ゲスト
(ka0000)
【神森】つながる道、生きる道
マスター:DoLLer

- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
APV- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- サポート
- 現在6人 / 0~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/11/17 07:30
- リプレイ完成予定
- 2016/11/26 07:30
オープニング
●
今より数百年前。王国北部辺境領であった大地をゾンネンシュトラール帝国として新たに立国したのが、祖王ナイトハルトの孫にあたる建国帝ビスマルクだ。
領土内の各亜人地域や諸民族を併合して出来上がった当時の帝国は破竹の勢いで領土を拡大した。ビスマルクの快進撃は毎年その図版を更新し、当初の土地から1000km離れた場所まで支配下においたという。
そんな帝国の開拓史に歯止めをかけたのが、亜人の中でも最大勢力を誇り今も帝国南部の3州にまたがる地域において自治を誇るエルフハイムであった。
建国帝ビスマルクはエルフハイムと緊張の高まる中で老衰で没し、次代皇帝が遺志を継いでエルフハイムと開戦した。
建国帝が没したとは言え、勢いに乗っていた帝国軍が圧倒的に有利だとされる中、エルフハイムは徹底抗戦した。元々森という特異な地形において帝国軍は苦戦したのもあるが、それよりも帝国軍を恐怖のどん底に落としたものがある。
浄化の器を母体とする高マテリアルによる『浄化法』であった。
その一撃は数百キロ離れた帝城まで届き、兵の1/3を失うほどだったと言われる。当時の皇帝もこの一撃を遠因に帰らぬ人となったことから、全ての亜人地域を支配下におかんとする帝国の姿勢は変更せざるを得なくなったという。
●
「めんどくさいからエルフハイム砲って呼んでるけどね。5代皇帝はそれで融和政策に走ったけれど、それは領土拡大による景気を下支えしていた帝国経済を失速させ、8代皇帝オードルフが錬金術を国策として推進するまでの100年近くは帝国の冬とも呼ばれた。エルフハイムに手を出したばっかりに、ね。だからエルフハイムは帝国内で唯一の自治を守っている地域であり……簡単に言えば、腫れ物だったわけだ。
かと言ってそれがエルフハイムにとっても代償はあってね。最初の器であったオルクス=エルフハイムはそれを契機に歪虚化。こちらの祖先であるナイトハルトと並んで四霊剣の一角を生み出すことになり……まあ今のゆるやかな衰退にいたるわけだ」
ミーファに向かって襲い掛かってきたエルフの刺客、そして人間の刺客を死体に変えて踏みつけた男はそう説明した。
「知ってる。そして、今エルフハイムはその衰退の中で、森を開く維新派、森と運命を共にする恭順派に分かれているの。恭順派はずっと帝国が邪魔だった。飼い殺しにしようとしている帝国が邪魔だった。特に錬金術を導入してからの隆盛、それにおける大地の公害はエルフハイムの森をやせ細らせるとまでいっていたわ」
胸を抑えたミーファは小さく呟いた。
「ひどい誤解だなぁ」
「そう、ひどい誤解よ。だから維新派が徐々に力を持ったの……恭順派はもうその時から、少しずつ今日にいたる計画を紡ぎ始めたんだわ」
「錬金術の公害問題が著名になってから? 気の長い話だ、何十年も前の話だよ」
男は呆れたように言ったが、ミーファは気にせず言葉を続けた。いや、正確には聞いている余裕がない。
胸が焼けるように痛いのだ。縛りつけられるように。
「エルフハイム内で孤児を積極的に引き取り始めたわ……そして浄化の巫女の増員にも随分と熱心だった。聞いたことあるでしょ。歪虚の穢れも浄化する浄化術。あたしの姉、サイアも……浄化の巫女になったわ。そして、最近の事件が起こるようになってから音沙汰がなくなった」
「ああ、浄化の巫女の増員。カミラから聞いてる……維新派も熱心だったというが。そういや、ここ最近、とんと見ないね。『準備』かい?」
「だと思うわ。だから人間の子供でも攫おうとするし、あたしみたいなエルフハイムが嫌で逃げた人間でも無理やり連れ戻そうとするのよ……」
喋りながら、だんだん胸が悪くなってきた。
