ゲスト
(ka0000)
【落葉】支度すら許さない
マスター:DoLLer

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
APV- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/09/25 19:00
- リプレイ完成予定
- 2018/10/09 19:00
オープニング
「おおー、未来の庶民議員様のお帰りだ」
ガルカヌンクにある屋敷に帰ってきたクリームヒルトに、底抜けに明るい祝いの声が響いた。
テーブルに腰かけながら、銃片手に骨付き肉をかぶりつく態度は、とても祝辞を述べに来た客然とはしてないし、足元にちらばった食べ物の滓や、クチャクチャ鳴らす食べ方は品性も善くなさそうだ。
「誰?」
「なーに言ってんすか。敬愛する姫様がお守りになっているヴルツァライヒですよ」
冗談じゃない。
反笑いで自己紹介モドキを発した男の言葉にクリームヒルトは心底嫌そうな顔をした。もちろんクリームヒルトを応援する人間にはヴルツァライヒだった人間もいる。多くは真っ当な生活をしていながらもヒルデブランド以降の新政権で割を食った人間たちや、再興を臨む貴族たち。それにヴルツァライヒにそそのかされた人間たち。どれも目の前の人間よりは礼儀も貞節もある。
何よりも、ここで働いていたメイドなどを縛り上げて銃を突きつけるような人間は庇護対象ではない。
「聞いてますよ。ヴィルヘルミナの新政策で庶民議会が設置されるんでしょ。姫様はもちろん出馬すると思って駆けつけてきたんですよ」
ぺっ、と絨毯に骨を吐き捨てた後、男は履いているブーツで横にどかして歩み寄ってくる。
「クリームヒルト様に近づかないで……!!?」
テミスがすかさず割って入ろうとした瞬間、テミスの体が銃撃で吹っ飛んだ。
「あー、可愛い子じゃないスかぁ。こんな子なら楽しみに置いといたのに」
男は嘲け笑って、テミスを汚れた踏みつけると、そのまま硝煙が上る銃口をクリームヒルトに突きつけた。
「やだなぁ。お願いしに上がっただけっすよ」
「お願い……?」
「そうっす。ほら、最近ヴルツァライヒもすっかり弱体化しちゃって困ってんすよね。ねー、姫様。困っている人、見捨てられないっしょ?」
血だまりに沈むテミスの顔で汚れをにじくるようにして男は笑った。
困っている人の中に、自分を助けろという命令と、テミスを見捨てたりしないだろう? という脅迫を兼ね備えてさせるあたり、見た目ほど頭は悪くないらしい。
「庶民議員の誕生をお祝いさせてくださいよー。色々お願いしたこともありますし、ね?」
ニヤニヤと笑って、下から覗き見るようにする男の顔にクリームヒルトは冷酷な視線を向けて短く言い切った。
「断ります」
次の瞬間、後ろに立っていたギュントが剣を抜いて飛びかかった。
が、それもまた銃声によって止まってしまった。
ギュントなら避けるのも弾くのも問題はない。だが、クリームヒルトに容赦なく放たれた弾丸から彼女を守るには自分の体を犠牲にするしかなかったからだ。
「ギュント!!」
「ひゃっほー! すげぇ。さすがは路上で姫様にプロポーズするど根性の持ち主じゃん。まじでウケる」
男は笑うと思いっきりギュントの顔面を蹴り飛ばした。
しかし、ギュントはそれでも耐えて睨み返す。ここで動いたらクリームヒルトにまた銃口が向いてしまうから。
「クリームヒルト様を殺せばお前らの目的は果たせなくなる。なのに何故撃つ」
「決まってるじゃん。俺らもガキの使いじゃねぇんで。ボスからさー。なんでも言いなりになってくれる覚悟を決めてもらうように言われてるんすよ。どうせ失敗したら殺されるだけだしさー」
ギュントに向けて続けざまに銃弾が発射される。
頭、喉、心臓。
全部、クリームヒルトがその場所に当たる位置に放ち、わざとギュントに受けさせると、さすがに覚醒者である彼も血みどろになって片膝をついた。
「メルツェーデスちゃん、発見しましたぜ」
「ちょ、ちょっと! 離しなさいよ。ゲス野郎っ」
「メルツェーデスっ!! 娘に手を出す、がはっ」
