ゲスト
(ka0000)
【RH】ハーメルンの笛吹き男
マスター:WTRPGマスター
このシナリオは5日間納期が延長されています。
オープニング
「すまぬ。未だ、行方を掴む事ができておらぬ」
ラズモネ・シャングリラのブリッジに響く少女の声。
ムーンリーフ財団総帥トモネ・ムーンリーフの声は、年齢に比して疲れを帯びていた。
ランカスターで遭遇した慈恵院明法と名乗る歪虚は、ハンターの追撃を躱して逃走。
現在も財団と統一地球連合宙軍が必死で捜索を行っているものの、現在も行方は掴めていない。それどころか、失踪した強化人間達の姿も一向に発見できていない。
「謝罪をするのはこちらの方ザマス。ハンターの皆さんにも協力をいただいているザマスが、見つけられず申し訳ないザマス」
艦長の森山恭子(kz0216)のトーンも心なしか低い。
目撃情報があるにも関わらず、あるタイミングを境に完全に消息を絶ってしまう。その理由はまったく見えず、捜索の手掛かりは確実に減っている。
再び姿を現せば追撃も可能だが、もしそこで逃げられでもすれば……。
「気に病む事は無い。あの子達の事を考えて、必死に捜索をしてくれている。私も、そなたらもな」
トモネの優しい言葉も、今は空しい。
戦闘の果てに、保護をしても子供達は昏睡状態。
あのアスガルドで目撃した笑顔も笑い声も、耳にする事はできない。
「しかし、一体どこへ消えたんだ? あの仏像はともかく、あれだけの数の強化人間がいるなら、大きな輸送手段が無ければ無理だ。まさか、クリムゾンウェストへ転移しているのか?」
山岳猟団の八重樫 敦(kz0056)は、腕を組みながら思案する。
明法が乗っていた如意輪観音だけではなく、明法の近くには相当な人数の強化人間がいたはずだ。それがある程度の痕跡は残しているものの、ぷっつりと消息を絶っている。
八重樫はクリムゾンウェストでの転移を考えたのだが、それとも恭子によってすぐに否定されてしまう。
「それでしたら、あちらの連合軍の方々が連絡をくれるザマス。ヴェルナー様があたくしに熱い連絡を……」
「なんだよ、熱い連絡って。ホットコーヒーみたいなもんか?
それにしても、本当に何処へ行ったんだろうな。宇宙の果てにでも消えているのかねぇ」
ドリスキルが冗談めかした発言を口にする。
だが、その言葉にトモネが素早く反応する。
「果て……」
「おいおい、本当に宇宙にいるとかじゃねぇだろうな?」
「いや。違う逆だ。宇宙からの侵攻や異世界の存在で忘れていた。捜索すべき場所はまだあった。……海の中だ」
トモネの一言で一堂は、ふと気付いた。
強化人間の捜索で足取りが消えたのは、決まって沿岸部だった。
更に海の中ならば、巨大な船が存在しても簡単には見つからない。如意輪観音などという巨大な歪虚CAMを作る相手だ。そのような船を作っていてもおかしくはない。
「確かに、それならあり得るザマス! 早速、連合宙軍に打診して……」
「艦長!」
恭子の言葉を遮って、ラズモネ・シャングリラのブリッジでオペレーターの声が木霊する。
振り返る恭子。
「なんザマス?」
「如意輪観音と思しき機体が目撃されました。テムズ川河口です。それだけじゃありません!」
オペレーターの声と同時に、モニターに映し出される光景。
そこには如意輪観音の横でアンコウの模した巨大潜水艦が両岸を削り取りながら、無理矢理テムズ川を遡上している。
映し出される異様な光景にドリスキルも唖然とする他無い。
「なんだよありゃ」
「まずいぞ。あの連中がテムズ川を遡れば、ロンドン市内に到達するぞ」
「え! そんなのが来ればロンドンは滅茶苦茶になるザマス」
川を遡上するだけでテムズ川を削り続ける巨大潜水艦。あの如意輪観音と同行している以上、相応の火力を有していると考えるべきだろう。
そんな存在が行けばロンドンしないがどうなるか、想像するだけで恐ろしくなる。
だが、それだけではない。
「艦長! 連合宙軍から入電です。テムズ川沿岸地域で強化人間が多数出現。破壊活動を繰り返しています」
