ゲスト
(ka0000)
領主様はベリーがお好き?
マスター:一要・香織

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/03/25 22:00
- リプレイ完成予定
- 2018/04/03 22:00
オープニング
執務室の机の上には沢山の本が積まれ、所狭しと書類が広げられていた。
その机に向かうレイナ・エルト・グランツ(kz0253)は一枚の書類に承認の判を押し、次の書類を手に取っては眉間に皺を寄せる。
すでに冷え切った紅茶を一口飲むと、山積みになった本の中から一冊を引っ張りだし、パラパラとめくって目を通した。
「ふう……」
書類の整理が一段落つくと、コンコンッと扉を叩く音が室内に響いた。
「どうぞ」
入室を促すと、静かに扉が開き執事のジルが姿を現す。
「新しい紅茶をお持ちいたしました」
「ありがとう」
芳しい紅茶の香りに、レイナはホッと息を吐いた。
「お仕事は進んでおりますか?」
新しい温かなカップに紅茶をサーブしながら、ジルは問う。
「あんまり速くはないですが……進んでいます」
レイナが少し疲れの滲んだ顔で呟くと、
「左様でございますか」
ジルは眉を下げて微笑んだ。
「最近は執務室に籠りっ放しですね。少しお休みになられては如何ですか?」
ジルは書類をまとめ、床に落ちてしまった本を拾い本棚へと戻していく。
「そうですね……、皆も忙しくさせてしまって、申し訳ないです」
レイナの身体を心配をしているというのに、屋敷の者を気遣うレイナにジルは苦笑した。
「今度、1日お休みを作って屋敷の皆でお茶会でも致しましょう」
「わぁ! 素敵ですね」
レイナの顔に久し振りの大きな笑みが浮かんだ。
「では、皆に申し伝えておきます」
「はい。私もそれまでに仕事を片付けてしまいます」
その日の夜。
屋敷の皆が寝静まった頃―――。
屋敷の厨房にはレイナの姿があった。
広げたノートを見ながら、ボールに計量した小麦粉や砂糖、牛乳などを投入している。
「粉っぽさがなくなるまでサクッと混ぜ合わせる……っと」
ノートから視線を戻したレイナはボールを抱え泡だて器を回した。
「中に入れる素材は何が良いかしら……。ハーブティーなら、ナッツ類……。薫り高い紅茶には甘酸っぱいベリーが合いそうね!」
食べた人たちの笑顔を想像して、レイナまでもが嬉しそうに笑みを浮かべた。
そう、レイナは昼間ジルが提案した茶会にお菓子を出すために練習をしていたのだ。
日頃世話を掛けてしまっている屋敷の者達に、少しでも喜んでもらえたら……。
ボールの中にナッツ、そしてベリーを加えひと混ぜして型に流し込む。
温めておいたオーブンに型を入れて、近くの椅子に腰かけた。
「ふわぁーーー」
小さく欠伸をすると、心地よい疲労感と共に急激に眠気が襲い掛かってくる。
チラリとオーブンを確認したレイナは、テーブルに寄り掛かる様にして居眠りを始めてしまった。
「っ!」
ガクリッと体が傾いた衝撃でレイナは目を覚ました。
どれくらい眠りこけていたのだろうか……。
「ん?」
辺りに漂うは、何やら焦げ臭い香り……。
「……? っあぁ!!」
レイナは慌ててオーブンのドアを開けた。
途端、オーブンからは黒い煙が溢れだし、レイナは小さく咽せ、瞬く。
口元を押さえながらオーブンの中を覗いたレイナは、大きなため息を吐いた。
「あぁ……」
ミトンをはめた手で黒焦げのケーキを引っ張り出すと、もう一度大きなため息を吐いた。
「また明日、練習しましょう……」
レイナは手早く片付けると自室に戻り、倒れ込む様に眠りに就いた。
次の日の夜も、執務を終えたレイナは厨房に立っていた。
昨日と同じ様に型枠に流し込んでオーブンの前に座った。
次第にオーブンからは香ばしい良い匂いが漂い始め、その美味しそうな香りを胸いっぱいに吸い込み、オーブンを開ける。
ミトンをはめた手で型を引っ張り出すと……、
「あ、あら……?」
型枠を見つめ、疑問の声を上げた。
ケーキは流し込んだままの形で、少しも膨らまずに焼き上がっていた。
「おかしいわね……なぜかしら?」
調理台にケーキを置くと、広げてあるノートを手に取り、目を通し始めた。
「前に料理長さんと作った時は成功したのに……」
レシピを順に確認していくと……、
