ゲスト
(ka0000)
迎撃!マギア砦強襲
マスター:とりる

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 6~15人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/04/20 09:00
- 完成日
- 2018/04/24 09:54
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
辺境某所――。何やら歪虚の陰謀が蠢いていた……。
「順調そうだな」
「おや、牙城殿ではないですか。滞りなく進んでいますよ」
「牙城か。俺達は特にやることもないんでな。見てるだけってのもつまらんものだ」
指揮官クラスの少女型歪虚、牙城・焔(kz0191)と――他二人の歪虚が言葉を交わす。
「ふっ、お前達姉妹は巨人の中でも好戦的な部類だからな。烏合の衆であった巨人共を纏め上げた手腕は評価しよう」
「お褒めいただきありがとうございます」
「おうよ、そろそろ殴り込みにいきてぇところだがな」
二人を見上げ、焔はふむりと顎に手を当てる。
「気持ちは解るがまずは性能試験をしたらどうだ。実戦で使い物になるかどうか見極めが必要だ」
「……性能試験は既に済ませていますが、実地試験は確かに必要ですね」
「むぅん、試験なら俺は必要ないか」
「まあ待て。時期を見て仕掛ければ良かろう。……しかし、これらを見てハンター共はどういった反応をするか」
焔は陳列されている巨大な何かに目をやり、ほくそ笑む。
「お前達の戦い、括目させて貰おう。とりあえずまずは前哨戦だ」
「ご心配なく、私達にお任せあれ」
「これを装備させたサイクロプス共を砦にぶつけて様子を見る。はは、ハンターの奴らがどう対処するか見物だぜ」
***
ところは変わり、壁面の修復作業が完了したマギア砦――。
「ようやく終わりましたか。あの後巨人やその他歪虚の襲撃がなく幸いでした」
「念のためハンターの部隊を交代で駐留させていましたが必要無かったですかね」
連合軍少尉、相川・俊一ともう一人の連合軍士官がマギア砦の高台に立って話す。
「いや、備えは必要です。敵にあれだけの損害を与えたとは言え、いつまた襲って来るともしれません」
数か月前、修復作業中のマギア砦に向けて巨人の集団が襲撃して来たのだ。ハンター達の奮戦により砦に被害は無かったが。
「あの数の巨人を撃破したのですから、奴ら、砦に手を出すのを躊躇しているのかもしれませんよ」
「…………」
相川少尉は無言。
(楽観視は危険……。敵が体勢を立て直す頃合いとしてはそろそろ……)
少し俯き、メガネを中指で直す相川少尉。そのとき――
「敵襲ー!! 敵襲ー!!」
見張り台から大声、その後に砦全体に警報が鳴り響く。
(やはり……!)
相川少尉は目を見開く。
それから二人は見張り台まで走り、見張り員の兵士に尋ねた。
「状況を知らせてください」
「前回と同様、巨人の群れが南下中です。種別はサイクロプス……ですが……」
「どうしました?」
額に汗を浮かべる兵士に対し、相川少尉は再度尋ねた。
「これを見てください。高台からCAMの望遠カメラで撮影した画像です」
兵士は端末を操作し、スクリーンに画像を表示する。
「こ、これは……!?」
「なんということだ……!」
少尉ともう一人の士官は目を疑った。
――そこに映し出されていたのは、従来の棍棒や投石用の岩石、ただの鉄板などの原始的な装備をした巨人ではなく……。
明らかにCAMなどと同様のライフルや刀剣、そしてヘルメットやボディアーマーで身を固め、隊列を組んで進軍してくる巨人の『軍勢』であった。
「これは……ハリボテ……ということはありませんよね……」
青ざめた表情の連合軍士官。
「いいえ、敵の装備は明らかにCAMなどと同等です。しかも動きに統制が取れている。敵は装備や戦術を近代化したと見るべきでしょう」
相川少尉は冷静に分析し、その結果を口にした。
「CAMと同サイズの銃器や刀剣類や防具を装備した巨人は、つまりCAMなどと同等の戦力と言うことです。流石に練度は我々連合軍やハンターの方が上と考えたいですが……やはり物量では敵に分がある」
「どうしましょう少尉!?」
「すぐに待機中のハンター達に出撃準備をさせましょう。准尉、場合によっては私達も出る事になるかもしれません」
「じ、自分はまだ実戦経験は……!」
狼狽した様子の准尉と呼ばれた兵士。彼は相川少尉のCAM小隊に所属している。
「そんな事を言っている状況ではありません。敵の陣容は、前回とは明らかに違う。ハンター達にも気を引き締めて貰う必要がありそうですね」
「りょ、了解しました!」
准尉はぎこちなく敬礼。
「残念ながら、マギア砦の壁面の修復は完了したものの、砦備え付けの武器は間に合っていません。ハンター達の機体が主戦力となります。我々の小隊は砦の直掩に当たりましょう」
言い終えた相川少尉は小走りでCAMハンガーに向かいなら思考する。
(敵の襲撃は予想範囲内だが装備の急激な近代化はなんだ……? これから戦いは変わる……のか……)
また厳しい戦いが始まりそうであった。
「順調そうだな」
「おや、牙城殿ではないですか。滞りなく進んでいますよ」
「牙城か。俺達は特にやることもないんでな。見てるだけってのもつまらんものだ」
指揮官クラスの少女型歪虚、牙城・焔(kz0191)と――他二人の歪虚が言葉を交わす。
「ふっ、お前達姉妹は巨人の中でも好戦的な部類だからな。烏合の衆であった巨人共を纏め上げた手腕は評価しよう」
「お褒めいただきありがとうございます」
「おうよ、そろそろ殴り込みにいきてぇところだがな」
二人を見上げ、焔はふむりと顎に手を当てる。
「気持ちは解るがまずは性能試験をしたらどうだ。実戦で使い物になるかどうか見極めが必要だ」
「……性能試験は既に済ませていますが、実地試験は確かに必要ですね」
「むぅん、試験なら俺は必要ないか」
「まあ待て。時期を見て仕掛ければ良かろう。……しかし、これらを見てハンター共はどういった反応をするか」
焔は陳列されている巨大な何かに目をやり、ほくそ笑む。
「お前達の戦い、括目させて貰おう。とりあえずまずは前哨戦だ」
「ご心配なく、私達にお任せあれ」
「これを装備させたサイクロプス共を砦にぶつけて様子を見る。はは、ハンターの奴らがどう対処するか見物だぜ」
***
ところは変わり、壁面の修復作業が完了したマギア砦――。
「ようやく終わりましたか。あの後巨人やその他歪虚の襲撃がなく幸いでした」
「念のためハンターの部隊を交代で駐留させていましたが必要無かったですかね」
連合軍少尉、相川・俊一ともう一人の連合軍士官がマギア砦の高台に立って話す。
「いや、備えは必要です。敵にあれだけの損害を与えたとは言え、いつまた襲って来るともしれません」
数か月前、修復作業中のマギア砦に向けて巨人の集団が襲撃して来たのだ。ハンター達の奮戦により砦に被害は無かったが。
「あの数の巨人を撃破したのですから、奴ら、砦に手を出すのを躊躇しているのかもしれませんよ」
「…………」
相川少尉は無言。
(楽観視は危険……。敵が体勢を立て直す頃合いとしてはそろそろ……)
少し俯き、メガネを中指で直す相川少尉。そのとき――
「敵襲ー!! 敵襲ー!!」
見張り台から大声、その後に砦全体に警報が鳴り響く。
(やはり……!)
相川少尉は目を見開く。
それから二人は見張り台まで走り、見張り員の兵士に尋ねた。
「状況を知らせてください」
「前回と同様、巨人の群れが南下中です。種別はサイクロプス……ですが……」
「どうしました?」
額に汗を浮かべる兵士に対し、相川少尉は再度尋ねた。
「これを見てください。高台からCAMの望遠カメラで撮影した画像です」
兵士は端末を操作し、スクリーンに画像を表示する。
「こ、これは……!?」
「なんということだ……!」
少尉ともう一人の士官は目を疑った。
――そこに映し出されていたのは、従来の棍棒や投石用の岩石、ただの鉄板などの原始的な装備をした巨人ではなく……。
明らかにCAMなどと同様のライフルや刀剣、そしてヘルメットやボディアーマーで身を固め、隊列を組んで進軍してくる巨人の『軍勢』であった。
「これは……ハリボテ……ということはありませんよね……」
青ざめた表情の連合軍士官。
「いいえ、敵の装備は明らかにCAMなどと同等です。しかも動きに統制が取れている。敵は装備や戦術を近代化したと見るべきでしょう」
相川少尉は冷静に分析し、その結果を口にした。
「CAMと同サイズの銃器や刀剣類や防具を装備した巨人は、つまりCAMなどと同等の戦力と言うことです。流石に練度は我々連合軍やハンターの方が上と考えたいですが……やはり物量では敵に分がある」
「どうしましょう少尉!?」
「すぐに待機中のハンター達に出撃準備をさせましょう。准尉、場合によっては私達も出る事になるかもしれません」
「じ、自分はまだ実戦経験は……!」
狼狽した様子の准尉と呼ばれた兵士。彼は相川少尉のCAM小隊に所属している。
「そんな事を言っている状況ではありません。敵の陣容は、前回とは明らかに違う。ハンター達にも気を引き締めて貰う必要がありそうですね」
「りょ、了解しました!」
准尉はぎこちなく敬礼。
「残念ながら、マギア砦の壁面の修復は完了したものの、砦備え付けの武器は間に合っていません。ハンター達の機体が主戦力となります。我々の小隊は砦の直掩に当たりましょう」
言い終えた相川少尉は小走りでCAMハンガーに向かいなら思考する。
(敵の襲撃は予想範囲内だが装備の急激な近代化はなんだ……? これから戦いは変わる……のか……)
また厳しい戦いが始まりそうであった。
リプレイ本文
●
突如として始まったマギア砦への巨人の軍勢による強襲――しかも巨人の装備は近代化されている――。
それを迎え撃つのはやはり、ハンター達の機体、および幻獣だった。
激闘の幕が上がろうとしている……。
***
「さて、マギア砦に傷一つ付けることなく護りきらねばならないな。これは責任重大だ。俺も最善を尽くすこととしよう」
榊 兵庫(ka0010)の機体はR7エクスシア『烈風』。
「武装サイクロプスを狩るぜ」
デスドクロ・ザ・ブラックホール(ka0013)の機体はユニークなカスタマイズが施されたR7エクスシア『閻王の盃』。
「このデスドクロ様が有する一億個の暗黒スキルの内の一つ――」
まるでアメコミの悪役のような風貌のデスドクロはバサァ! と漆黒のマントを翻す。
「天空から無数の隕石を落下させる、【ヘルダークネスメテオライザー】を使えば巨人連中なんぞ五秒で塵に変えることも可能!! だが……いや、世界のバランスが狂っちまうな」
――と、いう『設定』である。
「俺様が生身で出たら、他の奴に戦闘経験を積ませることもできやしねぇ。ここはあえて……そう、あえてだ。プルートーに乗って戦場へ出るぜ」
