ゲスト
(ka0000)
【剣機】蹂躙する巨人
マスター:DoLLer

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在10人 / 4~10人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/10/05 09:00
- リプレイ完成予定
- 2014/10/14 09:00
オープニング
「あれがリンドヴルムか……思ってたのと少し違うな」
物見台の上に立っていた帝国第一師団副師団長のシグルドは望遠鏡を下ろして独り言ちた。
「シグルド様、攻撃しましょう。今こそ我らの力を見せるとき」
櫓の梯子近くで待機していた副長が意気も盛んにシグルドに進言してくる。兵長の一挙一動に緊張と勲功を挙げてやらんとする勢いの強さを感じることができるが、シグルドは彼ににこやかに笑んだ後、やらないよ。と答えた。
「なっ!? 剣機ですよ、剣機! 暴食の眷属の中でも四霊剣に数えられる強敵ですよ! これを倒せば歪虚の軍勢の力をそぎ落とせます。総力を挙げて戦うべきです」
それでも食い下がる兵長にシグルドは苦笑した。
「ゼナイドの第十師団マスケンヴァルがいるだろう? 彼女との共同作戦じゃなければ出番があったかもしれないけれど。下手に手を出したら彼女に殺されるよ」
シグルドの言葉に兵長は、う、と言葉を詰まらせるしかなかった。
ゼナイド率いる第十師団はマスケンヴァルと呼称される。その部隊員のほとんどが囚人、亜人などで構成されており、どんな汚れの仕事でもこなすというのは兵士だけでなく、帝国の一般市民ですら誰もが知っている話だ。そして彼らの首輪には暴走や脱走を防ぐための装置がつけられているということも。周囲にまで被害が及ぶわけではないが、そもそも轡を並べること自体が難しい部隊だ。その性質もその性格も。
「しかし、それでは我々は何のための訓練しているのかわかりません。歪虚と戦い、この国を民を守るためにやってきたのです。それなのにバックアップなどとは……」
「ははは、君は勇ましいなぁ。だが、バックアップも重要だよ。僕がリンドヴルムかそれを操作する者なら、注意を引きつけている間に他を攻撃する算段を立てるね。もしくは挟み撃ちにして部隊を散々に叩くとか、ね」
不意に轟音が空気を響かせた。かなり遠くだ。
兵長は慌てて音のした方を見やると、草原に火炎の柱が立ち上っていた。遠目でも確認できるぐらいなのだから、目の前にしたら恐らく身を包むような大火に違いない。
「な、なんだあれは……」
蜘蛛の子を散らすように逃げていくのは兵士達だろうか。だが、その姿が黒点ぐらいでしか確認できないのに、大火の原因を作ったであろう敵はしっかりと目で確認することができる大きさだった。
「歪虚です! かなり大きいっ……マスケンヴァルの布陣に向かって東方面より進軍! このままだとマスケンヴァルが挟撃されますよ!!」
「向かう先がエイゼンシュタインのところなら高みの見物でもしようかとも思っていたが、ゼナイドやグリューエリンを怪我させるわけにはいかないな。仕方ない。全隊、攻勢準備だ。目標は東方面より出現した改造ゾンビ。兵長、ハンターにも準備させてくれ」
しれっと同じ第一師団の同僚を見殺しにする発言を呟きながら、シグルドは次々と指示を飛ばしていった。
●
兵士達は立ちすくんでいた。暴食の眷属とはそれなりに戦っているものの、目の前のそれはあまりにいびつで、醜悪だった。
「な、なんだこいつは……」
一見すると、巨人か何かの様だった。数メートルはある体長。肌は削げていて腐った筋肉だけの肢体が四つん這いになって、こちらを覗いていた。しかし、よくよく見れば、その腕も足も、兵士と変わらないサイズの人肉がいくつもねじ込まれて成り立っている。何十という死体をより合わさってこの巨人は構成されているのだ。ところどころ接合がおかしいようで体のあちこちから骨のようなものが無数に突き出ていたり、間接がいくつもあったりと、有りえない姿に生理的な嫌悪感を呼び起こされる。
