ゲスト
(ka0000)
花のアヤカシ
マスター:音無奏

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/08/19 22:00
- リプレイ完成予定
- 2016/09/02 22:00
オープニング
藤の花がそよ、と揺れる。
庭園の中は見渡す限り一面の緑、それを覆うように薄紫のグラデーションが広がり、カーテンのように風に揺れている。
無数の花を連ねて作った瀑布のようなカーテン、営みのない無人の庭園で花だけが静かに揺れている。
かつてその場所では二人の若い恋人が愛を育んでいた。
男の方は名家の出だったらしい、二人はお互いを想い合っていたが、周囲には応援されない恋だった。
男は女を匿うため家に頼らず商いを重ね、稼いだお金で女が好んだ花である藤の庭園を作り上げた。
その話の結末がどうなったかは誰も知らない、だがその恋の証だった藤の庭は今も残されている。
…………。
ハンターズソサエティに依頼が持ち込まれた。
とある半廃墟となっていた庭園に歪虚が発生し、それを討伐して欲しいとの話だ。
その庭園はある名家の男の持ち物で、何年かもわからない前からずっと放置され続けていたらしい、一族は知らなかったが、その男の逸話は周囲の住民には有名な話だった。
―――恋人を匿った場所、逢瀬のための小さい庭園。
とは言っても10年以上前の話だ。長年の不在から男は失踪認定されて、更に数年を重ねてこの庭園をどうするのかという話が持ち上がった。
何しろ経緯が経緯だ、下手に触れる事は憚れる。
一族に連絡した所、彼らもやはり難色を示して―――はるか昔に妙な逸話を残して失踪した男の事は彼らも扱いかねるのだろう。
領主に扱いを任せようとしたところ、一族の中から一人の若当主が手を上げた。元の持ち主からすると甥に当たるらしい、彼は自分が庭園を引き取り保護する事を主張して―――面倒ごとを嫌った一族は彼の望み通り庭園を丸投げした。
そして、彼が宣言通り庭の整備を始めようとしたのが先日の話。庭師たちを派遣したところ、歪虚を見つけて逃げ戻ってきたらしい。
見た目は黒く枯れた枝を雑なヒトガタに組み合わせ、藤のドレスをまとわせた後子供の落書きのようなでかい目と口をつけたような様相だったという。
逃げようとしたところ蔓を鞭のように振り回して追い回され、挙句地面からは根が足をつかもうと絡みついてきたらしい。なんとか逃げ切ったものの細かい傷をいくつも負わされ、庭師たちは現在療養中だそうだ。
「そうか、あの庭、歪虚が出たのか……」
そして、ハンター達は一人の少年の前にいる。肩まで伸びた茶髪を首の後ろでまとめ、残りをざんばらに切ったイオという名の少年だ。
配達の仕事中だったのか、肩から大きな鞄を下げ、ついでに子守を押し付けられたらしく傍らにマナと名乗った6才ほどの女の子を連れている。
何故彼と話してるかというと。
「ああ、藤の庭園だろ、良く知ってるぜ」
……こういう事だった。
●藤の庭園
街から遠く離れた場所にその別荘はある。
高い生け垣で覆われた庭園はたとえすばしっこい子供でも侵入を許さない、生け垣の奥には更に柵が張り巡らされていて、念入りに侵入者を阻んでいる。
唯一の出入り口はまるで裏口のような、花の装飾を施された小さな鉄扉。そこから生け垣に挟まれた細い道を通り、もう一つ鍵を開けてようやく秘密の花園に踏み入る事が出来る。
玄関の狭苦しさに反して中は広い、雑草によってひび割れてはいるが白い石畳が伸び、少し歩けば藤の花が立ち並ぶ並木道が広がる。
そのまま直進すればロッジのような小さい母屋、裏にはバルコニーがあり、その先には半径50mほどの池が広がっている。池を挟んだ母屋の反対側には小さな涼亭、枝垂れた藤によって覆い隠され、母屋側からはまずその存在に気づく事が出来ないという。
「逢瀬に使っていたというだけあって、身を隠す場所には困らなかったな」
藤自体が天然のカーテンとなって人の姿を隠すのだという、花を纏う歪虚ならその効果は一層上がる事だろう。
討伐においては藤が障害になる事が予想される、しかし依頼人はこの庭園を使うつもりでハンター達を頼んだのだ、藤を傷つける行動は報酬の減額が待っているだろう、細工をするなら極力歪虚の方にした方がいいかもしれない。
「後最奥からは入り口の様子がよく見えたな、逆だと全く見えないのに」