そうだ、この気持ち悪さは……マテリアル焼けだ。多量のマテリアルを浴びた時におきる身体の酩酊に近い。
今日の胸の悪さも、エルフや人間に襲われる理由もさっぱりわからなかったミーファだが、今はもうしっかり理解していた。
サイアだ。
サイアが苦しんでいる。
命を二つに分けた姉が……顔も、声も、言葉も、想いも同じ。
つながった命が悲鳴をあげている。
「あたし、行かなきゃ……!!」
「そりゃあいい。じゃあほんの少しばかりお手伝いと行こうか」
●
「サイアぁぁぁぁぁぁ!」
森の枝に飛び乗り、しなりを利用して次の枝に飛び移る。
「ミーファか! 下がれ!」
「うっさい!」
道を阻む同族に、ミーファは距離を取って構える。
「サイアに何をした……! 返せ!!」
その言葉に、門衛はさすがに顔色を変えた。
「惜しい人材だよ。サイアと揃えばもっと大きな力を展開で来ただろうに……まあいい、人間に尻尾を振るような出来損ないでは結果はみえている」
「なんだって?」
「お前もサイアも、今日いう日の為に育てたんだ。引き取り手もない二人を。サイアはその恩義に応えたというのに。お前は何もわかっていない。エルフの血も、このエルフハイムが持つ役目も、自分の出生も、生きる道も」
そこまで言って同族は吹き飛んだ。
ミーファはその顔に自らの頭を叩きつけたのだ。
「生きる道ってのは生きるためにあるんだ。誰かの犠牲になって死ぬための道じゃない!!!」
「恩知らずが……」
枝から落ちる男から笛の音が響く。
警笛だ。ミーファをそしてそれに連なる侵入者を排除せよとの。
そんな音にも耳を貸さず、ミーファは振り返り仲間に道を指し示す。
「サイアの、それから多分捕まっているだろう子供たちのいるところまで案内する。だけど、絶対あいつらが殺しにかかってくるから……注意してね」
ミーファはそれだけ言うと、長い髪を束ね上げ、スズランの髪飾りで止めるとまっすぐ前を見た。
「助けに行くからね……サイア!!」
広がるばかりの森。人にはどうなっているのか想像もつかないだろうが、ミーファにとっては庭のようなものだ。
緑で彩られた道をミーファは風を切って進み始めた。
今より数百年前。王国北部辺境領であった大地をゾンネンシュトラール帝国として新たに立国したのが、祖王ナイトハルトの孫にあたる建国帝ビスマルクだ。
領土内の各亜人地域や諸民族を併合して出来上がった当時の帝国は破竹の勢いで領土を拡大した。ビスマルクの快進撃は毎年その図版を更新し、当初の土地から1000km離れた場所まで支配下においたという。
そんな帝国の開拓史に歯止めをかけたのが、亜人の中でも最大勢力を誇り今も帝国南部の3州にまたがる地域において自治を誇るエルフハイムであった。
建国帝ビスマルクはエルフハイムと緊張の高まる中で老衰で没し、次代皇帝が遺志を継いでエルフハイムと開戦した。
建国帝が没したとは言え、勢いに乗っていた帝国軍が圧倒的に有利だとされる中、エルフハイムは徹底抗戦した。元々森という特異な地形において帝国軍は苦戦したのもあるが、それよりも帝国軍を恐怖のどん底に落としたものがある。
浄化の器を母体とする高マテリアルによる『浄化法』であった。
その一撃は数百キロ離れた帝城まで届き、兵の1/3を失うほどだったと言われる。当時の皇帝もこの一撃を遠因に帰らぬ人となったことから、全ての亜人地域を支配下におかんとする帝国の姿勢は変更せざるを得なくなったという。
●
「めんどくさいからエルフハイム砲って呼んでるけどね。5代皇帝はそれで融和政策に走ったけれど、それは領土拡大による景気を下支えしていた帝国経済を失速させ、8代皇帝オードルフが錬金術を国策として推進するまでの100年近くは帝国の冬とも呼ばれた。エルフハイムに手を出したばっかりに、ね。だからエルフハイムは帝国内で唯一の自治を守っている地域であり……簡単に言えば、腫れ物だったわけだ。
かと言ってそれがエルフハイムにとっても代償はあってね。最初の器であったオルクス=エルフハイムはそれを契機に歪虚化。こちらの祖先であるナイトハルトと並んで四霊剣の一角を生み出すことになり……まあ今のゆるやかな衰退にいたるわけだ」
ミーファに向かって襲い掛かってきたエルフの刺客、そして人間の刺客を死体に変えて踏みつけた男はそう説明した。
