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プレゲーム第1回リプレイ「大型ヴォイド進攻阻止」

プレゲーム第1回リプレイ「大型ヴォイド進攻阻止」

イレア・ディープブルー

霧江 一石

藤堂

●闇を切り裂いて
『――オペレーターより各機へ。現在避難住民収容、主砲エネルギー充填共に予定より若干の遅れが出ています。しかし作戦内容に変更はありません。マテリアル粒子砲のチャージまで、なんとしても耐えてください』
 既に状況は回復したものの、主砲への被弾はチャージ時間を遅らせた。避難民収容完了までもまだ時間がかかりそうだ。
「特攻なさっても構いませんが、ここは決戦の場ではない事をお忘れなく。それでは、皆さんの幸運をお祈りしています」
「ったく、どんなお祈りだよ……! 霧江 一石、補給完了だ! 再出撃するぜ!」
 イレア・ディープブルー(ka0175)の通信に毒づきながら出撃する霧江 一石(ka0584)。サルヴァトーレ・ロッソ周辺では今も苛烈な戦闘が継続していた。
「ったく、どんだけいんだよ! ロクに片付きやしねぇ!」
 早速遭遇した敵にライフルを連射する一石。その先ではブライアンがガトリングで敵を次々に撃ち落している。
「よお兄弟、良いニュースと悪いニュースがあるぜ。良いのはもう少しであいつを倒せるって事。悪いのは既に弾切れって事さ」
「おい、バカ言ってないで補給しろ! ここは俺が引き継ぐ!」
「ハッハッハー、OK兄弟! 後は任せたぜ!」
「いいか、粒子砲のチャージが終わるまで持たせればいい! こんな所で無駄に命を散らすなよ!」
 撤退する仲間を支援する帯刀 和真。大型ヴォイドの接近につれ、小型の攻撃も過激になりつつあった。
「組織的な行動を取る群体……大型を大隊長とすれば、この小型の軍隊にも目の役がいる……そう思ったのだがな……」
 敵の動きの規則性を確かめようとミサイルを撃ち込む藤堂(ka0569)。しかし敵の反応は均一で、かつ驚くほど速い。
「ほぼノータイムで同時に反応する……これは!?」
「全くどうなってるんだか……まるで全部の目がリンクしてるみたいじゃないか!」
 同じく敵の動きを分析したサラ・レラージュ。大型の接近に伴い小型の足並みは驚くべき精度で統一されつつあった。
「だとしても、私たちがやれる事をやるしかないんだ。尽力を尽くす迄よ!」
『こちらオペレーターのメイビーです。新しい情報が入ったわ、よく聞いて! 敵は高度な戦術リンクシステムに近い能力を持っているわ! 孤立したら集団で包囲されるから、必ず仲間と行動するようにして!』
「こちらヘイル、聞いての通りだ! 各機、孤立している機体の支援を頼む! こちらも集団で攻めれば注意は引ける筈だ。そっちの二機、付き合ってもらうぞ!」