作った奴は女を匿っていたって話だから、女を隠す時間を稼ぐためには必要な設計だったのだろうとイオは言う。
奇襲を仕掛けるのは難しいかもしれない、逆にこっちが奇襲を警戒しなければいけない始末だ。
ハンター達が各々相談に入り始めると、もう話は終わったと判断したのかマナが顔をあげる、イオの服を引っ張って。
「お兄ちゃん、藤の花言葉は知っている?」
「いや……」
イオが知る訳がない、しかしそういうのに興味がある年頃なのか、マナは宝物を見せびらかすように胸を張った。
「『決して離れない』と『恋に酔う』よ」
藤の蔓は結構頑丈な事からそういう花言葉がついたらしい、「物知りでしょ」とマナが胸を張る。
……歪虚対策に『拘束力が高い』も入れたほうが良さそうだった。
庭園の中は見渡す限り一面の緑、それを覆うように薄紫のグラデーションが広がり、カーテンのように風に揺れている。
無数の花を連ねて作った瀑布のようなカーテン、営みのない無人の庭園で花だけが静かに揺れている。
かつてその場所では二人の若い恋人が愛を育んでいた。
男の方は名家の出だったらしい、二人はお互いを想い合っていたが、周囲には応援されない恋だった。
男は女を匿うため家に頼らず商いを重ね、稼いだお金で女が好んだ花である藤の庭園を作り上げた。
その話の結末がどうなったかは誰も知らない、だがその恋の証だった藤の庭は今も残されている。
…………。
ハンターズソサエティに依頼が持ち込まれた。
とある半廃墟となっていた庭園に歪虚が発生し、それを討伐して欲しいとの話だ。
その庭園はある名家の男の持ち物で、何年かもわからない前からずっと放置され続けていたらしい、一族は知らなかったが、その男の逸話は周囲の住民には有名な話だった。
―――恋人を匿った場所、逢瀬のための小さい庭園。
とは言っても10年以上前の話だ。長年の不在から男は失踪認定されて、更に数年を重ねてこの庭園をどうするのかという話が持ち上がった。
何しろ経緯が経緯だ、下手に触れる事は憚れる。
一族に連絡した所、彼らもやはり難色を示して―――はるか昔に妙な逸話を残して失踪した男の事は彼らも扱いかねるのだろう。
領主に扱いを任せようとしたところ、一族の中から一人の若当主が手を上げた。元の持ち主からすると甥に当たるらしい、彼は自分が庭園を引き取り保護する事を主張して―――面倒ごとを嫌った一族は彼の望み通り庭園を丸投げした。
そして、彼が宣言通り庭の整備を始めようとしたのが先日の話。庭師たちを派遣したところ、歪虚を見つけて逃げ戻ってきたらしい。
見た目は黒く枯れた枝を雑なヒトガタに組み合わせ、藤のドレスをまとわせた後子供の落書きのようなでかい目と口をつけたような様相だったという。
逃げようとしたところ蔓を鞭のように振り回して追い回され、挙句地面からは根が足をつかもうと絡みついてきたらしい。なんとか逃げ切ったものの細かい傷をいくつも負わされ、庭師たちは現在療養中だそうだ。
「そうか、あの庭、歪虚が出たのか……」
そして、ハンター達は一人の少年の前にいる。肩まで伸びた茶髪を首の後ろでまとめ、残りをざんばらに切ったイオという名の少年だ。
配達の仕事中だったのか、肩から大きな鞄を下げ、ついでに子守を押し付けられたらしく傍らにマナと名乗った6才ほどの女の子を連れている。
何故彼と話してるかというと。
「ああ、藤の庭園だろ、良く知ってるぜ」
……こういう事だった。
●藤の庭園
街から遠く離れた場所にその別荘はある。
高い生け垣で覆われた庭園はたとえすばしっこい子供でも侵入を許さない、生け垣の奥には更に柵が張り巡らされていて、念入りに侵入者を阻んでいる。
唯一の出入り口はまるで裏口のような、花の装飾を施された小さな鉄扉。そこから生け垣に挟まれた細い道を通り、もう一つ鍵を開けてようやく秘密の花園に踏み入る事が出来る。
玄関の狭苦しさに反して中は広い、雑草によってひび割れてはいるが白い石畳が伸び、少し歩けば藤の花が立ち並ぶ並木道が広がる。
そのまま直進すればロッジのような小さい母屋、裏にはバルコニーがあり、その先には半径50mほどの池が広がっている。池を挟んだ母屋の反対側には小さな涼亭、枝垂れた藤によって覆い隠され、母屋側からはまずその存在に気づく事が出来ないという。
「逢瀬に使っていたというだけあって、身を隠す場所には困らなかったな」
