な連中の世話を押し付けておきながら、相変わらず問題ばかりのようだな、といけしゃあしゃあとのたまうその口にメルツェーデスは捨てる書類を突っ込んでやりたくなる衝動に駆られたが、そこはぐっと我慢した。
「辺境、今はもう北荻となった場所からの移住なんですから、仕方ないんじゃないですか。あれでもマシになった方なんですよ!」
「ほう、マシになったか。それはいい」
ラーウィックの細長い眼鏡がキラリと輝いた気がして、メルツェーデスは嫌な予感がした。
「知っていると思うが、歪虚との戦いはリアルブルーに転移してというものになることは知っているな。帝国兵士の中からもサルヴァトーレ・ロッソに乗って転移するものが出る。戻って来れない場合、転移者はまるまるの兵士損失として計上されることになる。ということで軍務課から、兵の追加募集が始まる」
「またァ? 連合軍結成の時に募集したばっかりじゃないですか。みんな帝国の為だって、戦うのは帝国の使命だからって言ってもさすがに反発も出ているんですよ」
呆れた声を上げるメルツェーデスだったが、その後、不意に眉をひそめた。
ラーウィックが何のためにその話を持ちだしたのか、気づいたからだ。
「ボラ族を兵士に徴用しろって?」
「最近マシになってきたのだろう?」
「待ってよ、ボラ族ってさ、馬鹿だし粗野だけどさ、帝国に馴染もうとしてるのよ? それに移住してきたのも戦う以外の道を見つけるためにって」
「それではお前は帝国人を龍園やリアルブルーに送り出すというのか? 帝国地方からも反発が上がっていると言ったのはお前だろう。その点移住者など故郷を捨てた人間に悲しむ人間もいまい。それにボラ族は元々北荻近くで常々歪虚と戦ってきたのだろう? これほど適任はいない」
冷酷な目つきにメルツェーデスは歯噛みして睨み返した。
「何よそれ! あいつらだって帝国人でしょう!」
「そうだ。兵士は帝国人から選ぶ。その際、適性のある人間に声をかけるのは自然なことだ」
適正というのは、要するに反発の少ない人間から順に、ということだろう。
食って掛かろうとしたメルツェーデスの耳に、ラーウィックは頭を寄せると小さな声で囁いた。
「そうでなければヴルツァライヒに関係してそうな人間を捕まえることを優先することになるが……君の父上もあの歳で囚人兵として働くのは辛くないかね?」
●
「兵士してほしいんだけど……ほら、お金もいいしさ……」
ボラ族の住む港町の鍛冶場。
メルツェーデスは笑顔を作り損ねた酷い顔を隠す為に、うつむき加減にそう言った。
「メル。あなたは知っているはず。私達は故郷を失った。偉大な族長スィアリも歪虚に堕ちた。戦いは……何も生み出さない。生み出す為に私達はここに来たのよ」
真っ先に返したのはボラ族の女レイアだった。スィアリの遺児を預かる彼女がそう答えるのはメルツェーデスも解っていた。
「俺は戦ってもいいぞ。帝国も結局戦う。怖れて後ろ下がり続ける、これ卑怯者だ。必要なら戦うべき!」
対して巨漢のゾールは、いつも通りの豪放な笑いを飛ばして腕をぐりぐりと回した。これもメルツェーデスには解っていた答えだ。
後、解らないのは、細工師のロッカと族長イグの判断であった。
「ロッカ。お前はどう思う」
イグが問いかけるとロッカはメルツェーデスを鼻で笑い飛ばした。
「反対に決まってるじゃん。どうせ兵士足りないから都合のいい移民者を兵士にしたてようって魂胆でしょ。移民には正当な扱いを保証して、また辺境にも不当な暴力的支配をしないって、偉大なシバ様の名においてパシュパティ条約を結んだんじゃないの? 結局、名ばかりってワケだね」
「そんなことは……」
ロッカは鋭い指摘は、その通りだ。ラーウィックは条約の意図はともかく、文面の穴をついて優先的に辺境移民を危険地に送り込もうとしているのだから。
鋭すぎて胸が痛かった。
「聞いての通りだ。私も反対だ。今は連合軍として4国同様に兵士を集めているであろうが、戦が収束した後、そのような態度であるなら辺境への対応も危惧せざるを得ない」
パシュパティ条約を上っ面にしてしまうような事柄なのだ。
わかってる。全部わかってる。
「なに都合の良い事いってんのよ。歪虚レーヴァが来た時には率先して戦いに出向いたじゃない。ノト族が攻めてきた時は町に被害出しながら嬉々として殴りに行ったくせに!!」