ルオ

月架 尊

君島 防人

クリストファー・マーティン

ミシェル

「これ以上好き勝手にさせるかよ! 突撃なら任せとけ!」
「待ってください、ボクも同行します!」
 ヘイルに続くルオ(ka1272) と月架 尊(ka0114)。ルオはヘイルの支援を受けライフルを乱射しながら敵陣に突っ込み、撃ち漏らしを尊がカタナで切り裂いていく。
「へっ、遅いんだよ化け物が!」
「ちょっときみ、突っ込みすぎだよ!?」
 一撃離脱を繰り返すルオだが、直ぐに統率された敵に囲まれてしまう。手助けとなったのは君島 防人(ka0181)の狙撃だ。
「意気込みは買うが、経験はまだまだ、か。立原、同じ新米のよしみだ。援護してやれ」
「了解!」
 ルオの横につき攻撃に参加する立原 准。二人はアサルトライフルで敵陣形を崩していく。
「こちらクリストファー・マーティン。皆なかなかいい調子じゃないか。連携を組み直して反撃するぞ、もう少し時間が欲しい。防人は俺とペアだ、背中は任せる。ヘイル、波状攻撃の指揮を任せていいかい?」
「傭兵風情に任せて貰えるとは光栄だな。艦砲射撃を要請する! 敵を一か所に追い込むぞ! さあ、来い化け物共。訓練された人間の強さを見せてやる!」
「左から煽りをかける! 行くぞ、防人!」
 素早く回り込みアサルトライフルで敵を撃ち落していくクリストファー・マーティン(kz0019)。そこへ近づく敵を防人が狙撃で始末する。
『オペレーター涼野 音々(ka0683)、指定地点に砲撃指示完了……だけど、何だか暴れている人が……』
 全体が結託して行動を開始している中、クルト・ハイネス(ka1056)はまだ一人で敵集団相手に大立ち回りを続けていた。その様子にオペレーターのミシェル(ka0456)が悲鳴をあげた。
『うわあああ! ボクの整備したCAMに傷が! クーさんは怪我してもいいからCAMは無事に連れ帰ってくださいぃぃ!』
「あ? 全力を出し切らねェとコイツの性能もわかんねェだろ? 嬢ちゃんは俺と敵さんに感謝しねェとなァ!」
 全く反省の気配のないクルトだが、いよいよ機体も限界に近い。そこへ颯爽と色邑 蘇芳が現れ、クルト機を掴んで後退させる。
「あっ、オイ!? 今良いところだったのによォ!」
「敵を倒す事が目的ではなく、生きて帰ることが目標です……それ以前にあそこにいたら味方に撃たれますよ」
『グッジョブです! そのままその人持ち帰ってください!』
「ははは……すみません、損傷機を送り届けたら直ぐに復帰しますので」
 ジタバタしているクルト機が蘇芳に連れられ遠ざかっていく。その様子を杜郷 零嗣(ka0003)は冷や汗を流し見送る。
「い、命が惜しくないのか……?」
 零嗣へ接近する複数の敵影。アラートに怯えながら、しかし身体は正確に機体を操る。付近を浮遊していたコロニーの外壁を掴み、零嗣は敵集団へと投擲した。
「コ、コロニーの外壁素材なら……強度は十分な筈!」
 敵が放ったレーザーを回転する破片が弾き飛ばす。すぐさま腰溜めにガトリングを構えヴォイドを薙ぎ払った。
「こんな事なら盾を持ってくるんだった……えーと、残弾は……」
「今が踏ん張り所だ! お前ら、死んでも死ぬなよ!」
 ジョニー・スカイフォールはガトリングガンで敵を追い込み、砲撃地点へ誘導する。サラ、研二もこれに協力し、左右から敵に攻撃を行う。

レホス・エテルノ・リベルター

ジョン・スミス

 ベテランの戦士達は順調に戦況を組み立てていくが、新人にはまだ厳しい状況だ。レホス・エテルノ・リベルター(ka0498)は緊張のあまり汗だくになり、息も荒く操縦も鈍くなってしまっていた。
『レホス機、複数の敵に狙われてる……誰か援護を……』
 放たれた複数の光線に狙われ損傷するレホス機。そこへ高嶺 瀞牙の狙撃が降り注ぎ、次々に敵の影が爆ぜていく。
「レホス、今助ける!」
 スバル・キョウガヤの乗り込んだCAMがハンドサインでジョン・スミス(kz0004)を誘導。二機はレホスの元へ急ぐ。
 左右の手に装備したアサルトライフルを突き出し連射しながら突撃するジョンに先行しスバルがカタナを振るう。レホスに近づいていた敵を切り裂き、二人は少女の傍に降り立った。
「俺も故郷に妻と娘を持つ身だ。若い娘が目の前でやられるなんて認められんよ」
「彼女の方は任せます。雑魚は俺が」
 左右に二丁のライフルを突き出し、周囲から近づく敵を次々に射抜くジョン。レホスの危機は二人によって救われたようだ。
『緊張は、視野を狭める……力を抜いて、視野を拡げて』
「あ、ありがとう……もう大丈夫」
「友軍と合流しますよ。さあ、行きましょう」
 音々の声を聴きながら深呼吸を一つ。レホスは操縦桿を握り直し二人と共に戦いに戻る。