デスドクロはクックックと笑う。
「5パーセント……そう、5パーセントの力で相手をしてやろう!」
大げさな身振りと共にそう言い放つデスドクロ。
「俺様が5パーセントの力で戦う以上、サイクロプス30体ってのは中々バカにできねぇ戦力だ。デカブツが大挙して攻め込んでくる姿ってのは、それだけで相当な圧もあるしな」
そう……本気を出していないので、今回の敵は侮れないのだ……。(本人談)
「銃や盾を持っているところを見ると、多少の脳味噌は持ってる連中ってこった。そこが逆に付け込むポイントなんじゃねぇかと見てるぜ」
これまで通りただ単に突っ込んで来るならば砲弾を浴びせるだけで良かったが今回の巨人の軍勢は隊列を組んでいる。戦術には戦術で対抗出来るかもしれない。
「まったく、懐かしい場所に呼び出されたと思ったらゾロゾロと……」
キヅカ・リク(ka0038)の機体はダインスレイブ『ノーヴァータ』。
「向こうの編成も実戦テスト兼ねた威力偵察みたいなもんだろうなぁ。ノーヴァータの調整にはいいんだろうけど、みられてるよなぁ」
彼のCAMは新型機。ゆえに、敵の監視が付いているかもしれない……。
「まぁ、僕みたいな末端は注目浴びないだろうし、いっか」
アニス・テスタロッサ(ka0141)の機体はダインスレイブ『アガレス・グランス』。
「あんな数いちいち相手してられっか。やる気殺いでとっととお帰り願おうや」
キヅカと同型機だがまた違ったカスタマイズが施されている。
「しっかし、CAMサイズの白兵装備や防具はともかく、火器なんてどこから調達しやがった……」
(鹵獲物のコピー品にしちゃ揃いすぎだろ、と)
アニスは敵の装備……特に火器の出どころが気になる様子。
「近代武器を装備していようと、使ってた経験が違うさねぇ。そうそう簡単に同じレベルになられてたまるか、と」
アルト・ハーニー(ka0113)の機体は黒光りする長大な巨砲(意味深)を備えたガルガリン『人形埴輪二号』。
「せっかくここまで直したってのを、いきなり壊されたんじゃたまんねーよな」
岩井崎 旭(ka0234)の相棒はワイバーン『ロジャック』。
「敵の巨人もなんかごっついの着込んだ上に大砲背負ってるし、さっさとブッ潰すに限るぜ!」
彼はマギア砦を防衛し、砦への被害に加え、守備部隊についても被害が少なく済むように……と、考える。
「CAM相当の巨人か、上に頭の良いのが就いたと見える」
近衛 惣助(ka0510)の機体は魔導型ドミニオン『真改』。
「まさか怠惰の歪虚が近代化するとはな、その実力がどれ程の物か確かめてやろう」
(出来ればここで徹底的に叩いて、実用性が無いと判断させたいところだが……)
『怠惰』の巨人だけにやる気のない輩ばかり……というわけではないようだ。
「ふむ、ルネさんに同行して戦場では大きく離れないように気を付けないとね」
葛音 水月(ka1895)の機体はR7エクスシア『フレイヤ』。
「ちょこっと辺境に来てみた……きょじんも近代化するのねー。あなどれない」
ルネ(ka4202)の愛車は魔導トラック『はうんど』。
むむむといった表情を浮かべる愛らしいえるふの少女、ルネ。
「るねも、がんばってきんだいかして、おーきくなって……そしたら、みず、きーにも、むねはれるー?」
「ルネさんは大きくならないほうが……そのままのほうがいいかなーと僕は思うよ」
そう言って水月はにこりと微笑む。
「セレスティアです。よろしくお願いしますね」
騎士の志を抱くセレスティア(ka2691)の機体はR7エクスシア。
「よく攻められる砦ですね。それだけ重要な拠点という事でしょう。後れを取らない様に頑張ります」
フェリア(ka2870)の相棒はグリフォン『エアリアル』。
「私はフェリア。よろしくね」
(これだけのCAMが揃うと壮観ね)
マギア砦を守るべく集結したハンター達の機体、並び立つCAMを見回す。
ゾファル・G・初火(ka4407)の機体はガルガリン『ガルちゃん』。
「はっはー、巨人どもの群れじゃん。超燃え!!」
巨人と言えば虎の腰巻一丁に棍棒が定番。生身で相手にするなら兎も角、CAMでやり合う場合はいささか物足りないと思っていたらしきゾファルだったが。
「いやぁ、こんな解決方法があるなんてね」
今回はボディアーマーや近代兵器で武装して来た巨人だが、ゾファルから見れば生きの良いサンドバッグが来た程度にしか認識していない様子。戦闘が待ち遠しくてうずうず。
バトルジャンキーのゾファルは、ハンター稼業など楽しく歪虚とコロシアイが出来るかが重要であり、それ以外はおまけみたいなものらしい。
愛機のガルガリン『ガルちゃん』もガチで殴り合うために特化した決戦仕様。装備も剣一振りに盾一枚という漢気溢れるカスタマイズ。ゾファルのやる気と闘志は天井知らずだ。
コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)の機体はR7エクスシア。
「柄の大きさだけが戦力の全てとは限らんぞ」
白兵戦を得意分野とするコーネリア。リアルブルーの軍が用いる戦車や歩兵戦闘車は兎も角、CAMのような人型機動兵器の操縦は正直あまり自信が無い。
しかし憎き歪虚を倒すため、戦力の底上げが出来るならばあるに越したことはない。馴染みの薄い機体を無理矢理にでも手足とし、敵を討つ覚悟を示すまでだ。
南護 炎(ka6651)の機体はコンフェッサー『GRAND SWORD』。
「サイクロプス共め、ぞろぞろと現れやがって……殲滅してやる!!」
戦闘開始前に他のハンターと最終的な作戦の打ち合わせを行い、搭乗するCAMの整備も万全にしておく。
敵の奇襲を受けぬよう、サバイバル技能を活用するつもりだが敵は『強襲』して来たのであり、周りも見晴らしが良いので巨人の巨体を見逃すことは無いだろう。
ほどなくして、CAM各機(+魔導トラック)に搭乗、および幻獣二体に騎乗するハンター達に「作戦開始」の通信が入るのだった。
「行くぞ。みんな! 『GRAND SWORD』出撃する!!」
●
「CAMの真似してきやがったみてーだけど。戦場にはCAMだけじゃねーってこと、目に物みせてやるぜ! 行くぜ、ロジャック!」
「こちらも負けてはいられませんね」
接敵する前に幻獣組、旭のワイバーン『ロジャック』とフェリアのグリフォン『エアリアル』が空高く舞い上がり、偵察を行い、敵の布陣を確認する。
……敵軍はやはり前衛と後衛に分かれていた。散弾砲持ちが最前衛、その後ろに突撃砲持ち。
やや間隔を空けて狙撃砲持ちが行軍中であった。それを確認した二人は味方部隊へ通信を送る。
と、そのとき――
「「!?」」
狙撃砲持ちの巨人が気付いたのか、こちらを向き、砲撃を行ってきた。二人は即座に幻獣へ回避行動を取らせるが……射程外? 威嚇射撃のようであった。
「っふー、冷や汗をかいたぜ。旭『ロジャック』、一時帰投する」
「フェリア『エアリアル』、同じくです。敵の狙撃砲は予想より射程があるかもしれません。お気を付けを」
二人は再度通信。ますます砦に近づけるわけにはいかない。二人はそのように考えながら相棒の幻獣を砦方面へ向ける。
***
「とらっくはるねの、こうじょーしんと、ちしきよくと、おとめごころの戦闘車輛」
一方その頃、乙女のロマンが詰まった魔導トラックのハンドルを握るルネは――
「おそらとんで、奥につっこーむみかたも居るみたいだし。そちらが注意をひいてるすきに、こそこそ側面にまわるよー」
偵察の際、幻獣組に敵の注意が向くことを見越し敵陣の側面へ回り込むべく機動力を生かして走行中。
「平原みたいだけど、曇りだし。とらっくは全高がひくいから、うまくくさはらにあんぶっしゅできれば、きょじんにみつからないかも」
車載装備ミサイルランチャー『アフリクシオン』の射程ギリギリに敵陣を捉えるべく移動……完了。停車。
もし狙撃砲持ちに見つかれば集中砲火を受けかねない危険行為だったが何とかセーフ。
「でも、あまり突出? こりつ? しすぎちゃだめって、みず、きーにいわれたから、まもる。あぶなくなったらにげる」
接敵前に気付かれた場合は即時撤退だったが移動が完了すれば(気付かれない場合)しばらくこの場所に留まり、観測を行う。
***
実質的な戦端を切ったのは有利な位置取りをしていたアニス機だった。
「初弾行くぞ。ケツに火がつきゃ突っ込んでくるだろ。そこを薙ぎ払いな」
【精密砲撃姿勢】を取り、【徹甲榴弾】による砲撃を行う。――砲弾は敵陣後衛の狙撃砲持ちの巨人に着弾。爆発。周囲の巨人にもダメージを与える。
敵に動揺は見られなかったが、行軍速度が上がったのは事実。
続いて動いたのは兵庫機と水月機。二機は敵最前衛が200mm4連カノン砲の射程に入った瞬間、砲撃を行う。
「……こちらの砲撃で少しでも敵の隊列を乱す事が出来たのならば良いのだが、な」
「水月機、砲撃を開始します。ターゲット・ロック……ファイア!」
――放たれた砲弾は最前衛の巨人二体に着弾。ダメージを与えるも、隊列を崩すには至らず。
***
いよいよ敵最前衛と接敵目前。ハンターのエクスシア五機は敵の気勢を削ぐべく、範囲攻撃による一斉掃射を行う。
――エクスシア各機は掃射準備。
兵庫機はこの攻撃に当たり、火力強化の為【マジックエンハンサー】を使用。
「……ここで少しでも敵を削らなくては数の差で圧倒される可能性が高いから、な。ここで倒せるだけ倒しておくこととしよう」
デスドクロ機、兵装を祈械法具『アオレオーレ』に切り替え。
(兎にも角にも重要なのは初手だ。複数の敵に先制パンチを浴びせて怯ませること)
「これによって相手の勢いを多少なりとも抑えつつ、流れをこっちに引き寄せてぇなと。ビビったサイクロプスの移動速度が個体ごとに異なってくれりゃ、尚良しだ」
セレスティアも愛機エクスシアにロングレンジマテリアルライフルを構えさせる。
「セレスティア機、配置につきました」
コーネリア機、兵装をMハルバード『ウンヴェッター』に切り替え、展開。
また【マジックエンハンサー】により予め火力を底上げしておく。
「その巨体を一斉に吹き飛ばす!」
水月機。こちらもMライフル『イースクラW』を構え、展開。
「いよいよですね……」
***
一方で敵陣側面に伏せ、待機中のルネ機。
「特に、みず、きーの砲撃にあわせて、ふぁいあする事で、きょじんの体勢を崩してみず、きーの砲撃があたりやすくするの、ねらうの」
***
再び味方陣地。
アルト機もキャノンを構え、味方の一斉射に合わせて砲撃準備。
「ふむ、では俺もこの股間(部分)にある、黒光りする極太のモノで砲撃(意味深)してやるぞ、と」
そこで『人形埴輪二号』のカメラをキヅカ機向ける……。
「名前の元になった者がそこにいる気がしないでもないが……」
「何か言った?」とキヅカ機から通信。「何でもないぞ、と」アルトは返す。
――そして敵前衛が射程に収まったところで、エクスシア五機による【マテリアルライフル】の一斉掃射!
