ゲスト
(ka0000)
最果ての風景
マスター:坂上テンゼン

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/06/19 12:00
- 完成日
- 2017/06/25 20:31
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●暗い記憶の断片
闇の中で、燐光だけが輝いていた。
丘のようにうずたかく積み上げられたものがある。人の骸だ。
四つん這いになった骸骨が、その上で笑っていた。
"彼"はそんな光景を見た。
夢なのか現なのかは定かではない。
ただそれを見ていた。
そして自問する。
(自分は果たして骸だったのか、骸骨だったのか――)
どこかをさまようように歩いた。
とても暗く、狭い道だった。
なぜここにいるのか、歩いているのかは思い出せない。
ただ、絶望的な状況にあったことは覚えている。
しかし、すでに脱しているという実感があった。
その他には何も覚えていなかった。
気が付くと天には月が出ていた。
何かを求めるように歩いた。
それが何なのかはわからなかった。
どれほど歩いたのか、考えもしなかったが、やがて、火が上がっているのを見つけた。
村が山賊に襲われていた。
何か感じるものがあって、近づいて見てみた。
そこにあったのは理不尽な暴力によって一方的に弱者が蹂躙される光景だった。
そこで、彼は思い出した。
自分はかつて、歪虚という脅威から人類を守る存在――覚醒者にしてハンターだったことを。
その時になって気づいたことだが、彼は徒手空拳ではなかった。その手には剣があり、自分の体の一部のように馴染んでいた。束にはめられているデバイスは、機導術を行使するためのものだった。
衝動的にデバイスを起動させた。
剣を起点に術式が展開される。
マテリアルがエネルギーに変換され、それは光となって飛んだ。
三本に分かれた光が、村を襲う山賊達をそれぞれ貫いた。山賊達は火花を散らし、肉が焼ける臭いとともに、煙をあげて倒れ伏す。
異変に気づいた山賊の一人が問いただす。
何だてめえは、と。
答えは得られることなく、光――デルタレイによってその山賊もまた地に伏した。
戦いになった。
結果として、蹂躙していた者達はことごとく蹂躙される末路となった。
覚醒者などいない、止むに止まれぬ事情があって凶行に走っただけの、素人の集団にすぎなかった。
助けられた形になった村人達の、一人が言った。
ありがとうございます。
あなた様はどなた様で……。
次の瞬間、村人は斬り伏せられていた。
『殺さなければいけない』
理由もわからずそう思えた。
だがその理由はすぐに思い当たった。
そう思うのが自然な存在を、彼はよく知っていたから。
自分がそれになったのだとしたら、説明がつく。
彼には断片的な記憶しかなく、自分が何者なのか忘れていたが、そう考えたら自分が何者なのか――否、何者になったのか、すぐに思い至った。
「フェレライ――」
(――それが、俺の名だ)
あとは一方的な殺戮があるのみ。
暴食の名の下に、それは行われた。
やがて、その村に生きている人間は、完全にいなくなった。
無数の骸が横たわる地面を月光が照らしていた。
ただ一人立つ彼は、その時になってようやくわかった――
あの時、自分は骸の一つだった。
そして、あの骸骨にこれからなるのだと。
●レッドバックの地下研究所
レッドバックには歪虚の協力者が何体かいる。
レッドバックから生物を提供され、契約を行って歪虚とするのがそれらの仕事だ。
そうして出来上がった歪虚はその内何割かがレッドバックの実験体となる取り決めである。
そのうちの一体である、さる暴食の歪虚から、「契約済みの歪虚が一体逃げ出した」と聞かされた。
瀕死になった機導師を引き渡したことを思い出す。
レッドバックは管理のずさんさを苦々しく思いながらもすぐさま探しにいくことにした。
主の方針を思えば、戦力はこれから必要となる。
最悪、退治されるとしても、戦闘記録だけでもとりたい。
だが、不思議とそう悪い気分ではなかった。
合理的でこそないが、必ずしも意思に反するものではない。
歪虚を一人野に放った――
そう考えるならば。
闇の中で、燐光だけが輝いていた。
丘のようにうずたかく積み上げられたものがある。人の骸だ。
四つん這いになった骸骨が、その上で笑っていた。
"彼"はそんな光景を見た。
夢なのか現なのかは定かではない。
ただそれを見ていた。
そして自問する。
(自分は果たして骸だったのか、骸骨だったのか――)
どこかをさまようように歩いた。
とても暗く、狭い道だった。
なぜここにいるのか、歩いているのかは思い出せない。
ただ、絶望的な状況にあったことは覚えている。
しかし、すでに脱しているという実感があった。
その他には何も覚えていなかった。
気が付くと天には月が出ていた。
何かを求めるように歩いた。
それが何なのかはわからなかった。
どれほど歩いたのか、考えもしなかったが、やがて、火が上がっているのを見つけた。
村が山賊に襲われていた。
何か感じるものがあって、近づいて見てみた。
そこにあったのは理不尽な暴力によって一方的に弱者が蹂躙される光景だった。
