ゲスト
(ka0000)
冬にぬくもりとチョコレートを
マスター:音無奏

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加人数
- 現在25人 / 1~25人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/02/21 19:00
- リプレイ完成予定
- 2017/03/07 19:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
息を吸うだけで喉が凍える。
冷えた空気は肺に届いても尚余韻を残していて、代わりに吐き出す息は刹那的な暖かさと、少しの湿り気を帯びている。
…………。
ハンターオフィスは寒い日でも相変わらず喧騒に満ちていた。
それは待ち合わせだったり、暇つぶしの雑談だったりしたが、その中で一組の兄弟がじゃれていた。
「……うう、寒い。後のご褒美がなかったらわざわざ外になんか出てない」
「うちの工房区よりはマシだと思うけどな、遥か南にあるリゼリオだぜ?」
「工房は場所選べば火ついてるじゃん……」
イオの側をうろつくのは、見た目15才ほどの少年だ。イオそっくりのふわふわした薄茶の癖っ毛に、紺色のハンチングキャップとファーのついたコートを身につけている。
元々は気が強いのだろう、寒さで潤んでこそいるが、イオを見上げる眼差しは強く、勝ち気な色を宿している。
「……帰りはマフラー買う、チョコも食べる」
…………。
山の麓では雪が積もる。
風はそれほど強くない、しかし過剰な冷たさはそれだけで通行人の息を止める。
音を吸われているのか、雪に埋もれる街は恐ろしく静かだ。道端には除けられた雪の山、その中に埋もれながらも明かりを灯す店のなんと誘惑的な事か。
『ホットチョコあります』
凍える街の中においては、人を引き寄せるに十分な言葉だった。
イオ達が工房を下ろす場所、名をシャリール地方と言う。
山岳・峡谷地帯であるその麓にはかつて要塞都市と言われた街があり、今回イオ達がお目当てにしているのがその街『ランドブール』である。
外から見れば、物々しい城壁が立ちはだかる厳粛な街だ。しかし二重の城壁を抜けて中へと入れば、旗と彫刻で彩られた、鮮やかな石造りの街が姿を現す。
「……工房は遠いから、そこで一泊するんだ。で、そこにカフェがあるんだけど、この季節になると大人気店に化けるんだよ」
いつものように好奇心旺盛なハンター達に捕まり、イオが説明する。
ランドブールはシャリール地方の玄関街である。
訪問客も多く、商談か観光か買い物か、目的は様々だがこの季節に来ると大抵寒さでめげる。
しかしそこは百戦錬磨な店主たち、街の随所には旅人を誘い込むための明かりが灯され、暖炉と毛布、そして温かい食事の商売(サービス)が行われる。
「うちが極寒の山岳地帯にあるから贔屓目に見える……というのは否定しない」
正直だ。
「でも正直カフェでぬくぬくしながら雪景色を眺めるのは悪くない」
更に正直だった。
お目当ての店は街の中央近く、広場に面した場所にある。
石造りの建物が多い中で、このカフェは珍しく木材造りを前面に出している。店に入った中央にカウンターがあり、後は窓際に沿ってテーブル席が用意されている。
二階にはテラスとソファ席が半分ずつ、半円型のソファは座高が少し低めで、埋もれるようにして座る事になるだろう。窓際からは離れていて、人目につきにくくゆっくりした時間を楽しむ事が出来る。
テラスは……雪が積もっていた、街を一望出来るロケーションで景色はいい、パラソル席も用意されていたがこの天気に座りたがる人間はそういない。
メジャーなホットチョコは牛乳を温めて作られる、刻んだチョコを入れ、かき混ぜて溶かせばひとまずは完成だ。
頼んだものは丸っこいマグカップに注がれて渡される、模様は兎やら猫やらアザラシやら、色合いによって違う動物の顔が描かれていた。
トッピングや工夫はそれぞれに頼む事が出来た、チョコレートをビターにしようか、それとも牛乳の代わりに赤ワインでも頼もうか。
