ゲスト
(ka0000)
人形繰り「終幕」
マスター:DoLLer

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- シリーズ(続編)
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,300
- 参加人数
- 現在10人 / 3~10人
- サポート
- 現在2人 / 0~5人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/04/23 07:30
- リプレイ完成予定
- 2019/05/07 07:30
オープニング
皇族の墳墓はバルトアンデルスの地下水道をずっと移動し続けた先に合った。
途中からはあの独特の水道の臭いも消え、湿気た空気もなくなり、通路にも細かな施工が為される場所もちらほらと見えることから、バルトアンデルスの地下水道とは別に造られたものを隠ぺいするために、わざとつなげたのは明白だった。
その最奥にて。
シグルドは大きな扉に指輪をはめ込むと同時に、扉が目覚めたかのように紋様に光が走ると静かに一同をその奥へと示した。
巨大な石柱が幾本も並んでいる広大な部屋。部屋というのは正しくないかもしれない。一歩ふみだしたそこには土の感触があった。
一同がぐるりと周りを眺めている間にも、シグルドはすたすたと空間の中央へと歩み行き、そして振り返った。
「ようこそ。失われた皇帝の墳墓へ」
ああ。この石柱の一つ一つがかつての帝国に君臨した皇帝達の墓標なのか。
「といってもね。形式だけのものだけどね。遺骨がないのも多い。祖王ナイトハルト、エルフハイムの浄化術で塵芥に消えた第四代、ブンドルフもだね」
一つだけ他に比べると明らかに小さく素朴なつくりの墓を指し示し、ブンドルフだとシグルドは説明した。
「さて。改めて礼を言おう。帝国の闇は晴らされ、指輪はその役割を終えた。まだ残滓や小火は残ってはいるだろうけれど、それも直に消えるだろうさ。僕もこれでひと段落ということだ」
彼は穏やかな顔で笑った。
それがどこかつきものの落ちたような、静かな面持ちであると、一同はひと段落に含みがあることに気がつかされる。
「前に言ったかな。ブンドルフとの思い出において一つを除いて良い思い出はなかったって。そのたった一つというのはね、革命の兵士たちに切り刻まれにいく直前のこと。僕に皇位継承の儀を果たしてくれたということだ。だから正式には僕は、皇子ではなくゾンネンシュトラール帝国第16代皇帝でありモンドシャッテ朝の最終皇帝。まあ見届け人いなかったから、非公式なものだけどね。そもそも皇子というのも破綻した話だし」
今更になって親の顔をして、そして希望を託すような言葉と共に、民もなく、国土もまもなく簒奪されることが決定している皇帝に任じられたことは今においても心境複雑なところなのだろう。彼は黙って笑うばかりだったが。
シグルドは静かに微笑みながら、指輪を自らの手から抜き取った。
「何の意味もない皇帝なんてもの、いつ捨ててしまっても良かったんだけどね。死者の恨み辛みに負けるのだけはしたくなくてね。そういう意味で、ひと段落した」
シグルドはアミィとギュントに指輪を渡して、一言、「責任ある自由を果たせ」と声をかけると、一同に向き直った。
「そこで世話になった君たちには、最後にお願いがあるんだ。過去の清算ではなくて、未来に向けての準備として」
そうしてシグルドは指を一つ立てた。
「この向こうに王の記録がある。何があるかは知らない。ただ皇帝のみが継承するに相応しい知識の宝庫なんだろうけれど、今更そんなものは必要ない。そして、もう間もなく、作られた歴史を正すという名目で、一部の学者どもが取りにやってくる。それで歴史の修正がお題目に掲げる通り救われる人がいれば別だが、単に煽り立てられて諍いが起こるだけだ」
宝を誰の目にも触れることなく、消滅させること。
「それからフュルスト達もやってくる。学者に神聖なこの場所を踏み込ませてなるものか。名目があれば何をしてもいいのか。なんて言ってね。まあ忠誠心の押し売りさ。そんな日和った忠誠心こそが一番の腐敗の元だと気づかない、困った人間達だ」
彼らに自分たちの足で歩くように声をかけること。
権益なんて発酵物が腐敗を生むんだろうなとシグルドは笑った。
「最後に。昔の皇帝典範にはね。皇帝は絶対的な存在であり、それは命が欠けてもまた月のように満ち、星を従える。と書かれているんだ。つまり皇帝になったら終身の立場であり、唯一可能なのは譲位のみ。退位や廃位の規定が存在していないんだ」
自分の国がなくなった時の事の後まで考えて制度を作る人間はいない。
「結局明日になっても、第一師団副師団長という立場も変わらない。政治は庶民議会の在り方を模索しつつ喧々囂々、いつも通りに行われるし、帝国の民が何か変わるものを目にする事もない。世界が終わる戦いに寄与することもない。何にも変わらない」