周太郎・ストレイン

「最後の仕上げだ。敵を引き付けるぞ!」
「こちら高嶺、付き合おう」
 突撃してくるヴォイドを盾で薙ぎ払い、旋回しながらライフルを掃射する周太郎・ストレインka0293) 。瀞牙はその背後につき彼を支援する。
「ゲテモノ共が……! これ以上好きにはさせん!」
 二人が敵を引き付ける間、音々は支援砲撃の狙いを定める。そして合図と同時に二機が離れ、先ほどまで彼らがいた場所に砲弾とミサイルが爆ぜた。これで一つの敵集団が消えたが、それも多くの内の一つに過ぎない。
「次から次へと……全くキリがないな」
「この警戒網では、大型に取りつくだけでも一苦労だな……」
 唖然とする周太郎と瀞牙。戦って敵の数を減らしているその間にも、更に接近しつつある大型ヴォイドが敵を吐き出し続けていた。

「敵大型ヴォイド、なおも接近中ー! 周りの敵さんが多すぎて攻撃部隊をが取り付けませーん!」
「マテリアル粒子砲さえ撃てればまだ……! エネルギー充填はまだなの……!?」
 一方、サルヴァトーレ・ロッソ艦橋。慌てた様子のシンシア・クリスティー(ka1536)、その隣でルビスがコンソールを操作している。
 粒子砲のエネルギーバイパスは既に正常に稼働している。艦内のエネルギーを集中させて遅れを取り戻そうとしているが、まだ充填までは時間がかかる。
「住民の収容もまだ完了していません。やはり時間稼ぎが必要になります」
『こちらノルディン・ガラ。話は聞かせてもらった』

 CAMハンガー内。イレアの言葉をコックピットで聞いていたノルディンはサルヴァトーレ・ロッソで補給を終え、再出撃の準備をしていた。
「皆手柄が欲しくてウズウズしてるんだ。命じてくれればいつでも突っ込めるぞ」
『ちょ、ちょっと待って下さいー! 再攻撃部隊の編成とー、大型ヴォイドへの攻撃ルート……何とか出してみますー!』
 シンシアの間延びした声に苦笑を浮かべるノルディン。と、その時彼が乗り込むCAMの横に破損した機体が外から突っ込んできた。
「あーもう、めちゃくちゃな降り方しやがって! 誰だこのへたくそ……!」
 宇宙服を来たルスラン・Y・ルネフが機体に近寄りハッチを解放する。ぐったりしたパイロットを引っ張り出し、ジーリス・ザンドカイズが手を振った。
「おーい、救護班! 命に別状はなさそうだが、こいつはもうだめだ、つれてってくれー! ルスラン、こいつは俺が見る。お前はまだ出られるのを頼む」
「その子も見捨てず直してあげてくださいよ! ……おい、こっち来るな! ネット張るまで待てって……うわっ!?」
 また激しく損傷した機体が逃げ込むようにしてハンガーに突っ込んでくる。整備班は慌てて退避するが、衝撃と共にまた悲鳴染みた声が上がった。
「おぉ、ルスラン生きてるかー! おーい! ……潰されてないよな?」
「……こちらノルディン。長期戦になると整備班で事故死が出る模様。出撃指示急いでくれ」
『攻撃隊が一点集中攻撃で血路を開くそうですー! 少々お待ちくださーい!』

神室・現

アバルト・ジンツァー

「敵が多くて大型に向かえないって!?」
「ボク達で敵を撹乱してみます! その間に大型を!」
「ったく、仕方ないね……! 邪魔な奴は落としてやる! 付き添ってやるから、あたしについてきな!」
 サルヴァトーレ・ロッソに近づく敵と戦い続けていたCAMパイロット達。神室・現(ka0160)と尊が飛び出し、敵の撹乱を開始する。
「ヘイ! こちらブライアン、ミサイル満載で戻ってきたぜ!」
「丁度いい。ミサイル攻撃に続いて自分が突破口を開く。現、尊、援護を頼む」
 アバルト・ジンツァー(ka0895)の声に従い足並みを揃える三機。彼らを送り出す為、ブライアン、瀞牙、ジョニーの三名が同時にミサイルを一斉発射した。
「ハッハー! ショウタイムだ!」
 アサルトライフルを連射しながら突撃をかけるアバルトと尊。現はガトリングで二機に近づく敵を蹴散らしながらサルヴァトーレ・ロッソから増援の反応を確認する。
「来たね! 奴のところまで導いてやる……ちゃんとあたしについてきな!」
 先行する現は敵の攻撃に被弾しながらカタナを抜いて両断する。まとわりつく敵機をアバルトが狙撃で始末し、その隙に現はアサルトライフルを乱射する。
「ちょこまか動くな、っての!」
「ルートはこのまま維持する。攻撃隊……後は任せたぞ」