「はーい、ゲスだからそんなこと言うクソ女はこうでーす」
身動きできないクリームヒルトの後ろで男の仲間がメルツェーデスを殴りつけ、そしてベント伯を銃撃する。
「ま、待ちなさい」
「待つわけないじゃないすか。とりあえず、早いところ覚悟決めてくんない? ヴルツァライヒの奴隷として議員してくれるってことをさ」
目の前の男は合図すると、後ろにある暖炉にくべられていた焼き鏝を一つ持ってこさせ、それを絨毯の上に無造作に放り出し、ついでに魔導カメラもポケットから放り投げる。
「どこでもいいんで自分で押し付けてくださいよ。その奴隷印。んでそれを自撮りしたらそれで解放されるんす。ひゃー、お互いウィンウィンっすよ!」
男は勝手に嬉しそうにそう言うと、弾倉を切り替えて、またギュントを数発撃った。
「こいつタフだなー。おーい、誰かこいつ血祭りにあげるのやってくれよー」
「やだよ。女相手する方がいいし」
「ちぇっ。じゃあギュントはさっさと殺して、この子で我慢するかー」
まるでそれが普通の友達とする会話のようにするからこそ、男の底知れぬ邪悪さにクリームヒルトは歯ぎしりをした。
「焼き鏝早くしないと冷めるよ。だいたい40秒ってとこ? 俺らも暇じゃないんでさ、それまでに決めてよ。それ過ぎたらここにいる全員、姫様のご両親みたくゴミ箱にいれるか吊るすから。まあ安心しなよ。その時は俺も生きてないだろうからさ。あの世まで付き合ってやる」
そして男はスマートフォンをいじくりタイマーをセットした。それがここにいる連中に共有されているとみて間違いない。
死を決めた人間はここまでなれるのか。
だが、クリームヒルトはそれに負けるわけにはいかなかった。
そんな脅しに屈するつもりはないし、似たような人間なら残念ながら飽きるくらいに見てきた。
そして何よりも。
仲間の気配を感じていたから。
ガルカヌンクにある屋敷に帰ってきたクリームヒルトに、底抜けに明るい祝いの声が響いた。
テーブルに腰かけながら、銃片手に骨付き肉をかぶりつく態度は、とても祝辞を述べに来た客然とはしてないし、足元にちらばった食べ物の滓や、クチャクチャ鳴らす食べ方は品性も善くなさそうだ。
「誰?」
「なーに言ってんすか。敬愛する姫様がお守りになっているヴルツァライヒですよ」
冗談じゃない。
反笑いで自己紹介モドキを発した男の言葉にクリームヒルトは心底嫌そうな顔をした。もちろんクリームヒルトを応援する人間にはヴルツァライヒだった人間もいる。多くは真っ当な生活をしていながらもヒルデブランド以降の新政権で割を食った人間たちや、再興を臨む貴族たち。それにヴルツァライヒにそそのかされた人間たち。どれも目の前の人間よりは礼儀も貞節もある。
何よりも、ここで働いていたメイドなどを縛り上げて銃を突きつけるような人間は庇護対象ではない。
「聞いてますよ。ヴィルヘルミナの新政策で庶民議会が設置されるんでしょ。姫様はもちろん出馬すると思って駆けつけてきたんですよ」
ぺっ、と絨毯に骨を吐き捨てた後、男は履いているブーツで横にどかして歩み寄ってくる。
「クリームヒルト様に近づかないで……!!?」
テミスがすかさず割って入ろうとした瞬間、テミスの体が銃撃で吹っ飛んだ。
「あー、可愛い子じゃないスかぁ。こんな子なら楽しみに置いといたのに」
男は嘲け笑って、テミスを汚れた踏みつけると、そのまま硝煙が上る銃口をクリームヒルトに突きつけた。
「やだなぁ。お願いしに上がっただけっすよ」
「お願い……?」
「そうっす。ほら、最近ヴルツァライヒもすっかり弱体化しちゃって困ってんすよね。ねー、姫様。困っている人、見捨てられないっしょ?」
血だまりに沈むテミスの顔で汚れをにじくるようにして男は笑った。
困っている人の中に、自分を助けろという命令と、テミスを見捨てたりしないだろう? という脅迫を兼ね備えてさせるあたり、見た目ほど頭は悪くないらしい。
「庶民議員の誕生をお祝いさせてくださいよー。色々お願いしたこともありますし、ね?」
ニヤニヤと笑って、下から覗き見るようにする男の顔にクリームヒルトは冷酷な視線を向けて短く言い切った。