そこで、彼は思い出した。
自分はかつて、歪虚という脅威から人類を守る存在――覚醒者にしてハンターだったことを。
その時になって気づいたことだが、彼は徒手空拳ではなかった。その手には剣があり、自分の体の一部のように馴染んでいた。束にはめられているデバイスは、機導術を行使するためのものだった。
衝動的にデバイスを起動させた。
剣を起点に術式が展開される。
マテリアルがエネルギーに変換され、それは光となって飛んだ。
三本に分かれた光が、村を襲う山賊達をそれぞれ貫いた。山賊達は火花を散らし、肉が焼ける臭いとともに、煙をあげて倒れ伏す。
異変に気づいた山賊の一人が問いただす。
何だてめえは、と。
答えは得られることなく、光――デルタレイによってその山賊もまた地に伏した。
戦いになった。
結果として、蹂躙していた者達はことごとく蹂躙される末路となった。
覚醒者などいない、止むに止まれぬ事情があって凶行に走っただけの、素人の集団にすぎなかった。
助けられた形になった村人達の、一人が言った。
ありがとうございます。
あなた様はどなた様で……。
次の瞬間、村人は斬り伏せられていた。
『殺さなければいけない』
理由もわからずそう思えた。
だがその理由はすぐに思い当たった。
そう思うのが自然な存在を、彼はよく知っていたから。
自分がそれになったのだとしたら、説明がつく。
彼には断片的な記憶しかなく、自分が何者なのか忘れていたが、そう考えたら自分が何者なのか――否、何者になったのか、すぐに思い至った。
「フェレライ――」
(――それが、俺の名だ)
あとは一方的な殺戮があるのみ。
暴食の名の下に、それは行われた。
やがて、その村に生きている人間は、完全にいなくなった。
無数の骸が横たわる地面を月光が照らしていた。
ただ一人立つ彼は、その時になってようやくわかった――
あの時、自分は骸の一つだった。
そして、あの骸骨にこれからなるのだと。
●レッドバックの地下研究所
レッドバックには歪虚の協力者が何体かいる。
レッドバックから生物を提供され、契約を行って歪虚とするのがそれらの仕事だ。
そうして出来上がった歪虚はその内何割かがレッドバックの実験体となる取り決めである。
そのうちの一体である、さる暴食の歪虚から、「契約済みの歪虚が一体逃げ出した」と聞かされた。
瀕死になった機導師を引き渡したことを思い出す。
レッドバックは管理のずさんさを苦々しく思いながらもすぐさま探しにいくことにした。
主の方針を思えば、戦力はこれから必要となる。
最悪、退治されるとしても、戦闘記録だけでもとりたい。
だが、不思議とそう悪い気分ではなかった。
合理的でこそないが、必ずしも意思に反するものではない。
歪虚を一人野に放った――
そう考えるならば。
リプレイ本文
●出立
「はっはっは、戦いたくてもスキルが使えん腕も上がらん。今回はサーチ&ラン(見敵逃走)の情報収集のみに務めさせて貰おう」
そう言ったルベーノ・バルバライン(ka6752)は重傷を負っていた。常に万全の状態で事に望めるとは限らないのがハンターである。
戦えなくてもギャラは一緒とか言いつつも、彼は自分に出来ることはしようと歪虚に壊滅させられたという村へと先行した。
……
暗闇のなか踏み込む危険を避け、ハンターの一行は夜明け頃に件の村に到着した。
不気味なまでの静寂が支配していたが、時折呻き声のような声が聞こえてくる。
一行は、その時は誰も口を開こうとしなかった。
そしてルベーノと合流した。
得られた情報というと……
・村はゾンビだらけ
・生きてる人間の姿は見えない
以上であった。
「それは確かに壊滅だねー……」
セレス・フュラー(ka6276)は、『どうせならもっと早く依頼があれば』と思うのだった。そして故郷の事を思う。
いつ滅んでもおかしくない。他人事ではなかった。
「それでも、全滅と決まったわけではないからのう」
バリトン(ka5112)は、顎鬚を撫でながら思案する。壊滅と言うのは、あくまでも外から見た情報である。
「じゃあっ、早く解決しないと!」
「ミコ、落ち着いてね」
意気込むミコト=S=レグルス(ka3953)にルドルフ・デネボラ(ka3749)が声をかける。
ミコトはルドルフに「大丈夫」と頷くのだった。
ルドルフが思っているよりも、この幼馴染は落ち着いている。
「焦りは禁物だ。討ち漏らして……逃げられでもしたら洒落にならないからね」
年若いハンターを諫めるように、実年齢は見た目よりも上な仁川 リア(ka3483)が言った。
一行は早速、探索を開始した。
戦闘に支障のあるルベーノを残し、3手に分かれて村中を探索する。
「生きている者はおるかー! 生きていたら返事をしろー!」
C班ではバリトンが拡声器を使って呼びかけていた。しかし、それに応えたのは損傷の激しい歩く骸ばかりであった。
(一体何が……ともかく、一刻も早くかれらに安寧をもたらさなければ……)
同行する鳳城 錬介(ka6053)は心を痛めつつも、向かってくる死体達に対応する。その様子から、襲撃を受けたのちに歪虚に転化したと推測できた。
この時、バリトンの声は村中に響き渡っていた。
(視線……?)
