ゲスト
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【東幕】憤怒再来
マスター:WTRPGマスター

- シナリオ形態
- グランド
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~50人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/02/06 19:00
- 完成日
- 2018/02/20 18:50
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●出撃
エトファリカ連邦国は大小の領地を持つ武家が集って形成している国である。
その頂点にあるのは朝廷である。スメラギ(kz0158)を帝とするが、一方で国防に関しては武家に任された。
武家達を束ねるのは幕府。つまり、エトファリカ連邦国は『朝廷』と『幕府』という二重政権の国なのだ。
「スメラギ様は『陰陽寮』を率いて結界をお願い致します」
戦姿の立花院 紫草(kz0126)が丁寧な物腰で告げた。
普段なら帝の前に帯刀したままなど許される事ではないが、もはや、状況は予断を許さない。
「結界の維持は分かったが、俺様に余計な護衛はいらねーからな、紫草!」
先だっての憤怒祭壇の事だ。
スメラギが向かうはずだった祭壇に紫草の私兵が先回りしていたのだ。
「分かっていますよ。今回ばかりはそんな余力はありませんので」
そして、公家左大臣である足柄天晴の方へ視線を向ける。
甲冑姿ではないにしろ、激動の時代に相応しく、戦えない姿ではない。
「直接の護衛は公家にお任せします。一応、詩天の姫をそちらに向かわせますが……どちらかというと結界の手助けと思って下さい」
「分かった。大将軍としての考えの事。他意は無い事だろうからな」
二人の視線が宙でぶつかる。
以前、スメラギと三条 真美(kz0198)の二人に婚姻の噂を立てたのは紫草自身である。
二人がくっつけばそれはそれで良いと思っていたし、あくまでも『噂』だ。
だが、公家からは強い反応が返ってきた。その話を知ったのが、紫草自身からではなかった事も影響が大きい。
「詩天は優れた符術師を輩出している名家ですからね」
軽く微笑を浮かべて紫草は言った。
当然のことながら、天晴の言葉通り、他意はない。詩天の姫と配下達は、その実力に応じた場所で戦った方が良いと判断したからだ。
紫草は軽い動作で馬に跨る。
「出陣します! 今一度、憤怒歪虚を滅する時です!」
こうして、幕府軍は出撃したのであった。
●嘗試
十鳥城代官である仁々木 正秋(kz0241)もその軍勢の中に居た。彼の親友である菱川瞬も一緒だ。
龍尾城に駆け付けた訳ではない。リゼリオでの情報収集を終えて天ノ都に戻ってきた所だったのだ。
「仕方ないんじゃねぇか、てか、むしろ、兵を消耗しなくて済んだと思えばよ」
「折角、練兵も終えているというのに、肝心な所で力になれないとは」
瞬の励ましに、それでも正秋は悔しそうに応えた。
今回、十鳥城の兵士達は連れてこられなかった。召集が早かったものもあるし、何より、十鳥城はここから遠い。
「それにしても、思い出すな。この戦力が不足している状態での憤怒歪虚との戦いは」
「……そうなのか?」
「そっか。正秋はずっと十鳥城の中に引き籠りだったから、知らない訳だな」
西方からハンター達が援軍としてやってくるまで、東方は圧倒的な戦力を誇る歪虚との戦いを続けていた。
その時と状況が似ているなと瞬は思ったのだ。そして、出撃した武士の面々を見渡した。
今、幕府軍は少なく感じられた。これは、幕府軍の即応部隊が恵土城への救援に向かった為だ。
恵土城では南方からの歪虚の動きが目立っていた。幸い、ハンター達の活躍により落城する事はなかったが、危機的な状況には変わりはない。
もし、恵土城での戦いが有利に進んでいれば、戦力にゆとりはあったはずだ。
「あの獄炎の影が、憤怒王と同等なら……明らか、戦力が少ないぜ」
一時の平和が訪れていた事も戦力の集中に欠ける事になっていた。
武家の中には兵力を引き揚げていた所もあるからだ。
