ゲスト
(ka0000)
不退転のアカデミア
マスター:坂上テンゼン

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 3~8人
- ユニット参加人数
- 現在7 / 0~8
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/12/11 22:00
- リプレイ完成予定
- 2017/12/20 22:00
オープニング
●孤独な歪虚
沈黙が支配していた。
ここレッドバックの研究室では、もともと考え事をしている時に稀に独り言がある程度の静けさではあったが、今日はいつにもまして静かだった。
あの騒がしいパダギエですら押し黙って下を向いている。
レッドバックは、メフィストが古の塔での決戦に敗北したという報せを耳にしたのである。
メフィストが古の塔へ赴くことは知っていた。あの場所に行くからには戦いにならないはずはない。そしてメフィストは帰ってこなかった。疑いの余地はない。
レッドバックはメフィストと契約を交わした堕落者である。レッドバック本人もメフィストの臣下であると思っている。
……しかしながら、にもかかわらず、
それがレッドバックの行動に影響を与えるかといえば、否であった。
そもそもメフィストがレッドバックに命を下したのはただの一度、『古の塔に侵攻しアーティファクトを入手せよ』というものだけだ。それすらレッドバックがメフィストに許可を取る形で得たものだった。
メフィストが自分のためにレッドバックを用いたことはなく、レッドバックの方もまた、メフィストの為に何かをしたことはなかった。
歪虚の研究は自分が進んで行っていることであり、メフィストが命じたわけではない。
また過去ベリアル軍に協力したこともあったが、これはメフィストに報告すらしていない。完全な個人プレーだ。
報告したところで機嫌を損ねるだけだろう。そもそもメフィストは、ベリアルや他の歪虚の益になることは一切しなかった。――ただ一人、彼の王を除いて。
故に、レッドバックの行動には、
メフィストの死は『関係がない』。
「……素材を調達せねば。ハルトフォートで何も得られなかったのが痛い。
少しばかり、大規模な狩りになるな……」
その日、レッドバックは行動を開始した。
●私には関係のないこと
(それにしても皮肉だな。人間が歪虚の力を越え、歪虚である私を恐れさせるとは……)
メフィストが死んだということは、レッドバックの行動に影響を与えはしないとはいえ、それ自体は衝撃ではあった。
地下へと続く長い階段を降りている間、思わず昔を思い出していた。
レッドバックがその名を名乗る前、まだ人間だった頃のことだ。
彼女は魔術師であった。
その時から研究生活を送っていたが、元々は歪虚を倒すための研究だった。ハンターの夫がおり、ともに歪虚の敵対者であった。
ある時夫が歪虚に殺された。
彼女はその時から、より歪虚を倒すためのスキルや武具の研究に強くのめり込んでいった。
それが問題だった。
結論を言えば、のめり込み過ぎた。
いつからか手段と目的が入れ替わってしまったのである。
用途ではなく、力の強さそれ自体に惹かれるようになり……
周囲が止めるのも聞かずに、歪虚の生活圏内に行って、隠れて観察を行ったりした。
段々と無謀さはエスカレートしていき、それが極まった果てに、最悪の出会いがもたらされた。
メフィストとの出会いである。
彼女はメフィストを前にして、何をするよりもまずメフィストを観察した。
気になったメフィストはこう問うた。
「何を求めているのです」
「知識と力を」
彼女ははっきりとこう答えた。
絶対的な死を前にしてこう答えた彼女の態度が気になったのか、メフィストは彼女と契約を結んだ。
彼女は何の抵抗もなくそれを受け入れた。求めていたものが手に入ると思ったからである。
(歪虚となって私は強くなった。さらなる知識を得た。それが……人間を恐れるようになるとはな……)
人間の側に居続けることも可能だった。だが、そうしなかった。
(もう、後には戻れないのだ)