「あっ、膨らし粉を入れるのを忘れたんだわ……」
ミスに気付き、小さく息を漏らす……。
焼き色は申し分ないが、膨らんでいないケーキを暫らく見つめると、レイナはフォークを刺し一欠けら口に運んだ。
「モソモソする……」
舌触りの悪いケーキを飲みこむと、
「また明日、練習しましょう。明日こそ、成功させなきゃ」
レイナは片付も早々に、自室に戻ると眠りに就いた。
そしてお茶会を翌日に控えた日の夜―――。
「……今日も失敗……」
半分だけ膨らみ、半分萎んだケーキを前に、レイナは大きなため息を吐いた。
「本当に私って、料理の才能がないのね……」
頭が痺れる様な眠気と戦いながら片付を終わらせ、レイナは自室に戻った。
翌日、朝食を終えたレイナがお茶会の準備を始める為に厨房に行くと、料理長やメイドが浮かない顔をして話し込んでいた。
「どうしたのですか?」
レイナが話しかけると、皆がいっせいに振り返る。
「レイナ様……」
顔を見合わせると、料理長が口を開いた。
「実は、いつも仕入れをお願いしている農家の方から連絡があって、野生の鹿が畑に出没してしまって、今日は収穫が出来ないそうなんです」
「大変!」
「それで……」
そう言葉を濁すと、料理長たちは再び顔を見合わせた。
「レイナ様……ベリーを使ったお菓子を作ってらっしゃいましたよね」
「……知っていたの?」
「はい。そのベリーも採れないそうなんです」
「ええ! それは困るわ! だって昨日全部使って……」
「このまま放っておけば、栽培しているベリーや他の作物も、荒らされたり食べられたりしてしまうかもしれませんね」
料理長やメイドたちが眉を下げ気まずそうに俯いた。
(どうしましょう……ナッツだけのケーキにする? ……ううん、紅茶にはやっぱりベリーが入っていた方が美味しいはずだわ)
レイナの譲れないこだわりが胸の中で弾け、思いがけない行動力を生み出す。
「私、少し出掛けてきます。午後には戻れると思いますから、お茶会始めないで下さいね」
そう言い残すと、レイナは厨房を後にした。
その少し後、ハンターオフィスにはレイナの姿があった。
「村の畑に出没した鹿を林に帰して欲しいのです」
「野生の鹿ですか?」
受付の女性はレイナの話を聞きメモを取る。
「ええ、気性が荒いみたいで、不用意に近付けないんです。手段は問わないので、殺さない様林まで誘導、または運んでいただければ……」
「なるほど……分かりました。では募集をかけておきます」
受付の女性が頷くと、
「いえ、今すぐお願いします。私も同行します」
「すぐですか? では、オフィスにいるハンターさんに直接声を掛けてみてはいかがでしょう?」
女性の優しい笑みに促され、譲れないベリーの為に、レイナは声を振り絞った。
「ハンターの皆様、お願いします!!」
その机に向かうレイナ・エルト・グランツ(kz0253)は一枚の書類に承認の判を押し、次の書類を手に取っては眉間に皺を寄せる。
すでに冷え切った紅茶を一口飲むと、山積みになった本の中から一冊を引っ張りだし、パラパラとめくって目を通した。
「ふう……」
書類の整理が一段落つくと、コンコンッと扉を叩く音が室内に響いた。
「どうぞ」
入室を促すと、静かに扉が開き執事のジルが姿を現す。
「新しい紅茶をお持ちいたしました」
「ありがとう」
芳しい紅茶の香りに、レイナはホッと息を吐いた。
「お仕事は進んでおりますか?」
新しい温かなカップに紅茶をサーブしながら、ジルは問う。
「あんまり速くはないですが……進んでいます」
レイナが少し疲れの滲んだ顔で呟くと、
「左様でございますか」
ジルは眉を下げて微笑んだ。
「最近は執務室に籠りっ放しですね。少しお休みになられては如何ですか?」
ジルは書類をまとめ、床に落ちてしまった本を拾い本棚へと戻していく。
「そうですね……、皆も忙しくさせてしまって、申し訳ないです」
レイナの身体を心配をしているというのに、屋敷の者を気遣うレイナにジルは苦笑した。
「今度、1日お休みを作って屋敷の皆でお茶会でも致しましょう」
「わぁ! 素敵ですね」
レイナの顔に久し振りの大きな笑みが浮かんだ。
「では、皆に申し伝えておきます」
「はい。私もそれまでに仕事を片付けてしまいます」
その日の夜。
屋敷の皆が寝静まった頃―――。
屋敷の厨房にはレイナの姿があった。