「メルツェーデス……?」
「好き勝手な事ばかりして! 胸にはまだ収まらない気持ち持ってるくせに!!」
メルツェーデスにはどうしていいのかわからなかった。
本当は、彼らを兵士なんかにしたくない。だけど、役人としての責務が、父親のベントを盾に取られた恐怖が。口を動かす。
「面倒見てもらってるような連中が、ぐちゃぐちゃ言わないでよ!」
そう言い捨ててメルツェーデスは鍛冶場を飛び出た。
「メルさんの言うこと、わからんでもない」
「もし辺境民との戦争になった時、駆りだされるの御免」
「今は連合軍。共闘することあっても対立ないかも」
「相手は高潔なスィアリ様まで堕とした。俺達雑魔になったら、やっぱりまた悲しむ……」
一般のボラ族はこそこそと話し合っていた。
覚醒者として導いてきた族長以下の面々が結論を導いた以上、彼らが答えを出せる訳もなかったが。
「でもこの状況何とかしたい」
「メルさんお世話になったし」
その言葉に面々は顔を見合わせ、頷いた。
ハンターの知恵を借りよう、と。
ゾンネンシュトラール帝国の政府の一つである地方内務課。そこで書類整理をしていたメルツェーデスに声をかけたのは係長のラーウィックであった。
あんな非常識な連中の世話を押し付けておきながら、相変わらず問題ばかりのようだな、といけしゃあしゃあとのたまうその口にメルツェーデスは捨てる書類を突っ込んでやりたくなる衝動に駆られたが、そこはぐっと我慢した。
「辺境、今はもう北荻となった場所からの移住なんですから、仕方ないんじゃないですか。あれでもマシになった方なんですよ!」
「ほう、マシになったか。それはいい」
ラーウィックの細長い眼鏡がキラリと輝いた気がして、メルツェーデスは嫌な予感がした。
「知っていると思うが、歪虚との戦いはリアルブルーに転移してというものになることは知っているな。帝国兵士の中からもサルヴァトーレ・ロッソに乗って転移するものが出る。戻って来れない場合、転移者はまるまるの兵士損失として計上されることになる。ということで軍務課から、兵の追加募集が始まる」
「またァ? 連合軍結成の時に募集したばっかりじゃないですか。みんな帝国の為だって、戦うのは帝国の使命だからって言ってもさすがに反発も出ているんですよ」
呆れた声を上げるメルツェーデスだったが、その後、不意に眉をひそめた。
ラーウィックが何のためにその話を持ちだしたのか、気づいたからだ。
「ボラ族を兵士に徴用しろって?」
「最近マシになってきたのだろう?」
「待ってよ、ボラ族ってさ、馬鹿だし粗野だけどさ、帝国に馴染もうとしてるのよ? それに移住してきたのも戦う以外の道を見つけるためにって」
「それではお前は帝国人を龍園やリアルブルーに送り出すというのか? 帝国地方からも反発が上がっていると言ったのはお前だろう。その点移住者など故郷を捨てた人間に悲しむ人間もいまい。それにボラ族は元々北荻近くで常々歪虚と戦ってきたのだろう? これほど適任はいない」
冷酷な目つきにメルツェーデスは歯噛みして睨み返した。
「何よそれ! あいつらだって帝国人でしょう!」
「そうだ。兵士は帝国人から選ぶ。その際、適性のある人間に声をかけるのは自然なことだ」
適正というのは、要するに反発の少ない人間から順に、ということだろう。
食って掛かろうとしたメルツェーデスの耳に、ラーウィックは頭を寄せると小さな声で囁いた。
「そうでなければヴルツァライヒに関係してそうな人間を捕まえることを優先することになるが……君の父上もあの歳で囚人兵として働くのは辛くないかね?」
●
「兵士してほしいんだけど……ほら、お金もいいしさ……」
ボラ族の住む港町の鍛冶場。
メルツェーデスは笑顔を作り損ねた酷い顔を隠す為に、うつむき加減にそう言った。
「メル。あなたは知っているはず。私達は故郷を失った。偉大な族長スィアリも歪虚に堕ちた。戦いは……何も生み出さない。生み出す為に私達はここに来たのよ」
真っ先に返したのはボラ族の女レイアだった。スィアリの遺児を預かる彼女がそう答えるのはメルツェーデスも解っていた。
「俺は戦ってもいいぞ。帝国も結局戦う。怖れて後ろ下がり続ける、これ卑怯者だ。必要なら戦うべき!」