A班として行動するヴィリー・シュトラウス(ka6706)は自らが感じたものを同じ班のセレスに告げる。
セレスは唇に人差し指を当て、近くの民家に当たりをつけ、それとなく扉に近づくよう促した。
二人で扉の両側に張り付き、合図して一斉に開いた。
「ハンターか。わかっちゃいたが」
独り言のような言葉を二人は聞いた。
●発見
「人……? いや、違う」
ヴィリーは一瞬判断を迷った。それほどに、そこにいた存在には人間の特徴があった。だが、その血の気の引いた肌……おびただしい返り血の付いた服……抜き身の剣……なにより負のマテリアルの気配……。
少なくとも、見過ごせはしなかった。
「悪いな、ただ消されるつもりはない」
「知性があるってことは七眷族?!」
一瞬で飛び退くセレス。無線機を口元に運ぶ。ヴィリーもそれに続いた。だが中にいた存在――歪虚の方が一瞬早く、剣から発した光線が二人に炸裂する。
「まずい! 二人じゃとても……」
「逃げるよ!」
二人は視線を遮りながら逃げる。無線で仲間に連絡するのも忘れない――強敵を発見、村の広場に誘導すると。
「大丈夫ですか! すぐに治療します!」
広場に走りこんできた二人に錬介が駆け寄り、スキルによる治療を試みた。
歪虚もすぐに広場に姿を現した。
「あれが敵?!」
「でも、あれは――」
ミコトとルドルフは一瞬迷う。ヴィリーとセレス同様に。
その人間のようなものには表情があった。視線には理性すら伺える。
だが、同じほどに不浄で、危険であると感じられた。
「ああ、なるほど……そういう事でしたか」
「説明はいらないらしいな」
錬介の、確認するように出した言葉に、歪虚が返した。
歪虚は攻撃せず、言葉を続けた。
「言葉を交わす暇を惜しむほど、野暮じゃない……」
「この村は……あなたが?」
ルドルフが聞いた。
「そうだ。俺がやった」
「でも、あなたは……意識がはっきりして落ち着いているように見えます。どうしてこんな事を……」
「落ち着いたのはついさっきだがな……理由なら、お前達にもわかるはずだ。
『歪虚は生者を苛む』」
間があった。
その言葉の意味するところを知り、衝撃を受けるだけの間が。
「なぜこの村を襲った?」
バリトンが訊いた。
「偶然目に付いたからだ。目について……『殺さなければいけない』と思った」
歪虚は抑揚のない声で応えた。
自嘲的と、見えなくもなかった。
「何者かの差し金か。おぬし、誰の手の者――誰と契約した?」
「さあな……どうにもその辺記憶がはっきりしねえ……だが契約があったのは確からしい」
「では、自ら墜ちたわけではないと?」
「曖昧だが殺されかけた記憶がある。どうやらその線じゃなさそうだ」
ヴィリーは歪虚の言葉に注意深く耳を傾け、記憶に刻み込む。断片的でも生前の記憶を少しでも拾うことが彼への弔い、そしてこの深い闇への手がかりと信じて――
「おまえは、自分が何者だったのか覚えているのか?」
あくまでも『敵』として相対し、問う。そうしなければ戦いの中で非情になれないかもしれないから。
「さあな……良く覚えていねえ……
だが覚えていたとしても、それは既に俺じゃないんだろう」
(こんな風に会話していても。
もう……別物だというのか)
ヴィリーは相手と自分を隔てる壁を、確かに感じた。
やがてハンターの方から言葉を発する者がなくなると歪虚は語った。
「さて……何人かにはもう言ったが、『黙って消されるつもりはない』」
そして、下ろしていた剣を再び構える。
「こうなった以上、俺にできるのは、これ以上の犠牲が増える前に楽にしてあげる事だけです」
錬介は、呼応するように言って杖を構える。
「もう、元に戻る可能性がないなら……ここで倒してあげないと……きっと辛いですよ、ね」
ミコトは沈痛な面持ちでそう言いながらも、剣を構えた。
「……だろうな。俺はお前達を殺したくて仕方がない。そんな奴に出来る事なんてそう多くない」
二人の言葉に歪虚が、無感情に応えた。
「出来れば君みたいなのとは戦いたくなかったね。ただのハンター相手の方が殺しやすい」
そう言ったリアはすでに臨戦態勢だ。
目の前の存在が倒すべき敵であることを、誰よりも強く意識していた。
「気にするな。『俺達の仕事』はもともと命のやり取り……ハンター相手でも殺せるならなおさらな」
歪虚は、お喋りはここまでだという風に攻撃の態勢に移った。
●戦闘開始
「術式展開――運動強化」
先手を取ったのはハンター達だった。ルドルフが傍らのリアに運動強化をかける。
リアは高速の踏み込みから打ち込もうとする。
唸りをあげるソーブレードが歪虚を切り裂かんとする――まさにその瞬間、リアの視界は光に覆われた。
衝撃に襲われ、攻撃の勢いが殺がれたところに歪虚は剣を振るう。
――その刃が途中で巨大化した。
著しく重量を増した刃による横薙ぎをリアは脇腹に喰らい、吹っ飛ぶ。