レッドバックは長い階段を降りきって、地下格納庫の扉を開けた。上のように静寂ではない。無数の獣の吠え声が聞こえる。凄まじい獣臭だ。いや、一口に獣といってよいものではない。
中央に凄まじく巨大な黒い全身鎧のようなものが一つある。CAMほどスマートではないが、魔導アーマーよりは人の形に近い。そのどちらよりも遥かに大きい。レッドバックからは見えないがこれの背中にもやはり赤い模様があった。
声も臭いもこの全身鎧の内側から来ていた。
この装甲の下では、無数の顔や腕や脚……その他ありとあらゆる生物の器官が混ざり合って蠢いている。
歪虚七眷属の一つ、憤怒には他の生物や歪虚を同化吸収する能力がある。
それがこの正体だ。
極限まで同化吸収し、巨大になった存在。ここまで同化吸収が進めば思考の統一、行動の選択などは行えないはずであったが。
『目覚めよ、バドニクス』
レッドバックが一声かけると、それは一瞬に静かになった。重厚な装甲の隙間で無数の目が光り、レッドバックに向けられている。
……この個体が今まで眠っていたなど、誰が信じるだろう。吼え猛りながら眠るとは、しかし憤怒らしい特徴ではあった。
『私を中に』
先ほどもそうだが、レッドバックの声は尋常のものではなかった。今や広く知られている傲慢の能力『強制』である。
バドニクスと呼ばれた憤怒の腹部には人一人入れる程度の空洞が開いている。バドニクスはレッドバックに手をさしのべると掌に乗せ、そこに導いた。
レッドバックはバドニクスの腹部に備え付けられているシートに座る。すると周囲の装甲がスライドし、空洞を完全に閉ざした。
レッドバックは座り心地を確かめつつ、思案する。
(絶対に安全とはもう言えないのだろう。
だが、立ち止まるわけにはいかん。
それに……歪虚が人間に劣っていると、まだ決まったわけではないからな)
『バドニクス、出撃するぞ。――人間どもの街を焼き払うのだ』
●超弩級歪虚集合体バドニクス
ズ……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォ……ゴン……。
山が、扉のように左右に開いたのであった。
そして、中からはゆっくりと、その威容を誇るかのように……超弩級歪虚集合体バドニクスが、鋼鉄の足音を響かせて歩み出てくる。
一歩ごとに、地面が、震えた。
天に届かんばかりの巨体は漆黒の甲冑に覆われ、時折不気味に蠢いている。
背中には棺桶を思わせる巨大な直方体の物体を背負っていた。これにも毒々しい赤い模様がつけられている。
一体……何人分の棺桶になるのであろうか……。
その様子はさながら、地獄から這い出た悪鬼が神に挑むかのようであった。
沈黙が支配していた。
ここレッドバックの研究室では、もともと考え事をしている時に稀に独り言がある程度の静けさではあったが、今日はいつにもまして静かだった。
あの騒がしいパダギエですら押し黙って下を向いている。
レッドバックは、メフィストが古の塔での決戦に敗北したという報せを耳にしたのである。
メフィストが古の塔へ赴くことは知っていた。あの場所に行くからには戦いにならないはずはない。そしてメフィストは帰ってこなかった。疑いの余地はない。
レッドバックはメフィストと契約を交わした堕落者である。レッドバック本人もメフィストの臣下であると思っている。
……しかしながら、にもかかわらず、
それがレッドバックの行動に影響を与えるかといえば、否であった。
そもそもメフィストがレッドバックに命を下したのはただの一度、『古の塔に侵攻しアーティファクトを入手せよ』というものだけだ。それすらレッドバックがメフィストに許可を取る形で得たものだった。
メフィストが自分のためにレッドバックを用いたことはなく、レッドバックの方もまた、メフィストの為に何かをしたことはなかった。
歪虚の研究は自分が進んで行っていることであり、メフィストが命じたわけではない。
また過去ベリアル軍に協力したこともあったが、これはメフィストに報告すらしていない。完全な個人プレーだ。
報告したところで機嫌を損ねるだけだろう。そもそもメフィストは、ベリアルや他の歪虚の益になることは一切しなかった。――ただ一人、彼の王を除いて。