●流星のように
「さぁて、出番だぜ可愛子ちゃんたち! 旦那をしっかり守ってやってくれよ……!」
『攻撃目標、敵大型ヴォイド。マテリアル粒子砲チャージまでの時間稼ぎをお願いします』
「足止めのみで良いのか? 叩き落とせと言ってくれてもOKなのだぞ? ……ノルディン・ガラ、出撃する!」
 イレアの声を合図に次々に宇宙の闇へと出撃する対大型班をラザラス・フォースターは神妙な面持ちで見送っていた。
「俺たちが整備した花嫁衣裳だ。キズモノにして帰ってくるんじゃねえぞ」
「ラザラスさん、こっち手伝ってください! まだ戦闘は終わってませんよ!」
「わかってるよ! 心配だが、俺が焦ったら花嫁衣裳がダメんなっちまうからな! ……死ぬなよ、みんな」
 ルスランの声に作業へと戻るラザラス。対大型攻撃隊は小型ヴォイドの防衛網を掻い潜り、いよいよ大型ヴォイドへと攻撃を開始する。
「こいつが目標か……行くぜ、どんだけ強ぇのか試してやらぁ!」

アーサー・ホーガン

 シールドを構えて突撃するアーサー・ホーガン(ka0471)。大型は全身に点在する眼球をぎょろぎょろと動かし、アーサーを捉えた。次の瞬間、全身のあらゆる場所から光線が放たれる。
「うおっ!? おいおい、冗談じゃねぇぞ!? まるで近づけねぇじゃねぇか!」
 降り注ぐ光線をなんとか回避し、シールドで防ぎながら動き回るアーサー。そこへ吐き出された小型ヴォイドが次々に突進してくる。
「こっちに来るなってか……へっ、面白れぇ!」
「どうしてちょっと嬉しそうなんでしょうか、あの人……」
 冷や汗を流しながら呟くアイリス・オブライエン。ライフルでアーサーを援護し敵を撃破するが、大型の侵攻は止まらない。
「で!? どうやってこいつの足を止める!? 俺らは眼中にねぇってツラしてんぞ!」
「生物である以上、攻撃されればその方向に注意が向く筈……。皆聞いてくれ。大型の後方から攻撃を行い、奴の注意を背後に向けさせる」
 あの大型をこの人数でどうにかするのは不可能だ。ならばクリフ・アークライトの言う通り、少しでも注意をサルヴァトーレ・ロッソから引き離すしかないだろう。
「いけそうではないか。俺の勘がそう言っている……付き合ってやろう!」
「俺達も行こう。みんな……必ず生き残ろう!」
 根拠のない自信に満ちたジャン・フェニックス。そして決意を新たにウーサーが声を上げる。目指すは大型背面。だがそこに行くにも防衛戦力が待ち受ける。
 次々に吐き出され纏わりついてくる小型ヴォイドの迎撃は苛烈で、大型ヴォイドはまさに移動する要塞のようだ。激しい弾幕の中、一機、また一機と仲間を失いながら、戦士達はひたすらに背面を目指す。
「さ、やろうか……撃退しなくていいなら気分的には楽、かな」
 シールドの陰に隠れスナイパーライフルを構えるアティ・アロエ。遠距離から狙撃で狙うのは大型ヴォイドの眼球だ。引き金を引く度、砲弾がヴォイドの目を潰していく。
「やはり眼球に対する攻撃は有効なようです。目に頼っている部分も、見た目通り大きそうですね」