体を温めるならブランデーやシナモンをお願いするのもいい、甘いものが好きならホイップクリームも見た目華やかだろう。
お約束のマシュマロとチョコスティックも当然のように用意されていた、注文すればそこそこの値段で瓶一つ分を渡される。
置いてあるのはホットチョコだけではない。ショーケースにはケーキもパンも完備している。
チョコレートが十分に甘いからだろう、置いてあるのはブレーンなものが多い。バターで香ばしく焼いたワッフル、甘さを控えめにしたチョコかバニラのスポンジケーキ。
甘さを恐れないなら当然クリームやジャムを頼む事が出来る、飲み物に専念したいならクラッカーとかもいいだろう。
頼めばサンドイッチ程度の軽食はある、しかし本格的に食べたいなら宿に行くべきかもしれない。
「日帰りは無理だよ、一度泊まっていく事を考えたほうがいい」
天候が悪いのもあるが……リゼリオとシャリール地方は同盟の中でもほぼ対極な立地にある。
北西部の山岳地帯を背に、端から端という訳ではないが、同盟領の2/3は軽く横断する事になる。
幸い、この街は要塞都市の名残で収容人数は大きい、宿を取るのに困る事はない。
軒先に下げられた三日月の紋章が宿屋の目印だ、紋章は役所によるチェックを受けた証明でもあり、安全も品質も街によって保証されている。
旅人を導くため、紋章と明かりはセットで配置される。雪を振り払い、扉を押し開ければ暖炉の明るさが目に飛び込んでくるだろう。
一泊なら規定料金に夕食と翌日の朝食込だ、パンとシチューは好きなだけ頼む事が出来るが、お酒やツマミは別料金となる。運良く暖炉の横を取れたらよし、そうじゃなければ夕食をわけてもらって早々に部屋へ退散する客も多い。
街が大きいからか、一人用から大部屋まで、部屋の数は十分なほどある。
部屋は冷えているだろうが、布団も枕も文句なしのふかふかだ。装備を外して潜り込めばその内十分な暖かさになる。
窓枠にはいくつか張り付いたままの雪の欠片、運が良ければ外で街灯が一斉に灯るところが見られるかもしれない。
温もりが眠気を誘うのか、或いは雪が音を吸い取るからか、この季節、この街の眠りは概ね早かった。
人のいない食堂では翌日の仕込みをする店主だけが静かに作業を続けている、頼めばワインくらいは出してくれるだろう。
「先生たち、行きたいのか? 割りと怖いもの見たさだと思うぞ? すっごい寒いからな」
「……イオ兄ぃ、早くいこぉ」
息を吸うだけで喉が凍える。
冷えた空気は肺に届いても尚余韻を残していて、代わりに吐き出す息は刹那的な暖かさと、少しの湿り気を帯びている。
…………。
ハンターオフィスは寒い日でも相変わらず喧騒に満ちていた。
それは待ち合わせだったり、暇つぶしの雑談だったりしたが、その中で一組の兄弟がじゃれていた。
「……うう、寒い。後のご褒美がなかったらわざわざ外になんか出てない」
「うちの工房区よりはマシだと思うけどな、遥か南にあるリゼリオだぜ?」
「工房は場所選べば火ついてるじゃん……」
イオの側をうろつくのは、見た目15才ほどの少年だ。イオそっくりのふわふわした薄茶の癖っ毛に、紺色のハンチングキャップとファーのついたコートを身につけている。
元々は気が強いのだろう、寒さで潤んでこそいるが、イオを見上げる眼差しは強く、勝ち気な色を宿している。
「……帰りはマフラー買う、チョコも食べる」
…………。
山の麓では雪が積もる。
風はそれほど強くない、しかし過剰な冷たさはそれだけで通行人の息を止める。
音を吸われているのか、雪に埋もれる街は恐ろしく静かだ。道端には除けられた雪の山、その中に埋もれながらも明かりを灯す店のなんと誘惑的な事か。
『ホットチョコあります』
凍える街の中においては、人を引き寄せるに十分な言葉だった。
イオ達が工房を下ろす場所、名をシャリール地方と言う。
山岳・峡谷地帯であるその麓にはかつて要塞都市と言われた街があり、今回イオ達がお目当てにしているのがその街『ランドブール』である。