巨人が動いた。
兵士たちは盾を構えて防御態勢を取り、数人がかりでその攻撃を正面から受け止めた。
重い一撃だったが、確かに受け止めた。
「な、な……!」
が、その鋼鉄の盾に巨人の爪が食い込み、まるで果実に刃を押し込むように引き裂かれていく。どんどん巨人の爪がゆっくり、ゆっくりと兵士の前に近づいていく。
これはダメだ。逃げないと。
盾を離して逃げたかった。だが、盾を引き裂いた爪が引っかかり、引き下がろうともさがれず。爪がゆっくりと兵士の腕に食い込んでいく。
「離せ、このバケモノがぁっ!」
たまらずもう一人の兵士が槍を振り上げて、巨人に襲い掛かった。巨人は盾を突き出した男を引き裂くのに夢中になっている。不意を十分打てるはず、だった。
が、首が異様な角度で曲がり、こちらを向いた。目蓋のない眼球に兵士の姿はしっかりと捉えられていた。
そして、がくん、と開く顎。その血と腐汁に満ちた口腔内からチラチラとした明かりが光る。
一瞬の閃光の後、兵士は火だるまになり、地面に崩れ落ちた。
「ブレス!?」
「あの爪、人間のものじゃない……鋼鉄ですら切り裂くぞ!?」
そこで兵士はこの巨人の一部が人間外の物、魔獣などのそれを使われていることに気付いた。接合がおかしいのではない。魔獣らしい部分が肉体に収まりきっていないだけだ。
「ありったけの弾であいつを止めろぉぉぉぉ!!!」
矢でも弾丸でもとにかく近場にいた兵士達が巨人に向かって乱射される。が、巨人は地にひれ伏したかと思うと一気に飛び上がった。そしてその巨体で数人をまとめて押しつぶした。その姿はバッタの様で、見かけ以上の動きをしてみせてくる。後は単なる虐殺だった。反撃もままならぬ兵士を次々と引き潰していく。
もう一度、巨人の大顎が開いた。狙うのは固まって逃げようとする兵士達だ。
が、その顎はブレスを吐く前に強制的に閉じさせられた。顎の先を大太刀の切っ先で跳ね上げられ、無理やり閉じさせられたのだ。
「歪虚版戦車ってとこか。大砲も積んでいれば、歩兵を潰すだけの機動力もある。良くできた『兵器』だが……作った奴のセンスを疑うよ」
大太刀の持ち主、シグルドは剣を引いて構えなおすと不敵にそう言った。そして要請を受けていたハンター達もそれぞれが行動に移り始めた。
巨人が叫んだ。
戦いの始まりを知らせる咆哮だ。
物見台の上に立っていた帝国第一師団副師団長のシグルドは望遠鏡を下ろして独り言ちた。
「シグルド様、攻撃しましょう。今こそ我らの力を見せるとき」
櫓の梯子近くで待機していた副長が意気も盛んにシグルドに進言してくる。兵長の一挙一動に緊張と勲功を挙げてやらんとする勢いの強さを感じることができるが、シグルドは彼ににこやかに笑んだ後、やらないよ。と答えた。
「なっ!? 剣機ですよ、剣機! 暴食の眷属の中でも四霊剣に数えられる強敵ですよ! これを倒せば歪虚の軍勢の力をそぎ落とせます。総力を挙げて戦うべきです」
それでも食い下がる兵長にシグルドは苦笑した。
「ゼナイドの第十師団マスケンヴァルがいるだろう? 彼女との共同作戦じゃなければ出番があったかもしれないけれど。下手に手を出したら彼女に殺されるよ」
シグルドの言葉に兵長は、う、と言葉を詰まらせるしかなかった。
ゼナイド率いる第十師団はマスケンヴァルと呼称される。その部隊員のほとんどが囚人、亜人などで構成されており、どんな汚れの仕事でもこなすというのは兵士だけでなく、帝国の一般市民ですら誰もが知っている話だ。そして彼らの首輪には暴走や脱走を防ぐための装置がつけられているということも。周囲にまで被害が及ぶわけではないが、そもそも轡を並べること自体が難しい部隊だ。その性質もその性格も。
「しかし、それでは我々は何のための訓練しているのかわかりません。歪虚と戦い、この国を民を守るためにやってきたのです。それなのにバックアップなどとは……」
「ははは、君は勇ましいなぁ。だが、バックアップも重要だよ。僕がリンドヴルムかそれを操作する者なら、注意を引きつけている間に他を攻撃する算段を立てるね。もしくは挟み撃ちにして部隊を散々に叩くとか、ね」