「攻勢防壁からの、超重錬成――!」
ルドルフは気づく。己と同じ機導師のスキルだった。
ミコトが別の方向から斬りかかる。
歪虚はこれを受け止める。剣はすでに元に戻っていた。入れ替わるように位置を変える。
反撃に有利な位置取りをしようというのだ。
だが、歪虚はそこから飛び退いた。ヴィリーの放ったホーリーライトが通り過ぎていった。外れたが、ミコトヘの反撃の機会は潰した。
そこにバリトンが位置を調節した次元斬を打ち込む。歪虚はその一撃を捌ききれなかったが、勢いを殺すように後方に跳び、光の三角形を虚空に描いた。
すぐさまその頂点から発された三筋の光線がバリトン・ミコト・錬介に炸裂する。
そこに黒い影が走った。
セレスが放った投具が歪虚に突き刺さる。そして、投具に紐付けたマテリアルによって、セレス本人もまた肉薄していた。
セレスは続けざまに剣を振るい、しばし歪虚と打ち合う。
「皆さん! 回復します!」
錬介は前に出て、味方を回復するべくヒーリングスフィアを使う。
これを受けて立ち直ったリアとミコトはセレスに加勢すべく斬りかかる。
それを察知した歪虚はその場から離脱し、駆けた。
その前進を阻むべくバリトンが立ち向かう。
すれ違い様に繰り出される刃――
しかし、浅い。
歪虚の勢いは止まらない。
狙いは――錬介だ。
超重錬成によって巨大化した刃が振り下ろされる。
「ぐっ……う……!」
かろうじて防御の姿勢は取れるも、手痛い打撃を被る、錬介。
「くっ……こんな時に戦えんとはっ……!」
離れた所から戦いを見守っていたルベーノは感嘆していた。
それほどまでに、この歪虚は――強い。
「生きている間に会いたかったぞ」
バリトンは感嘆しつつも、錬介への追撃を阻むべく動く。
歪虚は錬介に狙いを定めたらしく、脚を使ってバリトンの狙いから逃れようとする。
だが、そこにヴィリーの放ったジャッジメントが打ち込まれた。
脚を殺される歪虚は代わりにデルタレイを錬介・バリトン・ヴィリーに向かって撃つ。
――光が弾けた。
防御障壁を纏ったルドルフが、錬介への軌道に割り込んでいた。錬介は無事だ。
歪虚は見えざる力によって引っ張られた。ミコトのファントムハンドが、錬介から歪虚を引き離すべく引いたのである。
「ミゼリアの憎しみ――喰らいなよ!」
そしてその先にはセレスが待ち構えている。一陣の風となって駆け抜けた時にはもう斬っている。その刃には毒が乗っていた。
だが、辛うじてこれに反応した。攻勢防壁が発動し、セレスを弾き飛ばす。
追撃のため超重錬成を撃とうとする歪虚。
しかし、その刃を振るうことは出来なかった。別の方向から斬りかかってきたリアの剣を防ぐ必要があったからだ。
リアは歪虚と鍔迫り合う。両者の視線が、熱く交差した。
(これは……もしかしたらあり得たかもしれない自分の姿)
リアは思う。力を得たいと思っていたかつての自分は、機会があれば歪虚と契約していたかもしれないと。
戦う相手は、もう一人の自分であると言えた。
だからこそ――
「君を倒して、僕は次のステージへの道を繋ぐ」
リアの剣が歪虚の剣を反らし、攻撃の機会を得る。
「炎刃一切……紅!!」
刃が直撃する瞬間、焔の煌めきが広がった――
●最果てのif
「みっともないもんだろ。こうなっても消えたくないと思っている……」
歪虚は燃えるようなマテリアルに身を焼かれて、それでもまだ立っていた。
「それでも、俺達はやられるわけにはいかないんです」
ルドルフが銃を構える。
「然り。容赦はできぬ」
バリトンが気を発する。
「繋がりを無くした君に、勝ち目はない」
リアが剣を構え直す。
「ここでお別れだよ」
セレスが投具を手にする。
「……最後まで……足掻くッ!」
果たして、歪虚は攻撃に転じた。
踏み込む歪虚。
ルドルフが銃の引き金を引き絞り、ヴィリーがホーリーライトを発した。
歪虚はそれらを受けながらも前進し、リアに斬りかかる。
超重練成。巨大化した刃が襲う。
リアは打ち合うことはせず避ける。
一歩。歪虚はそこから再び一撃を見舞おうとするが、一瞬の隙を縫って通り過ぎたセレスに脇を斬られる。
衝撃に仰け反る歪虚だがそれでも踏み止まる。
なおも闘志が失せぬのを見たバリトンは袈裟懸けの一撃を見舞い、返す刀で胴を薙いだ。
歪虚は完全に崩れ落ち、膝をついた。
「最期の願いだ。この戦いを誇らせてくれ」
歪虚は静かに言った。
すでに塵となって消えかけている。
「一体誰があなたをそんな風にしたんですか……!」
ミコトは歪虚に触れようと手を伸ばす。我知らず『深遠の声』を使おうとしていた。
しかし、歪虚は自ら口を開いた。
「……思い出した……
黒づくめの……女……
背中に……赤い模様……」
そこまで口にして、完全に消滅した。
錬介とヴィリーは死者の冥福を祈る。