対して巨漢のゾールは、いつも通りの豪放な笑いを飛ばして腕をぐりぐりと回した。これもメルツェーデスには解っていた答えだ。
後、解らないのは、細工師のロッカと族長イグの判断であった。
「ロッカ。お前はどう思う」
イグが問いかけるとロッカはメルツェーデスを鼻で笑い飛ばした。
「反対に決まってるじゃん。どうせ兵士足りないから都合のいい移民者を兵士にしたてようって魂胆でしょ。移民には正当な扱いを保証して、また辺境にも不当な暴力的支配をしないって、偉大なシバ様の名においてパシュパティ条約を結んだんじゃないの? 結局、名ばかりってワケだね」
「そんなことは……」
ロッカは鋭い指摘は、その通りだ。ラーウィックは条約の意図はともかく、文面の穴をついて優先的に辺境移民を危険地に送り込もうとしているのだから。
鋭すぎて胸が痛かった。
「聞いての通りだ。私も反対だ。今は連合軍として4国同様に兵士を集めているであろうが、戦が収束した後、そのような態度であるなら辺境への対応も危惧せざるを得ない」
パシュパティ条約を上っ面にしてしまうような事柄なのだ。
わかってる。全部わかってる。
「なに都合の良い事いってんのよ。歪虚レーヴァが来た時には率先して戦いに出向いたじゃない。ノト族が攻めてきた時は町に被害出しながら嬉々として殴りに行ったくせに!!」
「メルツェーデス……?」
「好き勝手な事ばかりして! 胸にはまだ収まらない気持ち持ってるくせに!!」
メルツェーデスにはどうしていいのかわからなかった。
本当は、彼らを兵士なんかにしたくない。だけど、役人としての責務が、父親のベントを盾に取られた恐怖が。口を動かす。
「面倒見てもらってるような連中が、ぐちゃぐちゃ言わないでよ!」
そう言い捨ててメルツェーデスは鍛冶場を飛び出た。
「メルさんの言うこと、わからんでもない」
「もし辺境民との戦争になった時、駆りだされるの御免」
「今は連合軍。共闘することあっても対立ないかも」
「相手は高潔なスィアリ様まで堕とした。俺達雑魔になったら、やっぱりまた悲しむ……」
一般のボラ族はこそこそと話し合っていた。
覚醒者として導いてきた族長以下の面々が結論を導いた以上、彼らが答えを出せる訳もなかったが。
「でもこの状況何とかしたい」
「メルさんお世話になったし」
その言葉に面々は顔を見合わせ、頷いた。
ハンターの知恵を借りよう、と。
解説
●概要
ボラ族が連合軍兵士にさせたいという意向が地方内務課としてありますが、ボラ族としては反対しています。
折衝しているメルツェーデスも苦しい立場にあり、それを見たボラ族の一部から、なんとかとりまとめて欲しいとハンターオフィスに依頼がありました。
●目的
次のうちのいずれかを達成すること
・ボラ族の覚醒者4名及び一般のボラ族の半数が連合軍兵士となってもらう。
・兵士にすることを地方内務課に諦めてもらう。
●使用できる期間
5日間
ボラ族が連合軍兵士にさせたいという意向が地方内務課としてありますが、ボラ族としては反対しています。
折衝しているメルツェーデスも苦しい立場にあり、それを見たボラ族の一部から、なんとかとりまとめて欲しいとハンターオフィスに依頼がありました。
●目的
次のうちのいずれかを達成すること
・ボラ族の覚醒者4名及び一般のボラ族の半数が連合軍兵士となってもらう。
・兵士にすることを地方内務課に諦めてもらう。
●使用できる期間
5日間
マスターより
移民は対等なる立場とはいえども、何かの拍子にはやはり差を受けてしまうこともあります。誰も望んではいないけれど。
さて彼らの明日はどうなるのでしょうか。
さて彼らの明日はどうなるのでしょうか。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/07/30 19:28
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 フェリア(ka2870) 人間(クリムゾンウェスト)|21才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/07/27 01:17:43 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/07/23 16:03:46 |