「知ってる。そして、今エルフハイムはその衰退の中で、森を開く維新派、森と運命を共にする恭順派に分かれているの。恭順派はずっと帝国が邪魔だった。飼い殺しにしようとしている帝国が邪魔だった。特に錬金術を導入してからの隆盛、それにおける大地の公害はエルフハイムの森をやせ細らせるとまでいっていたわ」
胸を抑えたミーファは小さく呟いた。
「ひどい誤解だなぁ」
「そう、ひどい誤解よ。だから維新派が徐々に力を持ったの……恭順派はもうその時から、少しずつ今日にいたる計画を紡ぎ始めたんだわ」
「錬金術の公害問題が著名になってから? 気の長い話だ、何十年も前の話だよ」
男は呆れたように言ったが、ミーファは気にせず言葉を続けた。いや、正確には聞いている余裕がない。
胸が焼けるように痛いのだ。縛りつけられるように。
「エルフハイム内で孤児を積極的に引き取り始めたわ……そして浄化の巫女の増員にも随分と熱心だった。聞いたことあるでしょ。歪虚の穢れも浄化する浄化術。あたしの姉、サイアも……浄化の巫女になったわ。そして、最近の事件が起こるようになってから音沙汰がなくなった」
「ああ、浄化の巫女の増員。カミラから聞いてる……維新派も熱心だったというが。そういや、ここ最近、とんと見ないね。『準備』かい?」
「だと思うわ。だから人間の子供でも攫おうとするし、あたしみたいなエルフハイムが嫌で逃げた人間でも無理やり連れ戻そうとするのよ……」
喋りながら、だんだん胸が悪くなってきた。
そうだ、この気持ち悪さは……マテリアル焼けだ。多量のマテリアルを浴びた時におきる身体の酩酊に近い。
今日の胸の悪さも、エルフや人間に襲われる理由もさっぱりわからなかったミーファだが、今はもうしっかり理解していた。
サイアだ。
サイアが苦しんでいる。
命を二つに分けた姉が……顔も、声も、言葉も、想いも同じ。
つながった命が悲鳴をあげている。
「あたし、行かなきゃ……!!」
「そりゃあいい。じゃあほんの少しばかりお手伝いと行こうか」
●
「サイアぁぁぁぁぁぁ!」
森の枝に飛び乗り、しなりを利用して次の枝に飛び移る。
「ミーファか! 下がれ!」
「うっさい!」
道を阻む同族に、ミーファは距離を取って構える。
「サイアに何をした……! 返せ!!」
その言葉に、門衛はさすがに顔色を変えた。
「惜しい人材だよ。サイアと揃えばもっと大きな力を展開で来ただろうに……まあいい、人間に尻尾を振るような出来損ないでは結果はみえている」
「なんだって?」
「お前もサイアも、今日いう日の為に育てたんだ。引き取り手もない二人を。サイアはその恩義に応えたというのに。お前は何もわかっていない。エルフの血も、このエルフハイムが持つ役目も、自分の出生も、生きる道も」
そこまで言って同族は吹き飛んだ。
ミーファはその顔に自らの頭を叩きつけたのだ。
「生きる道ってのは生きるためにあるんだ。誰かの犠牲になって死ぬための道じゃない!!!」
「恩知らずが……」
枝から落ちる男から笛の音が響く。
警笛だ。ミーファをそしてそれに連なる侵入者を排除せよとの。
そんな音にも耳を貸さず、ミーファは振り返り仲間に道を指し示す。
「サイアの、それから多分捕まっているだろう子供たちのいるところまで案内する。だけど、絶対あいつらが殺しにかかってくるから……注意してね」
ミーファはそれだけ言うと、長い髪を束ね上げ、スズランの髪飾りで止めるとまっすぐ前を見た。
「助けに行くからね……サイア!!」
広がるばかりの森。人にはどうなっているのか想像もつかないだろうが、ミーファにとっては庭のようなものだ。
緑で彩られた道をミーファは風を切って進み始めた。
解説
ミーファ、シグルドと共にエルフハイムの奥にいるエルフの少女サイア、及びエルフによって誘拐されたと思われる人間子供を救助します。
突貫ですので行って帰ってくるまでが依頼になります。
●場所データ
エルフハイム内の森
ミーファにしか理解できない道を通行中。目的地までおおよそ60km(森が続きます)。往復で120km。
枝の上、繁みなど道なき道を進みます。
●敵データ
エルフ(数:無尽蔵)
覚醒者 レベル、クラスは様々。だいたい良からぬ計画に加担している側。
皆様の攻撃ならそんなに困らず撃破できる程度。
だいたい1km進むごとに1体の割合で、まとめて登場します。また増援を呼びます。