不意に轟音が空気を響かせた。かなり遠くだ。
兵長は慌てて音のした方を見やると、草原に火炎の柱が立ち上っていた。遠目でも確認できるぐらいなのだから、目の前にしたら恐らく身を包むような大火に違いない。
「な、なんだあれは……」
蜘蛛の子を散らすように逃げていくのは兵士達だろうか。だが、その姿が黒点ぐらいでしか確認できないのに、大火の原因を作ったであろう敵はしっかりと目で確認することができる大きさだった。
「歪虚です! かなり大きいっ……マスケンヴァルの布陣に向かって東方面より進軍! このままだとマスケンヴァルが挟撃されますよ!!」
「向かう先がエイゼンシュタインのところなら高みの見物でもしようかとも思っていたが、ゼナイドやグリューエリンを怪我させるわけにはいかないな。仕方ない。全隊、攻勢準備だ。目標は東方面より出現した改造ゾンビ。兵長、ハンターにも準備させてくれ」
しれっと同じ第一師団の同僚を見殺しにする発言を呟きながら、シグルドは次々と指示を飛ばしていった。
●
兵士達は立ちすくんでいた。暴食の眷属とはそれなりに戦っているものの、目の前のそれはあまりにいびつで、醜悪だった。
「な、なんだこいつは……」
一見すると、巨人か何かの様だった。数メートルはある体長。肌は削げていて腐った筋肉だけの肢体が四つん這いになって、こちらを覗いていた。しかし、よくよく見れば、その腕も足も、兵士と変わらないサイズの人肉がいくつもねじ込まれて成り立っている。何十という死体をより合わさってこの巨人は構成されているのだ。ところどころ接合がおかしいようで体のあちこちから骨のようなものが無数に突き出ていたり、間接がいくつもあったりと、有りえない姿に生理的な嫌悪感を呼び起こされる。
巨人が動いた。
兵士たちは盾を構えて防御態勢を取り、数人がかりでその攻撃を正面から受け止めた。
重い一撃だったが、確かに受け止めた。
「な、な……!」
が、その鋼鉄の盾に巨人の爪が食い込み、まるで果実に刃を押し込むように引き裂かれていく。どんどん巨人の爪がゆっくり、ゆっくりと兵士の前に近づいていく。
これはダメだ。逃げないと。
盾を離して逃げたかった。だが、盾を引き裂いた爪が引っかかり、引き下がろうともさがれず。爪がゆっくりと兵士の腕に食い込んでいく。
「離せ、このバケモノがぁっ!」
たまらずもう一人の兵士が槍を振り上げて、巨人に襲い掛かった。巨人は盾を突き出した男を引き裂くのに夢中になっている。不意を十分打てるはず、だった。
が、首が異様な角度で曲がり、こちらを向いた。目蓋のない眼球に兵士の姿はしっかりと捉えられていた。
そして、がくん、と開く顎。その血と腐汁に満ちた口腔内からチラチラとした明かりが光る。
一瞬の閃光の後、兵士は火だるまになり、地面に崩れ落ちた。
「ブレス!?」
「あの爪、人間のものじゃない……鋼鉄ですら切り裂くぞ!?」
そこで兵士はこの巨人の一部が人間外の物、魔獣などのそれを使われていることに気付いた。接合がおかしいのではない。魔獣らしい部分が肉体に収まりきっていないだけだ。
「ありったけの弾であいつを止めろぉぉぉぉ!!!」
矢でも弾丸でもとにかく近場にいた兵士達が巨人に向かって乱射される。が、巨人は地にひれ伏したかと思うと一気に飛び上がった。そしてその巨体で数人をまとめて押しつぶした。その姿はバッタの様で、見かけ以上の動きをしてみせてくる。後は単なる虐殺だった。反撃もままならぬ兵士を次々と引き潰していく。
もう一度、巨人の大顎が開いた。狙うのは固まって逃げようとする兵士達だ。
が、その顎はブレスを吐く前に強制的に閉じさせられた。顎の先を大太刀の切っ先で跳ね上げられ、無理やり閉じさせられたのだ。
「歪虚版戦車ってとこか。大砲も積んでいれば、歩兵を潰すだけの機動力もある。良くできた『兵器』だが……作った奴のセンスを疑うよ」