故に、レッドバックの行動には、
メフィストの死は『関係がない』。
「……素材を調達せねば。ハルトフォートで何も得られなかったのが痛い。
少しばかり、大規模な狩りになるな……」
その日、レッドバックは行動を開始した。
●私には関係のないこと
(それにしても皮肉だな。人間が歪虚の力を越え、歪虚である私を恐れさせるとは……)
メフィストが死んだということは、レッドバックの行動に影響を与えはしないとはいえ、それ自体は衝撃ではあった。
地下へと続く長い階段を降りている間、思わず昔を思い出していた。
レッドバックがその名を名乗る前、まだ人間だった頃のことだ。
彼女は魔術師であった。
その時から研究生活を送っていたが、元々は歪虚を倒すための研究だった。ハンターの夫がおり、ともに歪虚の敵対者であった。
ある時夫が歪虚に殺された。
彼女はその時から、より歪虚を倒すためのスキルや武具の研究に強くのめり込んでいった。
それが問題だった。
結論を言えば、のめり込み過ぎた。
いつからか手段と目的が入れ替わってしまったのである。
用途ではなく、力の強さそれ自体に惹かれるようになり……
周囲が止めるのも聞かずに、歪虚の生活圏内に行って、隠れて観察を行ったりした。
段々と無謀さはエスカレートしていき、それが極まった果てに、最悪の出会いがもたらされた。
メフィストとの出会いである。
彼女はメフィストを前にして、何をするよりもまずメフィストを観察した。
気になったメフィストはこう問うた。
「何を求めているのです」
「知識と力を」
彼女ははっきりとこう答えた。
絶対的な死を前にしてこう答えた彼女の態度が気になったのか、メフィストは彼女と契約を結んだ。
彼女は何の抵抗もなくそれを受け入れた。求めていたものが手に入ると思ったからである。
(歪虚となって私は強くなった。さらなる知識を得た。それが……人間を恐れるようになるとはな……)
人間の側に居続けることも可能だった。だが、そうしなかった。
(もう、後には戻れないのだ)
レッドバックは長い階段を降りきって、地下格納庫の扉を開けた。上のように静寂ではない。無数の獣の吠え声が聞こえる。凄まじい獣臭だ。いや、一口に獣といってよいものではない。
中央に凄まじく巨大な黒い全身鎧のようなものが一つある。CAMほどスマートではないが、魔導アーマーよりは人の形に近い。そのどちらよりも遥かに大きい。レッドバックからは見えないがこれの背中にもやはり赤い模様があった。
声も臭いもこの全身鎧の内側から来ていた。
この装甲の下では、無数の顔や腕や脚……その他ありとあらゆる生物の器官が混ざり合って蠢いている。
歪虚七眷属の一つ、憤怒には他の生物や歪虚を同化吸収する能力がある。
それがこの正体だ。
極限まで同化吸収し、巨大になった存在。ここまで同化吸収が進めば思考の統一、行動の選択などは行えないはずであったが。
『目覚めよ、バドニクス』
レッドバックが一声かけると、それは一瞬に静かになった。重厚な装甲の隙間で無数の目が光り、レッドバックに向けられている。
……この個体が今まで眠っていたなど、誰が信じるだろう。吼え猛りながら眠るとは、しかし憤怒らしい特徴ではあった。
『私を中に』
先ほどもそうだが、レッドバックの声は尋常のものではなかった。今や広く知られている傲慢の能力『強制』である。
バドニクスと呼ばれた憤怒の腹部には人一人入れる程度の空洞が開いている。バドニクスはレッドバックに手をさしのべると掌に乗せ、そこに導いた。
レッドバックはバドニクスの腹部に備え付けられているシートに座る。すると周囲の装甲がスライドし、空洞を完全に閉ざした。
レッドバックは座り心地を確かめつつ、思案する。
(絶対に安全とはもう言えないのだろう。
だが、立ち止まるわけにはいかん。
それに……歪虚が人間に劣っていると、まだ決まったわけではないからな)
『バドニクス、出撃するぞ。――人間どもの街を焼き払うのだ』
●超弩級歪虚集合体バドニクス
ズ……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォ……ゴン……。
山が、扉のように左右に開いたのであった。