紫色の光条が迸り、敵陣を包み込む。
「眩しいんだぞ、と」
アルト機もそれに合わせてキャノンによる砲撃。黄金のマテリアル光が迸る。
アニス機も一斉掃射に合わせて【貫通徹甲弾】による砲撃。
攻撃範囲の被りが発生しないように位置を予め調整。
「喰らえ!!」
南護機、試作波動銃『アマテラス』による通常射撃。
***
「ルネさんいくよ」
「――!」
水月機からの通信に合わせ、ルネ機は敵陣側面から、
「発砲ふぁいあ」
ミサイルランチャー『アフリクシオン』を一斉発射!
そして即座に陣地転換。その場から移動を開始。
「三十体もきょじんいるから、どこからねらわれてるかきをつけねば……」
今の一斉発射で居場所は露見しただろう。急いでこの場を離れなければならない。
「しっかりかんそくして、はさみうちにもちゅういね」
敵の位置をしっかりと確認しならがら、ルネはハンドルを回し、アクセルを踏み込む。
***
……エクスシア五機の【マテリアルライフル】一斉掃射、およびCAM三機による砲撃・射撃、そして側面からの魔導トラックによるミサイルの一斉射撃。
その効果は大きかった。敵は万遍なく大ダメージを負った模様。特にアニス機の【貫通徹甲弾】の射線上に居た敵は瀕死だ。
キヅカ機はアニス機に合わせ、そのままの勢いで砲撃開始。敵陣中央へ集中砲火を浴びせる。
また、敵の動きから臨機応変に立て直せるかなどを観察。戦術が末端にどこまで行きわたっているのかを探る。
――現在のところ、敵はこちらの大火力による広範囲攻撃を受け、態勢を崩している。ここからどう立て直してくるか……。
***
惣助機――。
「今回の襲撃は普段と様子が違うようだからな、出来れば敵の思惑が何かを探りたいところだ」
試作波動銃『アマテラス』による【マテリアルビーム】を発射。高威力の光条が敵陣を貫く。
「さて、この攻撃にどう対処する?」
セレスティア機は【マテリアルライフル】を続けて二射、三射と放つ。
「まだまだ行きますよ!」
水月機は威力の印象付けに【マジックエンハンサー】により出力を上昇させたMライフル『イースクラW』による射撃を行う。
「ルネさん、早く戻っておいで」
操縦桿のトリガーを引きながら、水月はルネがやや無謀とも言える単独行動を取ったために心配な様子。
……横からミサイルの打撃を受けた敵軍にはそれなりの効果があったので良くはあったのだが……。
ルネの魔導トラックは敵の砲撃を躱しつつ味方陣地に向けて爆走中。
「ごめんね。みず、きー」
***
さて、ようやく前衛近接組の出番である。
アルト機はキャノンを邪魔にならないように仕舞い、近接戦闘へ移行する。
仲間たちが十字砲火で敵を削るというので我慢して出番が来るのをイライラしながら待っていたゾファル。
一斉掃射が終わったのを受け、待ち切れずにゾファル機は前進を開始。
自分の役回りは『完全に囮』だと認識しての一見無謀な突撃で敵の混乱を煽る。
南護機も再び試作波動銃『アマテラス』で射撃した後、兵装を斬機刀『轟劾』に切り替え。前へ出る。
***
フェリアは一旦グリフォンから降り、味方の近接組が完全に敵とかち合う前に生身にて魔法攻撃を行う。
【エクステンドキャスト】からの【メテオスウォーム】。
……燃え盛る三つの火球が降り注ぎ、広範囲を焼き払い爆散させる! 業火に焼かれる巨人達。
もう一度……とも考えたが近接組三機のCAMが敵と接触しそうだったので、フェリアは再びグリフォンに騎乗し、その場を離れる。
ワイバーンに騎乗した旭は味方の砲撃で敵陣がある程度崩れたのを見て、近接組CAMの斬り込みに乗じて前進。空へ上がる。
飛行し、大回りするための速度を稼いで、敵陣の背面――はまだ狙撃砲持ちが残っているため難しいので、側面へ。
味方と協力し、十字砲火のような形を取る。回り込む際には地表付近を低く飛行。やはり飛行ユニットは弾幕や狙撃の的になり易い……。
●
近接組――。
「此処からはハンマーの出番かねぇ? 俺のハンマーが光って唸るんだぞ、と」
アルト機は機鎚『バタリングラム』を振り回し、近くの敵から殴り飛ばす。
「埴輪のハンマーで叩き潰されたいやつから前に出るんだぞ、と」
だが敵もいよいよ持って接近戦。先ほどの一斉掃射から態勢を立て直しつつあった。
二体一組となり、散弾砲を連射。アルト機は回避運動を取るも避け切れず被弾。
それから巨人二体は散弾砲を腰に仕舞い、太刀を抜いて斬り掛かって来た。アルト機はハンマーで受け止める。
「あ、一体ずつ出てくれるのを希望だが……そんな素直なわけは流石にないねぇ。なら纏めて叩き潰すだけだけどな、と」
アルト機は機鎚『バタリングラム』を全力で振り被り、無理矢理敵を弾き飛ばす。
その後に再び接近し、上段から叩き潰すように打ち下ろす。――巨人一体を撃破。
「なかなかしぶといんだぞ、と」
またすぐにアルト機は太刀持ちの巨人と打ち合う。
ゾファル機はフライトブースター『ズヴォルタ』の【フライトシステム】により飛行。
敵との距離を一気に詰め、滑空し急降下すると共に【アサルトダイブ】によって勢いのまま斬艦刀『雲山』を巨人一体に叩き込み撃破。
更に勢いは止まらず敵陣へそのまま飛び込んだ。当然ながら包囲され突撃砲の集中砲火を浴びるがそこは超重装甲のゾファル機である。
多少の損傷は気にせず、射撃する敵に対し無理矢理距離を詰め、斬艦刀『雲山』で斬り付ける。
【スキルリンカー】により【薙ぎ払い】や【一打撃砕『星砕き』】を最大限に活用し、敵陣内で暴れ回る。
「敵の手傷を増やしてやって、こいつやべーと思わせられたら大成功じゃん」
流石に集中砲火や敵集団の近接攻撃を喰らったため、それなりの損傷を受けるが敵にも多大な損害を与えた。
南護、【人機一体】を使用。機体がオーラを纏う。
「うおおおおお!!」
【スキルリンカー】による【気息充溢】を乗せ、更に【マテリアルフィスト】を加えた斬機刀『轟劾』の斬撃を見舞う。
「俺は歪虚を断つ剣だ!」
斬撃を受けた巨人は大ダメージ。
「俺の『制御不能な覚悟』を見せてやるぜ」
巨人の太刀と斬機刀で数度打ち合った後に南護機が押し切り、敵を撃破。巨人は地に伏し黒い霧となる。
***
兵庫機は一斉掃射後、200mm4連カノン砲と魔銃『ナシャート』による砲射撃戦を展開中。
敵は突撃砲や狙撃砲で応戦してくる。特に遮蔽物の無い開けた場所なので完全な撃ち合いである。
「少しでもダメージを蓄積させておきたいところだ……」
デスドクロ機も同様に200mm4連カノン砲を主軸として砲撃戦を展開。突出して来た敵を狙い、集中砲撃。
当然敵も散弾砲や突撃砲で反撃して来るが、どうやら総合的に見てハンターが駆るカスタマイズされたCAMのほうが硬いらしい。
損傷具合、ダメージの量では敵のほうが損害が多い様子。敵の数も少しずつ減ってきている。
(敵の特性を把握しておきてぇ。サイクロプスが自分の身の安全も度外視して、とにかく砦の破壊を狙ってくるのか)
操縦桿のトリガーを引きながら、モニターに映る敵の様子を観察するデスドクロ。
(死ぬ危険性があるのなら逃げる頭はあるのか、その境界線となる損傷度は如何ほどか、それによってこっちの防衛、迎撃の動きも変わってくると思う)
ゆえに瀕死に追い込んだ敵の様子を探る。……その結果、敵はこれまでのように『死を恐れない』ようだ。
「そういった命令を受けてるのか……? ただバカなのか……?」
デスドクロは判断しかねるが、敵は最低二体一組で行動。
その上、突出した敵(ハンターのCAM)を包囲して集中砲火を浴びせるなど一応戦術と呼べなくもない行動をしていた。
……突撃しか能が無いわけではないらしい。
近接戦の間合いに到達した兵庫機は兵装を斬機刀『建御雷』に切り替え。近接格闘戦に移行する。――敵も太刀を抜いている。
兵庫機は【スキルトレース】により【強撃】や【渾身撃】を使用して敵に斬撃を見舞い、接近戦を有利に運ぶ。
***
一斉掃射後、アニス機と共に敵陣中方へ砲撃を集中していたキヅカ機。
仲間の攻撃もあり、敵陣中央に穴が開き、今度は左右どちらか、突出して来たほうへ集中的に砲撃を加えていた。
アニス機は装備している兵装の有効射程を外れないよう移動して調整。
ロングレンジライフル『ルギートゥスD5』による狙撃支援を中心に攻撃を行う。
ターゲットは、狙撃砲持ちの巨人の狙撃の妨害及び、狙撃砲自体の破壊を狙う――が、これは盾で防がれてしまうことが多かった。
次に対空砲撃を行っている巨人を優先して狙い、狙撃。空中を舞う幻獣組を支援する。
しばらくして、キヅカ機はフライトブースター『ズヴォルタ』による【フライトシステム】を用いて空へ上がる。
この際、【フーファイター】も使用し、空中適性を高めた。
上空から支援の必要な味方、砲撃で崩せそうな場所、敵指揮官らしき存在を捜索。……。…………。
(敵指揮官らしい個体が見当たらない……? どういうことだ……。まさか、予め命令された通りに動いているのか?)