歪虚となった男と、ここで死んだすべての者達のために。
もう二度と眠りが邪魔されることのないようにと。
静かな時間が流れた……。
そんな中、ミコトは思う。
(もし友達が歪虚になったら、その時は、倒してあげられるかな……
……ううん、そんな事になる前に、うちが必ず護るけど、ねっ)
そして、彼女の護りたい人達の一人であるルドルフの方を見ると、彼もまたミコトが何か考えているのを、見守っていた。
一方、セレスはこんな事を考えていた。
(自分が堕落者になるのなら……どうせなら家族で仲良く堕ちたいな。
歪虚シスターズ!
……うん、ないわ)
色々な意味で質が悪かった。
バリトンは生存者を探そうとその場を後にする。しかし、歪虚を死体から生み出す能力を持つ暴食の特性上、生存者がいるのは絶望的だった。山林など、村の外に逃げていれば可能性はあるかもしれないが……。
歪虚の持っていた剣も消えてしまった。
リアが見た所によるとそれは機剣と呼ばれる、魔導機械を柄に埋め込んだものだったが、それよりも歪虚の今際の言葉が気になっていた。
(なぜなら、僕はそれを見たことがある……)
「黒尽くめの女で背中に赤い模様……それはもしや、メフィスト配下で歪虚の強さと健康に全てを賭けると噂の【裸足のレッドバック】か?!」
出し抜けにルベーノが言い出した言葉は――微妙なズレが見受けられたが――リアの考えと符合していた。
(健康……?)
実際に対峙した事のあるセレスは首をかしげる。
「奴の仕業としたら……大いにあり得るぞ! これは裸足の歪虚軍団が王国を闊歩する日も遠くないかも知れん……」
(何故裸足にこだわる……)
何人かは心の中でツッコミを入れずにはいられなかった。
●観察者
「へっきし! おっと、誰かがドクターの噂をしてやがるな」
「よし、私の噂でお前がくしゃみをする理由をレポートに纏めろ」
村からそう離れていない丘の上、岩に寄りかかって暇そうにしているパダギエの傍らではレッドバックが双眼鏡を覗いている。
「そんなもん決まってるでしょー、俺があんたのオマケだから。資料も仮説も考察も必要ねえの」
「随分飛躍した論理だ」
レッドバックは双眼鏡をしまう。
そして何かメモをとると、帰ると言った。
「何か得られたのかい」
「課題的なものは、いくつか」
そう言ったレッドバックの脳内では課題と解決法のアイデアが次々と生まれつつあった。
帰り際に一度だけ、村の方に視線を投げかけ……
もう、振り向かなかった。
「はっはっは、戦いたくてもスキルが使えん腕も上がらん。今回はサーチ&ラン(見敵逃走)の情報収集のみに務めさせて貰おう」
そう言ったルベーノ・バルバライン(ka6752)は重傷を負っていた。常に万全の状態で事に望めるとは限らないのがハンターである。
戦えなくてもギャラは一緒とか言いつつも、彼は自分に出来ることはしようと歪虚に壊滅させられたという村へと先行した。
……
暗闇のなか踏み込む危険を避け、ハンターの一行は夜明け頃に件の村に到着した。
不気味なまでの静寂が支配していたが、時折呻き声のような声が聞こえてくる。
一行は、その時は誰も口を開こうとしなかった。
そしてルベーノと合流した。
得られた情報というと……
・村はゾンビだらけ
・生きてる人間の姿は見えない
以上であった。
「それは確かに壊滅だねー……」
セレス・フュラー(ka6276)は、『どうせならもっと早く依頼があれば』と思うのだった。そして故郷の事を思う。
いつ滅んでもおかしくない。他人事ではなかった。
「それでも、全滅と決まったわけではないからのう」
バリトン(ka5112)は、顎鬚を撫でながら思案する。壊滅と言うのは、あくまでも外から見た情報である。
「じゃあっ、早く解決しないと!」
「ミコ、落ち着いてね」
意気込むミコト=S=レグルス(ka3953)にルドルフ・デネボラ(ka3749)が声をかける。
ミコトはルドルフに「大丈夫」と頷くのだった。
ルドルフが思っているよりも、この幼馴染は落ち着いている。
「焦りは禁物だ。討ち漏らして……逃げられでもしたら洒落にならないからね」
年若いハンターを諫めるように、実年齢は見た目よりも上な仁川 リア(ka3483)が言った。
一行は早速、探索を開始した。
戦闘に支障のあるルベーノを残し、3手に分かれて村中を探索する。
「生きている者はおるかー! 生きていたら返事をしろー!」
C班ではバリトンが拡声器を使って呼びかけていた。しかし、それに応えたのは損傷の激しい歩く骸ばかりであった。
(一体何が……ともかく、一刻も早くかれらに安寧をもたらさなければ……)
同行する鳳城 錬介(ka6053)は心を痛めつつも、向かってくる死体達に対応する。その様子から、襲撃を受けたのちに歪虚に転化したと推測できた。
この時、バリトンの声は村中に響き渡っていた。
(視線……?)