大太刀の持ち主、シグルドは剣を引いて構えなおすと不敵にそう言った。そして要請を受けていたハンター達もそれぞれが行動に移り始めた。
巨人が叫んだ。
戦いの始まりを知らせる咆哮だ。
解説
改造合成ゾンビである巨人の退治です。名前はありません。
第一師団副師団長のシグルドが同伴しています。基本的に彼は前衛に立って、攻撃の矢面に立つ役目を引き受けます。
シグルドが率いる兵士は巨人を包囲し、巨人があらぬ方向に移動しないよう牽制をしたり、邪魔にならない範囲で援護攻撃を行います。他の部隊への連絡などを引き受けています。
巨人は少しずつですが第十師団マスケンヴァルのいる方へと向かいます。早めに討伐できない場合、ゼナイド達はこちらにも注意を向けざるを得なくなり、下手をすると被害を被ることになります。それまでにこの巨人を退治することが求められます。
●敵情報
巨人(名前なし)
サイズ2、攻撃は魔獣の爪、押しつぶし、炎のブレス。
命中・回避は低めですが、どれも当たると痛いです。
最後はお約束で自爆します。命中回避が低いのは兵士がサポートしてくれている分を含んでいます。何らかの状態で兵士が援護できなくなった場合、補正が戻ります。
●シグルド
エンフォーサー。両手剣持ちです。盾は腕に通すタイプのバックラーだけつけています。基本的に戦うというより、敵を引きつける役を中心にしています。皆様の作戦によっては別行動もとります。ちなみに参加者であるハンターと落ち合ったのは戦闘する直前ですので、作戦相談は最低限しか聞いてません。もちろん、相談中の質問にも応答しかねます。
第一師団副師団長のシグルドが同伴しています。基本的に彼は前衛に立って、攻撃の矢面に立つ役目を引き受けます。
シグルドが率いる兵士は巨人を包囲し、巨人があらぬ方向に移動しないよう牽制をしたり、邪魔にならない範囲で援護攻撃を行います。他の部隊への連絡などを引き受けています。
巨人は少しずつですが第十師団マスケンヴァルのいる方へと向かいます。早めに討伐できない場合、ゼナイド達はこちらにも注意を向けざるを得なくなり、下手をすると被害を被ることになります。それまでにこの巨人を退治することが求められます。
●敵情報
巨人(名前なし)
サイズ2、攻撃は魔獣の爪、押しつぶし、炎のブレス。
命中・回避は低めですが、どれも当たると痛いです。
最後はお約束で自爆します。命中回避が低いのは兵士がサポートしてくれている分を含んでいます。何らかの状態で兵士が援護できなくなった場合、補正が戻ります。
●シグルド
エンフォーサー。両手剣持ちです。盾は腕に通すタイプのバックラーだけつけています。基本的に戦うというより、敵を引きつける役を中心にしています。皆様の作戦によっては別行動もとります。ちなみに参加者であるハンターと落ち合ったのは戦闘する直前ですので、作戦相談は最低限しか聞いてません。もちろん、相談中の質問にも応答しかねます。
マスターより
けっこう強敵です。イメージとしては歩兵が戦車とガチで戦う。みたいな状態です。このシナリオの結果は他の連動シナリオに影響しますので頑張ってくださいませ。
それでは全力で皆様のお相手いたします!
それでは全力で皆様のお相手いたします!
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/10/09 18:49
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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【相談】背を守る為に 君島 防人(ka0181) 人間(リアルブルー)|25才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2014/10/05 01:42:12 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/10/03 01:37:35 |