ゲスト
(ka0000)
【選挙】帝国皇子の優雅なる(怒)公務
マスター:稲田和夫

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/09/17 07:30
- リプレイ完成予定
- 2014/09/26 07:30
オープニング
選挙というものが、一大政治イベントである事に異論はあるまい。それは、リアルブルーの各国で行われていたものもそうだし、ここクリムゾンウェストのゾンネンシュトラール帝国についても同じことだ。
立候補者名簿の作成。選挙権を持つ有権者がどのくらいの数になるのかの確認。それらの作業に伴う膨大な書類の作成と発行、配布。そしてそれにかかる費用の裁可――選挙の根幹にかかわる部分だけでも、既にこれだけの人、物、そして金の動きがあるのだ。
そして、これが全国規模の選挙である以上、投票は適当な紙に名前を書いて、適当な箱に集めて――という訳には勿論いかない。
正式の投票用紙を始めとしたシステム面を整備し、各州の都市における投票所を定める必要がある。無論、場所によっては新たに施設を作る必要性が出てくるかもしれない。
こうなってくれば、更に手続きが面倒になる。そして、常に歪虚や亜人といった手合いに悩まされているクリムゾンウェストでは、警備納戸の安全保障面での配慮も不可欠。
まして、ここは軍事国家で鳴らすゾンネンシュトラール帝国であり、その警備態勢が万全でなければならないのは言うまでもない。
以上、政府が主導して動かさなければならない部分だけでも凄まじい量の書類仕事が生まれるのは理解できるだろう。
だが、これで終わりではない。民間の動きとて、政府にとっては無視出来ないのだ。基本的に帝都周辺に人口が集中している帝国では、いざ投票となった時、どうしても辺鄙な場所に住む有権者は最寄りのある程度大きな都市まで出向く必要があるだろう。
当然、今回のコロッセオ・シングスピラでの投票のために、バルトアンデルスには多くの人々が訪れ、宿泊する筈だ。
これは、宿屋やホテルにとっては濡れ手に粟の大儲け――などというレベルではなく、実際宿泊施設を巡っての混乱が起きるのは必定。当然、ある程度は国家が調整を行う必要があるだろう。
加えて、現在急速に人気を伸ばしている第一師団帝国歌舞音曲部隊のアイドルであるグリューエリン・ヴァルファー(kz0050)のライブに代表されるように、意外と現政権は娯楽やイベントに寛容、というかむしろこれを歓迎している節さえある。
その警備を行うのは、勿論帝国の誇る師団、そしてハンターたち。となれば、そこにまた気の遠くなるような、書類がまた延々降って来る訳である。
●
「と、いう訳で、今は帝国政府全体が上へ下への大騒ぎだというのは理解してもらえたか?」
早朝だというのに既に喧騒が辺りに満ちている帝都バルトアンデルス。その一画を歩く第一師団の兵士は、彼の後に続く数名のハンター、つまり貴方たちにそう語りかけた。
「特に、俺たち第一師団は普段から書類仕事も多いからな。もう何と言っていいのか……おかげで今回みたいな事態になっちまった」
第一師団の兵士たちとて当たり前だが人間だ。休みを取らなければミスをしてしまうかもしれない。
「俺たちの任務の一つに、当たり前だが皇子の護衛も含まれている。本来ならこれこそ、幾ら忙しくても絶対に他には回せない任務の筈なのだが――どういう訳かあの御兄弟は妙にお前らに甘いというか、期待しているというか……」
兵士は感情を込めない声で呟くと、歩きつづけ、やがて公官庁の一つらしい大きな建物の前に辿り着くと、また貴方たちの方を振り向いた。
「今日の護衛をお前らに替わってもらうことで、特に激務の続いた隊の連中を何とか休ませてやろうと言う事になった訳だ」
貴方たちが案内されたのは、バルトアンデルス城ではなく、バルトアンデルス市内に存在する官庁の一つであった。
関係する部署との連携の関係から、ここ数日ゾンネンシュトラール帝国皇子にして皇帝代理人、そして今回の選挙では候補の一人として本人の意思とは無関係に他薦されているカッテ・ウランゲル(kz0033)はここを仕事場としているとのことであった。
「お前たちに念を押しておきたいことは二つ。一つは絶対に粗相をするな。どんな小さなかとであってもだ。もう一つは……皇子を見て驚くなよ。いいか、絶対に表情に出すんじゃないぞ」