シグルドは謳うようにそう言い、自分の胸に手を当てた。
「いつもと同じ明日の為に、しておきたいことがあるんだ。それは僕一人ではどうにもならないことだ。自分以外の誰かがいないことにはどうしようもないからね」
退位式を行う手伝いをしてくれないか。
土地もない、民もない、規則だけで作られたお芝居のごとき皇帝が去って、人形繰りは終幕し、人々は劇から目を覚まし、現実を歩むのだから。
途中からはあの独特の水道の臭いも消え、湿気た空気もなくなり、通路にも細かな施工が為される場所もちらほらと見えることから、バルトアンデルスの地下水道とは別に造られたものを隠ぺいするために、わざとつなげたのは明白だった。
その最奥にて。
シグルドは大きな扉に指輪をはめ込むと同時に、扉が目覚めたかのように紋様に光が走ると静かに一同をその奥へと示した。
巨大な石柱が幾本も並んでいる広大な部屋。部屋というのは正しくないかもしれない。一歩ふみだしたそこには土の感触があった。
一同がぐるりと周りを眺めている間にも、シグルドはすたすたと空間の中央へと歩み行き、そして振り返った。
「ようこそ。失われた皇帝の墳墓へ」
ああ。この石柱の一つ一つがかつての帝国に君臨した皇帝達の墓標なのか。
「といってもね。形式だけのものだけどね。遺骨がないのも多い。祖王ナイトハルト、エルフハイムの浄化術で塵芥に消えた第四代、ブンドルフもだね」
一つだけ他に比べると明らかに小さく素朴なつくりの墓を指し示し、ブンドルフだとシグルドは説明した。
「さて。改めて礼を言おう。帝国の闇は晴らされ、指輪はその役割を終えた。まだ残滓や小火は残ってはいるだろうけれど、それも直に消えるだろうさ。僕もこれでひと段落ということだ」
彼は穏やかな顔で笑った。
それがどこかつきものの落ちたような、静かな面持ちであると、一同はひと段落に含みがあることに気がつかされる。
「前に言ったかな。ブンドルフとの思い出において一つを除いて良い思い出はなかったって。そのたった一つというのはね、革命の兵士たちに切り刻まれにいく直前のこと。僕に皇位継承の儀を果たしてくれたということだ。だから正式には僕は、皇子ではなくゾンネンシュトラール帝国第16代皇帝でありモンドシャッテ朝の最終皇帝。まあ見届け人いなかったから、非公式なものだけどね。そもそも皇子というのも破綻した話だし」
今更になって親の顔をして、そして希望を託すような言葉と共に、民もなく、国土もまもなく簒奪されることが決定している皇帝に任じられたことは今においても心境複雑なところなのだろう。彼は黙って笑うばかりだったが。
シグルドは静かに微笑みながら、指輪を自らの手から抜き取った。
「何の意味もない皇帝なんてもの、いつ捨ててしまっても良かったんだけどね。死者の恨み辛みに負けるのだけはしたくなくてね。そういう意味で、ひと段落した」
シグルドはアミィとギュントに指輪を渡して、一言、「責任ある自由を果たせ」と声をかけると、一同に向き直った。
「そこで世話になった君たちには、最後にお願いがあるんだ。過去の清算ではなくて、未来に向けての準備として」
そうしてシグルドは指を一つ立てた。
「この向こうに王の記録がある。何があるかは知らない。ただ皇帝のみが継承するに相応しい知識の宝庫なんだろうけれど、今更そんなものは必要ない。そして、もう間もなく、作られた歴史を正すという名目で、一部の学者どもが取りにやってくる。それで歴史の修正がお題目に掲げる通り救われる人がいれば別だが、単に煽り立てられて諍いが起こるだけだ」
宝を誰の目にも触れることなく、消滅させること。
「それからフュルスト達もやってくる。学者に神聖なこの場所を踏み込ませてなるものか。名目があれば何をしてもいいのか。なんて言ってね。まあ忠誠心の押し売りさ。そんな日和った忠誠心こそが一番の腐敗の元だと気づかない、困った人間達だ」
彼らに自分たちの足で歩くように声をかけること。
権益なんて発酵物が腐敗を生むんだろうなとシグルドは笑った。
「最後に。昔の皇帝典範にはね。皇帝は絶対的な存在であり、それは命が欠けてもまた月のように満ち、星を従える。と書かれているんだ。つまり皇帝になったら終身の立場であり、唯一可能なのは譲位のみ。退位や廃位の規定が存在していないんだ」
自分の国がなくなった時の事の後まで考えて制度を作る人間はいない。
「結局明日になっても、第一師団副師団長という立場も変わらない。政治は庶民議会の在り方を模索しつつ喧々囂々、いつも通りに行われるし、帝国の民が何か変わるものを目にする事もない。世界が終わる戦いに寄与することもない。何にも変わらない」
シグルドは謳うようにそう言い、自分の胸に手を当てた。
「いつもと同じ明日の為に、しておきたいことがあるんだ。それは僕一人ではどうにもならないことだ。自分以外の誰かがいないことにはどうしようもないからね」