A班として行動するヴィリー・シュトラウス(ka6706)は自らが感じたものを同じ班のセレスに告げる。
セレスは唇に人差し指を当て、近くの民家に当たりをつけ、それとなく扉に近づくよう促した。
二人で扉の両側に張り付き、合図して一斉に開いた。
「ハンターか。わかっちゃいたが」
独り言のような言葉を二人は聞いた。
●発見
「人……? いや、違う」
ヴィリーは一瞬判断を迷った。それほどに、そこにいた存在には人間の特徴があった。だが、その血の気の引いた肌……おびただしい返り血の付いた服……抜き身の剣……なにより負のマテリアルの気配……。
少なくとも、見過ごせはしなかった。
「悪いな、ただ消されるつもりはない」
「知性があるってことは七眷族?!」
一瞬で飛び退くセレス。無線機を口元に運ぶ。ヴィリーもそれに続いた。だが中にいた存在――歪虚の方が一瞬早く、剣から発した光線が二人に炸裂する。
「まずい! 二人じゃとても……」
「逃げるよ!」
二人は視線を遮りながら逃げる。無線で仲間に連絡するのも忘れない――強敵を発見、村の広場に誘導すると。
「大丈夫ですか! すぐに治療します!」
広場に走りこんできた二人に錬介が駆け寄り、スキルによる治療を試みた。
歪虚もすぐに広場に姿を現した。
「あれが敵?!」
「でも、あれは――」
ミコトとルドルフは一瞬迷う。ヴィリーとセレス同様に。
その人間のようなものには表情があった。視線には理性すら伺える。
だが、同じほどに不浄で、危険であると感じられた。
「ああ、なるほど……そういう事でしたか」
「説明はいらないらしいな」
錬介の、確認するように出した言葉に、歪虚が返した。
歪虚は攻撃せず、言葉を続けた。
「言葉を交わす暇を惜しむほど、野暮じゃない……」
「この村は……あなたが?」
ルドルフが聞いた。
「そうだ。俺がやった」
「でも、あなたは……意識がはっきりして落ち着いているように見えます。どうしてこんな事を……」
「落ち着いたのはついさっきだがな……理由なら、お前達にもわかるはずだ。
『歪虚は生者を苛む』」
間があった。
その言葉の意味するところを知り、衝撃を受けるだけの間が。
「なぜこの村を襲った?」
バリトンが訊いた。
「偶然目に付いたからだ。目について……『殺さなければいけない』と思った」
歪虚は抑揚のない声で応えた。
自嘲的と、見えなくもなかった。
「何者かの差し金か。おぬし、誰の手の者――誰と契約した?」
「さあな……どうにもその辺記憶がはっきりしねえ……だが契約があったのは確からしい」
「では、自ら墜ちたわけではないと?」
「曖昧だが殺されかけた記憶がある。どうやらその線じゃなさそうだ」
ヴィリーは歪虚の言葉に注意深く耳を傾け、記憶に刻み込む。断片的でも生前の記憶を少しでも拾うことが彼への弔い、そしてこの深い闇への手がかりと信じて――
「おまえは、自分が何者だったのか覚えているのか?」
あくまでも『敵』として相対し、問う。そうしなければ戦いの中で非情になれないかもしれないから。
「さあな……良く覚えていねえ……
だが覚えていたとしても、それは既に俺じゃないんだろう」
(こんな風に会話していても。
もう……別物だというのか)
ヴィリーは相手と自分を隔てる壁を、確かに感じた。
やがてハンターの方から言葉を発する者がなくなると歪虚は語った。
「さて……何人かにはもう言ったが、『黙って消されるつもりはない』」
そして、下ろしていた剣を再び構える。
「こうなった以上、俺にできるのは、これ以上の犠牲が増える前に楽にしてあげる事だけです」
錬介は、呼応するように言って杖を構える。
「もう、元に戻る可能性がないなら……ここで倒してあげないと……きっと辛いですよ、ね」
ミコトは沈痛な面持ちでそう言いながらも、剣を構えた。
「……だろうな。俺はお前達を殺したくて仕方がない。そんな奴に出来る事なんてそう多くない」
二人の言葉に歪虚が、無感情に応えた。
「出来れば君みたいなのとは戦いたくなかったね。ただのハンター相手の方が殺しやすい」
そう言ったリアはすでに臨戦態勢だ。
目の前の存在が倒すべき敵であることを、誰よりも強く意識していた。