妙に迫力のある兵士の態度を不審に思いながらも、貴方たちは建物の中を進み、やがて執務室の扉の前に立った
●
「ようこそ、ハンターの皆さん。今日は本当にありがとうございますっ!」
何かがおかしい。そんな感覚が貴方たちの背筋を走っただろうか。
カッテはいつも通り、この地上に天使が舞い降りたかのような笑顔で、貴方たちに微笑みかける。
いや、痛々しい事によくみれば目の下には隈が出来、普段であれば炎が揺らめく様な光沢を放つ髪がやや乱れてしまっている。
しかし、違和感の源泉はそこではないのだ。
「? どうかしましたか?」
カッテに首を傾げられ、ようやくあなた方は違和感の正体に気付く。
「……瓶?」
誰かが呟いた。それは、カッテの執務机に、窓際に、そして本棚に。
それを行った者の性格を反映して、余りにも整然と、まるで元からこの部屋に置かれた装飾品でもあるかのように陳列されていたせいで、誰も最初から気付かなかったのだ。
「ああ、もうこんな時間ですね。皆さん、お茶でも如何ですか?」
いつの間にか部屋の隅にある大きなサモワールの前で、紅茶を注ぐカッテ。ちなみに、サモワールとはリアルブルーでは東欧の方で使われる昔ながらの給湯器の一種で、下部の大きな筒で湯を沸かし、上部の小さなティーポットで紅茶を煮出すものをいう。
リアルブルーにおいては、昔は普通の枯れ木などの燃料、現代では電気で加熱するが、ここにあるものは機導術で加熱を行っているらしい。
と、そんな珍しいものに目が映っていたにもかかわらず、次の瞬間貴方たちは目を見張った。
まず、カッテが上質な陶器のカップに注いだ紅茶だが、異様に黒いのだ。しかし、これは普通であるサモワールで煮出す紅茶は、茶と同時に温めた湯で割って飲むのが普通だからだ。
問題は、カッテがそのドス黒い紅茶に棚から採ったサクランボらしき果物の絵がついたジャムの瓶の中身を丸ごと放り込んだことにある。
そして、呆然とする貴方たちの前でカッテはそれを、普通の紅茶と何ら変わらず音も立てず上品に、飲み干して、また微笑んだ。
「すみません。朝食がまだだったので……」
少し遅れて、貴方たちはその発言の戦慄すべき意味に気付いてしまう。今のが食事だと? では、昼食は? 夕食は? まさか、この整然と並べられた空の瓶は……。
カッテは悠然と、瓶を洗いそれを窓際に置く。よく見れば並べられた瓶には全て色とりどりの果物の絵がかかれていた。
直後、官庁の時計が一斉に鳴り響き、今日の執務が始まったことを知らせると、カッテはマントを翻し、選挙関連の書類が山のように積まれた執務机に戻って行った。
立候補者名簿の作成。選挙権を持つ有権者がどのくらいの数になるのかの確認。それらの作業に伴う膨大な書類の作成と発行、配布。そしてそれにかかる費用の裁可――選挙の根幹にかかわる部分だけでも、既にこれだけの人、物、そして金の動きがあるのだ。
そして、これが全国規模の選挙である以上、投票は適当な紙に名前を書いて、適当な箱に集めて――という訳には勿論いかない。
正式の投票用紙を始めとしたシステム面を整備し、各州の都市における投票所を定める必要がある。無論、場所によっては新たに施設を作る必要性が出てくるかもしれない。
こうなってくれば、更に手続きが面倒になる。そして、常に歪虚や亜人といった手合いに悩まされているクリムゾンウェストでは、警備納戸の安全保障面での配慮も不可欠。
まして、ここは軍事国家で鳴らすゾンネンシュトラール帝国であり、その警備態勢が万全でなければならないのは言うまでもない。
以上、政府が主導して動かさなければならない部分だけでも凄まじい量の書類仕事が生まれるのは理解できるだろう。
だが、これで終わりではない。民間の動きとて、政府にとっては無視出来ないのだ。基本的に帝都周辺に人口が集中している帝国では、いざ投票となった時、どうしても辺鄙な場所に住む有権者は最寄りのある程度大きな都市まで出向く必要があるだろう。
当然、今回のコロッセオ・シングスピラでの投票のために、バルトアンデルスには多くの人々が訪れ、宿泊する筈だ。
これは、宿屋やホテルにとっては濡れ手に粟の大儲け――などというレベルではなく、実際宿泊施設を巡っての混乱が起きるのは必定。当然、ある程度は国家が調整を行う必要があるだろう。
