• 戦闘

【魔装】強さの果てに 第5話

マスター:赤山優牙

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
シリーズ(続編)
難易度
やや難しい
参加費
1,300
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
6日
プレイング締切
2017/05/01 12:00
リプレイ完成予定
2017/05/15 12:00

オープニング

―――事の始まり―――

「父上! 父上!」
 森の中でライルが叫ぶ。
 亜人の討伐隊はチリジリとなっている。
 古参の兵士が、ライルを庇うように亜人の前に立った。
「若君、ここは危険です。下がりましょう」
「だけどっ……」
 ヒュン――。
 音を立てて矢が降ってくる。亜人が放っているものだ。
 同時に木々の間から亜人達が追撃してきた。
「ここは、私が時間を稼ぎます。若君、いいですか、南に走るのです。集落まで出れば、きっと、領主様と落ち合えるはずです」
「でも、それじゃ」
「大丈夫です。私もすぐに追います!」
 後ろめたい気持ちを抱えながらライルは走り出した。
 兵士の叫び声が、いつまでも耳に残った――。

 どれだけ走ったのだろう。
 森の中は深く、執拗な追撃から逃げ惑ううちに、ライルは一人、森の中をトボトボと歩いていた。
 意識は朦朧としている。傷は浅いが体力が尽きかけているのだろう。
「くっ……」
 樹木の幹に寄りかかるように崩れる。
 頭を過るのは、領主である父と、兵士達の姿……無事であればいいのだが。
「僕が強ければ……」
 亜人の奇襲も的確に対処できたはずだ。
 そうすれば、敗走する事は無かっただろう。
「強ければっ!」
 グッと拳を握る。ライルは覚醒者としての素養は無かった。
 だけど、それで諦めはしなかった。
 腕利きの剣士を雇い、剣の腕を磨いた。それなりに強いはずだと自負があった。
 だが、実際、それは井の中の蛙。実戦は訓練とは違った。
 遠くの方から亜人達の声が聞こえる。
「逃げないと……」
 だが、身体は全く言うこと利かない。
 まるで自分の身体ではないように重たい。これが、命というものの重さだというのだろうか。

 その時……正面の地面に突如として空から一本の槍が突き刺さった。衝撃と音が森の中に響き、亜人達が何事かと向かってくる。
「や、槍?」
 美しい幾何学模様が特徴の二股の豪華な作りの槍だった。
「強さを求める汝の声を聞いた。汝、この私と契約し、強さを求めるか」
 まるで、おとぎ話か何かみたいだとライルは感じた。
 それでも、迫ってくる亜人達が居る事に変わりはない。今ここで強さを求めなければ死を待つだけだ。
「……勿論です。僕は強さを求める」
「ならば、契約だ。汝は守る為に強さを求め続けるといい」
 槍が眩い光を放つと、ライルの身体を守るように鎧となって姿を現した。
 弧を描きながら、鎧のパーツが次々に装着されていく。
「重さも、痛みを感じない……」
 これまでの重さが嘘のようだ。
 戦える。これなら、亜人を一掃出来る。ライルは確かに“力”を感じていた。

―――――――――――

●強さの果てに
 フレッサ領を治める貴族からの書状を破り捨てたライル。
「この僕に盾突こうだなんて、愚かな」
 いつもよりも気分が高揚していなければ、あるいは、僕が不機嫌であれば、もう、今すぐにでもフレッサ領に乗り込んでいただろう。
 寛大な僕に感謝するといい――等と、ライルは考えていた。
「だって、僕は、物凄い力を手にしたんだから」
 屋敷の大広間。誰も“生きている”人間は居なかった。
 使用人のマテリアルを奪った結果だ。
「もっと、僕は強くなれる。ねぇ、僕にもっと力を!」
 横に立てかけてあった槍をガッと掴んだ。
「これ以上の強さを求めるのであれば、只の人間では足りない」
 揺さぶられながら槍がそんな言葉を発する。
 その台詞にライルは少し考える。
 一般人ではマテリアルが足らないのだろう。となると、覚醒者が次の目標だ。
 だが、覚醒者の知り合いなど居ない。
「……あ。居る。牡丹お姉ちゃんの護衛のハンターだ」
「ほう」
 彼ら彼女らを招待させてあげればいいのだ。偉大な力を手に入れた僕からの招待を、ハンター如きが断る訳がない。
 そんな自惚れに気がつかないままに。ライルは早速、筆を走らせる。
「戦いでは……勿論、これまで通り、手伝ってくれるんだよね?」
「当然だ。存分に戦うといい」
 その槍に表情は無い。
 だが、もし、人と同じような表情があったとすれば、きっと、笑っていたのに違いない。