キヅカはそのように思案する。ただ飛行していても仕方がないので味方の支援に切り替え。
苦戦中の味方を発見。アニスへ攻撃要請。
「テッサ、目標を発見した。ポイントを送信する」
「OK、5秒待て」
キヅカからの要請で指定座標のズレを計算し、アニス機は予測砲撃を行う。
そのように二機は地上と空中から味方を支援した。
敵指揮官は見つからなかったが、狙撃砲で幻獣を集中的に狙い、攻撃している巨人を発見。これを……叩く。
キヅカ機は目標を定め、空中を移動。
「ターゲット……見つけた。このまま貫く……!」
直上より【徹甲榴弾】の砲撃。――脳天を撃ち抜かれた狙撃砲持ちの巨人は撃破され、そのまま崩れ落ち、霧散した。
その後もキヅカ機とアニス機は連携して味方を支援し、戦闘を有利に運ぶ。
***
惣助機は適宜、試作波動銃『アマテラス』での【スキルトレース】による【フォールシュート】を織り交ぜ、範囲攻撃で敵にダメージを与えていく。
【クイックリロード】で弾倉を交換した後に、接近して来る敵に対し【制圧射撃】にて攻撃。敵の足並みを乱す。
しぶとく生き残っている個体や味方を攻撃している個体には同じく【スキルトレース】、【凍結弾】で動きを阻害。
「俺達を相手に、好きに動けるとは思うなよ」
範囲攻撃で敵をダメージを与えた後、接近戦に移行。【アクティブスラスター】を使用して前へ。
近接格闘戦を行っている味方を壁盾『庇護者の光翼』によって庇い、敵の攻撃を自分の機体で受けるように動く。
「今回は敵の数が多い、味方とは連携して事に当たりたいね」
集中砲火などは【プラズマデフレクター】を起動して対応。堅牢な守りを見せ付ける。
「それはやらせんよ、まずは俺を倒す事だ」
***
Mライフル『イースクラW』による威力を重視の攻撃していた水月機。
しかし弾切れしてしまったので200mm4連カノン砲へ切り替え。砲撃を再開。
…………戦闘開始から時間が経過し、接近してくる敵も多くなった。
水月機の傍らにはルネが搭乗する魔導トラックがある。
自分が守らねば……。水月機はパイルバンカー『フラクタリング』に兵装を切り替え。突進。
散弾砲で魔導トラックを狙おうとしていた巨人に対し、肉薄。パイルバンカーによる刺突を見舞う。
「ここは、通さない!」
「みず、きー! かっこいいー!」
愛らしい声の通信が入る。
「いやあ」
と水月は少し照れた後に、
「ルネさんは前へ出ないでくださいね。支援をお願いします」
「わかったー。みず、きーの言う通りにするー」
との交信。
ルネ機はリロード間隔は長いが、打撃力は見込めるミサイルランチャー『アフリクシオン』による砲撃支援を主に行う。
その後、水月機は敵を十分に巻き込める状態で射程を阻害されずに多数の敵を巻き込める角度・タイミングを狙って――
【マジックエンハンサー】を乗せた【マテリアルライフル】を掃射。複数の敵にダメージを与える。
射撃による敵の隊列崩しや、近接格闘戦を仕掛ける味方への支援を重視。
***
セレスティア機はグレートソード『エッケザックス』を抜き、太刀を構え向かってくる巨人に対し、近接格闘戦で迎え撃つ。
――金属同士が激しく打ち合う音が響く。
セレスティアは巨人との剣戟を演じながら、目の前の相手を後ろに通す事の無いように、と考える。
なお、【アクティブスラスター】は敵が眼前に居る際には惜しまずに使用。
「傍から見ればCAMや魔導アーマーなど巨大な機械人形に過ぎんだろう。貴様らもただの人形なら仕留めるのは容易いはず。だが乗っているのが覚悟の据わった奴ならどうだ?」
コーネリア機は後方に位置。遠方より、迫る敵を捕捉し、スナイパーライフル『オブジェクティフMC-051』の射程に入るまで待機。
射程内に入り次第即座に射撃、狙い撃つ。敵はサイクロプスなので、大きな単眼を狙撃し視覚を奪う、という策を試す――が。
巨人が頭部に装備しているヘルメットには当然ながら弱点を保護するため、高硬度樹脂製らしきアイガードが付属しており、一撃では撃ち抜けなかった。
その後、コーネリア機は巨人に対し、武器を持つ腕や、ボディアーマーの隙間をスナイパーライフル『オブジェクティフMC-051』により狙撃。
だがやはり狙われるであろう腕や脚部は徹底的に防護されており一撃では致命傷を与えることは出来なかった。アーマーの隙間を狙うのもなかなかに難しい。
***
ワイバーンに騎乗し、飛行中の旭。脅威となる敵を排除したいところ。
優先順位は『狙撃等の長射程武器>弾幕武器>近接』。
【サイドワインダー】を使用し、一気に敵の懐へ飛び込む。その勢いのまま【オルトロス】による連続攻撃をぶつけた。
「こんだけ近けりゃ撃ちにくいだろ! テメーも、周りのも!」
その後、敵が態勢を立て直す前に、即座に離脱し、再突撃の機会を計る。
フェリア、彼女は対空装備を持った敵が居なくなってから行動を開始するつもりだったが……
それでは日が暮れてしまうのでグリフォンに騎乗し、出撃。飛行しつつ、地上の巨人に対し魔法攻撃を放つ。
●
兵庫機、敵を複数ある程度引き付け、【スキルリンカー】による【薙ぎ払い】を使用。一度になるべく多くの敵を斬り刻む。
そして。
「……俺の命を貸してやる。存分に力を振るえ、【烈風】」
【人機一体】を使用。
オーラに包まれた兵庫機は斬機刀『建御雷』を両手で構え、一気に踏み込む。
――斬。太刀をこちらに向けて振り被っていた巨人が倒れ、黒い霧となって霧散した……。
「そのバカさ加減に敬意を表しこっちも身体張って止めるぜ!」
デスドクロは満身創痍になりながらも太刀の切っ先を向けて突撃して来る巨人を、その機体で受け止める。
無論、刃は反らしたが……。巨人と密着し、揉み合いとなる。
「グーハハハ! いいぞ巨人共、そうこなくちゃ張り合いがねぇ!」
巨人を蹴り飛ばし、少し距離を離してから機棍『プリスクス』を振り被り、度重なる砲撃で脆くなっていたヘルメットを叩き割る。
「グハハハ! 逝っちまいな!!」
殴られてピヨリ状態の巨人を……今度は思い切り横殴りにする。ゴキリ! と嫌な音。
巨人は倒れ、間もなく黒い霧となって消えた。ボロボロの防具と装備だけが残る……。
惣助機はランスカノン『メテオール』を持ち、穂先による突きで巨人の脚や手を積極的に狙っていく。
敵が転倒したり、武器の取り落としたりすれば儲け物、特に盾は優先的に排除したかったが。
腕や手も頑強に防護されており、何度も突かねば致命傷は与えられなかった。
武器を失った敵には集中攻撃を浴びせ、撃破する。序盤の一斉掃射と、これまでの仲間の攻撃で、もう無傷の敵は居ない。
胴体のアーマーがボロボロになった巨人を見つけると、素早く接近し惣助機はランスカノン『メテオール』の穂先を勢い良く突き指し、そのまま砲撃。
内部から攻撃を与え、撃破する。その後【アサルトダイブ】を使用。近くの敵に急接近し、同時にランスカノンの鋭い突きの一撃を喰らわす。
***
キヅカ機、状況は乱戦。彼は左右の砲を連続で放ち、砦に向かって抜けようとする敵を最優先で撃破する。
「敵もなかなか諦めてくれないな……」
戦闘も大詰め。敵味方共にそれなりに消耗している。キヅカ機も例外ではなく何度か被弾していた、斬艦刀『雲山』で防いではいたが。
リロードはアニス機と交互に行い、隙を埋めた。近接戦は自分が請け負い、アニス機を守る。
斬艦刀『雲山』を用い、出来るだけ首や手首……武器を使用する場所や致命傷を与えられる部位を狙って刀の突きを繰り出す。
「もう少しだと思いたい……が」
アニス機。接近する敵はキヅカ機に任せ、ミサイルランチャー『アフリクシオン』の射程内の敵をロックオン。
一斉発射し、一撃を入れておく。その後、キヅカ機と連携して砲撃を加え、撃破。
適宜【アクティブスラスター】を使用して距離を取り、最低射程維持。
***
既に乱戦状態のため、水月機はパイルバンカー『フラクタリング』を主兵装にして戦闘。
ボロボロのアーマー……弱った巨人の胴体に杭を打ち込み、撃破。
☆ルネのおきをつけメモ
『あくまでおたすけーだから、敵の注意を惹きすぎるのはかんがえものね』
『みかたのぴんちに、ふいうちえんごしゃげきにつとめるのよ』
『てきのショットガンは散弾の為、とらっくの車高の低さが活かせないかも……流れ弾も怖いねー……』
『近づかない・ねらわれないよーにきをつけるに、越した事はないね』
魔導トラックのハンドルを握るルネは水月機の傍でおきをつけメモ通りに行動する。
***
ワイバーンに騎乗する旭。乱戦になり、敵の対空砲火が薄くなってきた。好機と見た彼は一気に上空へ上がる。
――敵の頭上から急降下し、ファイアブレスを叩き込む。火炎弾が着弾し、爆発。
そして。固まっている敵には【ライフリンク】でバリアを張ったワイバーン『ロジャック】に、【レイン・オブ・ライト】を使用させる。
チャージしたマテリアルが無数の光線となって放出し、降り注ぎ、攻撃と共にかく乱。注意を引かせ、それに紛れて地上へ勢いをつけてダイブ!
「ちっとばかし乱暴に行くぜ! 俺自身が爆弾の空襲だ!」
旭は霊闘士の奥義【現界せしもの】を使用した上で、【轟然たる大竜巻】を発生させ、周囲の敵を薙ぎ払う!