「な、なんザマスってーー!?」
驚嘆する恭子。
次々と発生する事態に対応が追いついていない。
「艦長! 外部からの通信です」
「出すザマス!」
恭子の指示で映し出されたのは、先日ランカスターで遭遇した明法の姿であった。
「無駄に生を貪っているようだな」
「貴様」
八重樫がモニターを睨み付ける。
この騒ぎの元凶がわざわざラズモネ・シャングリラへ通信を入れたのだ。当然の反応だろう。
だが、この事は明法も織り込み済みだ。
「強化人間に新たなる使命を与えた。ロンドンの街を破壊して、自らの存在を示せと」
「そんな事をすれば、強化人間の皆さんの立場はますます悪くなるザマス!」
「逆だ。今のままでは人間に使われるだけの人形ではないか。人間の代わりに戦う駒に過ぎない存在だ。その過ちを否定する為には、ロンドンという大型都市を徹底的に破壊する。
そうしなければ、貴様等人間は理解せんだろうからな」
「勝手な言い分だな」
ドリスキルは吐き捨てた。
言い方を変えているが、要するに強化人間を使ってロンドンを破壊する。
それだけの事だ。
「何とでも言うがいい。もう既に解脱は始まっている。止められるものなら、止めてみるがいい」
その言葉を残して、明法は通信を一方的に打ち切った。
強化人間がロンドン市内で破壊活動を行っていた事が市民に広まれば、強化人間達を見る目が変わる恐れもある。明法が原因とはいえ、世間はそう簡単に納得してくれない。早めに強化人間を止める必要もある。
「議会と警察は私に任せておけ。連合宙軍も何とかしてみよう。お前達は、奴らを止めるのだ。絶対にイギリスへ行かせてはならんぞ」
そう言い残して、トモネはモニターの電源を切る。
それを見届けたドリスキルは早くもヨルズが待つドックへ歩み始めていた。
「ガキ共との約束を果たす絶好の機会だ。ヨルズ、クソ坊主の度肝を抜かしてやろうぜ」
既に敵が先んじて動き出した。
動き出した巨大潜水艦は、止まる事なくテムズ川を遡上する。
破壊を司る巨大な塊がロンドン市内を強襲するまで――もう時間は残されていない。
ラズモネ・シャングリラのブリッジに響く少女の声。
ムーンリーフ財団総帥トモネ・ムーンリーフの声は、年齢に比して疲れを帯びていた。
ランカスターで遭遇した慈恵院明法と名乗る歪虚は、ハンターの追撃を躱して逃走。
現在も財団と統一地球連合宙軍が必死で捜索を行っているものの、現在も行方は掴めていない。それどころか、失踪した強化人間達の姿も一向に発見できていない。
「謝罪をするのはこちらの方ザマス。ハンターの皆さんにも協力をいただいているザマスが、見つけられず申し訳ないザマス」
艦長の森山恭子(kz0216)のトーンも心なしか低い。
目撃情報があるにも関わらず、あるタイミングを境に完全に消息を絶ってしまう。その理由はまったく見えず、捜索の手掛かりは確実に減っている。
再び姿を現せば追撃も可能だが、もしそこで逃げられでもすれば……。
「気に病む事は無い。あの子達の事を考えて、必死に捜索をしてくれている。私も、そなたらもな」
トモネの優しい言葉も、今は空しい。
戦闘の果てに、保護をしても子供達は昏睡状態。
あのアスガルドで目撃した笑顔も笑い声も、耳にする事はできない。
「しかし、一体どこへ消えたんだ? あの仏像はともかく、あれだけの数の強化人間がいるなら、大きな輸送手段が無ければ無理だ。まさか、クリムゾンウェストへ転移しているのか?」
山岳猟団の八重樫 敦(kz0056)は、腕を組みながら思案する。
明法が乗っていた如意輪観音だけではなく、明法の近くには相当な人数の強化人間がいたはずだ。それがある程度の痕跡は残しているものの、ぷっつりと消息を絶っている。
八重樫はクリムゾンウェストでの転移を考えたのだが、それとも恭子によってすぐに否定されてしまう。
「それでしたら、あちらの連合軍の方々が連絡をくれるザマス。ヴェルナー様があたくしに熱い連絡を……」
「なんだよ、熱い連絡って。ホットコーヒーみたいなもんか?