外から見れば、物々しい城壁が立ちはだかる厳粛な街だ。しかし二重の城壁を抜けて中へと入れば、旗と彫刻で彩られた、鮮やかな石造りの街が姿を現す。
「……工房は遠いから、そこで一泊するんだ。で、そこにカフェがあるんだけど、この季節になると大人気店に化けるんだよ」
いつものように好奇心旺盛なハンター達に捕まり、イオが説明する。
ランドブールはシャリール地方の玄関街である。
訪問客も多く、商談か観光か買い物か、目的は様々だがこの季節に来ると大抵寒さでめげる。
しかしそこは百戦錬磨な店主たち、街の随所には旅人を誘い込むための明かりが灯され、暖炉と毛布、そして温かい食事の商売(サービス)が行われる。
「うちが極寒の山岳地帯にあるから贔屓目に見える……というのは否定しない」
正直だ。
「でも正直カフェでぬくぬくしながら雪景色を眺めるのは悪くない」
更に正直だった。
お目当ての店は街の中央近く、広場に面した場所にある。
石造りの建物が多い中で、このカフェは珍しく木材造りを前面に出している。店に入った中央にカウンターがあり、後は窓際に沿ってテーブル席が用意されている。
二階にはテラスとソファ席が半分ずつ、半円型のソファは座高が少し低めで、埋もれるようにして座る事になるだろう。窓際からは離れていて、人目につきにくくゆっくりした時間を楽しむ事が出来る。
テラスは……雪が積もっていた、街を一望出来るロケーションで景色はいい、パラソル席も用意されていたがこの天気に座りたがる人間はそういない。
メジャーなホットチョコは牛乳を温めて作られる、刻んだチョコを入れ、かき混ぜて溶かせばひとまずは完成だ。
頼んだものは丸っこいマグカップに注がれて渡される、模様は兎やら猫やらアザラシやら、色合いによって違う動物の顔が描かれていた。
トッピングや工夫はそれぞれに頼む事が出来た、チョコレートをビターにしようか、それとも牛乳の代わりに赤ワインでも頼もうか。
体を温めるならブランデーやシナモンをお願いするのもいい、甘いものが好きならホイップクリームも見た目華やかだろう。
お約束のマシュマロとチョコスティックも当然のように用意されていた、注文すればそこそこの値段で瓶一つ分を渡される。
置いてあるのはホットチョコだけではない。ショーケースにはケーキもパンも完備している。
チョコレートが十分に甘いからだろう、置いてあるのはブレーンなものが多い。バターで香ばしく焼いたワッフル、甘さを控えめにしたチョコかバニラのスポンジケーキ。
甘さを恐れないなら当然クリームやジャムを頼む事が出来る、飲み物に専念したいならクラッカーとかもいいだろう。
頼めばサンドイッチ程度の軽食はある、しかし本格的に食べたいなら宿に行くべきかもしれない。
「日帰りは無理だよ、一度泊まっていく事を考えたほうがいい」
天候が悪いのもあるが……リゼリオとシャリール地方は同盟の中でもほぼ対極な立地にある。
北西部の山岳地帯を背に、端から端という訳ではないが、同盟領の2/3は軽く横断する事になる。
幸い、この街は要塞都市の名残で収容人数は大きい、宿を取るのに困る事はない。
軒先に下げられた三日月の紋章が宿屋の目印だ、紋章は役所によるチェックを受けた証明でもあり、安全も品質も街によって保証されている。
旅人を導くため、紋章と明かりはセットで配置される。雪を振り払い、扉を押し開ければ暖炉の明るさが目に飛び込んでくるだろう。
一泊なら規定料金に夕食と翌日の朝食込だ、パンとシチューは好きなだけ頼む事が出来るが、お酒やツマミは別料金となる。運良く暖炉の横を取れたらよし、そうじゃなければ夕食をわけてもらって早々に部屋へ退散する客も多い。
街が大きいからか、一人用から大部屋まで、部屋の数は十分なほどある。
部屋は冷えているだろうが、布団も枕も文句なしのふかふかだ。装備を外して潜り込めばその内十分な暖かさになる。
窓枠にはいくつか張り付いたままの雪の欠片、運が良ければ外で街灯が一斉に灯るところが見られるかもしれない。