広げたノートを見ながら、ボールに計量した小麦粉や砂糖、牛乳などを投入している。
「粉っぽさがなくなるまでサクッと混ぜ合わせる……っと」
ノートから視線を戻したレイナはボールを抱え泡だて器を回した。
「中に入れる素材は何が良いかしら……。ハーブティーなら、ナッツ類……。薫り高い紅茶には甘酸っぱいベリーが合いそうね!」
食べた人たちの笑顔を想像して、レイナまでもが嬉しそうに笑みを浮かべた。
そう、レイナは昼間ジルが提案した茶会にお菓子を出すために練習をしていたのだ。
日頃世話を掛けてしまっている屋敷の者達に、少しでも喜んでもらえたら……。
ボールの中にナッツ、そしてベリーを加えひと混ぜして型に流し込む。
温めておいたオーブンに型を入れて、近くの椅子に腰かけた。
「ふわぁーーー」
小さく欠伸をすると、心地よい疲労感と共に急激に眠気が襲い掛かってくる。
チラリとオーブンを確認したレイナは、テーブルに寄り掛かる様にして居眠りを始めてしまった。
「っ!」
ガクリッと体が傾いた衝撃でレイナは目を覚ました。
どれくらい眠りこけていたのだろうか……。
「ん?」
辺りに漂うは、何やら焦げ臭い香り……。
「……? っあぁ!!」
レイナは慌ててオーブンのドアを開けた。
途端、オーブンからは黒い煙が溢れだし、レイナは小さく咽せ、瞬く。
口元を押さえながらオーブンの中を覗いたレイナは、大きなため息を吐いた。
「あぁ……」
ミトンをはめた手で黒焦げのケーキを引っ張り出すと、もう一度大きなため息を吐いた。
「また明日、練習しましょう……」
レイナは手早く片付けると自室に戻り、倒れ込む様に眠りに就いた。
次の日の夜も、執務を終えたレイナは厨房に立っていた。
昨日と同じ様に型枠に流し込んでオーブンの前に座った。
次第にオーブンからは香ばしい良い匂いが漂い始め、その美味しそうな香りを胸いっぱいに吸い込み、オーブンを開ける。
ミトンをはめた手で型を引っ張り出すと……、
「あ、あら……?」
型枠を見つめ、疑問の声を上げた。
ケーキは流し込んだままの形で、少しも膨らまずに焼き上がっていた。
「おかしいわね……なぜかしら?」
調理台にケーキを置くと、広げてあるノートを手に取り、目を通し始めた。
「前に料理長さんと作った時は成功したのに……」
レシピを順に確認していくと……、
「あっ、膨らし粉を入れるのを忘れたんだわ……」
ミスに気付き、小さく息を漏らす……。
焼き色は申し分ないが、膨らんでいないケーキを暫らく見つめると、レイナはフォークを刺し一欠けら口に運んだ。
「モソモソする……」
舌触りの悪いケーキを飲みこむと、
「また明日、練習しましょう。明日こそ、成功させなきゃ」
レイナは片付も早々に、自室に戻ると眠りに就いた。
そしてお茶会を翌日に控えた日の夜―――。
「……今日も失敗……」
半分だけ膨らみ、半分萎んだケーキを前に、レイナは大きなため息を吐いた。
「本当に私って、料理の才能がないのね……」
頭が痺れる様な眠気と戦いながら片付を終わらせ、レイナは自室に戻った。
翌日、朝食を終えたレイナがお茶会の準備を始める為に厨房に行くと、料理長やメイドが浮かない顔をして話し込んでいた。
「どうしたのですか?」
レイナが話しかけると、皆がいっせいに振り返る。
「レイナ様……」
顔を見合わせると、料理長が口を開いた。
「実は、いつも仕入れをお願いしている農家の方から連絡があって、野生の鹿が畑に出没してしまって、今日は収穫が出来ないそうなんです」
「大変!」
「それで……」
そう言葉を濁すと、料理長たちは再び顔を見合わせた。
「レイナ様……ベリーを使ったお菓子を作ってらっしゃいましたよね」
「……知っていたの?」
「はい。そのベリーも採れないそうなんです」
「ええ! それは困るわ! だって昨日全部使って……」
「このまま放っておけば、栽培しているベリーや他の作物も、荒らされたり食べられたりしてしまうかもしれませんね」
料理長やメイドたちが眉を下げ気まずそうに俯いた。
(どうしましょう……ナッツだけのケーキにする? ……ううん、紅茶にはやっぱりベリーが入っていた方が美味しいはずだわ)
レイナの譲れないこだわりが胸の中で弾け、思いがけない行動力を生み出す。
「私、少し出掛けてきます。午後には戻れると思いますから、お茶会始めないで下さいね」