「気にするな。『俺達の仕事』はもともと命のやり取り……ハンター相手でも殺せるならなおさらな」
歪虚は、お喋りはここまでだという風に攻撃の態勢に移った。
●戦闘開始
「術式展開――運動強化」
先手を取ったのはハンター達だった。ルドルフが傍らのリアに運動強化をかける。
リアは高速の踏み込みから打ち込もうとする。
唸りをあげるソーブレードが歪虚を切り裂かんとする――まさにその瞬間、リアの視界は光に覆われた。
衝撃に襲われ、攻撃の勢いが殺がれたところに歪虚は剣を振るう。
――その刃が途中で巨大化した。
著しく重量を増した刃による横薙ぎをリアは脇腹に喰らい、吹っ飛ぶ。
「攻勢防壁からの、超重錬成――!」
ルドルフは気づく。己と同じ機導師のスキルだった。
ミコトが別の方向から斬りかかる。
歪虚はこれを受け止める。剣はすでに元に戻っていた。入れ替わるように位置を変える。
反撃に有利な位置取りをしようというのだ。
だが、歪虚はそこから飛び退いた。ヴィリーの放ったホーリーライトが通り過ぎていった。外れたが、ミコトヘの反撃の機会は潰した。
そこにバリトンが位置を調節した次元斬を打ち込む。歪虚はその一撃を捌ききれなかったが、勢いを殺すように後方に跳び、光の三角形を虚空に描いた。
すぐさまその頂点から発された三筋の光線がバリトン・ミコト・錬介に炸裂する。
そこに黒い影が走った。
セレスが放った投具が歪虚に突き刺さる。そして、投具に紐付けたマテリアルによって、セレス本人もまた肉薄していた。
セレスは続けざまに剣を振るい、しばし歪虚と打ち合う。
「皆さん! 回復します!」
錬介は前に出て、味方を回復するべくヒーリングスフィアを使う。
これを受けて立ち直ったリアとミコトはセレスに加勢すべく斬りかかる。
それを察知した歪虚はその場から離脱し、駆けた。
その前進を阻むべくバリトンが立ち向かう。
すれ違い様に繰り出される刃――
しかし、浅い。
歪虚の勢いは止まらない。
狙いは――錬介だ。
超重錬成によって巨大化した刃が振り下ろされる。
「ぐっ……う……!」
かろうじて防御の姿勢は取れるも、手痛い打撃を被る、錬介。
「くっ……こんな時に戦えんとはっ……!」
離れた所から戦いを見守っていたルベーノは感嘆していた。
それほどまでに、この歪虚は――強い。
「生きている間に会いたかったぞ」
バリトンは感嘆しつつも、錬介への追撃を阻むべく動く。
歪虚は錬介に狙いを定めたらしく、脚を使ってバリトンの狙いから逃れようとする。
だが、そこにヴィリーの放ったジャッジメントが打ち込まれた。
脚を殺される歪虚は代わりにデルタレイを錬介・バリトン・ヴィリーに向かって撃つ。
――光が弾けた。
防御障壁を纏ったルドルフが、錬介への軌道に割り込んでいた。錬介は無事だ。
歪虚は見えざる力によって引っ張られた。ミコトのファントムハンドが、錬介から歪虚を引き離すべく引いたのである。
「ミゼリアの憎しみ――喰らいなよ!」
そしてその先にはセレスが待ち構えている。一陣の風となって駆け抜けた時にはもう斬っている。その刃には毒が乗っていた。
だが、辛うじてこれに反応した。攻勢防壁が発動し、セレスを弾き飛ばす。
追撃のため超重錬成を撃とうとする歪虚。
しかし、その刃を振るうことは出来なかった。別の方向から斬りかかってきたリアの剣を防ぐ必要があったからだ。
リアは歪虚と鍔迫り合う。両者の視線が、熱く交差した。
(これは……もしかしたらあり得たかもしれない自分の姿)
リアは思う。力を得たいと思っていたかつての自分は、機会があれば歪虚と契約していたかもしれないと。
戦う相手は、もう一人の自分であると言えた。
だからこそ――
「君を倒して、僕は次のステージへの道を繋ぐ」
リアの剣が歪虚の剣を反らし、攻撃の機会を得る。
「炎刃一切……紅!!」
刃が直撃する瞬間、焔の煌めきが広がった――
●最果てのif
「みっともないもんだろ。こうなっても消えたくないと思っている……」
歪虚は燃えるようなマテリアルに身を焼かれて、それでもまだ立っていた。
「それでも、俺達はやられるわけにはいかないんです」
ルドルフが銃を構える。
「然り。容赦はできぬ」
バリトンが気を発する。
「繋がりを無くした君に、勝ち目はない」