《もはや誰にも止められない竜巻の如く》
***
グリフォンに騎乗するフェリア。こちらも上空を飛行中。
敵陣の後方に回り込み、敵の布陣を再度見とる。――既に乱戦状態。
味方が砦に近づこうとする敵を片っ端から攻撃し、撃破しているところだった。
フェリアは自分も攻撃に加わろうと判断。敵に接近しグリフォン『エアリアル』に【フライングファイト】を使用させ、警戒態勢。
敵最後尾に対し【ファイアーボール】を放ち、ダメージを与えると共に混乱を狙う。
続いて味方近くの敵集団へ【ブリザード】を放ち、行動を制限。乱戦状態のため、これ以上の範囲魔法は下手に打てない……。
フェリアは上空警戒に当たりつつ、孤立している敵が居ないか探した。
***
グレートソード『エッケザックス』で近接格闘戦を行う セレスティア機。
避けられない敵の攻撃に対しては【マテリアルカーテン】にて対処。近くの仲間が攻撃を受けそうな場合にも使用。
その後、一旦距離を取り、ロングレンジマテリアルライフルを構え【マテリアルライフル】による掃射を積極的に行う。
コーネリアは敵が減って来たため、CAMのコクピットハッチを開き、生身を晒し、重機関銃『ラワーユリッヒNG5』を構えて掃射。
――ここからが彼女。【コンバージェンス】と併せた【ハウンドバレット】による攻撃を行う。
「ここからが本番だ。この手で直に扱う銃ほど信頼に足りるものはない」
更に【フローズンパニッシャー】を使用。冷気に還元したマテリアルを弾丸に集束させて撃ち出し、行動阻害を狙う。
その上、【キラースティンガー】で追い打ち。弾丸に高濃度のマテリアルを纏わせ、高速回転させながら射出、敵を貫く。
銃口付近から赤い稲妻状の閃光が奔った――。
その後は敵との距離が詰まる毎にCAMを動かして後退し、猛烈な攻撃を続けた。
***
アルト機、ナイフを構えた巨人に、ハンマーの内側に潜り込まれる。
「なん……だと……?」
焦った様子を見せつつ、片手をハンマーから離し【錬機剣『YUKIMURA』】を起動。
形成された光の刃・マテリアルブレードで切り払い、【アクティブスラスター】により、一旦距離を取る。
そしてアルトは【人機一体】を使用。それから【アグレッシブ・ファング】を起動。
「俺の埴輪を甘く見ないで貰おうかね、と。人機埴輪一体、出力最大で叩き潰させて貰うさね!」
敵に再度接近し、機鎚『バタリングラム』を大きく振り被り、上段からの強烈な一撃を見舞う。
一体撃破。巨人は霧散。それからアルト機は突破しようとする敵へ【アクティブスラスター】を使用し、急行。
「おっと、俺達を無視して後ろに行くのは頂けないねぇ。後ろと遊びたいならまず俺達を満足させて欲しい所だな、と」
追い縋り機鎚『バタリングラム』を振り、叩き付け、砦から距離を離す。
ゾファル機はわざわざ敵が包囲し易いように誘導し、後続の味方が敵の背後を取れるように動く。
これはいつもゾファルが生身戦闘時にやっている喧嘩殺法らしい。
「天網恢恢疎にして漏らさず、聖天大聖ゾファルちゃんたぁ、俺様ちゃんの事じゃん」
大見得きっていい気分。
脚のアーマーが剥がれた巨人を見つけるとローキックをかまし、転倒したところに【一打撃砕「星砕き』】を叩き付け、撃破。
***
「しつこい奴らめ! 行くぞ! せやあああ!!」
南護機は斬機刀『轟劾』を横薙ぎにし、負傷した巨人へ斬撃を加え、撃破。すると――
巨人が進攻してきた方角、マギア砦の北のほうから花火――ではなく信号弾らしきものが上がった。同時に爆音も轟く。
それを見聞きした残存の巨人達は反転、撤退を開始……。
その様子を上空から観察していた旭。
「壊走とかならいいけど、しっかり動くなら……数揃えて来られたらヤベーってことだよな」
敵は綺麗に列を揃えて後退していく……。
こうしてマギア砦防衛戦は無事に完了。砦の壁面に流れ弾数発が着弾していたが修復は容易だ。
***
戦闘後、生命力が減少したハンターへ【ヒール】を掛け終えたルネは水月を発見し、彼の元へ。
水月に褒めて貰う為、彼に抱き付いて頭をすりすり。
そんな水月はルネの頭を撫でながら、
「お疲れ様でした。ルネさん、なかなかの活躍でしたね。でも……ルネさんの魔導トラックは単独行動が向いているとは言え、今回は少し危なかったです」
「うん、ごめん。みず、きー」
「次はあまり離れないで、僕と一緒に戦いましょうね」
水月は微笑み、ルネの頭をもう一度優しく撫で撫で。
***
戦闘が終了した戦場……。あちらこちらに巨人の防具や武器が散乱している……。
巨人を倒せば本体は消えるが装備は残る。
それを回収しに来たのは、キヅカと南護であった。わざわざこの為に損傷した機体を応急修理したのだ。
……必要な分だけ回収し、砦へ戻る……。
巨人の装備、特に銃器はどこが出元でどの技術レベルを有しているのか、この辺りを明確にするとともに、向こうに生産技術があるのか。
キヅカはそれを調べたかった。
(なければ仕入れ元が存在する為、そこを先に叩く必要がある)
南護も流出元を調べたいらしい。……だが、この場で解析出来るわけもなく。
回収した巨人の装備は連合軍へ引き渡し、調査して貰う事となった。
突如として始まったマギア砦への巨人の軍勢による強襲――しかも巨人の装備は近代化されている――。
それを迎え撃つのはやはり、ハンター達の機体、および幻獣だった。
激闘の幕が上がろうとしている……。
***
「さて、マギア砦に傷一つ付けることなく護りきらねばならないな。これは責任重大だ。俺も最善を尽くすこととしよう」
榊 兵庫(ka0010)の機体はR7エクスシア『烈風』。
「武装サイクロプスを狩るぜ」
デスドクロ・ザ・ブラックホール(ka0013)の機体はユニークなカスタマイズが施されたR7エクスシア『閻王の盃』。
「このデスドクロ様が有する一億個の暗黒スキルの内の一つ――」
まるでアメコミの悪役のような風貌のデスドクロはバサァ! と漆黒のマントを翻す。
「天空から無数の隕石を落下させる、【ヘルダークネスメテオライザー】を使えば巨人連中なんぞ五秒で塵に変えることも可能!! だが……いや、世界のバランスが狂っちまうな」
――と、いう『設定』である。
「俺様が生身で出たら、他の奴に戦闘経験を積ませることもできやしねぇ。ここはあえて……そう、あえてだ。プルートーに乗って戦場へ出るぜ」
デスドクロはクックックと笑う。
「5パーセント……そう、5パーセントの力で相手をしてやろう!」
大げさな身振りと共にそう言い放つデスドクロ。
「俺様が5パーセントの力で戦う以上、サイクロプス30体ってのは中々バカにできねぇ戦力だ。デカブツが大挙して攻め込んでくる姿ってのは、それだけで相当な圧もあるしな」
そう……本気を出していないので、今回の敵は侮れないのだ……。(本人談)
「銃や盾を持っているところを見ると、多少の脳味噌は持ってる連中ってこった。そこが逆に付け込むポイントなんじゃねぇかと見てるぜ」
これまで通りただ単に突っ込んで来るならば砲弾を浴びせるだけで良かったが今回の巨人の軍勢は隊列を組んでいる。戦術には戦術で対抗出来るかもしれない。
「まったく、懐かしい場所に呼び出されたと思ったらゾロゾロと……」
キヅカ・リク(ka0038)の機体はダインスレイブ『ノーヴァータ』。
「向こうの編成も実戦テスト兼ねた威力偵察みたいなもんだろうなぁ。ノーヴァータの調整にはいいんだろうけど、みられてるよなぁ」
彼のCAMは新型機。ゆえに、敵の監視が付いているかもしれない……。
「まぁ、僕みたいな末端は注目浴びないだろうし、いっか」
アニス・テスタロッサ(ka0141)の機体はダインスレイブ『アガレス・グランス』。
「あんな数いちいち相手してられっか。やる気殺いでとっととお帰り願おうや」
キヅカと同型機だがまた違ったカスタマイズが施されている。
「しっかし、CAMサイズの白兵装備や防具はともかく、火器なんてどこから調達しやがった……」
(鹵獲物のコピー品にしちゃ揃いすぎだろ、と)
アニスは敵の装備……特に火器の出どころが気になる様子。
「近代武器を装備していようと、使ってた経験が違うさねぇ。そうそう簡単に同じレベルになられてたまるか、と」
アルト・ハーニー(ka0113)の機体は黒光りする長大な巨砲(意味深)を備えたガルガリン『人形埴輪二号』。
「せっかくここまで直したってのを、いきなり壊されたんじゃたまんねーよな」
岩井崎 旭(ka0234)の相棒はワイバーン『ロジャック』。
「敵の巨人もなんかごっついの着込んだ上に大砲背負ってるし、さっさとブッ潰すに限るぜ!」
彼はマギア砦を防衛し、砦への被害に加え、守備部隊についても被害が少なく済むように……と、考える。
「CAM相当の巨人か、上に頭の良いのが就いたと見える」
近衛 惣助(ka0510)の機体は魔導型ドミニオン『真改』。
「まさか怠惰の歪虚が近代化するとはな、その実力がどれ程の物か確かめてやろう」
(出来ればここで徹底的に叩いて、実用性が無いと判断させたいところだが……)
『怠惰』の巨人だけにやる気のない輩ばかり……というわけではないようだ。
「ふむ、ルネさんに同行して戦場では大きく離れないように気を付けないとね」
葛音 水月(ka1895)の機体はR7エクスシア『フレイヤ』。
「ちょこっと辺境に来てみた……きょじんも近代化するのねー。あなどれない」
ルネ(ka4202)の愛車は魔導トラック『はうんど』。
むむむといった表情を浮かべる愛らしいえるふの少女、ルネ。
「るねも、がんばってきんだいかして、おーきくなって……そしたら、みず、きーにも、むねはれるー?」
「ルネさんは大きくならないほうが……そのままのほうがいいかなーと僕は思うよ」
そう言って水月はにこりと微笑む。
「セレスティアです。よろしくお願いしますね」
騎士の志を抱くセレスティア(ka2691)の機体はR7エクスシア。
「よく攻められる砦ですね。それだけ重要な拠点という事でしょう。後れを取らない様に頑張ります」
フェリア(ka2870)の相棒はグリフォン『エアリアル』。
「私はフェリア。よろしくね」
(これだけのCAMが揃うと壮観ね)
マギア砦を守るべく集結したハンター達の機体、並び立つCAMを見回す。