彼らの包囲されてしまい、脱出できなくなった時点で失敗です。
●味方データ
ミーファ
疾影士
元エルフハイムで暮らしていた女の子。道を知っているのはサイアのいる方向が直感で分かる為。
彼女とてエルフハイムの全域を把握している訳ではないので、下手な道にそれると迷ってしまいます。
またサイアが受けている影響にリンクしており、体調はあまりよくありません。
●救助対象
30人前後の子供+サイア。
よほど良い案がなければ全員は救えませんので取捨選択が必要になります。
成功条件はここで何人救えるかによります。
●制限
基本は隠密です。
車両などの乗り入れは不可。
重装備も推奨しません。
サポートも同行はできますが、シナリオに関する関与は少な目であるとして扱います。
●質疑応答
シグルドが行います。ミーファに関するものも彼が中継して行います。
突貫ですので行って帰ってくるまでが依頼になります。
●場所データ
エルフハイム内の森
ミーファにしか理解できない道を通行中。目的地までおおよそ60km(森が続きます)。往復で120km。
枝の上、繁みなど道なき道を進みます。
●敵データ
エルフ(数:無尽蔵)
覚醒者 レベル、クラスは様々。だいたい良からぬ計画に加担している側。
皆様の攻撃ならそんなに困らず撃破できる程度。
だいたい1km進むごとに1体の割合で、まとめて登場します。また増援を呼びます。
彼らの包囲されてしまい、脱出できなくなった時点で失敗です。
●味方データ
ミーファ
疾影士
元エルフハイムで暮らしていた女の子。道を知っているのはサイアのいる方向が直感で分かる為。
彼女とてエルフハイムの全域を把握している訳ではないので、下手な道にそれると迷ってしまいます。
またサイアが受けている影響にリンクしており、体調はあまりよくありません。
●救助対象
30人前後の子供+サイア。
よほど良い案がなければ全員は救えませんので取捨選択が必要になります。
成功条件はここで何人救えるかによります。
●制限
基本は隠密です。
車両などの乗り入れは不可。
重装備も推奨しません。
サポートも同行はできますが、シナリオに関する関与は少な目であるとして扱います。
●質疑応答
シグルドが行います。ミーファに関するものも彼が中継して行います。
マスターより
エルフハイムの山場であり、そしてサイアとミーファの物語の締めくくりでもあります。
一度は別れた二人でも、本当は深いところでつながっている。その絆が本物であることを示す為にお手伝いください。
ちなみに江戸時代の飛脚は一日平均50kmを走ったそうです。要するにプロの足で全力だして丸一日が60kmです。
長い長い道のり。でもそれがミーファの生きる道。
もっとも大切な人は、すぐそばにいるんだということを気づいた彼女が歩む道。
一度は別れた二人でも、本当は深いところでつながっている。その絆が本物であることを示す為にお手伝いください。
ちなみに江戸時代の飛脚は一日平均50kmを走ったそうです。要するにプロの足で全力だして丸一日が60kmです。
長い長い道のり。でもそれがミーファの生きる道。
もっとも大切な人は、すぐそばにいるんだということを気づいた彼女が歩む道。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/11/23 14:59
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/11/16 20:19:19 |
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質問卓 エリオ・アスコリ(ka5928) 人間(クリムゾンウェスト)|17才|男性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2016/11/16 22:57:40 |
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相談卓 エリオ・アスコリ(ka5928) 人間(クリムゾンウェスト)|17才|男性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2016/11/17 06:52:03 |