ゲスト
(ka0000)
【猫譚】街の灯
マスター:京乃ゆらさ

このシナリオは4日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- サポート
- 現在1人 / 0~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 4日
- プレイング締切
- 2016/09/28 22:00
- リプレイ完成予定
- 2016/10/11 22:00
オープニング
●ロドンド、再び立つ
機知に富んだ郷士ロラン・デ・ラ・コスタは五月某日、天に立ち上る光の御柱を見て「遂に自分が立つべき時がきた」と思った。
――この二年ばかり毎日欠かさず鍛錬を続けてきた。鈍っていた身体は今や力が溢れかえるような肉体となった……。
ロランは光柱を見つめながら、胸のうちがひどく昂っている自分に気付いていた。
青の世界の若者たちはこの二年、輝かしいばかりの戦果を残してきた。所縁のなかったはずのこの世界でだ。義侠心なのか他に何かがあるのかは分からない。しかし何があろうと、その行動は騎士たるに相応しいものだ。
であればこそ。故にこそ今、自分もまた彼らに並び立たねばならない。この世界に生きる人間の一人として、立たねばならない。それが、騎士というものではないか。
身分としての騎士などではない。一人の男の生き様としての、騎士だ。
ロランは騎士道というものについて考えながら、倉庫へ急ぐ。
倉庫には剣と鎧一式が眠っている。随分前に買った物だが、この二年で一から手入れし直したため充分に使えるだろう。
そうして逸る気持ちを抑えきれず倉庫の扉に手をかけ――そこで、声をかけられた。
「おおい、モロさんよ! 実はうちの鍬が……」
隣に住む中年だった。巨体を揺らして走ってきている。
「モロではない。私はロラン・デ・ラ・コスタだ」
「ろら? いやあんたはモロさんだろう……って毎日繰り返して楽しいのかい、こいつは」
「私をモロなどと呼ぶからだ。それで、鍬がなんだ。私はもうじき村を出る故、何もできんぞ」
「ええ? どこかに行っちまうのかい、モロさんよ」
「うむ。青き世界の者たちと共に戦いに行くのだ。故に私はこれより戦準備をせねばならぬ。ではな」
うちからにじみ出る凄みを笑みに乗せ、中年に言う。
「ええ!? やめときなさいよ、モロさん! あんたみたいなひょろっちい身体じゃ足手まといだよ!」
「なんだと! このロラン・デ・ラ・コスタ、若者に負けるような男ではない!」
機知に富んだ郷士ロラン・デ・ラ・コスタ。
またの名をロドンド・モロ、御年63歳。老いてなお盛んであった。
宣言通り村を出たロドンド――いやロランは、ロバを引き連れてまずは近場の大きな街へ向かおうと考えた。ちなみに剣と鎧一式はロバに積んである。
ガンナ・エントラータ。それがその街の名であった。
道中で弁当、いや糧食を巡る大いなる冒険を通じて一匹のユグディラと意気投合したという出来事があったが、それ以外は概ね順調な旅路だった。
ロバ一頭と猫一匹。それがロランの供である。
これでは低く見られかねないが、仕方があるまい。自らの実力でもって認めさせていけばいいだけの話だ。
ロランは無事にガンナ・エントラータに入り、何はともあれまずはハンターズソサエティ支部に向かった。ハンター登録するためだ。自由なる騎士として活動してもよいが、むやみに場を混乱させるのは望むところではない。ハンターとしての身分があれば話が早いと思ったのだ。
しかし、
「えーっと……あなたが、でしょうか? 本当に? いえ、もちろん覚醒者ではないハンターも確かにおります。ですが……」
などとその受付は渋ってきた。
激昂しかけたが、ロランは激情をぐっと飲み込んだ。受付の彼が悪いのではない。手柄の一つも持たずに訪った自分が悪いのだ。拳を握りしめて支部を後にする。
――雑魔を討伐してくるか……いやだが雑魔は死体を残さぬ故、証拠にならん……。
ううむ、と考えながら街を歩いていると、いつの間にか大通りに立っていた。遠く広場の一角に何やら人だかりができている。
――何かやっているのだろうか。まあ、私には関係ない。それより戦果だ。
ロランが足早に去ろうとした――その時。
どこかから猫のような声が響き、同時に人だかりが大きく蠢いた。
「何だ? どうし……ッ!?」
にゃあぁ~。
供にして友のユグディラが、鳴いた気がした。
●かくしてユグディラ騒動へ
ロランは気付けば巨人に囲まれていた。
「……なん、だ……!?」
青空。街並み。人だかり。何も変わらない。変わらないはずだ。
にもかかわらず、何故か突然巨人が自分たちを見下ろしている。
「ぬうッ……守らねば!」
ロランの反応は早かった。剣も鎧も置いて近くの人間に避難を呼びかける。巨人。一人でならば戦ってもよかったが、ここは場所が悪すぎる。まずは人命優先だ。
「そこな娘! 早く逃げよ!」
「えっ」
「私が時を稼ぐ! その隙にお前たちは人を集め逃げ出すのだ!!」
「「んん!?」」
「生きていたらまた会おう。さらば!」
「「「さらば!?」」」
ロランはロバのもとに戻って剣だけを取って巨人に突撃する。
剣。鞘。抜けない。必死に抜こうとするのに抜けない。ロランが焦る。ええいままよ!
