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プレゲーム第1回リプレイ「避難民脱出支援」

プレゲーム第1回リプレイ「避難民脱出支援」

●決死戦
 LH044がヴォイドとの戦闘により揺れ、その度に何処からか避難している人々の悲鳴が上がる。
 攻めるヴォイド、逃げ惑う人々、指揮混乱した兵士たち。
 ――まさに地獄。
 駐留部隊のCAMとヴォイドとの戦闘は苛烈を極めている。
 宇宙空間での戦闘の為に多くのCAMが出払っている。ただでさえ少ないCAMの内の更に少数がコロニー内を防衛していたが、彼我の兵力差は絶望的だ。

佐倉 桜

榊 兵庫

足立 真

「壊れかけのデカブツ、向こうから見れば良い餌、です……」
 怯えながらも数少ないCAMに搭乗して佐倉 桜(ka0386)は戦っている。
 恐怖を圧しての戦闘――また一匹、一匹と屠っていくが――。
 だが――その言葉が表すように。逃げ惑う避難民に気をつけながらの激しい戦闘の為に損傷が酷い。
「こ、こわ、い……でも。この身は……弱いモノを護るための盾、だか、ら」
 そう、守るべきモノは目の前にある――今もなお避難している人々だ。
 護らなければ――。
 そして――佐倉は榊 兵庫(ka0010) により混乱を脱しつつある一部の歩兵部隊と連携し、味方歩兵が敵側面・背面を取れるようになんとか立ち回りをしていた。
 気の抜けない激戦は続く。
「ここは任せて、そっちの人らを先に!」
 クレイは混乱極まる中で先行して隔壁を調べるレイ・アークステッドからの情報を元に誘導に努めていた。
 ただ闇雲に誘導するのではない、できるだけ安全な避難経路を求めて。誘導は順調の様に思えた。
「俺らは死なれへん。少しでも多くを助けるために踏ん張ったれ!」
 しかし、敵は誘導している避難民に呵責なく迫ってくる――。
 足立 真(ka0618)は拾った銃を持ち、苦手ながらも避難する人々のため、クレイ、そして負傷している瀬崎と共に攻撃して避難を支援した。
 敵を倒しつつも、その進行を遅延させるように。何故なら敵を全滅させるのは難しいのだから。
 硝煙と爆音の中、避難民は誘導されながらLH044からの脱出を目指す。逃げきれるか――それは神のみぞ知る。
 
 一方、ヴォイドを迎撃しつつ避難民の援護をしている歩兵部隊。CAM部隊に続く激戦地でもあった。
 体制を立て直しつつあるが、劣勢には変わりはなかった。
「うへぇ、一番しんどい仕事じゃないの。おじさんに恨みでもあるのかい?」
 瓦礫でバリケードを築いて攻撃しているのは沢渡 源之丞たちだ。
 沢渡達の歩兵部隊は度重なる戦闘に疲弊の色がかなり濃い。

伊出 陸雄

「兵員の数も弾薬も装備も心許ない。だが、それがどうした! 戦うだけだ!」
 伊出 陸雄(ka0249)はバリケードの中、絶望的な状況に声を張り上げながら自分を、周りを鼓舞するように叫ぶ。
 そう――ここで突破されてしまえば想像もしたくない事になる。
 それだけは避けねばならない。故に――守るべき者達の為に必死で戦っていた。
 バリケードと言えども即席のため、敵の猛攻の前に崩れつつあった。バリケードが崩壊するのが先か、敵を撤退させるのが先か。
「へいへい、ポーカーの負け分くらいは働きますよっと」
 沢渡は敵の接近を許さないように応戦しながらごちる。
「今は、耐えるんだ! 味方の増援まで耐えるんだ!」
 クルト・V・シュライバー(ka5968)は敵の猛攻に落ち込み気味な味方の士気を鼓舞。混乱で逸れた味方歩兵を再編成し、味方の増援が来る事を信じ、猛攻をかけるヴォイド達へ反撃を試みていた。
 血で血を洗う苛烈な戦闘――生存戦争が繰り広げられる。戦闘に巻き込まれた避難民もまた生き残るのに必死だった。
「絶対にこの子と生き延びるわ! 絶対に!」
 辰川 陽子は護身用の拳銃を装備し、娘の辰川 幸子を抱えながら必死で逃げている。
 陽子は幸子だけでも生き残って欲しいと想いながら戦場を駆ける。ここでは親子もまた生き残るために闘っていた。