レイド・グリュエル

「ここあ、レイド! 俺達シュライバー小隊は敵の目を潰し死角を作った後、障害物を使っての回り込みをかける!」
「了解。ここあ、集中攻撃だ!」
 ブライアン・シュライバーに率いられ、レイド・グリュエル(ka1174)、亞取ここあの二名が互いをフォローしながら眼球を攻撃する。
「目を潰せばおいそれと近づいてこない……といいなー」
「あの排出口にミサイルぶちこめば雑魚も止まるんだろ! 退け、俺が黙らせてやる!」
「あっ!? 一人では危険です、アーサーさん!」
 突撃するアーサーを援護するアイリス。二人に纏わりつく敵に狙いを定め、狙撃するのは織音 なつきだ。
「私は不器用ですからね。他の事はお任せしますが……狙撃だけなら負けませんよ!」
 二人の援護を受け防衛網を突破したアーサーは近距離でミサイルを発射。小型ヴォイドの排出口から爆炎が溢れ出し、肉片と共に飛び散っていく。
「敵の出現が止まった……! へっ、ざまあみやがれ!」
『アーサー・ホークさん。お手柄ですが、帰還してください。機体損耗率50%、それ以上の戦闘は認められません』
 エスター・ファーガスに言われるまでもなく、四方八方からくる攻撃で機体はボロボロだった。盾がなければ攻撃もままならなかっただろう。
「十分な成果だ! 後は任せて下がれ!」
「……チッ。死ぬなよ!」
 反転し撤退するアーサーをに変わって攻撃するクリフ。アティは淡々と狙撃で敵を始末し、シールドで反撃を防ぎながら道を作る。
「あの排出口はこの俺に任せろ!」
 小型ヴォイドを刀で切り払い、被弾しながらも接近するジャン。そしてミサイルを放ち、また排出口の破壊に成功する。
「ふっ、他愛もない……」
『ジャン・フェニックス、損耗率60%を超えています。一刻も早く帰還してください』
「それは聞けない相談だな!」
 エスターの声に従わず戦い続けるジャン。通信を聞いていたシリウス=アズライトは溜息交じりにジャンを援護してやる。放っておいたら今にも自爆しかねない。
「戦闘支援を行う。マテリアル粒子砲発射までなんとか持ち堪えろ」
『大型ヴォイド下部に高エネルギー反応あり! 恐らく大型のビーム砲のような物だと思われますー!』
 そういうものがあるという前提で探りを入れていたシンシアだからこそ逸早く気づけた。パイロット達の視線の先、迫り出した大きな眼球が真ん中から割れるように変形し、どす黒い光を集めているのがわかる。
「敵の主砲……!? ウーサー!」
「わかってる! 行こう、ひばり! 俺達が攻撃を阻止する! 皆、支援頼む!」
 ウーサーとヒバリの二人は螺旋を描くように互いをフォローしながら真っ直ぐに敵主砲へと向かう。Kurtは狙撃で二人の攻撃を援護。
「女性に体当たり、ましてや触手なんて外道が過ぎます。話が通じない相手には、これしかありませんね」
 ミサイルで小型ヴォイドを薙ぎ払うKurt 月見里。爆炎を突き抜けた二人はそれぞれカタナとナイフに持ち替え、迫る触手を切り裂きながら接近する。
「ヒバリ、合わせろ!」
 先行し、敵に肉薄した状態で急上昇するウーサー。その軌跡をなぞる様に触手とレーザーが飛び交う。ヒバリはそれに遅れて下方から回り込み、ウーサーも頂点でブーストを反転。強烈なGに歯を食いしばり、フルスロットルで下降を開始する。
「残念でした、こっちもいるのよ!」
 下方から舞い上がり、主砲をカタナで切り付けるヒバリ、直ぐに反撃が来る中を背後へ飛ぶと、真上からウーサーが落下してくる。
「こいつで!」
 ナイフを持った腕を主砲となった眼球に突き刺し、引き抜くと同時にアサルトライフルを突きつける。
「止まれぇえええっ!」
『エネルギー収束! ま、間に合いません……逃げて!』
 眼球は血飛沫を上げながらぐるりと上を向く。それと同時に薙ぎ払うように閃光が放たれ、ウーサー機の半身を蒸発させた。続き無数の触手が機体を串刺しにし、次の瞬間、ウーサーの乗っていたCAMはバラバラに引き裂かれてしまった。
「……ウーサー! そんな……嘘……!?」
『敵主砲沈黙! 同時に内部で爆発を確認! こ、攻撃が暴発した模様です! だけど……ウーサーさんが……』
 歯軋りしつつ機体を加速させるクリフ。排出口、目、砲台を潰され、いよいよ背後にも回り込める好機が巡ってきた。
「ドラゴンリードよりドラゴンオール! ウーサーだけに手柄を渡すなよ……!」