巨人の足に飛び掛かるや、ロランは鞘に入ったままの剣を足の甲に突き刺した。がつん、と石でも叩いたかのような感触。硬い。強すぎる。だが退くわけにはいかぬ。少しでも巨人の気を引かねば。
ロランは裂帛の気合と共に剣を振り下ろし、気勢を上げた。
「このロラン・デ・ラ・コスタの騎士道を見よ!!」
◆◆
何やら騒がしい街の一角を眺めながら、仕事を離れてゆっくりと休んでいた人々はこれから何をしようかと考えた。
街で遊んでみるのもいいし、騒ぎの一角に首を突っ込んでみるのもいい。何故か近くにやたらとユグディラを見かけるため、彼らと戯れてみるのもいいかもしれない。今なら思う存分もふもふできるだろう。
どんな休日になるのか。人々はこれから起こるだろう出来事に思いを馳せた。
機知に富んだ郷士ロラン・デ・ラ・コスタは五月某日、天に立ち上る光の御柱を見て「遂に自分が立つべき時がきた」と思った。
――この二年ばかり毎日欠かさず鍛錬を続けてきた。鈍っていた身体は今や力が溢れかえるような肉体となった……。
ロランは光柱を見つめながら、胸のうちがひどく昂っている自分に気付いていた。
青の世界の若者たちはこの二年、輝かしいばかりの戦果を残してきた。所縁のなかったはずのこの世界でだ。義侠心なのか他に何かがあるのかは分からない。しかし何があろうと、その行動は騎士たるに相応しいものだ。
であればこそ。故にこそ今、自分もまた彼らに並び立たねばならない。この世界に生きる人間の一人として、立たねばならない。それが、騎士というものではないか。
身分としての騎士などではない。一人の男の生き様としての、騎士だ。
ロランは騎士道というものについて考えながら、倉庫へ急ぐ。
倉庫には剣と鎧一式が眠っている。随分前に買った物だが、この二年で一から手入れし直したため充分に使えるだろう。
そうして逸る気持ちを抑えきれず倉庫の扉に手をかけ――そこで、声をかけられた。
「おおい、モロさんよ! 実はうちの鍬が……」
隣に住む中年だった。巨体を揺らして走ってきている。
「モロではない。私はロラン・デ・ラ・コスタだ」
「ろら? いやあんたはモロさんだろう……って毎日繰り返して楽しいのかい、こいつは」
「私をモロなどと呼ぶからだ。それで、鍬がなんだ。私はもうじき村を出る故、何もできんぞ」
「ええ? どこかに行っちまうのかい、モロさんよ」
「うむ。青き世界の者たちと共に戦いに行くのだ。故に私はこれより戦準備をせねばならぬ。ではな」
うちからにじみ出る凄みを笑みに乗せ、中年に言う。
「ええ!? やめときなさいよ、モロさん! あんたみたいなひょろっちい身体じゃ足手まといだよ!」
「なんだと! このロラン・デ・ラ・コスタ、若者に負けるような男ではない!」
機知に富んだ郷士ロラン・デ・ラ・コスタ。
またの名をロドンド・モロ、御年63歳。老いてなお盛んであった。
宣言通り村を出たロドンド――いやロランは、ロバを引き連れてまずは近場の大きな街へ向かおうと考えた。ちなみに剣と鎧一式はロバに積んである。
ガンナ・エントラータ。それがその街の名であった。
道中で弁当、いや糧食を巡る大いなる冒険を通じて一匹のユグディラと意気投合したという出来事があったが、それ以外は概ね順調な旅路だった。
ロバ一頭と猫一匹。それがロランの供である。
これでは低く見られかねないが、仕方があるまい。自らの実力でもって認めさせていけばいいだけの話だ。
ロランは無事にガンナ・エントラータに入り、何はともあれまずはハンターズソサエティ支部に向かった。ハンター登録するためだ。自由なる騎士として活動してもよいが、むやみに場を混乱させるのは望むところではない。ハンターとしての身分があれば話が早いと思ったのだ。
しかし、
「えーっと……あなたが、でしょうか? 本当に? いえ、もちろん覚醒者ではないハンターも確かにおります。ですが……」