デスドクロ・ザ・ブラックホール

「野郎ども! 行くぜ! あのヴォイド野郎共に一泡吹かせてやるぜ!」
 デスドクロ・ザ・ブラックホール(ka0013)は呼びかけ――それに呼応する声は数少なくなかった。
 この状況が面白くないのだろう、それとも復讐か。
 デスドクロの様に拾った武器で武装した一般人と共にヴォイドへ向かっていく。
 彼等を突き動かすものは何か。人々を戦いへと駆り立てる理由、それは彼等しか知らない。
 混迷を極めるコロニー内。避難誘導と兵士の援護でなんとか避難を続ける避難民達。だがそれをあざ笑うかの様にヴォイドが侵入し、一部が避難民を目指す――。
 誘導している兵士のお陰でパニックにはならなかったものの、人々の表情には恐怖に染まっていた。
 絶体絶命か――。
「そうはさせない!」
 その状況を察知した樋口 知己は阻止しようと最大戦速で向かっていく。
 幾多の戦闘で樋口のCAMは激しい損傷を受けていた。しかし、それでも避難民を守るためには厭わなかった。自分がやらねば誰が彼らを護るのか。
 樋口に気がついたヴォイドが樋口に殺到する!
 押し寄せるヴォイド。樋口は良く戦った。劣勢の中に身を置いても、激しい損傷を受けていていても、それでも尚戦い続ける。
 だが、多勢に無勢――幾つかを倒したものの限界がきたCAMは活動を停止する。なんとか動こうと操縦桿を動かすが、機体は言う事を聞かない。
 ――動かなくなったCAM。火の落ちたコックピットの中で樋口は覚悟を決めた。
「……プロポーズ、したかった……」
 敵に嬲られ、一思いに破壊されずに蹂躙されていく樋口機。
「っ――!」
 人の形を保てず崩れていくCAM。それを助けようとしていたアストレアの目の前で樋口機が爆散四散する。
「……倒さないと」
 すぐにアストレアは仇とばかりに樋口機を蹂躙していたヴォイドに突っ込み戦闘を繰り広げる。
 そうして、撃破したアストレアは未だに侵入しようとするヴォイドに攻撃を仕掛ける。満身創痍のCAMを操りながら。
「後、少し――」
 だが――現実は非情だ。
「あっ――」
 遠方に見えるのは――侵入してきたヴォイドの一部が避難民に向かっていく姿だ。樋口もいなくなった今、彼らを救えるのはアストレアしかいない。
「しゃーないでしょ、軍人だもん……」
 CAMの計器に映るのは弾薬ゼロ――先には避難民に向かうヴォイドの集団……燃料は、ある。
 救いのない、絶望的な状況。そこでアストレアのとった行動は……。
 避難民に向かうヴォイドの集団に出せるかぎりスピードを上げ、外装を崩壊させながら突っ込んでいく。
 敵集団に接敵――刹那、アストレア機の大爆発を起こした。爆炎は怪物たちを燃え上がらせ、散り散りに吹き飛ばした。
 避難民に向かっていたヴォイドは一掃された――アストレアによって。
 樋口とアストレアによって多くの命が救われた。地べたに投げ出され燃え上がるCAMの片腕を横目に、避難民は先を急ぐ……。

●救いを求めて
 その頃。別の場所でも突如として現れたヴォイドの攻撃から逃げ惑う人々の姿があった。
 崩れ落ちる建物、炎上する家屋、残されたCAMとヴォイドによる戦闘。今となってはどこもそんな有様だ。
 辺りは混迷を極めていた――避難民が、軍がLHO44に暮らす全ての人々が、ヴォイドと言う存在によって。
 襲撃と戦闘により脆くなった構造物の一部が崩れ落ちた。港を目前に、瓦礫が避難民の頭上から降り注ぐ。
「危ないっ!」

シェリル・マイヤーズ

 家族で避難していたシェリル・マイヤーズ(ka0509)の父母が娘を守るように咄嗟に覆いかぶさるように身を挺して守った。轟音と共に砂煙が巻き上がる。
「大丈夫!?」
 偶然にも子供の誘導をしていた一条 紗彩は崩落に巻き込まれたシェリル達へと駆け寄った。
「父さん……? かぁ……さ……?」
 両親は帰らぬ人となっていた。二人はその命を犠牲に大切な娘を守ったのだ。
 だが目の前の惨状にシェリルの理解が追いつかない――数分前までは両親は確かに生きていたのに。
「しっかり、しっかりしなさい! あなただけでも生き残るのよ!」
 放心状態のシェリルの肩を揺する紗彩。その声にシェリルは両親の言葉を思い出した。
「生きなきゃ……行かなきゃ……約束……だもん」
 紗彩に連れられ港へ向かうシェリル――彼女は何を思い、どうなって行くのか。