リアが剣を構え直す。
「ここでお別れだよ」
セレスが投具を手にする。
「……最後まで……足掻くッ!」
果たして、歪虚は攻撃に転じた。
踏み込む歪虚。
ルドルフが銃の引き金を引き絞り、ヴィリーがホーリーライトを発した。
歪虚はそれらを受けながらも前進し、リアに斬りかかる。
超重練成。巨大化した刃が襲う。
リアは打ち合うことはせず避ける。
一歩。歪虚はそこから再び一撃を見舞おうとするが、一瞬の隙を縫って通り過ぎたセレスに脇を斬られる。
衝撃に仰け反る歪虚だがそれでも踏み止まる。
なおも闘志が失せぬのを見たバリトンは袈裟懸けの一撃を見舞い、返す刀で胴を薙いだ。
歪虚は完全に崩れ落ち、膝をついた。
「最期の願いだ。この戦いを誇らせてくれ」
歪虚は静かに言った。
すでに塵となって消えかけている。
「一体誰があなたをそんな風にしたんですか……!」
ミコトは歪虚に触れようと手を伸ばす。我知らず『深遠の声』を使おうとしていた。
しかし、歪虚は自ら口を開いた。
「……思い出した……
黒づくめの……女……
背中に……赤い模様……」
そこまで口にして、完全に消滅した。
錬介とヴィリーは死者の冥福を祈る。
歪虚となった男と、ここで死んだすべての者達のために。
もう二度と眠りが邪魔されることのないようにと。
静かな時間が流れた……。
そんな中、ミコトは思う。
(もし友達が歪虚になったら、その時は、倒してあげられるかな……
……ううん、そんな事になる前に、うちが必ず護るけど、ねっ)
そして、彼女の護りたい人達の一人であるルドルフの方を見ると、彼もまたミコトが何か考えているのを、見守っていた。
一方、セレスはこんな事を考えていた。
(自分が堕落者になるのなら……どうせなら家族で仲良く堕ちたいな。
歪虚シスターズ!
……うん、ないわ)
色々な意味で質が悪かった。
バリトンは生存者を探そうとその場を後にする。しかし、歪虚を死体から生み出す能力を持つ暴食の特性上、生存者がいるのは絶望的だった。山林など、村の外に逃げていれば可能性はあるかもしれないが……。
歪虚の持っていた剣も消えてしまった。
リアが見た所によるとそれは機剣と呼ばれる、魔導機械を柄に埋め込んだものだったが、それよりも歪虚の今際の言葉が気になっていた。
(なぜなら、僕はそれを見たことがある……)
「黒尽くめの女で背中に赤い模様……それはもしや、メフィスト配下で歪虚の強さと健康に全てを賭けると噂の【裸足のレッドバック】か?!」
出し抜けにルベーノが言い出した言葉は――微妙なズレが見受けられたが――リアの考えと符合していた。
(健康……?)
実際に対峙した事のあるセレスは首をかしげる。
「奴の仕業としたら……大いにあり得るぞ! これは裸足の歪虚軍団が王国を闊歩する日も遠くないかも知れん……」
(何故裸足にこだわる……)
何人かは心の中でツッコミを入れずにはいられなかった。
●観察者
「へっきし! おっと、誰かがドクターの噂をしてやがるな」
「よし、私の噂でお前がくしゃみをする理由をレポートに纏めろ」
村からそう離れていない丘の上、岩に寄りかかって暇そうにしているパダギエの傍らではレッドバックが双眼鏡を覗いている。
「そんなもん決まってるでしょー、俺があんたのオマケだから。資料も仮説も考察も必要ねえの」
「随分飛躍した論理だ」
レッドバックは双眼鏡をしまう。
そして何かメモをとると、帰ると言った。
「何か得られたのかい」
「課題的なものは、いくつか」
そう言ったレッドバックの脳内では課題と解決法のアイデアが次々と生まれつつあった。
帰り際に一度だけ、村の方に視線を投げかけ……
もう、振り向かなかった。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/06/16 11:25:12 |
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相談卓 通りすがりのSさん(ka6276) エルフ|18才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2017/06/18 21:45:41 |