などとその受付は渋ってきた。
激昂しかけたが、ロランは激情をぐっと飲み込んだ。受付の彼が悪いのではない。手柄の一つも持たずに訪った自分が悪いのだ。拳を握りしめて支部を後にする。
――雑魔を討伐してくるか……いやだが雑魔は死体を残さぬ故、証拠にならん……。
ううむ、と考えながら街を歩いていると、いつの間にか大通りに立っていた。遠く広場の一角に何やら人だかりができている。
――何かやっているのだろうか。まあ、私には関係ない。それより戦果だ。
ロランが足早に去ろうとした――その時。
どこかから猫のような声が響き、同時に人だかりが大きく蠢いた。
「何だ? どうし……ッ!?」
にゃあぁ~。
供にして友のユグディラが、鳴いた気がした。
●かくしてユグディラ騒動へ
ロランは気付けば巨人に囲まれていた。
「……なん、だ……!?」
青空。街並み。人だかり。何も変わらない。変わらないはずだ。
にもかかわらず、何故か突然巨人が自分たちを見下ろしている。
「ぬうッ……守らねば!」
ロランの反応は早かった。剣も鎧も置いて近くの人間に避難を呼びかける。巨人。一人でならば戦ってもよかったが、ここは場所が悪すぎる。まずは人命優先だ。
「そこな娘! 早く逃げよ!」
「えっ」
「私が時を稼ぐ! その隙にお前たちは人を集め逃げ出すのだ!!」
「「んん!?」」
「生きていたらまた会おう。さらば!」
「「「さらば!?」」」
ロランはロバのもとに戻って剣だけを取って巨人に突撃する。
剣。鞘。抜けない。必死に抜こうとするのに抜けない。ロランが焦る。ええいままよ!
巨人の足に飛び掛かるや、ロランは鞘に入ったままの剣を足の甲に突き刺した。がつん、と石でも叩いたかのような感触。硬い。強すぎる。だが退くわけにはいかぬ。少しでも巨人の気を引かねば。
ロランは裂帛の気合と共に剣を振り下ろし、気勢を上げた。
「このロラン・デ・ラ・コスタの騎士道を見よ!!」
◆◆
何やら騒がしい街の一角を眺めながら、仕事を離れてゆっくりと休んでいた人々はこれから何をしようかと考えた。
街で遊んでみるのもいいし、騒ぎの一角に首を突っ込んでみるのもいい。何故か近くにやたらとユグディラを見かけるため、彼らと戯れてみるのもいいかもしれない。今なら思う存分もふもふできるだろう。
どんな休日になるのか。人々はこれから起こるだろう出来事に思いを馳せた。
解説
▼目的
ガンナ・エントラータでの休日を楽しむ。
▼状況
現在は昼過ぎ。天気は晴れ。
街の一角で何やら騒ぎが起きているようだが、騒ぎの中心に行くことはできない(謎の危険を感じ、身体が突入を拒否する……的なあれ←)。
ロランもといロドンドの騒動には介入できる。
ちなみに、もちろん巨人はいない。
活動可能時間は現在~深夜前後まで。
プレイングはある程度、行動を絞った方が濃密な描写になる……かもしれない。
▼ガンナ・エントラータ主要スポット
各種店舗
飲食店、雑貨店、服飾店、酒場、宿など適当に揃っている。
第六商会本店
オーナーのへクス某はいないが、店自体には行ける。
魔導製のちょっとした生活雑貨などを置いている。よく分からない謎の道具とかもあるかも。
屋台
大通りなどに適度にある。飲食やフリマっぽい店など。
ハンターズソサエティ支部
そこそこ大きめだが取り立てて言うほどのものはない、ごく普通の支部。
港湾部
商船がひっきりなしに出入りしている。夜はそこそこ自分たちの世界を作れるかも。
船を借りたりすることはできない。
軍港が隣接してあるが、軍船はほとんどない。
▼ロドンド・モロ(ロラン・デ・ラ・コスタ)
63歳男性。非覚醒者。
とある村の郷士だが、若い頃もほとんど戦働きはしたことがない。
騎士道物語が大好きなお爺さん。
拙作「【王国始動】ロドンド、立つ」に登場して二年、鍛錬を重ねていたようだ(ただし成果のほどは……)。