「断ります」
次の瞬間、後ろに立っていたギュントが剣を抜いて飛びかかった。
が、それもまた銃声によって止まってしまった。
ギュントなら避けるのも弾くのも問題はない。だが、クリームヒルトに容赦なく放たれた弾丸から彼女を守るには自分の体を犠牲にするしかなかったからだ。
「ギュント!!」
「ひゃっほー! すげぇ。さすがは路上で姫様にプロポーズするど根性の持ち主じゃん。まじでウケる」
男は笑うと思いっきりギュントの顔面を蹴り飛ばした。
しかし、ギュントはそれでも耐えて睨み返す。ここで動いたらクリームヒルトにまた銃口が向いてしまうから。
「クリームヒルト様を殺せばお前らの目的は果たせなくなる。なのに何故撃つ」
「決まってるじゃん。俺らもガキの使いじゃねぇんで。ボスからさー。なんでも言いなりになってくれる覚悟を決めてもらうように言われてるんすよ。どうせ失敗したら殺されるだけだしさー」
ギュントに向けて続けざまに銃弾が発射される。
頭、喉、心臓。
全部、クリームヒルトがその場所に当たる位置に放ち、わざとギュントに受けさせると、さすがに覚醒者である彼も血みどろになって片膝をついた。
「メルツェーデスちゃん、発見しましたぜ」
「ちょ、ちょっと! 離しなさいよ。ゲス野郎っ」
「メルツェーデスっ!! 娘に手を出す、がはっ」
「はーい、ゲスだからそんなこと言うクソ女はこうでーす」
身動きできないクリームヒルトの後ろで男の仲間がメルツェーデスを殴りつけ、そしてベント伯を銃撃する。
「ま、待ちなさい」
「待つわけないじゃないすか。とりあえず、早いところ覚悟決めてくんない? ヴルツァライヒの奴隷として議員してくれるってことをさ」
目の前の男は合図すると、後ろにある暖炉にくべられていた焼き鏝を一つ持ってこさせ、それを絨毯の上に無造作に放り出し、ついでに魔導カメラもポケットから放り投げる。
「どこでもいいんで自分で押し付けてくださいよ。その奴隷印。んでそれを自撮りしたらそれで解放されるんす。ひゃー、お互いウィンウィンっすよ!」
男は勝手に嬉しそうにそう言うと、弾倉を切り替えて、またギュントを数発撃った。
「こいつタフだなー。おーい、誰かこいつ血祭りにあげるのやってくれよー」
「やだよ。女相手する方がいいし」
「ちぇっ。じゃあギュントはさっさと殺して、この子で我慢するかー」
まるでそれが普通の友達とする会話のようにするからこそ、男の底知れぬ邪悪さにクリームヒルトは歯ぎしりをした。
「焼き鏝早くしないと冷めるよ。だいたい40秒ってとこ? 俺らも暇じゃないんでさ、それまでに決めてよ。それ過ぎたらここにいる全員、姫様のご両親みたくゴミ箱にいれるか吊るすから。まあ安心しなよ。その時は俺も生きてないだろうからさ。あの世まで付き合ってやる」
そして男はスマートフォンをいじくりタイマーをセットした。それがここにいる連中に共有されているとみて間違いない。
死を決めた人間はここまでなれるのか。
だが、クリームヒルトはそれに負けるわけにはいかなかった。
そんな脅しに屈するつもりはないし、似たような人間なら残念ながら飽きるくらいに見てきた。
そして何よりも。
仲間の気配を感じていたから。
解説
クリームヒルトが人質を取られ、ヴルツァライヒに加担するよう脅迫を受けています。
このヴルツァライヒ構成員を倒し、人質及びクリームヒルトを救い出すことが目的となります。
●状況
皆さんは警護の仕事をしていましたが、特に何もなく一日が終わりを迎えたということでクリームヒルト達と別れたばかりという設定です。
全員屋敷の外、同じ場所にいるとします。
銃声が聞こえたので異変はすぐ気づきます。
●敵情報
事前の探索などで次の事が判明しています。
猟撃士×1
闘狩人×1
聖導士×1
非覚醒者×7
クリームヒルトの前にいるのは猟撃士。メルツェーデスを襲っているのと、焼き鏝を渡したのは非覚醒者。その場に後3人います。
残りもどこかにいるはずですが、見える場所にいません。
●依頼主
事前にヴルツァライヒの動きを察知していたギュントです。
●屋敷について