ゾファル・G・初火(ka4407)の機体はガルガリン『ガルちゃん』。
「はっはー、巨人どもの群れじゃん。超燃え!!」
巨人と言えば虎の腰巻一丁に棍棒が定番。生身で相手にするなら兎も角、CAMでやり合う場合はいささか物足りないと思っていたらしきゾファルだったが。
「いやぁ、こんな解決方法があるなんてね」
今回はボディアーマーや近代兵器で武装して来た巨人だが、ゾファルから見れば生きの良いサンドバッグが来た程度にしか認識していない様子。戦闘が待ち遠しくてうずうず。
バトルジャンキーのゾファルは、ハンター稼業など楽しく歪虚とコロシアイが出来るかが重要であり、それ以外はおまけみたいなものらしい。
愛機のガルガリン『ガルちゃん』もガチで殴り合うために特化した決戦仕様。装備も剣一振りに盾一枚という漢気溢れるカスタマイズ。ゾファルのやる気と闘志は天井知らずだ。
コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)の機体はR7エクスシア。
「柄の大きさだけが戦力の全てとは限らんぞ」
白兵戦を得意分野とするコーネリア。リアルブルーの軍が用いる戦車や歩兵戦闘車は兎も角、CAMのような人型機動兵器の操縦は正直あまり自信が無い。
しかし憎き歪虚を倒すため、戦力の底上げが出来るならばあるに越したことはない。馴染みの薄い機体を無理矢理にでも手足とし、敵を討つ覚悟を示すまでだ。
南護 炎(ka6651)の機体はコンフェッサー『GRAND SWORD』。
「サイクロプス共め、ぞろぞろと現れやがって……殲滅してやる!!」
戦闘開始前に他のハンターと最終的な作戦の打ち合わせを行い、搭乗するCAMの整備も万全にしておく。
敵の奇襲を受けぬよう、サバイバル技能を活用するつもりだが敵は『強襲』して来たのであり、周りも見晴らしが良いので巨人の巨体を見逃すことは無いだろう。
ほどなくして、CAM各機(+魔導トラック)に搭乗、および幻獣二体に騎乗するハンター達に「作戦開始」の通信が入るのだった。
「行くぞ。みんな! 『GRAND SWORD』出撃する!!」
●
「CAMの真似してきやがったみてーだけど。戦場にはCAMだけじゃねーってこと、目に物みせてやるぜ! 行くぜ、ロジャック!」
「こちらも負けてはいられませんね」
接敵する前に幻獣組、旭のワイバーン『ロジャック』とフェリアのグリフォン『エアリアル』が空高く舞い上がり、偵察を行い、敵の布陣を確認する。
……敵軍はやはり前衛と後衛に分かれていた。散弾砲持ちが最前衛、その後ろに突撃砲持ち。
やや間隔を空けて狙撃砲持ちが行軍中であった。それを確認した二人は味方部隊へ通信を送る。
と、そのとき――
「「!?」」
狙撃砲持ちの巨人が気付いたのか、こちらを向き、砲撃を行ってきた。二人は即座に幻獣へ回避行動を取らせるが……射程外? 威嚇射撃のようであった。
「っふー、冷や汗をかいたぜ。旭『ロジャック』、一時帰投する」
「フェリア『エアリアル』、同じくです。敵の狙撃砲は予想より射程があるかもしれません。お気を付けを」
二人は再度通信。ますます砦に近づけるわけにはいかない。二人はそのように考えながら相棒の幻獣を砦方面へ向ける。
***
「とらっくはるねの、こうじょーしんと、ちしきよくと、おとめごころの戦闘車輛」
一方その頃、乙女のロマンが詰まった魔導トラックのハンドルを握るルネは――
「おそらとんで、奥につっこーむみかたも居るみたいだし。そちらが注意をひいてるすきに、こそこそ側面にまわるよー」
偵察の際、幻獣組に敵の注意が向くことを見越し敵陣の側面へ回り込むべく機動力を生かして走行中。
「平原みたいだけど、曇りだし。とらっくは全高がひくいから、うまくくさはらにあんぶっしゅできれば、きょじんにみつからないかも」
車載装備ミサイルランチャー『アフリクシオン』の射程ギリギリに敵陣を捉えるべく移動……完了。停車。
もし狙撃砲持ちに見つかれば集中砲火を受けかねない危険行為だったが何とかセーフ。
「でも、あまり突出? こりつ? しすぎちゃだめって、みず、きーにいわれたから、まもる。あぶなくなったらにげる」
接敵前に気付かれた場合は即時撤退だったが移動が完了すれば(気付かれない場合)しばらくこの場所に留まり、観測を行う。
***
実質的な戦端を切ったのは有利な位置取りをしていたアニス機だった。
「初弾行くぞ。ケツに火がつきゃ突っ込んでくるだろ。そこを薙ぎ払いな」
【精密砲撃姿勢】を取り、【徹甲榴弾】による砲撃を行う。――砲弾は敵陣後衛の狙撃砲持ちの巨人に着弾。爆発。周囲の巨人にもダメージを与える。
敵に動揺は見られなかったが、行軍速度が上がったのは事実。
続いて動いたのは兵庫機と水月機。二機は敵最前衛が200mm4連カノン砲の射程に入った瞬間、砲撃を行う。
「……こちらの砲撃で少しでも敵の隊列を乱す事が出来たのならば良いのだが、な」
「水月機、砲撃を開始します。ターゲット・ロック……ファイア!」
――放たれた砲弾は最前衛の巨人二体に着弾。ダメージを与えるも、隊列を崩すには至らず。
***
いよいよ敵最前衛と接敵目前。ハンターのエクスシア五機は敵の気勢を削ぐべく、範囲攻撃による一斉掃射を行う。
――エクスシア各機は掃射準備。
兵庫機はこの攻撃に当たり、火力強化の為【マジックエンハンサー】を使用。
「……ここで少しでも敵を削らなくては数の差で圧倒される可能性が高いから、な。ここで倒せるだけ倒しておくこととしよう」
デスドクロ機、兵装を祈械法具『アオレオーレ』に切り替え。
(兎にも角にも重要なのは初手だ。複数の敵に先制パンチを浴びせて怯ませること)
「これによって相手の勢いを多少なりとも抑えつつ、流れをこっちに引き寄せてぇなと。ビビったサイクロプスの移動速度が個体ごとに異なってくれりゃ、尚良しだ」
セレスティアも愛機エクスシアにロングレンジマテリアルライフルを構えさせる。
「セレスティア機、配置につきました」
コーネリア機、兵装をMハルバード『ウンヴェッター』に切り替え、展開。
また【マジックエンハンサー】により予め火力を底上げしておく。
「その巨体を一斉に吹き飛ばす!」
水月機。こちらもMライフル『イースクラW』を構え、展開。
「いよいよですね……」
***
一方で敵陣側面に伏せ、待機中のルネ機。
「特に、みず、きーの砲撃にあわせて、ふぁいあする事で、きょじんの体勢を崩してみず、きーの砲撃があたりやすくするの、ねらうの」
***
再び味方陣地。
アルト機もキャノンを構え、味方の一斉射に合わせて砲撃準備。
「ふむ、では俺もこの股間(部分)にある、黒光りする極太のモノで砲撃(意味深)してやるぞ、と」
そこで『人形埴輪二号』のカメラをキヅカ機向ける……。
「名前の元になった者がそこにいる気がしないでもないが……」
「何か言った?」とキヅカ機から通信。「何でもないぞ、と」アルトは返す。
――そして敵前衛が射程に収まったところで、エクスシア五機による【マテリアルライフル】の一斉掃射!
紫色の光条が迸り、敵陣を包み込む。
「眩しいんだぞ、と」
アルト機もそれに合わせてキャノンによる砲撃。黄金のマテリアル光が迸る。
アニス機も一斉掃射に合わせて【貫通徹甲弾】による砲撃。
攻撃範囲の被りが発生しないように位置を予め調整。
「喰らえ!!」
南護機、試作波動銃『アマテラス』による通常射撃。
***
「ルネさんいくよ」
「――!」
水月機からの通信に合わせ、ルネ機は敵陣側面から、
「発砲ふぁいあ」
ミサイルランチャー『アフリクシオン』を一斉発射!
そして即座に陣地転換。その場から移動を開始。
「三十体もきょじんいるから、どこからねらわれてるかきをつけねば……」
今の一斉発射で居場所は露見しただろう。急いでこの場を離れなければならない。
「しっかりかんそくして、はさみうちにもちゅういね」
敵の位置をしっかりと確認しならがら、ルネはハンドルを回し、アクセルを踏み込む。
***
……エクスシア五機の【マテリアルライフル】一斉掃射、およびCAM三機による砲撃・射撃、そして側面からの魔導トラックによるミサイルの一斉射撃。
その効果は大きかった。敵は万遍なく大ダメージを負った模様。特にアニス機の【貫通徹甲弾】の射線上に居た敵は瀕死だ。
キヅカ機はアニス機に合わせ、そのままの勢いで砲撃開始。敵陣中央へ集中砲火を浴びせる。
また、敵の動きから臨機応変に立て直せるかなどを観察。戦術が末端にどこまで行きわたっているのかを探る。
――現在のところ、敵はこちらの大火力による広範囲攻撃を受け、態勢を崩している。ここからどう立て直してくるか……。
***
惣助機――。
「今回の襲撃は普段と様子が違うようだからな、出来れば敵の思惑が何かを探りたいところだ」
試作波動銃『アマテラス』による【マテリアルビーム】を発射。高威力の光条が敵陣を貫く。
「さて、この攻撃にどう対処する?」
セレスティア機は【マテリアルライフル】を続けて二射、三射と放つ。
「まだまだ行きますよ!」
水月機は威力の印象付けに【マジックエンハンサー】により出力を上昇させたMライフル『イースクラW』による射撃を行う。
「ルネさん、早く戻っておいで」
操縦桿のトリガーを引きながら、水月はルネがやや無謀とも言える単独行動を取ったために心配な様子。
……横からミサイルの打撃を受けた敵軍にはそれなりの効果があったので良くはあったのだが……。
ルネの魔導トラックは敵の砲撃を躱しつつ味方陣地に向けて爆走中。
「ごめんね。みず、きー」
***
さて、ようやく前衛近接組の出番である。
アルト機はキャノンを邪魔にならないように仕舞い、近接戦闘へ移行する。
仲間たちが十字砲火で敵を削るというので我慢して出番が来るのをイライラしながら待っていたゾファル。
一斉掃射が終わったのを受け、待ち切れずにゾファル機は前進を開始。
自分の役回りは『完全に囮』だと認識しての一見無謀な突撃で敵の混乱を煽る。
南護機も再び試作波動銃『アマテラス』で射撃した後、兵装を斬機刀『轟劾』に切り替え。前へ出る。
***
フェリアは一旦グリフォンから降り、味方の近接組が完全に敵とかち合う前に生身にて魔法攻撃を行う。
【エクステンドキャスト】からの【メテオスウォーム】。