●雑魔襲来
 傲慢の歪虚であるアリトゥスは一見、人型妖精「アリス」に姿が似ている。
 ヒューと街中を飛んでいるが、きっと、一般人が見れば、見慣れない妖精が居る……位の認識かもしれない。
「面倒だけど、今は逆らう訳にもいかないし~」
 そんな事を呟く。
 街中に雑魔を出現させる事――それが、この歪虚の“仕事”だった。
 いよいよ、計画の最終段階という訳だ。もちろん、命令してきたネル・ベルの方が格上の存在ではあるのだが、無償という訳ではない。
 それに、そもそも、仕えているトップが違う。
 向こうは愚かな豚羊の配下……それも、人間如きにあっさりと倒された歪虚の手下だ。
 対して、アリトゥスは“偉大なる御方”にお仕えしている――と自負している。
「ここの辺りでもいいっかな~」
 見つけたのは水路の一角。
 流れが遅くて澱んでいた。ここ辺りで負のマテリアルを練りつもりなのだ。
 こうして、アリトゥスはレタニケの街のあちらこちらに“雑魔”を作り上げていた。即席の為、複雑な命令は理解できないだろうが、そもそも、それは“計画”に必要のない事。
「さぁ、いっぱい、いっぱい、暴れておいで~」
 残忍な笑みを浮かべてアリトゥスは再び街中へと消えていった。


★個人連動シナリオ『【魔装】富貴花が咲く頃に』のオープニングに続きます★

解説

●目的
ライルの討伐
ネル・ベルの撤退

●内容
ライルの屋敷にて、堕落者と化したライルを討伐する
ネル・ベルを撤退させる

●戦場
領主の館から離れた場所に位置する廃館の中庭
壁と植え込みで周囲とは完全に隔離されている

●敵勢力
ライル:レタニケ領主
『【魔装】強さの果てに 第3話』のリプレイ後、歪虚と契約して堕落者化
戦闘能力、特殊能力の有無は調べられなかったので不明だが、傲慢に属する歪虚は確定している
武器は剣

ネル・ベル(kz0082):人物紹介はNPCページ参照
豪華な鎧となって、ライルに装着している
一定条件により、“鎧”状態⇒“槍”状態に変更し、その後、人型へと元の姿に戻る
人型の姿になり、ある条件で撤退する

●味方勢力
ライルとの交戦が開始されて15ラウンド後に、フレッサ領の私兵集団のうち、先行している数名が壁を越えて姿を現す
ハンターに対し協力的であり、戦闘が継続されている場合は、一緒に戦ってくれる

●その他
ライルからの招待状を受け取り、戦場となる廃館の中庭に居る状態からスタートします
堕落者は倒されれば塵となって消えます。ライルとて例外ではありませんが、消えるまで多少の時間的余裕はあります
僅かな時間かもしれませんが、会話等は可能です(その際は正気に戻っています)

質問卓には、まるごとねるべるを被った何かが対応します
(シナリオの都合上、牡丹は登場しません)

マスターより

●挨拶
お世話になっています、赤山です。いよいよ、シリーズシナリオ『【魔装】強さの果てに』は、最終回となります。
ですが、【魔装】のシナリオ展開はこれで終わりではありません。
今後の【魔装】の展開で、きっと、当依頼の内容は重要な事柄の一つを示してくれる……はずです。その為には、皆様に出来る事を成して頂ければと思います。

●攻略のヒント
ネル・ベルは非常に強力な存在です。
過去依頼から、彼の情報を探し出し、有効に活かして対峙すれば、勝つ事は出来なくとも、負ける事はないはずです。
皆様の勝利を信じています。

関連NPC

  • 歪虚
    ネル・ベル(kz0082
    歪虚|22才|男性|歪虚(ヴォイド)
  • 女将軍
    鳴月 牡丹(kz0180
    人間(クリムゾンウェスト)|24才|女性|格闘士(マスターアームズ)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2017/05/08 19:58

参加者一覧

  • 純粋若葉
    ミュオ(ka1308
    ドワーフ|13才|男性|闘狩人
  • 白嶺の慧眼
    イレーヌ(ka1372
    ドワーフ|10才|女性|聖導士
  • 大工房
    ソフィア =リリィホルム(ka2383
    ドワーフ|14才|女性|機導師
  • 【魔装】花刀「菖蒲正宗」
    シェラリンデ(ka3332
    人間(紅)|18才|女性|疾影士
  • 【魔装】猫香の侍女
    ライラ = リューンベリ(ka5507
    人間(紅)|15才|女性|疾影士
  • 戦場に疾る銀黒
    ルイトガルト・レーデル(ka6356
    人間(紅)|21才|女性|舞刀士
依頼相談掲示板
アイコン 相談所です!
ソフィア =リリィホルム(ka2383
ドワーフ|14才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2017/04/30 23:19:12
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/04/25 22:42:45