伊藤 毅

 伊藤 毅(ka0110)の声に鼓舞され次々とCAMが大型ヴォイドに突き進む中、破損したコロニーの残骸を盾に背面へ回り込んだのはシュライバー小隊の三人だ。
「今だ! 全機ミサイル一斉発射!」
 ブライアンの指示で飛び出した三機がミサイルを放つ。それは小型ヴォイドの排出口や目を潰す事に成功する。更に前方へ転回されていた小型ヴォイド達が反応し背後に集まってくると、大型の動きも鈍り始めた。
「よし、いいぞ! このまま敵を粒子砲射線上に釘付けにする!」
「なんて数だ……完全に狙われてしまったらしいな」
 大量の敵に追い回されるレイド。反撃しながら自分たちが隠れていたコロニーの残骸に敵を誘い込み、陰から飛び出してきた敵をアサルトライフルで掃討する。
「艦を守る為、進路を阻む敵は蹴散らす。さあ、来い……俺達が相手だ!」
 クリフ達も背面に回り込み攻撃を開始すると、大型の進攻は完全に停止した。代わりに展開していたほとんどの敵が背面に集中し、最早周囲は全て敵と言っても過言ではなかった。
「こんな数の敵……どう考えても持ちません! 充填はまだですか!?」
『――待たせてしまってごめんなさい! マテリアル粒子砲、発射準備完了よ! カウントダウンに入るわ!』
 苦しげなアイリスの呟きにルビスからの吉報。サルヴァトーレ・ロッソは充填完了した主砲を大型に合わせ、発射シークエンスに入った。
「よし、全機離脱! 射線上から退避するぞ!」
「……隊長! 撤退する味方への追撃が激しすぎます! もう少し注意を引き付けなければ!」
 撤退を開始するCAMの中、ここあの声にブライアンが眉を潜める。レイドは逸早く反応し、再び大型へと接近する。
『マテリアル粒子砲、発射カウントダウン開始!』
「レイド少尉!?」
「損傷個所を更に攻撃します。それなら奴もこちらを向く筈!」
 弾幕を掻い潜り大型へと取りつき、ミサイルで破壊された箇所に銃口を突きつけ弾丸を撃ち込むレイド。それに反応し、友軍機の追撃を中断し戻ってきたヴォイドを撃破しながら離れようとするが、その足に大型からの触手が絡みつく。
「隊長、レイド少尉が!」
『発射十秒前! 九……八……七……』
 レイド機の足に絡んだ触手をライフルで引き離すブライアン。更にその腕を掴み、レイド機を背後へ放り投げた。
「隊長……何故!?」
 レイドの身代わりに触手に囚われたブライアン。強烈な力で締め付けられ機体は押し潰されていく。
「レイド少尉、危険です! このままではあなたまで……!」
『六……五……四……』
 レイド機を留めるここあ。既に殆どの機体が撤退した。ブライアンは半壊した機体で尚、片腕だけを動かし部下に近づこうとする敵を狙撃していた。
「行けレイド少尉! これは命令だ!」
「しかし!」
 尚も留まろうとするレイドを連れ、強引に離脱するここあ。レイド機は先ほどの被弾でまともに動けず、ここあを振り払えない。
「生き残れよ、少尉……!」
『三……二……一……』
「隊長――!」
『マテリアル粒子砲、発射――!』
 光が届くより前、触手に囚われたCAMが粉砕されるのが見えた。最期まで部下を守っていた腕が引きちぎられ、ライフルを握ったまま空を舞う。
 闇を引き裂く白い閃光は大型ヴォイドを貫き、周囲に展開していた小型ヴォイドを巻き込んで蒸発させる。大型ヴォイドはその一撃で完全に動きを止めていた。
『大型ヴォイド、沈黙! 同時に周囲の小型ヴォイドの動きにも乱れが生じました!』
 ルビスの通信が作戦の成功を告げる。住民の避難も終え、サルヴァトーレ・ロッソは戦場からの離脱を開始していた。撤退したパイロット達はそれぞれの想いを胸にサルヴァトーレ・ロッソへ降り立つ。
「何よ……ウーサーの奴。人の事、好きとか言っておいて……」
「ヒバリさん……」
 遠ざかる戦場、小さくなっていくLH044。ヒバリはそれを見送りながら項垂れ、Kurtはかける言葉を失っていた。
 初陣は少なくない犠牲者の上に勝利として飾られた。彼らは勇敢に散っていった仲間達の活躍で、大勢の人々の命を救う事ができたのだ。
 だがしかし、運命は疲れ果てた戦士達を更に過酷な状況へと誘っていく。戦闘終了後、敵を振り切ったと思われた直後。それは始まろうとしていた――。

担当:神宮寺飛鳥
文責:フロンティアワークス

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