……燃え盛る三つの火球が降り注ぎ、広範囲を焼き払い爆散させる! 業火に焼かれる巨人達。
もう一度……とも考えたが近接組三機のCAMが敵と接触しそうだったので、フェリアは再びグリフォンに騎乗し、その場を離れる。
ワイバーンに騎乗した旭は味方の砲撃で敵陣がある程度崩れたのを見て、近接組CAMの斬り込みに乗じて前進。空へ上がる。
飛行し、大回りするための速度を稼いで、敵陣の背面――はまだ狙撃砲持ちが残っているため難しいので、側面へ。
味方と協力し、十字砲火のような形を取る。回り込む際には地表付近を低く飛行。やはり飛行ユニットは弾幕や狙撃の的になり易い……。
●
近接組――。
「此処からはハンマーの出番かねぇ? 俺のハンマーが光って唸るんだぞ、と」
アルト機は機鎚『バタリングラム』を振り回し、近くの敵から殴り飛ばす。
「埴輪のハンマーで叩き潰されたいやつから前に出るんだぞ、と」
だが敵もいよいよ持って接近戦。先ほどの一斉掃射から態勢を立て直しつつあった。
二体一組となり、散弾砲を連射。アルト機は回避運動を取るも避け切れず被弾。
それから巨人二体は散弾砲を腰に仕舞い、太刀を抜いて斬り掛かって来た。アルト機はハンマーで受け止める。
「あ、一体ずつ出てくれるのを希望だが……そんな素直なわけは流石にないねぇ。なら纏めて叩き潰すだけだけどな、と」
アルト機は機鎚『バタリングラム』を全力で振り被り、無理矢理敵を弾き飛ばす。
その後に再び接近し、上段から叩き潰すように打ち下ろす。――巨人一体を撃破。
「なかなかしぶといんだぞ、と」
またすぐにアルト機は太刀持ちの巨人と打ち合う。
ゾファル機はフライトブースター『ズヴォルタ』の【フライトシステム】により飛行。
敵との距離を一気に詰め、滑空し急降下すると共に【アサルトダイブ】によって勢いのまま斬艦刀『雲山』を巨人一体に叩き込み撃破。
更に勢いは止まらず敵陣へそのまま飛び込んだ。当然ながら包囲され突撃砲の集中砲火を浴びるがそこは超重装甲のゾファル機である。
多少の損傷は気にせず、射撃する敵に対し無理矢理距離を詰め、斬艦刀『雲山』で斬り付ける。
【スキルリンカー】により【薙ぎ払い】や【一打撃砕『星砕き』】を最大限に活用し、敵陣内で暴れ回る。
「敵の手傷を増やしてやって、こいつやべーと思わせられたら大成功じゃん」
流石に集中砲火や敵集団の近接攻撃を喰らったため、それなりの損傷を受けるが敵にも多大な損害を与えた。
南護、【人機一体】を使用。機体がオーラを纏う。
「うおおおおお!!」
【スキルリンカー】による【気息充溢】を乗せ、更に【マテリアルフィスト】を加えた斬機刀『轟劾』の斬撃を見舞う。
「俺は歪虚を断つ剣だ!」
斬撃を受けた巨人は大ダメージ。
「俺の『制御不能な覚悟』を見せてやるぜ」
巨人の太刀と斬機刀で数度打ち合った後に南護機が押し切り、敵を撃破。巨人は地に伏し黒い霧となる。
***
兵庫機は一斉掃射後、200mm4連カノン砲と魔銃『ナシャート』による砲射撃戦を展開中。
敵は突撃砲や狙撃砲で応戦してくる。特に遮蔽物の無い開けた場所なので完全な撃ち合いである。
「少しでもダメージを蓄積させておきたいところだ……」
デスドクロ機も同様に200mm4連カノン砲を主軸として砲撃戦を展開。突出して来た敵を狙い、集中砲撃。
当然敵も散弾砲や突撃砲で反撃して来るが、どうやら総合的に見てハンターが駆るカスタマイズされたCAMのほうが硬いらしい。
損傷具合、ダメージの量では敵のほうが損害が多い様子。敵の数も少しずつ減ってきている。
(敵の特性を把握しておきてぇ。サイクロプスが自分の身の安全も度外視して、とにかく砦の破壊を狙ってくるのか)
操縦桿のトリガーを引きながら、モニターに映る敵の様子を観察するデスドクロ。
(死ぬ危険性があるのなら逃げる頭はあるのか、その境界線となる損傷度は如何ほどか、それによってこっちの防衛、迎撃の動きも変わってくると思う)
ゆえに瀕死に追い込んだ敵の様子を探る。……その結果、敵はこれまでのように『死を恐れない』ようだ。
「そういった命令を受けてるのか……? ただバカなのか……?」
デスドクロは判断しかねるが、敵は最低二体一組で行動。
その上、突出した敵(ハンターのCAM)を包囲して集中砲火を浴びせるなど一応戦術と呼べなくもない行動をしていた。
……突撃しか能が無いわけではないらしい。
近接戦の間合いに到達した兵庫機は兵装を斬機刀『建御雷』に切り替え。近接格闘戦に移行する。――敵も太刀を抜いている。
兵庫機は【スキルトレース】により【強撃】や【渾身撃】を使用して敵に斬撃を見舞い、接近戦を有利に運ぶ。
***
一斉掃射後、アニス機と共に敵陣中方へ砲撃を集中していたキヅカ機。
仲間の攻撃もあり、敵陣中央に穴が開き、今度は左右どちらか、突出して来たほうへ集中的に砲撃を加えていた。
アニス機は装備している兵装の有効射程を外れないよう移動して調整。
ロングレンジライフル『ルギートゥスD5』による狙撃支援を中心に攻撃を行う。
ターゲットは、狙撃砲持ちの巨人の狙撃の妨害及び、狙撃砲自体の破壊を狙う――が、これは盾で防がれてしまうことが多かった。
次に対空砲撃を行っている巨人を優先して狙い、狙撃。空中を舞う幻獣組を支援する。
しばらくして、キヅカ機はフライトブースター『ズヴォルタ』による【フライトシステム】を用いて空へ上がる。
この際、【フーファイター】も使用し、空中適性を高めた。
上空から支援の必要な味方、砲撃で崩せそうな場所、敵指揮官らしき存在を捜索。……。…………。
(敵指揮官らしい個体が見当たらない……? どういうことだ……。まさか、予め命令された通りに動いているのか?)
キヅカはそのように思案する。ただ飛行していても仕方がないので味方の支援に切り替え。
苦戦中の味方を発見。アニスへ攻撃要請。
「テッサ、目標を発見した。ポイントを送信する」
「OK、5秒待て」
キヅカからの要請で指定座標のズレを計算し、アニス機は予測砲撃を行う。
そのように二機は地上と空中から味方を支援した。
敵指揮官は見つからなかったが、狙撃砲で幻獣を集中的に狙い、攻撃している巨人を発見。これを……叩く。
キヅカ機は目標を定め、空中を移動。
「ターゲット……見つけた。このまま貫く……!」
直上より【徹甲榴弾】の砲撃。――脳天を撃ち抜かれた狙撃砲持ちの巨人は撃破され、そのまま崩れ落ち、霧散した。
その後もキヅカ機とアニス機は連携して味方を支援し、戦闘を有利に運ぶ。
***
惣助機は適宜、試作波動銃『アマテラス』での【スキルトレース】による【フォールシュート】を織り交ぜ、範囲攻撃で敵にダメージを与えていく。
【クイックリロード】で弾倉を交換した後に、接近して来る敵に対し【制圧射撃】にて攻撃。敵の足並みを乱す。
しぶとく生き残っている個体や味方を攻撃している個体には同じく【スキルトレース】、【凍結弾】で動きを阻害。
「俺達を相手に、好きに動けるとは思うなよ」
範囲攻撃で敵をダメージを与えた後、接近戦に移行。【アクティブスラスター】を使用して前へ。
近接格闘戦を行っている味方を壁盾『庇護者の光翼』によって庇い、敵の攻撃を自分の機体で受けるように動く。
「今回は敵の数が多い、味方とは連携して事に当たりたいね」
集中砲火などは【プラズマデフレクター】を起動して対応。堅牢な守りを見せ付ける。
「それはやらせんよ、まずは俺を倒す事だ」
***
Mライフル『イースクラW』による威力を重視の攻撃していた水月機。
しかし弾切れしてしまったので200mm4連カノン砲へ切り替え。砲撃を再開。
…………戦闘開始から時間が経過し、接近してくる敵も多くなった。
水月機の傍らにはルネが搭乗する魔導トラックがある。
自分が守らねば……。水月機はパイルバンカー『フラクタリング』に兵装を切り替え。突進。
散弾砲で魔導トラックを狙おうとしていた巨人に対し、肉薄。パイルバンカーによる刺突を見舞う。
「ここは、通さない!」
「みず、きー! かっこいいー!」
愛らしい声の通信が入る。
「いやあ」
と水月は少し照れた後に、
「ルネさんは前へ出ないでくださいね。支援をお願いします」
「わかったー。みず、きーの言う通りにするー」
との交信。
ルネ機はリロード間隔は長いが、打撃力は見込めるミサイルランチャー『アフリクシオン』による砲撃支援を主に行う。
その後、水月機は敵を十分に巻き込める状態で射程を阻害されずに多数の敵を巻き込める角度・タイミングを狙って――
【マジックエンハンサー】を乗せた【マテリアルライフル】を掃射。複数の敵にダメージを与える。
射撃による敵の隊列崩しや、近接格闘戦を仕掛ける味方への支援を重視。
***
セレスティア機はグレートソード『エッケザックス』を抜き、太刀を構え向かってくる巨人に対し、近接格闘戦で迎え撃つ。
――金属同士が激しく打ち合う音が響く。
セレスティアは巨人との剣戟を演じながら、目の前の相手を後ろに通す事の無いように、と考える。
なお、【アクティブスラスター】は敵が眼前に居る際には惜しまずに使用。
「傍から見ればCAMや魔導アーマーなど巨大な機械人形に過ぎんだろう。貴様らもただの人形なら仕留めるのは容易いはず。だが乗っているのが覚悟の据わった奴ならどうだ?」
コーネリア機は後方に位置。遠方より、迫る敵を捕捉し、スナイパーライフル『オブジェクティフMC-051』の射程に入るまで待機。
射程内に入り次第即座に射撃、狙い撃つ。敵はサイクロプスなので、大きな単眼を狙撃し視覚を奪う、という策を試す――が。
巨人が頭部に装備しているヘルメットには当然ながら弱点を保護するため、高硬度樹脂製らしきアイガードが付属しており、一撃では撃ち抜けなかった。
その後、コーネリア機は巨人に対し、武器を持つ腕や、ボディアーマーの隙間をスナイパーライフル『オブジェクティフMC-051』により狙撃。
だがやはり狙われるであろう腕や脚部は徹底的に防護されており一撃では致命傷を与えることは出来なかった。アーマーの隙間を狙うのもなかなかに難しい。
***
ワイバーンに騎乗し、飛行中の旭。脅威となる敵を排除したいところ。
優先順位は『狙撃等の長射程武器>弾幕武器>近接』。
【サイドワインダー】を使用し、一気に敵の懐へ飛び込む。その勢いのまま【オルトロス】による連続攻撃をぶつけた。