 一方、まだ港を目指せず逃げ遅れている人々も居た。多くはお年寄りや少し判断に迷った人々など事情は様々だ。
 住宅地区。木島 順平(ka2738)はお年寄りと共に避難をしていた。木島はお年寄りを見捨てる事ができず、説得して避難をしていたのだった。

ティーナ・ウェンライト

「うわわわっ、こっ、こっちからも来てるんだよ?!」
 ヴォイドと遭遇した木島はお年寄りの持っていた防犯ブザーを人気の居ない所へ投げて気を逸らして逃げることが出来た。
 お年寄りの手を繋ぎながら避難する木島。
「私達のお店……」
 同じ地区でティーナ・ウェンライト(ka0165)も避難を始めていた。
 ティーナは残してきた店に後ろ髪を引かれていた――それだけの想いが店には籠っていた。しかしまた大切な人達を失うわけにはいかない。
 未練を残しながらも、近所の人達と声を掛け合い共ながら避難するのであった。

「お母さん……おがぁさぁぁぁん!!」
 家族と逸れた子供が泣き叫ぶ声。親しかった誰かの亡骸を前に項垂れる人々の姿。
 人でごった返す港の前。何処にでも見られる、今では珍しくない光景が繰り広げられている。
「こんなことしか出来ないけど……」
 樋口 舞奈はそんな子供達を抱え、手を取り避難を続ける。一人の人間が助けられる人数の少なさに苦しみながら。
 ジェーンは避難中、落下して来た瓦礫の下敷きになり下半身を潰されてしまう。舞奈は衝撃から子供たちを庇うように屈んだ。
「誰かお願いです。この子を……この子を助けてください!」
 子の為、激痛をこらえ大声を出して助けを求めるジェーン。けれども、現実は非情だ。
 CAMとヴォイドとの戦闘により破損した構造物の大型の瓦礫が更に二人を襲う。助けに行く時間はなかった。
 まるでトマトが潰れたような紅いものがあたりに広がる。ヴォイドの襲撃によって起こされた数少なくない悲劇の一つだ。
 また救えなかった命。麻痺していく死の痛み。舞奈は後悔を振り切るように、子供の手を握り締め進む。
 悲劇が起こる混乱の中、肉親や友人を探す人々。兵士に誘導されながら必死に兄を探しているのは縡浦 シオンだ。
「……兄さん……どこ……?」
 はぐれてしまった兄を避難している人々から探すが多すぎて見つからない。
 シオンは兄を見つけることはできるのだろうか。握り締めた自衛用の木刀も心強さは与えてくれない。
「いない……」
 学校から避難してきたカイ・カミルだったが、避難先に幼馴染や友人たちの姿が見えない。
 いつも仲良く笑い合っていたメンバーの姿がない。必死に人をかき分けて探しても見当たらなかった。
「探さないと」
 誘導していた軍人の制止を振り切りカイは学校へと探しに戻っていった。彼は無事に友人を見つけることが出来るのか――。