温もりが眠気を誘うのか、或いは雪が音を吸い取るからか、この季節、この街の眠りは概ね早かった。
人のいない食堂では翌日の仕込みをする店主だけが静かに作業を続けている、頼めばワインくらいは出してくれるだろう。
「先生たち、行きたいのか? 割りと怖いもの見たさだと思うぞ? すっごい寒いからな」
「……イオ兄ぃ、早くいこぉ」
解説
+概要
冬の街と、ぬくもりと、チョコレート。
今回はすっごい寒い雪の街と、それを温める甘味と食事の描写がメインです、いつも通りPCによるRP持ち込みOK。
+街:ランドブール
他の領地に最も近く、貿易の要、要塞であり玄関でもある街。
石造りの建物が多く、やや入り組んでいて裏道も多い。
夜になると魔導灯でライトアップされるのが見どころ。
雪が積もっていてとてもさむい。
+カフェ
一階は室内にテーブル席、二階はふかふかのソファ席に勇者用の室外パラソル席。
メニューはホットチョコメイン、後は適当にどうぞ。
+宿
日帰りは無理です、素直に泊まっていきましょう。
街が街なので宿には困りません、窓の外から割りと重めな雪景色が見えます。
夜中に起き出すなり、知り合いのとこで暖を取るなりご自由に。
+バレンタイン?
今回のテーマには入りませんが持ち込むのは自由。
テーマは「真冬とぬくぬくとチョコレート」です、よってこのシナリオ内では別にバレンタインな空気だったりはしません。
砂糖ぶちまけたい時は専用シーン用意します、ノリは「こんなに寒いならバレンタインじゃなくてもイチャイチャ出来るでしょ」です。
+NPC
イオとルカ(弟)にエンカウント出来ますが、MSがやりたいことはOPで全部なので余り気にしなくてもOK。
冬の街と、ぬくもりと、チョコレート。
今回はすっごい寒い雪の街と、それを温める甘味と食事の描写がメインです、いつも通りPCによるRP持ち込みOK。
+街:ランドブール
他の領地に最も近く、貿易の要、要塞であり玄関でもある街。
石造りの建物が多く、やや入り組んでいて裏道も多い。
夜になると魔導灯でライトアップされるのが見どころ。
雪が積もっていてとてもさむい。
+カフェ
一階は室内にテーブル席、二階はふかふかのソファ席に勇者用の室外パラソル席。
メニューはホットチョコメイン、後は適当にどうぞ。
+宿
日帰りは無理です、素直に泊まっていきましょう。
街が街なので宿には困りません、窓の外から割りと重めな雪景色が見えます。
夜中に起き出すなり、知り合いのとこで暖を取るなりご自由に。
+バレンタイン?
今回のテーマには入りませんが持ち込むのは自由。
テーマは「真冬とぬくぬくとチョコレート」です、よってこのシナリオ内では別にバレンタインな空気だったりはしません。
砂糖ぶちまけたい時は専用シーン用意します、ノリは「こんなに寒いならバレンタインじゃなくてもイチャイチャ出来るでしょ」です。
+NPC
イオとルカ(弟)にエンカウント出来ますが、MSがやりたいことはOPで全部なので余り気にしなくてもOK。
マスターより
音無です、12月からずっとやりたいと思ってたイベシナなのですが……。
年末から各種イベントが重なり二ヶ月ほど失踪してました。
時期的にギリギリになるのですがお蔵入りが勿体無いのでとりあえず。
今回のテーマは「真冬でぬくぬくしながらチョコレート」です。
イベシナなのでささやかな描写になりますが、寒さに凍える描写を体験したい方はぜひ。
イベシナなのでささやかな描写になります、字数目一杯書いたりはしません(大事な事です)
年末から各種イベントが重なり二ヶ月ほど失踪してました。
時期的にギリギリになるのですがお蔵入りが勿体無いのでとりあえず。
今回のテーマは「真冬でぬくぬくしながらチョコレート」です。
イベシナなのでささやかな描写になりますが、寒さに凍える描写を体験したい方はぜひ。
イベシナなのでささやかな描写になります、字数目一杯書いたりはしません(大事な事です)
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/03/07 00:48