「こんだけ近けりゃ撃ちにくいだろ! テメーも、周りのも!」
その後、敵が態勢を立て直す前に、即座に離脱し、再突撃の機会を計る。
フェリア、彼女は対空装備を持った敵が居なくなってから行動を開始するつもりだったが……
それでは日が暮れてしまうのでグリフォンに騎乗し、出撃。飛行しつつ、地上の巨人に対し魔法攻撃を放つ。
●
兵庫機、敵を複数ある程度引き付け、【スキルリンカー】による【薙ぎ払い】を使用。一度になるべく多くの敵を斬り刻む。
そして。
「……俺の命を貸してやる。存分に力を振るえ、【烈風】」
【人機一体】を使用。
オーラに包まれた兵庫機は斬機刀『建御雷』を両手で構え、一気に踏み込む。
――斬。太刀をこちらに向けて振り被っていた巨人が倒れ、黒い霧となって霧散した……。
「そのバカさ加減に敬意を表しこっちも身体張って止めるぜ!」
デスドクロは満身創痍になりながらも太刀の切っ先を向けて突撃して来る巨人を、その機体で受け止める。
無論、刃は反らしたが……。巨人と密着し、揉み合いとなる。
「グーハハハ! いいぞ巨人共、そうこなくちゃ張り合いがねぇ!」
巨人を蹴り飛ばし、少し距離を離してから機棍『プリスクス』を振り被り、度重なる砲撃で脆くなっていたヘルメットを叩き割る。
「グハハハ! 逝っちまいな!!」
殴られてピヨリ状態の巨人を……今度は思い切り横殴りにする。ゴキリ! と嫌な音。
巨人は倒れ、間もなく黒い霧となって消えた。ボロボロの防具と装備だけが残る……。
惣助機はランスカノン『メテオール』を持ち、穂先による突きで巨人の脚や手を積極的に狙っていく。
敵が転倒したり、武器の取り落としたりすれば儲け物、特に盾は優先的に排除したかったが。
腕や手も頑強に防護されており、何度も突かねば致命傷は与えられなかった。
武器を失った敵には集中攻撃を浴びせ、撃破する。序盤の一斉掃射と、これまでの仲間の攻撃で、もう無傷の敵は居ない。
胴体のアーマーがボロボロになった巨人を見つけると、素早く接近し惣助機はランスカノン『メテオール』の穂先を勢い良く突き指し、そのまま砲撃。
内部から攻撃を与え、撃破する。その後【アサルトダイブ】を使用。近くの敵に急接近し、同時にランスカノンの鋭い突きの一撃を喰らわす。
***
キヅカ機、状況は乱戦。彼は左右の砲を連続で放ち、砦に向かって抜けようとする敵を最優先で撃破する。
「敵もなかなか諦めてくれないな……」
戦闘も大詰め。敵味方共にそれなりに消耗している。キヅカ機も例外ではなく何度か被弾していた、斬艦刀『雲山』で防いではいたが。
リロードはアニス機と交互に行い、隙を埋めた。近接戦は自分が請け負い、アニス機を守る。
斬艦刀『雲山』を用い、出来るだけ首や手首……武器を使用する場所や致命傷を与えられる部位を狙って刀の突きを繰り出す。
「もう少しだと思いたい……が」
アニス機。接近する敵はキヅカ機に任せ、ミサイルランチャー『アフリクシオン』の射程内の敵をロックオン。
一斉発射し、一撃を入れておく。その後、キヅカ機と連携して砲撃を加え、撃破。
適宜【アクティブスラスター】を使用して距離を取り、最低射程維持。
***
既に乱戦状態のため、水月機はパイルバンカー『フラクタリング』を主兵装にして戦闘。
ボロボロのアーマー……弱った巨人の胴体に杭を打ち込み、撃破。
☆ルネのおきをつけメモ
『あくまでおたすけーだから、敵の注意を惹きすぎるのはかんがえものね』
『みかたのぴんちに、ふいうちえんごしゃげきにつとめるのよ』
『てきのショットガンは散弾の為、とらっくの車高の低さが活かせないかも……流れ弾も怖いねー……』
『近づかない・ねらわれないよーにきをつけるに、越した事はないね』
魔導トラックのハンドルを握るルネは水月機の傍でおきをつけメモ通りに行動する。
***
ワイバーンに騎乗する旭。乱戦になり、敵の対空砲火が薄くなってきた。好機と見た彼は一気に上空へ上がる。
――敵の頭上から急降下し、ファイアブレスを叩き込む。火炎弾が着弾し、爆発。
そして。固まっている敵には【ライフリンク】でバリアを張ったワイバーン『ロジャック】に、【レイン・オブ・ライト】を使用させる。
チャージしたマテリアルが無数の光線となって放出し、降り注ぎ、攻撃と共にかく乱。注意を引かせ、それに紛れて地上へ勢いをつけてダイブ!
「ちっとばかし乱暴に行くぜ! 俺自身が爆弾の空襲だ!」
旭は霊闘士の奥義【現界せしもの】を使用した上で、【轟然たる大竜巻】を発生させ、周囲の敵を薙ぎ払う!
《もはや誰にも止められない竜巻の如く》
***
グリフォンに騎乗するフェリア。こちらも上空を飛行中。
敵陣の後方に回り込み、敵の布陣を再度見とる。――既に乱戦状態。
味方が砦に近づこうとする敵を片っ端から攻撃し、撃破しているところだった。
フェリアは自分も攻撃に加わろうと判断。敵に接近しグリフォン『エアリアル』に【フライングファイト】を使用させ、警戒態勢。
敵最後尾に対し【ファイアーボール】を放ち、ダメージを与えると共に混乱を狙う。
続いて味方近くの敵集団へ【ブリザード】を放ち、行動を制限。乱戦状態のため、これ以上の範囲魔法は下手に打てない……。
フェリアは上空警戒に当たりつつ、孤立している敵が居ないか探した。
***
グレートソード『エッケザックス』で近接格闘戦を行う セレスティア機。
避けられない敵の攻撃に対しては【マテリアルカーテン】にて対処。近くの仲間が攻撃を受けそうな場合にも使用。
その後、一旦距離を取り、ロングレンジマテリアルライフルを構え【マテリアルライフル】による掃射を積極的に行う。
コーネリアは敵が減って来たため、CAMのコクピットハッチを開き、生身を晒し、重機関銃『ラワーユリッヒNG5』を構えて掃射。
――ここからが彼女。【コンバージェンス】と併せた【ハウンドバレット】による攻撃を行う。
「ここからが本番だ。この手で直に扱う銃ほど信頼に足りるものはない」
更に【フローズンパニッシャー】を使用。冷気に還元したマテリアルを弾丸に集束させて撃ち出し、行動阻害を狙う。
その上、【キラースティンガー】で追い打ち。弾丸に高濃度のマテリアルを纏わせ、高速回転させながら射出、敵を貫く。
銃口付近から赤い稲妻状の閃光が奔った――。
その後は敵との距離が詰まる毎にCAMを動かして後退し、猛烈な攻撃を続けた。
***
アルト機、ナイフを構えた巨人に、ハンマーの内側に潜り込まれる。
「なん……だと……?」
焦った様子を見せつつ、片手をハンマーから離し【錬機剣『YUKIMURA』】を起動。
形成された光の刃・マテリアルブレードで切り払い、【アクティブスラスター】により、一旦距離を取る。
そしてアルトは【人機一体】を使用。それから【アグレッシブ・ファング】を起動。
「俺の埴輪を甘く見ないで貰おうかね、と。人機埴輪一体、出力最大で叩き潰させて貰うさね!」
敵に再度接近し、機鎚『バタリングラム』を大きく振り被り、上段からの強烈な一撃を見舞う。
一体撃破。巨人は霧散。それからアルト機は突破しようとする敵へ【アクティブスラスター】を使用し、急行。
「おっと、俺達を無視して後ろに行くのは頂けないねぇ。後ろと遊びたいならまず俺達を満足させて欲しい所だな、と」
追い縋り機鎚『バタリングラム』を振り、叩き付け、砦から距離を離す。
ゾファル機はわざわざ敵が包囲し易いように誘導し、後続の味方が敵の背後を取れるように動く。
これはいつもゾファルが生身戦闘時にやっている喧嘩殺法らしい。
「天網恢恢疎にして漏らさず、聖天大聖ゾファルちゃんたぁ、俺様ちゃんの事じゃん」
大見得きっていい気分。
脚のアーマーが剥がれた巨人を見つけるとローキックをかまし、転倒したところに【一打撃砕「星砕き』】を叩き付け、撃破。
***
「しつこい奴らめ! 行くぞ! せやあああ!!」
南護機は斬機刀『轟劾』を横薙ぎにし、負傷した巨人へ斬撃を加え、撃破。すると――
巨人が進攻してきた方角、マギア砦の北のほうから花火――ではなく信号弾らしきものが上がった。同時に爆音も轟く。
それを見聞きした残存の巨人達は反転、撤退を開始……。
その様子を上空から観察していた旭。
「壊走とかならいいけど、しっかり動くなら……数揃えて来られたらヤベーってことだよな」
敵は綺麗に列を揃えて後退していく……。
こうしてマギア砦防衛戦は無事に完了。砦の壁面に流れ弾数発が着弾していたが修復は容易だ。
***
戦闘後、生命力が減少したハンターへ【ヒール】を掛け終えたルネは水月を発見し、彼の元へ。
水月に褒めて貰う為、彼に抱き付いて頭をすりすり。
そんな水月はルネの頭を撫でながら、
「お疲れ様でした。ルネさん、なかなかの活躍でしたね。でも……ルネさんの魔導トラックは単独行動が向いているとは言え、今回は少し危なかったです」
「うん、ごめん。みず、きー」
「次はあまり離れないで、僕と一緒に戦いましょうね」
水月は微笑み、ルネの頭をもう一度優しく撫で撫で。
***
戦闘が終了した戦場……。あちらこちらに巨人の防具や武器が散乱している……。
巨人を倒せば本体は消えるが装備は残る。
それを回収しに来たのは、キヅカと南護であった。わざわざこの為に損傷した機体を応急修理したのだ。
……必要な分だけ回収し、砦へ戻る……。
巨人の装備、特に銃器はどこが出元でどの技術レベルを有しているのか、この辺りを明確にするとともに、向こうに生産技術があるのか。
キヅカはそれを調べたかった。
(なければ仕入れ元が存在する為、そこを先に叩く必要がある)
南護も流出元を調べたいらしい。……だが、この場で解析出来るわけもなく。
回収した巨人の装備は連合軍へ引き渡し、調査して貰う事となった。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談用スレッド デスドクロ・ザ・ブラックホール(ka0013) 人間(リアルブルー)|34才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2018/04/20 06:35:19 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/04/18 17:58:09 |