そして、中からはゆっくりと、その威容を誇るかのように……超弩級歪虚集合体バドニクスが、鋼鉄の足音を響かせて歩み出てくる。
一歩ごとに、地面が、震えた。
天に届かんばかりの巨体は漆黒の甲冑に覆われ、時折不気味に蠢いている。
背中には棺桶を思わせる巨大な直方体の物体を背負っていた。これにも毒々しい赤い模様がつけられている。
一体……何人分の棺桶になるのであろうか……。
その様子はさながら、地獄から這い出た悪鬼が神に挑むかのようであった。
解説
●依頼概要
王国北部にて巨大な影が目撃される。
正体を突き止め、脅威であれば撃破せよ。
なお天候はこの所雪が続いており悪視界が予想される。
※事前情報はこれのみ。あとはメタ情報です。
●敵
『超弩級歪虚集合体バドニクス』
……「同化」を幾重にも繰り返し巨大化した憤怒の歪虚を一つの枠に収め、レッドバックの「強制」によって行動をコントロールされる個体。
あまりにも多くの個体を同化吸収したため、本来ならば思考・行動を統一できないが、強制によって制御することを可能にしている。
様々な生物・歪虚が混じった不定形を機能性・美観の観点から人型に収めている。サイズ4。
攻撃手段は直接殴る、踏み潰す他、内蔵されたマテリアル砲によって広範囲を焼き払う。
能力
・同化
自身以外の生物・歪虚を生きたまま取り込むことで、その能力の一部を任意で利用する事ができる。
なお、この個体はすでに許容量限界まで同化しているため、同化は行えない。
・好戦
自身のターンで攻撃を行った際に、追加でもう一度攻撃行動を行う。
魔法攻撃には適用されない。
前述のマテリアル砲は魔法攻撃に該当する。
もう一つの憤怒の能力「自爆」は使えない。
『レッドバック』
目的はOPを参照
バドニクスを倒さない限り攻撃を当てることは出来ない。
攻撃は行わない。
王国北部にて巨大な影が目撃される。
正体を突き止め、脅威であれば撃破せよ。
なお天候はこの所雪が続いており悪視界が予想される。
※事前情報はこれのみ。あとはメタ情報です。
●敵
『超弩級歪虚集合体バドニクス』
……「同化」を幾重にも繰り返し巨大化した憤怒の歪虚を一つの枠に収め、レッドバックの「強制」によって行動をコントロールされる個体。
あまりにも多くの個体を同化吸収したため、本来ならば思考・行動を統一できないが、強制によって制御することを可能にしている。
様々な生物・歪虚が混じった不定形を機能性・美観の観点から人型に収めている。サイズ4。
攻撃手段は直接殴る、踏み潰す他、内蔵されたマテリアル砲によって広範囲を焼き払う。
能力
・同化
自身以外の生物・歪虚を生きたまま取り込むことで、その能力の一部を任意で利用する事ができる。
なお、この個体はすでに許容量限界まで同化しているため、同化は行えない。
・好戦
自身のターンで攻撃を行った際に、追加でもう一度攻撃行動を行う。
魔法攻撃には適用されない。
前述のマテリアル砲は魔法攻撃に該当する。
もう一つの憤怒の能力「自爆」は使えない。
『レッドバック』
目的はOPを参照
バドニクスを倒さない限り攻撃を当てることは出来ない。
攻撃は行わない。
マスターより
メフィストは孤独な歪虚。
レッドバックもまた孤独であるのでしょう。
故に、このシナリオは、
【転臨】とは『関係がない』。
よろしくお願いします。
レッドバックもまた孤独であるのでしょう。
故に、このシナリオは、
【転臨】とは『関係がない』。
よろしくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/12/19 12:38
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/12/10 15:57:16 |
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![]() |
相談卓 仁川 リア(ka3483) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2017/12/11 20:04:00 |