加えて、現在急速に人気を伸ばしている第一師団帝国歌舞音曲部隊のアイドルであるグリューエリン・ヴァルファー(kz0050)のライブに代表されるように、意外と現政権は娯楽やイベントに寛容、というかむしろこれを歓迎している節さえある。
その警備を行うのは、勿論帝国の誇る師団、そしてハンターたち。となれば、そこにまた気の遠くなるような、書類がまた延々降って来る訳である。
●
「と、いう訳で、今は帝国政府全体が上へ下への大騒ぎだというのは理解してもらえたか?」
早朝だというのに既に喧騒が辺りに満ちている帝都バルトアンデルス。その一画を歩く第一師団の兵士は、彼の後に続く数名のハンター、つまり貴方たちにそう語りかけた。
「特に、俺たち第一師団は普段から書類仕事も多いからな。もう何と言っていいのか……おかげで今回みたいな事態になっちまった」
第一師団の兵士たちとて当たり前だが人間だ。休みを取らなければミスをしてしまうかもしれない。
「俺たちの任務の一つに、当たり前だが皇子の護衛も含まれている。本来ならこれこそ、幾ら忙しくても絶対に他には回せない任務の筈なのだが――どういう訳かあの御兄弟は妙にお前らに甘いというか、期待しているというか……」
兵士は感情を込めない声で呟くと、歩きつづけ、やがて公官庁の一つらしい大きな建物の前に辿り着くと、また貴方たちの方を振り向いた。
「今日の護衛をお前らに替わってもらうことで、特に激務の続いた隊の連中を何とか休ませてやろうと言う事になった訳だ」
貴方たちが案内されたのは、バルトアンデルス城ではなく、バルトアンデルス市内に存在する官庁の一つであった。
関係する部署との連携の関係から、ここ数日ゾンネンシュトラール帝国皇子にして皇帝代理人、そして今回の選挙では候補の一人として本人の意思とは無関係に他薦されているカッテ・ウランゲル(kz0033)はここを仕事場としているとのことであった。
「お前たちに念を押しておきたいことは二つ。一つは絶対に粗相をするな。どんな小さなかとであってもだ。もう一つは……皇子を見て驚くなよ。いいか、絶対に表情に出すんじゃないぞ」
妙に迫力のある兵士の態度を不審に思いながらも、貴方たちは建物の中を進み、やがて執務室の扉の前に立った
●
「ようこそ、ハンターの皆さん。今日は本当にありがとうございますっ!」
何かがおかしい。そんな感覚が貴方たちの背筋を走っただろうか。
カッテはいつも通り、この地上に天使が舞い降りたかのような笑顔で、貴方たちに微笑みかける。
いや、痛々しい事によくみれば目の下には隈が出来、普段であれば炎が揺らめく様な光沢を放つ髪がやや乱れてしまっている。
しかし、違和感の源泉はそこではないのだ。
「? どうかしましたか?」
カッテに首を傾げられ、ようやくあなた方は違和感の正体に気付く。
「……瓶?」
誰かが呟いた。それは、カッテの執務机に、窓際に、そして本棚に。
それを行った者の性格を反映して、余りにも整然と、まるで元からこの部屋に置かれた装飾品でもあるかのように陳列されていたせいで、誰も最初から気付かなかったのだ。
「ああ、もうこんな時間ですね。皆さん、お茶でも如何ですか?」
いつの間にか部屋の隅にある大きなサモワールの前で、紅茶を注ぐカッテ。ちなみに、サモワールとはリアルブルーでは東欧の方で使われる昔ながらの給湯器の一種で、下部の大きな筒で湯を沸かし、上部の小さなティーポットで紅茶を煮出すものをいう。
リアルブルーにおいては、昔は普通の枯れ木などの燃料、現代では電気で加熱するが、ここにあるものは機導術で加熱を行っているらしい。
と、そんな珍しいものに目が映っていたにもかかわらず、次の瞬間貴方たちは目を見張った。
まず、カッテが上質な陶器のカップに注いだ紅茶だが、異様に黒いのだ。しかし、これは普通であるサモワールで煮出す紅茶は、茶と同時に温めた湯で割って飲むのが普通だからだ。
問題は、カッテがそのドス黒い紅茶に棚から採ったサクランボらしき果物の絵がついたジャムの瓶の中身を丸ごと放り込んだことにある。
そして、呆然とする貴方たちの前でカッテはそれを、普通の紅茶と何ら変わらず音も立てず上品に、飲み干して、また微笑んだ。
「すみません。朝食がまだだったので……」
少し遅れて、貴方たちはその発言の戦慄すべき意味に気付いてしまう。今のが食事だと? では、昼食は? 夕食は? まさか、この整然と並べられた空の瓶は……。
カッテは悠然と、瓶を洗いそれを窓際に置く。よく見れば並べられた瓶には全て色とりどりの果物の絵がかかれていた。