それにしても、本当に何処へ行ったんだろうな。宇宙の果てにでも消えているのかねぇ」
ドリスキルが冗談めかした発言を口にする。
だが、その言葉にトモネが素早く反応する。
「果て……」
「おいおい、本当に宇宙にいるとかじゃねぇだろうな?」
「いや。違う逆だ。宇宙からの侵攻や異世界の存在で忘れていた。捜索すべき場所はまだあった。……海の中だ」
トモネの一言で一堂は、ふと気付いた。
強化人間の捜索で足取りが消えたのは、決まって沿岸部だった。
更に海の中ならば、巨大な船が存在しても簡単には見つからない。如意輪観音などという巨大な歪虚CAMを作る相手だ。そのような船を作っていてもおかしくはない。
「確かに、それならあり得るザマス! 早速、連合宙軍に打診して……」
「艦長!」
恭子の言葉を遮って、ラズモネ・シャングリラのブリッジでオペレーターの声が木霊する。
振り返る恭子。
「なんザマス?」
「如意輪観音と思しき機体が目撃されました。テムズ川河口です。それだけじゃありません!」
オペレーターの声と同時に、モニターに映し出される光景。
そこには如意輪観音の横でアンコウの模した巨大潜水艦が両岸を削り取りながら、無理矢理テムズ川を遡上している。
映し出される異様な光景にドリスキルも唖然とする他無い。
「なんだよありゃ」
「まずいぞ。あの連中がテムズ川を遡れば、ロンドン市内に到達するぞ」
「え! そんなのが来ればロンドンは滅茶苦茶になるザマス」
川を遡上するだけでテムズ川を削り続ける巨大潜水艦。あの如意輪観音と同行している以上、相応の火力を有していると考えるべきだろう。
そんな存在が行けばロンドンしないがどうなるか、想像するだけで恐ろしくなる。
だが、それだけではない。
「艦長! 連合宙軍から入電です。テムズ川沿岸地域で強化人間が多数出現。破壊活動を繰り返しています」
「な、なんザマスってーー!?」
驚嘆する恭子。
次々と発生する事態に対応が追いついていない。
「艦長! 外部からの通信です」
「出すザマス!」
恭子の指示で映し出されたのは、先日ランカスターで遭遇した明法の姿であった。
「無駄に生を貪っているようだな」
「貴様」
八重樫がモニターを睨み付ける。
この騒ぎの元凶がわざわざラズモネ・シャングリラへ通信を入れたのだ。当然の反応だろう。
だが、この事は明法も織り込み済みだ。
「強化人間に新たなる使命を与えた。ロンドンの街を破壊して、自らの存在を示せと」
「そんな事をすれば、強化人間の皆さんの立場はますます悪くなるザマス!」
「逆だ。今のままでは人間に使われるだけの人形ではないか。人間の代わりに戦う駒に過ぎない存在だ。その過ちを否定する為には、ロンドンという大型都市を徹底的に破壊する。
そうしなければ、貴様等人間は理解せんだろうからな」
「勝手な言い分だな」
ドリスキルは吐き捨てた。
言い方を変えているが、要するに強化人間を使ってロンドンを破壊する。
それだけの事だ。
「何とでも言うがいい。もう既に解脱は始まっている。止められるものなら、止めてみるがいい」
その言葉を残して、明法は通信を一方的に打ち切った。
強化人間がロンドン市内で破壊活動を行っていた事が市民に広まれば、強化人間達を見る目が変わる恐れもある。明法が原因とはいえ、世間はそう簡単に納得してくれない。早めに強化人間を止める必要もある。
「議会と警察は私に任せておけ。連合宙軍も何とかしてみよう。お前達は、奴らを止めるのだ。絶対にイギリスへ行かせてはならんぞ」
そう言い残して、トモネはモニターの電源を切る。
それを見届けたドリスキルは早くもヨルズが待つドックへ歩み始めていた。
「ガキ共との約束を果たす絶好の機会だ。ヨルズ、クソ坊主の度肝を抜かしてやろうぜ」
既に敵が先んじて動き出した。
動き出した巨大潜水艦は、止まる事なくテムズ川を遡上する。
破壊を司る巨大な塊がロンドン市内を強襲するまで――もう時間は残されていない。
リプレイ本文
該当リプレイは以下のURLの特設ページで公開されております。
http://www.wtrpg10.com/event/cp042/opening
http://www.wtrpg10.com/event/cp042/opening
依頼結果
依頼成功度 | 成功 |
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参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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質問卓 鬼塚 陸(ka0038) 人間(リアルブルー)|22才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2018/05/22 21:59:46 |
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選択肢2:エリュマントス破壊 鬼塚 陸(ka0038) 人間(リアルブルー)|22才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2018/05/24 03:12:56 |
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選択肢3:強化人間対応 鬼塚 陸(ka0038) 人間(リアルブルー)|22才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2018/05/24 18:11:45 |
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選択肢1:如意輪観音対応 鬼塚 陸(ka0038) 人間(リアルブルー)|22才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2018/05/21 21:13:12 |
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選択肢表明卓 鬼塚 陸(ka0038) 人間(リアルブルー)|22才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2018/05/22 11:04:27 |
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選択肢表明卓2 ヴァイス・エリダヌス(ka0364) 人間(クリムゾンウェスト)|31才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2018/05/23 01:00:07 |
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選択肢1:如意輪観音対応その2 ひりょ・ムーンリーフ(ka3744) 人間(リアルブルー)|18才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2018/05/24 10:25:06 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/05/22 00:29:00 |