日下 菜摘

エリアス・トートセシャ

 脱出船を待つ港も地獄絵図であった。無事に避難できた人ばかりではない。悲しみの声と苦痛のうめき声がそこら中から聞こえてくる。
 泣きながら親を探す子供、重傷が元で亡骸となった肉親に寄り添い泣く家族。
 家族を、肉親を、友人を失い心が折れた人々、または怪我をした人々も多い。そこには野戦病院さながらな光景が広がっていた。
 そんな中、衛生兵と共に人々の体と心のケアに走り回る民間人もいた。日下 菜摘(ka0881)はその一人だ。
 医師だった菜摘はこの避難先にたどり着く迄の間に落伍者を出さない様に負傷者の手当に必死で奔走していた。
「お姉さんに任せておけば絶対大丈夫ですからねー」
 場違いに元気な声を出しているのはエリアス・トートセシャ(ka0748)。避難途中に負傷した人々の体を、心を癒やす様に処置を行っている。
 菜摘とエリアスは一人でも多くの人を救うべく他の医療スタッフと共に治療して回る。その横には軍人に誘導され脱出艇へと乗り込む長蛇の列が出来ていた。
「ハイハイ、とっとと生き延びようぜ」
 軍人である加倉一臣は小野友真と共に港付近避難経路の確認と報告をしつつ、逃げ遅れた避難民が居ないか捜索していた。
「一臣さんこっちの人抱えたげて、怪我してる」
 一臣達は負傷して逃げ遅れた一般人を保護し脱出艇へと向かう。
「誰かまだいるかー? 動けないなら一声かけてくれ」
 軍用車と拡声器で逃げ遅れた者はいないか辺りを周り、逃げ遅れた人々を載せているのはクラウス。
「逃げ遅れはいないか? 動けない者がいたら教えてくれ」
 同じく、ハロルドは戦闘車両に乗り拡声器で逃げ遅れが無いか回っている。機動力を生かして港周辺を広く巡回できる。
 如月青葉はヴォイドの索敵をしながら避難民の捜索に当たる。徒歩による捜索と索敵は車両のようなスピードがない代わりにこまめに探すことができた。
「我輩が守ってやる……」
 どうやら負傷した子供を見つけたようだ。親と逸れてのか、ぐずってはいるものの怪我はない。如月は子供を背負って列へ向かった。
 逃げる人々とそれを誘導し救護する軍人。状況は最悪だ。だが――人々の行いにより僅かながらも好転しつつあった。
 苦難が続く避難。しかしその運命に抗おうとする人々の意志がある。彼らは協力し合い、この一大事を乗り切ろうと必死だった。

●紅き騎兵隊
 脱出先となる港部が落とされれば最後、最早脱出も不可能になる。港に敵を近づけまいと、死力を尽くしての熾烈な攻防戦が繰り広げられていた。
 敵ヴォイドの容赦無い攻勢に駐留部隊の残存戦力も限界だ。最早瓦解の時間の問題かと思われた時――遠方から来る幾つもの煌き。
 そう、サルヴァトーレ・ロッソからの増援部隊がやってきたのだ。増援部隊は被害もなく無事にLH044へ到着したのだった。

ケンジ・ヴィルター

セレン

 兵士達は迅速に展開し駐留部隊の援護へと向かう。CAMは艦艇の直衛もある為、少数が港の防衛している駐留部隊と合流することになった。
「あいよ、増援部隊のお通りだ!」
 CAMに乗ったケンジ・ヴィルター(ka4938)はばら撒かないように気をつけてタップ撃ちをする。主目標は遠距離攻撃を行っているヴォイドを潰すのが狙いだ。。
 一発一発、遠距離のヴォイドを屠っていくケンジ。大々 大は施設と避難民への被害を押さえるために近接メインで臨む。
 5000mmCAM用カタナを右腕、1300mmコンバットナイフを左腕に装備し二刀流の近接スタイルで敵に飛びこんだ。構造物と避難民を気にしながらヴォイドを切り伏せていく。
 セレン(ka0153)はCAMにライフル2丁を構え、サブにカタナを装備して避難経路の確保を優先して動く様だ。避難経路に迫る敵を射線と死角からの攻撃を警戒しながら敵を迎撃する。
 一方、歩兵たちは一分一秒を争うかの様に迅速に行動していた。
 ダフネ・アバスカルは急いで駐留部隊まで進出。交信可能範囲で援軍が到着した事を伝え、駐留部隊の士気を持ち直させた。また、小型ヴォイドとの戦闘情報を得て味方との連携も取り持つ。
 増援部隊と駐留部隊によって挟撃する形でのヴォイドに対する戦闘が始まった。精鋭の友軍が合流した事により、残された駐留部隊も息を吹き返す。
「軍人の意地を見せてやっからな」
 大屋大はCAMが攻撃し辛い小型のヴォイドを銃火器で攻撃していた。敵の殲滅目的と言うよりも避難民からヴォイドの気を惹くのが目的のようだ。
「地の利でなくても、使える物は使わせて貰うさ」
 崩壊したバリケードの残骸を使い同じくヴォイドの気を引くよう攻撃しているのは柊神・斬狗郎・宗近だ。時には大きな瓦礫を投げつけたりしてダメージを与えている。
「くそっ、屋内は撃つのにいちいち気を使わなきゃいけないから嫌いだわ!」
 穂村 燈子はコロニーといえども室内と変りなく隔壁破壊を気にし、更に避難民までいる状況でフラストレーションを溜めていた。
「外に出たらぜったい撃ちまくってやる……!」
 ぶつくさ言いながらも大屋大と柊神に向かうヴォイド達を銃撃し二人を支援する。彼女達は駐留部隊と連携しながらヴォイドの撃退に当たっていく。