直後、官庁の時計が一斉に鳴り響き、今日の執務が始まったことを知らせると、カッテはマントを翻し、選挙関連の書類が山のように積まれた執務机に戻って行った。
解説
★目的
カッテの警備、あるいは手伝いをする事。
★状況
場所はOPの通りバルトアンデルス城ではなく帝都にある官庁の一つとなっており、関係者が一日中頻繁に出入りします。
基本的には朝から夕方、夜勤の兵士が交代に来るまでカッテの警備をして過ごします。
PCの食事については、希望すれば官舎に設置されている食堂で取る事が出来ます。
★プレイングについて
警備といっても襲撃が発生する訳ではないので、基本的にはこの状況に対する心情を述べるとか、カッテと交流するという形で大丈夫です。
手伝いをする場合ですが、幾つか注意点があります。
まず、PCが書類自体の作成や決裁に関わることは出来ません。わざわざカッテの元に持ち込まれているという事は相応に重要な書類だからです。
ただし、見たら即拘束レベルの機密書類では無いので見ることは自由です。
また、カッテ自身は仕事中も会話には応じてくれますし、PCが話しかけるくらいでは仕事の効率に影響しません。しかし、少し休んだらという提案はどういう形であれやんわりと拒否されます。
また、カッテが自分から寝落ちする事はありません。
なお、食事についてはPCから何もアクションがなければもう二、三日ジャムとお茶だけで過ごすようです。
NPC質疑は可能ですので、どうプレイングを書くのか解らない場合は気軽にご質問ください。
カッテの警備、あるいは手伝いをする事。
★状況
場所はOPの通りバルトアンデルス城ではなく帝都にある官庁の一つとなっており、関係者が一日中頻繁に出入りします。
基本的には朝から夕方、夜勤の兵士が交代に来るまでカッテの警備をして過ごします。
PCの食事については、希望すれば官舎に設置されている食堂で取る事が出来ます。
★プレイングについて
警備といっても襲撃が発生する訳ではないので、基本的にはこの状況に対する心情を述べるとか、カッテと交流するという形で大丈夫です。
手伝いをする場合ですが、幾つか注意点があります。
まず、PCが書類自体の作成や決裁に関わることは出来ません。わざわざカッテの元に持ち込まれているという事は相応に重要な書類だからです。
ただし、見たら即拘束レベルの機密書類では無いので見ることは自由です。
また、カッテ自身は仕事中も会話には応じてくれますし、PCが話しかけるくらいでは仕事の効率に影響しません。しかし、少し休んだらという提案はどういう形であれやんわりと拒否されます。
また、カッテが自分から寝落ちする事はありません。
なお、食事についてはPCから何もアクションがなければもう二、三日ジャムとお茶だけで過ごすようです。
NPC質疑は可能ですので、どうプレイングを書くのか解らない場合は気軽にご質問ください。
マスターより
お世話になっております稲田です。
大きな事をするには相応の準備が必要という訳で帝国の日常編第二話となります。
今度の敵は果てしのない書類の処理。カッテを無事この死闘から生還させられるか否かは皆様の活躍に掛かっております。
それでは、興味を持っていただければ幸いです。
大きな事をするには相応の準備が必要という訳で帝国の日常編第二話となります。
今度の敵は果てしのない書類の処理。カッテを無事この死闘から生還させられるか否かは皆様の活躍に掛かっております。
それでは、興味を持っていただければ幸いです。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/09/25 10:07
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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地獄の執務室(相談卓) アカーシャ・ヘルメース(ka0473) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2014/09/16 18:03:59 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/09/11 23:32:43 |