中には、鳴月家のように、エトファリカ連邦国の外で戦っている者もいる。
そういう意味でいうと、獄炎と戦った時よりも状況的には酷いだろう。
「だから、戦闘になったら注意しろよ、正秋」
「さっきの注意事項の話か……」
戦い前の訓示で憤怒歪虚との戦いで注意すべき事を告げられた。
強力な憤怒――ツォーン――の中には、精神汚染を仕掛けてくる存在も居るという事だ。
これがなかなか厄介だ。訓練された馬が暴れ出すと戦い所ではない。東方の地で舞刀士が発達したのも、騎乗できない状況があったからなのかもしれないと正秋は思っている。
「武器も複数持ったし……」
腰だけではなく、背中にも刀を正秋は背負っている。
幕府の符術師や僧侶の話によると、強大過ぎる負のマテリアルそのものを身体にしている存在には、手にしている武器にも影響を及ぼす場合もあるという。
「攻撃魔法の効果も減少するなら、苦戦は免れないか……」
「これでも結界は効いているっつー話だけどな」
「黒龍と龍脈の力は、本当に凄かったのか」
感心した様子で正秋は大地を見つめた。
負のマテリアルの汚染によって荒野しかないが、確かに、この東方の地には龍脈の力があって、人々を守っていたのだ。
「獄炎を倒した時、黒龍も龍脈も犠牲になった。これは、犠牲しちまった『代償』かもしれねーな」
遠くに視線を向けて寂しそうに呟いた瞬。
その呟きに正秋は首を横に振った。
「瞬……それはきっと、違う。『代償』じゃない……これは『嘗試』だ」
あの時から幾度も難局を乗り越えてきた。
成長を遂げた事を、黒龍や龍脈に捧げる戦いなのだ。
●再来
天ノ都。龍尾城の執務室で、スメラギは椅子に身を投げ出して天井をぼんやりと見上げていた。
――ほんの数年前まで、この光景を見るのが当たり前だった。
『お柱』としての務めに縛られ、天ノ都から出ることが許されなかったから……。
あの頃、黒龍は好きだったけれど、周囲の大人達は好きになれなかった。
『国の為』と言って、選択も自由も奪い、自分に全てを押し付けた。
そう思っていた。だから、反抗して、反発して……。
――スメラギ。これは貴方にしか出来ぬこと。貴方を縛っているのは他でもない私です。周囲の者も苦しんでいる……どうか、分かってあげて。
思い出す黒龍の言葉。何故彼女が周囲を庇うのか分からなかった。
今でも口うるさい大人達は好きになれないけれど。
――それでも。国を、民を守りたいと思った。
そう決めたのは他でもない自分だ。黒龍が消え、龍脈の力が弱った今もそれは変わらないから。
「……やってやろうじゃねえか。人間様の底力、ナメんじゃねえっつーの」
立ち上がったスメラギ。傍に控えていた従者を呼び寄せる。
「ここじゃ場所が足りねえ。広間に術師達を集めろ。九代目詩天もそこで待機。龍脈への道を一時的にこじ開けて防衛陣を張る。もう紫草がやってんだろうが、念のために民は北に避難させろ。広間も戦場になるかもしれねえから兵以外は近づけるな。急げ!」
「御意」
走り去る従者。その背を見送って、スメラギは歩き出す。
――再び『お柱』となる為に。
エトファリカ連邦国は大小の領地を持つ武家が集って形成している国である。
その頂点にあるのは朝廷である。スメラギ(kz0158)を帝とするが、一方で国防に関しては武家に任された。
武家達を束ねるのは幕府。つまり、エトファリカ連邦国は『朝廷』と『幕府』という二重政権の国なのだ。
「スメラギ様は『陰陽寮』を率いて結界をお願い致します」
戦姿の立花院 紫草(kz0126)が丁寧な物腰で告げた。
普段なら帝の前に帯刀したままなど許される事ではないが、もはや、状況は予断を許さない。
「結界の維持は分かったが、俺様に余計な護衛はいらねーからな、紫草!」
先だっての憤怒祭壇の事だ。
スメラギが向かうはずだった祭壇に紫草の私兵が先回りしていたのだ。
「分かっていますよ。今回ばかりはそんな余力はありませんので」
そして、公家左大臣である足柄天晴の方へ視線を向ける。
甲冑姿ではないにしろ、激動の時代に相応しく、戦えない姿ではない。
「直接の護衛は公家にお任せします。一応、詩天の姫をそちらに向かわせますが……どちらかというと結界の手助けと思って下さい」