ロバ(ロシナンテ)とユグディラ(サンチョ・パンサ)がお供。
現在、幻術で何か変なことになっているが、別に解決しなくてもいい。
▼補足情報
休日を楽しむことが重要かと思われる。
ロドンドに絡んでもいいし、ユグディラと遊んでもいいし、知り合い同士でしっとり何やかんやしてもいい。
ガンナ・エントラータでの休日を楽しむ。
▼状況
現在は昼過ぎ。天気は晴れ。
街の一角で何やら騒ぎが起きているようだが、騒ぎの中心に行くことはできない(謎の危険を感じ、身体が突入を拒否する……的なあれ←)。
ロランもといロドンドの騒動には介入できる。
ちなみに、もちろん巨人はいない。
活動可能時間は現在~深夜前後まで。
プレイングはある程度、行動を絞った方が濃密な描写になる……かもしれない。
▼ガンナ・エントラータ主要スポット
各種店舗
飲食店、雑貨店、服飾店、酒場、宿など適当に揃っている。
第六商会本店
オーナーのへクス某はいないが、店自体には行ける。
魔導製のちょっとした生活雑貨などを置いている。よく分からない謎の道具とかもあるかも。
屋台
大通りなどに適度にある。飲食やフリマっぽい店など。
ハンターズソサエティ支部
そこそこ大きめだが取り立てて言うほどのものはない、ごく普通の支部。
港湾部
商船がひっきりなしに出入りしている。夜はそこそこ自分たちの世界を作れるかも。
船を借りたりすることはできない。
軍港が隣接してあるが、軍船はほとんどない。
▼ロドンド・モロ(ロラン・デ・ラ・コスタ)
63歳男性。非覚醒者。
とある村の郷士だが、若い頃もほとんど戦働きはしたことがない。
騎士道物語が大好きなお爺さん。
拙作「【王国始動】ロドンド、立つ」に登場して二年、鍛錬を重ねていたようだ(ただし成果のほどは……)。
ロバ(ロシナンテ)とユグディラ(サンチョ・パンサ)がお供。
現在、幻術で何か変なことになっているが、別に解決しなくてもいい。
▼補足情報
休日を楽しむことが重要かと思われる。
ロドンドに絡んでもいいし、ユグディラと遊んでもいいし、知り合い同士でしっとり何やかんやしてもいい。
マスターより
どうもです。京乃です。
簡単に言うと、街で休日を楽しむ依頼です。
ユグディラとゆっくりイチャイチャできる依頼を待ち望んでいた方(そんな方がいるのか……!?)、ぜひおいでませです。
ロドンドまさかの再登場ですが、プレによってはリプレイに全く登場しない可能性があります。
登場しなくてもこの依頼は愛すべきドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ氏に捧げます(
【猫譚】、戦闘だけでなく文化的な面を全力でアピールしていきますので、そういった点も楽しみにしていただければ幸いです!
せっかくの猫ですからね! 楽しくいきたいですね!(ベリアルを書きながら)
簡単に言うと、街で休日を楽しむ依頼です。
ユグディラとゆっくりイチャイチャできる依頼を待ち望んでいた方(そんな方がいるのか……!?)、ぜひおいでませです。
ロドンドまさかの再登場ですが、プレによってはリプレイに全く登場しない可能性があります。
登場しなくてもこの依頼は愛すべきドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ氏に捧げます(
【猫譚】、戦闘だけでなく文化的な面を全力でアピールしていきますので、そういった点も楽しみにしていただければ幸いです!
せっかくの猫ですからね! 楽しくいきたいですね!(ベリアルを書きながら)
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/10/09 22:09
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- ウォルター・ヨー(ka2967)