鹿東 悠

「一人でも多く救助を!」
 既に駐留部隊でも車両による避難民の捜索が行われていたが、鹿東 悠(ka0725)は漏れ落ちの無いよう確認に当たっていた。
 主な捜索は非戦闘地域を中心に残存避難民と負傷兵の救助回収にあたり、無事回収することに成功していた。
「好き勝手しやがって、この化物共が……!」
 避難民の護衛をしつつも、単独移動している避難民の捜索を最優先していた眞田 恋は敵と遭遇。
「人命最優先だ! 倒さなくても良い! 一人でも多く連れて逃げろっ!」
 眞田は周りの友軍と連携して攻撃を開始しつつ、周囲の避難民を優先的に逃していた。そして捜索しているのは兵士ばかりではない。
「救える命は救うまでです」
 間下 思議(ka0325)は軍医だ。武器でなく医療器具を持って港から出ていき、戦闘そっちのけで生存者を探索にあたっている。
 怪我をした避難民を見つけられれば応急手当をして兵士に避難を任せるというのを繰り返していた。
 鹿東、眞田、間下は捜索を続ける。一人でも多く救う為に――。
 そして港の救護所では兵藤まこが負傷者を格付けして回っていた。
 こうすることで、負傷者の搬送や治療を効率的に行う事ができるようになるからだ。それは混乱していた医療チームの混乱を鎮める役割もあった。
「これは、薬足りるでしょうか……。動かないで下さい。傷に響きますよ」
 神森 静(ka1383)は兵頭が判別した負傷者の治療に当たっていた。搬入される増援部隊からの物資を使いながら治療するも、負傷者の多さに不安が隠し切れない。それだけ今回の襲撃が大規模だったのだとを物語っていた。
 ルフェ・ル・シエルは端末を用い、LH044の損傷状況を確認していた。可能であれば崩壊までの出来るだけ正確な時間猶予を割り出し、各隊員に報告しなければならない。
 特に崩壊が早く始まりそうな地点については別個に報告、避難民捜索の補助となるようにしていた。彼女の指示がなければ、崩壊間際のコロニーで救助活動など危険すぎて出来なかっただろう。
 ふと、港湾部分を襲う敵の圧力が消える。先ほどまであった襲撃も、増援の到着と駐留部隊の攻勢により徐々に撃退された。
 不気味なほどの束の間の空白――。訪れた静寂にざわめく避難民達。
 チャンスとばかりに大々、ケンジ、セレンのCAM部隊は索敵しつつ殿を務めた。いつ敵が再侵攻してくるかわからない。脱出するなら今しかない。

アニタ・カーマイン

 大屋大、柊神、鹿東、ダフネ、穂村、眞田達は殺到する避難民を他の駐留部隊と協力し誘導し、次々と脱出艇を発進させていく。
 港を離れた避難艇は艦へ吸い込まれるように収納されていく。敵の攻撃もないこともあって多少の混乱はあったもののスムーズに乗艦が行われた。
 紆余曲折のうち、港に集まった全ての避難民が脱出艇へと乗り込んだ。離れるLH044を見つめる人々。その視線の先、突然LH044が闇に包まれた。
 原因は何か? 探ってみるとコロニーの集光装置が破損したのが避難民を乗せた艦から見えた。電力は無事だろうが、内部は一時的に闇に閉ざされるだろう。
「集光板の損傷か……コロニーの崩壊も時間の問題かしらね」
 港から出航した脱出艇を見送るアニタ・カーマイン(kz0005)。そこへ兵士の一人が駆け寄る。
「アニタ、まだ脱出できていない避難民がいる! 車両で自力でこちらへ向かっているそうだ!」
「間に合うか……? 脱出艇はいつでも出せるようにしておきなさい! こっちからも迎えに行くよ。イキのいい奴を集めなさい!」
 アニタの号令に立ち上がるCAM。崩壊へと突き進むLH044。残された時間は、あと僅かだ――。

担当:後醍醐
監修:神宮寺飛鳥
文責:フロンティアワークス

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