「分かった。大将軍としての考えの事。他意は無い事だろうからな」
二人の視線が宙でぶつかる。
以前、スメラギと三条 真美(kz0198)の二人に婚姻の噂を立てたのは紫草自身である。
二人がくっつけばそれはそれで良いと思っていたし、あくまでも『噂』だ。
だが、公家からは強い反応が返ってきた。その話を知ったのが、紫草自身からではなかった事も影響が大きい。
「詩天は優れた符術師を輩出している名家ですからね」
軽く微笑を浮かべて紫草は言った。
当然のことながら、天晴の言葉通り、他意はない。詩天の姫と配下達は、その実力に応じた場所で戦った方が良いと判断したからだ。
紫草は軽い動作で馬に跨る。
「出陣します! 今一度、憤怒歪虚を滅する時です!」
こうして、幕府軍は出撃したのであった。
●嘗試
十鳥城代官である仁々木 正秋(kz0241)もその軍勢の中に居た。彼の親友である菱川瞬も一緒だ。
龍尾城に駆け付けた訳ではない。リゼリオでの情報収集を終えて天ノ都に戻ってきた所だったのだ。
「仕方ないんじゃねぇか、てか、むしろ、兵を消耗しなくて済んだと思えばよ」
「折角、練兵も終えているというのに、肝心な所で力になれないとは」
瞬の励ましに、それでも正秋は悔しそうに応えた。
今回、十鳥城の兵士達は連れてこられなかった。召集が早かったものもあるし、何より、十鳥城はここから遠い。
「それにしても、思い出すな。この戦力が不足している状態での憤怒歪虚との戦いは」
「……そうなのか?」
「そっか。正秋はずっと十鳥城の中に引き籠りだったから、知らない訳だな」
西方からハンター達が援軍としてやってくるまで、東方は圧倒的な戦力を誇る歪虚との戦いを続けていた。
その時と状況が似ているなと瞬は思ったのだ。そして、出撃した武士の面々を見渡した。
今、幕府軍は少なく感じられた。これは、幕府軍の即応部隊が恵土城への救援に向かった為だ。
恵土城では南方からの歪虚の動きが目立っていた。幸い、ハンター達の活躍により落城する事はなかったが、危機的な状況には変わりはない。
もし、恵土城での戦いが有利に進んでいれば、戦力にゆとりはあったはずだ。
「あの獄炎の影が、憤怒王と同等なら……明らか、戦力が少ないぜ」
一時の平和が訪れていた事も戦力の集中に欠ける事になっていた。
武家の中には兵力を引き揚げていた所もあるからだ。
中には、鳴月家のように、エトファリカ連邦国の外で戦っている者もいる。
そういう意味でいうと、獄炎と戦った時よりも状況的には酷いだろう。
「だから、戦闘になったら注意しろよ、正秋」
「さっきの注意事項の話か……」
戦い前の訓示で憤怒歪虚との戦いで注意すべき事を告げられた。
強力な憤怒――ツォーン――の中には、精神汚染を仕掛けてくる存在も居るという事だ。
これがなかなか厄介だ。訓練された馬が暴れ出すと戦い所ではない。東方の地で舞刀士が発達したのも、騎乗できない状況があったからなのかもしれないと正秋は思っている。
「武器も複数持ったし……」
腰だけではなく、背中にも刀を正秋は背負っている。
幕府の符術師や僧侶の話によると、強大過ぎる負のマテリアルそのものを身体にしている存在には、手にしている武器にも影響を及ぼす場合もあるという。
「攻撃魔法の効果も減少するなら、苦戦は免れないか……」
「これでも結界は効いているっつー話だけどな」
「黒龍と龍脈の力は、本当に凄かったのか」
感心した様子で正秋は大地を見つめた。
負のマテリアルの汚染によって荒野しかないが、確かに、この東方の地には龍脈の力があって、人々を守っていたのだ。
「獄炎を倒した時、黒龍も龍脈も犠牲になった。これは、犠牲しちまった『代償』かもしれねーな」
遠くに視線を向けて寂しそうに呟いた瞬。
その呟きに正秋は首を横に振った。
「瞬……それはきっと、違う。『代償』じゃない……これは『嘗試』だ」
あの時から幾度も難局を乗り越えてきた。
成長を遂げた事を、黒龍や龍脈に捧げる戦いなのだ。
●再来
天ノ都。龍尾城の執務室で、スメラギは椅子に身を投げ出して天井をぼんやりと見上げていた。
――ほんの数年前まで、この光景を見るのが当たり前だった。