現在正面ロビーでやりとりが発生
1階は食堂と厨房、使用人の部屋があります。
2階は応接間、クリームヒルトの部屋、他空き室が2部屋。
それぞれに窓や裏口があり直接侵入しようと思えばできます。
●救出対象
クリームヒルト
ギュント(重体)
メルツェーデス(重傷)
ベント伯(重傷)
テミス(重体、一般人なので処置が遅れると死にます)
使用人(2人、居場所不明)
●条件
3ラウンド以内の制圧。
これが経過するか、相手にこちらの存在が察知されたことが伝わった時点で人質は全員死亡します。
40秒と男は言っていますが、騒動に気づいて、動き始めるまでに10秒かかってるとみなすためです。
このヴルツァライヒ構成員を倒し、人質及びクリームヒルトを救い出すことが目的となります。
●状況
皆さんは警護の仕事をしていましたが、特に何もなく一日が終わりを迎えたということでクリームヒルト達と別れたばかりという設定です。
全員屋敷の外、同じ場所にいるとします。
銃声が聞こえたので異変はすぐ気づきます。
●敵情報
事前の探索などで次の事が判明しています。
猟撃士×1
闘狩人×1
聖導士×1
非覚醒者×7
クリームヒルトの前にいるのは猟撃士。メルツェーデスを襲っているのと、焼き鏝を渡したのは非覚醒者。その場に後3人います。
残りもどこかにいるはずですが、見える場所にいません。
●依頼主
事前にヴルツァライヒの動きを察知していたギュントです。
●屋敷について
現在正面ロビーでやりとりが発生
1階は食堂と厨房、使用人の部屋があります。
2階は応接間、クリームヒルトの部屋、他空き室が2部屋。
それぞれに窓や裏口があり直接侵入しようと思えばできます。
●救出対象
クリームヒルト
ギュント(重体)
メルツェーデス(重傷)
ベント伯(重傷)
テミス(重体、一般人なので処置が遅れると死にます)
使用人(2人、居場所不明)
●条件
3ラウンド以内の制圧。
これが経過するか、相手にこちらの存在が察知されたことが伝わった時点で人質は全員死亡します。
40秒と男は言っていますが、騒動に気づいて、動き始めるまでに10秒かかってるとみなすためです。
マスターより
タイトルの意味はですね、某映画の「40秒で支度しな」というセリフからの展開となっています。
そう、世の中40秒で何とかしてしまうヒーローがいるので、クリームヒルトに「40秒で決めてよね」って脅したんです。
あの映画に出てくる黒幕様は3分も時間をヒーローに上げてしまって破滅しましたからね。
時間に厳しい悪役を登場させてみました。
皆さまの颯爽と救助アクションを楽しみにしています。
そう、世の中40秒で何とかしてしまうヒーローがいるので、クリームヒルトに「40秒で決めてよね」って脅したんです。
あの映画に出てくる黒幕様は3分も時間をヒーローに上げてしまって破滅しましたからね。
時間に厳しい悪役を登場させてみました。
皆さまの颯爽と救助アクションを楽しみにしています。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/10/03 11:16
参加者一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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質問卓 エアルドフリス(ka1856) 人間(クリムゾンウェスト)|30才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/09/21 00:58:29 |
|
![]() |
30秒で救出卓【相談】 エアルドフリス(ka1856) 人間(クリムゾンウェスト)|30才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/09/25 14:35:51 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/09/20 07:38:33 |