藤自体が天然のカーテンとなって人の姿を隠すのだという、花を纏う歪虚ならその効果は一層上がる事だろう。
討伐においては藤が障害になる事が予想される、しかし依頼人はこの庭園を使うつもりでハンター達を頼んだのだ、藤を傷つける行動は報酬の減額が待っているだろう、細工をするなら極力歪虚の方にした方がいいかもしれない。
「後最奥からは入り口の様子がよく見えたな、逆だと全く見えないのに」
作った奴は女を匿っていたって話だから、女を隠す時間を稼ぐためには必要な設計だったのだろうとイオは言う。
奇襲を仕掛けるのは難しいかもしれない、逆にこっちが奇襲を警戒しなければいけない始末だ。
ハンター達が各々相談に入り始めると、もう話は終わったと判断したのかマナが顔をあげる、イオの服を引っ張って。
「お兄ちゃん、藤の花言葉は知っている?」
「いや……」
イオが知る訳がない、しかしそういうのに興味がある年頃なのか、マナは宝物を見せびらかすように胸を張った。
「『決して離れない』と『恋に酔う』よ」
藤の蔓は結構頑丈な事からそういう花言葉がついたらしい、「物知りでしょ」とマナが胸を張る。
……歪虚対策に『拘束力が高い』も入れたほうが良さそうだった。
解説
+概要
庭園に現れたアヤカシの討伐。
・焼き払うなどで藤や庭園を大きく損害する行為はNG(報酬減額)
・庭園に入った時点でアヤカシには察知される
・奇襲注意
・庭園の鍵はあります、ハンター達は討伐の事だけ考えればOK。
+敵:花の妖
枝と花を組み合わせたような歪虚、現地には雑魔が発生する要素がないので恐らくハグレ。
天然迷彩持ち、対多数戦闘を得意とする、拘束力は恐らく高い、威力のある刃物があると◎。
・攻撃手段
→ムチ打ち
→絡みつく
→花びらの刃
+ボーナス
庭園を余り壊さずに済んだかどうかと、普通に戦闘の出来次第。
+キーワード
藤、花、恋、逢瀬、廃墟、誰も知らない結末
イオとマナは解説要員なので本編には関与しません。
庭園に現れたアヤカシの討伐。
・焼き払うなどで藤や庭園を大きく損害する行為はNG(報酬減額)
・庭園に入った時点でアヤカシには察知される
・奇襲注意
・庭園の鍵はあります、ハンター達は討伐の事だけ考えればOK。
+敵:花の妖
枝と花を組み合わせたような歪虚、現地には雑魔が発生する要素がないので恐らくハグレ。
天然迷彩持ち、対多数戦闘を得意とする、拘束力は恐らく高い、威力のある刃物があると◎。
・攻撃手段
→ムチ打ち
→絡みつく
→花びらの刃
+ボーナス
庭園を余り壊さずに済んだかどうかと、普通に戦闘の出来次第。
+キーワード
藤、花、恋、逢瀬、廃墟、誰も知らない結末
イオとマナは解説要員なので本編には関与しません。
マスターより
音無です、藤の季節は過ぎてるとか気にしてはいけません。
前回のリプレイがほぼ戦闘とじゃれあいだったので雰囲気系シナリオ……だったはずなんですが、はい、また純戦闘気味です。
綺麗にしたらその内イベシナに転用したいとかそんな事情があって少し控えめにしたとかごにょごにょ。
締め切り延長はただの保険です、#1と同じ執筆速度でやるつもりですが本業で奇襲されたらあれなので……。
前回のリプレイがほぼ戦闘とじゃれあいだったので雰囲気系シナリオ……だったはずなんですが、はい、また純戦闘気味です。
綺麗にしたらその内イベシナに転用したいとかそんな事情があって少し控えめにしたとかごにょごにょ。
締め切り延長はただの保険です、#1と同じ執筆速度でやるつもりですが本業で奇襲されたらあれなので……。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/08/28 02:03
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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庭園を護る為に。 浅黄 小夜(ka3062) 人間(リアルブルー)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/08/18 23:30:40 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/08/15 01:19:35 |