『お柱』としての務めに縛られ、天ノ都から出ることが許されなかったから……。
あの頃、黒龍は好きだったけれど、周囲の大人達は好きになれなかった。
『国の為』と言って、選択も自由も奪い、自分に全てを押し付けた。
そう思っていた。だから、反抗して、反発して……。
――スメラギ。これは貴方にしか出来ぬこと。貴方を縛っているのは他でもない私です。周囲の者も苦しんでいる……どうか、分かってあげて。
思い出す黒龍の言葉。何故彼女が周囲を庇うのか分からなかった。
今でも口うるさい大人達は好きになれないけれど。
――それでも。国を、民を守りたいと思った。
そう決めたのは他でもない自分だ。黒龍が消え、龍脈の力が弱った今もそれは変わらないから。
「……やってやろうじゃねえか。人間様の底力、ナメんじゃねえっつーの」
立ち上がったスメラギ。傍に控えていた従者を呼び寄せる。
「ここじゃ場所が足りねえ。広間に術師達を集めろ。九代目詩天もそこで待機。龍脈への道を一時的にこじ開けて防衛陣を張る。もう紫草がやってんだろうが、念のために民は北に避難させろ。広間も戦場になるかもしれねえから兵以外は近づけるな。急げ!」
「御意」
走り去る従者。その背を見送って、スメラギは歩き出す。
――再び『お柱』となる為に。
リプレイ本文
該当リプレイは以下のURLの特設ページで公開されております。
http://www.wtrpg10.com/event/cp040/opening
http://www.wtrpg10.com/event/cp040/opening
依頼結果
依頼成功度 | 成功 |
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重体一覧
-
ヴァイス・エリダヌス(ka0364) - 支援巧者
ロニ・カルディス(ka0551) -
ノノトト(ka0553) - 王国騎士団“黒の騎士”
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ステラ・レッドキャップ(ka5434) - 洗斬の閃き
セツナ・ウリヤノヴァ(ka5645) -
鞍馬 真(ka5819) - 真実を照らし出す光
歩夢(ka5975) - 覚悟の漢
南護 炎(ka6651) - 比翼連理―翼―
濡羽 香墨(ka6760)
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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質問卓 八島 陽(ka1442) 人間(リアルブルー)|20才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2018/02/04 22:05:07 |
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選択肢表明 エステル・ソル(ka3983) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/02/05 20:31:34 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/02/05 17:55:14 |
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選択肢1:獄炎の影討伐相談卓 Uisca=S=Amhran(ka0754) エルフ|17才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2018/02/06 08:26:26 |
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選択肢2 :結界陣維持相談卓 Uisca=S=Amhran(ka0754) エルフ|17才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2018/02/06 16:27:24 |