退位式を行う手伝いをしてくれないか。
土地もない、民もない、規則だけで作られたお芝居のごとき皇帝が去って、人形繰りは終幕し、人々は劇から目を覚まし、現実を歩むのだから。
解説
皇帝の墓所に参加者は案内されました。
シグルドの依頼は
・宝物庫を「消滅」させること。
・フュルスト達を説破すること。
・退位式を行う事
です。
宝物庫には様々な記録がありますが、簡単には読めないように暗号化がなされていて、皆さまもこの瞬間にシグルドなしで読み解くことはできません。(学者が相当な時間をかければ読み解けるでしょう)
フュルストは旧帝国派の中枢にして、シグルドを未だ皇帝の系譜として尊重する人たちです。富豪であったり、貴族的な役割に就いている人間もいれば、一般市民レベルの人たちもいます。
いずれも基本姿勢は「恩義に報いずしてなんとするか」な感じです。
退位式の流れは決まっていませんので、適当に作ってください。総意であればだいたいシグルドも受け入れます。
その他やりたいことがあれば相談の上でどうぞ。
最終回で、何か言いたい事がある人用にサポートを5枠設定しています。
都合上、今回はシグルドのみです。
クリームヒルトやアミィ他も呼ばれれば参加しますが、呼ばれない場合はいないことになります。
シグルドの依頼は
・宝物庫を「消滅」させること。
・フュルスト達を説破すること。
・退位式を行う事
です。
宝物庫には様々な記録がありますが、簡単には読めないように暗号化がなされていて、皆さまもこの瞬間にシグルドなしで読み解くことはできません。(学者が相当な時間をかければ読み解けるでしょう)
フュルストは旧帝国派の中枢にして、シグルドを未だ皇帝の系譜として尊重する人たちです。富豪であったり、貴族的な役割に就いている人間もいれば、一般市民レベルの人たちもいます。
いずれも基本姿勢は「恩義に報いずしてなんとするか」な感じです。
退位式の流れは決まっていませんので、適当に作ってください。総意であればだいたいシグルドも受け入れます。
その他やりたいことがあれば相談の上でどうぞ。
最終回で、何か言いたい事がある人用にサポートを5枠設定しています。
都合上、今回はシグルドのみです。
クリームヒルトやアミィ他も呼ばれれば参加しますが、呼ばれない場合はいないことになります。
マスターより
シリーズ依頼もこれで終わりとなります。
そしてDoLLerが紡いできたお話の主要な部分も。
こうして終わりを迎えることができるのは、すべてのシナリオにおいて参加者様がいてくださり、お話に一喜一憂し、取り組んでくださったからこそです。
参加者の誰もが大切な人で、そして複数回にわたって参加くださった皆様に助けられてきました。
支えてくださった皆様に、またFNBというコンテンツに参加させてもらえた感謝としまして、シナリオはコンテンツ終了までリリースする予定ですが
まずは大きな区切りを迎えられたことに際し、心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。
そしてDoLLerが紡いできたお話の主要な部分も。
こうして終わりを迎えることができるのは、すべてのシナリオにおいて参加者様がいてくださり、お話に一喜一憂し、取り組んでくださったからこそです。
参加者の誰もが大切な人で、そして複数回にわたって参加くださった皆様に助けられてきました。
支えてくださった皆様に、またFNBというコンテンツに参加させてもらえた感謝としまして、シナリオはコンテンツ終了までリリースする予定ですが
まずは大きな区切りを迎えられたことに際し、心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/04/27 00:46
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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【質問卓】いつもと同じ明日の為 神楽(ka2032) 人間(リアルブルー)|15才|男性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2019/04/23 08:31:05 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/04/18 15:36:35 |
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過去からの決別【相談卓】 ユメリア(ka7010) エルフ|20才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2019/04/23 08:44:04 |