そう言い残すと、レイナは厨房を後にした。
その少し後、ハンターオフィスにはレイナの姿があった。
「村の畑に出没した鹿を林に帰して欲しいのです」
「野生の鹿ですか?」
受付の女性はレイナの話を聞きメモを取る。
「ええ、気性が荒いみたいで、不用意に近付けないんです。手段は問わないので、殺さない様林まで誘導、または運んでいただければ……」
「なるほど……分かりました。では募集をかけておきます」
受付の女性が頷くと、
「いえ、今すぐお願いします。私も同行します」
「すぐですか? では、オフィスにいるハンターさんに直接声を掛けてみてはいかがでしょう?」
女性の優しい笑みに促され、譲れないベリーの為に、レイナは声を振り絞った。
「ハンターの皆様、お願いします!!」
解説
楽しみにしていたお茶会。
皆に喜んでもらいたくてケーキを作るはずが……
肝心のベリーが無いようです。
ベリーを栽培している畑に野生の鹿が迷い込んだようです。
混乱しているのでしょうか?
気性が荒く近付くことが出来ません。
牡鹿、女鹿が1頭づつ、そして小鹿が3頭の家族の様です。
このままにしておけば、畑は踏み荒らされてしまいます。
野生の鹿なので、本来居るべき林に戻してほしいとのことです。
殺したり、怪我をさせなければ、手段は問いません。
レイナも同行したがっていて、
「足手まといにならない様気を付けます」
と言っているので、面倒を見てあげて下さい。
鹿を無事林の中に帰し、畑に戻ってレイナがベリーを採ることが出来れば任務完了です。
任務終了後は是非お茶会に来てほしい、とレイナが言っています。
今の所、成功はしていませんが、ケーキを焼いてくれるそうです。
良かったら、そちらも手伝ってあげて下さい。
料理の得意なハンターさんは、厨房で他のお菓子を作って下さっても構いません。
楽しいお茶会にしましょう。
皆に喜んでもらいたくてケーキを作るはずが……
肝心のベリーが無いようです。
ベリーを栽培している畑に野生の鹿が迷い込んだようです。
混乱しているのでしょうか?
気性が荒く近付くことが出来ません。
牡鹿、女鹿が1頭づつ、そして小鹿が3頭の家族の様です。
このままにしておけば、畑は踏み荒らされてしまいます。
野生の鹿なので、本来居るべき林に戻してほしいとのことです。
殺したり、怪我をさせなければ、手段は問いません。
レイナも同行したがっていて、
「足手まといにならない様気を付けます」
と言っているので、面倒を見てあげて下さい。
鹿を無事林の中に帰し、畑に戻ってレイナがベリーを採ることが出来れば任務完了です。
任務終了後は是非お茶会に来てほしい、とレイナが言っています。
今の所、成功はしていませんが、ケーキを焼いてくれるそうです。
良かったら、そちらも手伝ってあげて下さい。
料理の得意なハンターさんは、厨房で他のお菓子を作って下さっても構いません。
楽しいお茶会にしましょう。
マスターより
こんにちは。
暖かい日が続くようになりましたね!
もうすぐお花見の季節です。
でも花粉症の私は、家の中からお花見します。
レイナは屋敷の庭で優雅なお茶会を開くようです。
依頼が終わったら、皆さんもお茶会を楽しんでください。
宜しくお願い致します。
暖かい日が続くようになりましたね!
もうすぐお花見の季節です。
でも花粉症の私は、家の中からお花見します。
レイナは屋敷の庭で優雅なお茶会を開くようです。
依頼が終わったら、皆さんもお茶会を楽しんでください。
宜しくお願い致します。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/03/30 03:56
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
【相談卓】野生の鹿を林へ帰そう カフカ・ブラックウェル(ka0794) 人間(クリムゾンウェスト)|17才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/03/25 20:02:59 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/03/23 07:02:34 |