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【空蒼】レプリカント・ワルツ「OF-004対応」リプレイ

作戦3:OF-004対応

OF-004
OF-004
赤いエクスシア
赤いエクスシア
近衛 惣助
近衛 惣助(ka0510
真改(魔導型ドミニオン)
真改(魔導型ドミニオン)(ka0510unit002
カーミン・S・フィールズ
カーミン・S・フィールズ(ka1559
アリア・セリウス
アリア・セリウス(ka6424
ユーリ・ヴァレンティヌス
ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239
オリーヴェ(イェジド)
オリーヴェ(イェジド)(ka0239unit001
東條 奏多
東條 奏多(ka6425
イツキ・ウィオラス
イツキ・ウィオラス(ka6512
エイル(イェジド)
エイル(イェジド)(ka6512unit001
ルナ・レンフィールド
ルナ・レンフィールド(ka1565
高瀬 未悠
高瀬 未悠(ka3199
ユリアン
ユリアン(ka1664
ラファル(グリフォン)
ラファル(グリフォン)(ka1664unit003
セルゲン
セルゲン(ka6612
デスドクロ・ザ・ブラックホール
デスドクロ・ザ・ブラックホール(ka0013
閻王の盃(R7エクスシア)
閻王の盃(R7エクスシア)(ka0013unit001
鹿東 悠
鹿東 悠(ka0725
Azrael(R7エクスシア)
Azrael(R7エクスシア)(ka0725unit001
イリエスカ
イリエスカ(ka6885
マリナ アルフェウス
マリナ アルフェウス(ka6934
多田野一数
多田野一数(ka7110
ロジャー=ウィステリアランド
ロジャー=ウィステリアランド(ka2900
天川 麗美
天川 麗美(ka1355
カイン・A・A・マッコール
カイン・A・A・マッコール(ka5336
時音 ざくろ
時音 ざくろ(ka1250
不動 シオン
不動 シオン(ka5395
神代 誠一
神代 誠一(ka2086
ジャック・エルギン
ジャック・エルギン(ka1522
南護 炎
南護 炎(ka6651
ミリア・ラスティソード
ミリア・ラスティソード(ka1287
ごりらたん(コンフェッサー)
ごりらたん(コンフェッサー)(ka1287unit004
リーベ・ヴァチン
リーベ・ヴァチン(ka7144
カッツォ・ヴォイ
カッツォ・ヴォイ(kz0224
●胎動
 OF-004が搭乗する赤いエクスシアが、オート・パラディン集団を引き連れて、北を目指していた。
 その先には、リアルブルーの大精霊がいるのだ。
 神とも呼ばれる存在は、今まで何をしていたのか?
 この世界が、これほどまでに狂うほどに混乱しているというのに。
 OF-004は、赤いエクスシアを操縦しながら、一心不乱に前進していた。
 近衛 惣助(ka0510)の搭乗する魔導型ドミニオン【真改】が、市街地に入り、ビル群の中で待ち伏せしていた。
 道路はともかく安易にビル屋上で待機するには、ドミニオンは重すぎる。場合によっては、ビルが重さに耐え切れずに崩落する恐れもあった。故に、敵の動向を探るため、見晴の良い場所に転移されていた。
「こちら近衛、赤いエクスシアを発見した。周囲にオート・パラディンが陣形を組んでいるようだ。まずは、パラディンを優先して撃破した方が良いだろう」
 魔導パイロットインカムを使い、仲間に報告する惣助。
『こちらカーミン、了解よ』
 カーミン・S・フィールズ(ka1559)が、イヤリング「エピキノニア」で応答する。
「さて、後方は……と」
 ポロウのNo.4ことナム・フォウは『先手を打つホー』を駆使しながら、カーミンを乗せて空中を飛行し、上空から戦況を窺っていた。
「あら、赤いエクスシアの後を付いていくようにオート・パラディンたちが行列してるわ」
 その状況と惣助から聞いた情報をアリア・セリウス(ka6424)に伝え、イェジドのコーディはアリアを乗せて、ナム・フォウが飛んでいる位置まで駆け抜けていく。
「こちらアリア、そろそろ良いかしら?」
「オッケー」
 通信機から、軽い声で返答するカーミン。
 タイミングを合わせて、ナム・フォウとコーディが幻獣ミサイル「シンティッラ」による『プラズマバースト』を発射。
 前方にいるオート・パラディン二体に命中するが、敵の進軍は止まらなかった。
 イェジドのオリーヴェに騎乗したユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)が、『陣風』の勢いを転化した『雷切・穿』を繰り出し、軌道上にいたオート・パラディンを蒼姫刀「魂奏竜胆」によって貫いていく。かなりのダメージを与えていたが、それでもオート・パラディンの陣形は崩れなかった。
「やはり強化されているわね。原型のパラディンとは、見た目がまるで違うわ」
「だったら、力ずくで止めてやるさ」
 東條 奏多(ka6425)はイェジドの鋼夜に騎乗し、アリアが乗るコーディの所まで駆けていくと、隣接して『ブロッキング』を駆使し、オート・パラディン一体の移動を阻害させた。
 イツキ・ウィオラス(ka6512)が騎乗したイェジドのエイルは、幻獣ミサイル「シンティッラ」による『プラズマバースト』を発射……オート・パラディン一体に命中してダメージを与えていたが、敵は感情のない兵器……腕が破壊されても、自動的に移動していく。
 それでも、イツキには戦う理由があった。
(何の為に力を求め、何の為に力を揮うのか、其れはきっと、ひとりひとりが、自分の中に秘めるもの。たとえ、根底が同じであろうとも、何かが違えば、お互いが悪になる。だから私は、善悪なんてどうでも良い。ただ、自分の為に、闘う。理不尽な悪夢で、誰かが泣く未来なんて、見たくない。だから、稚拙な想いを込めて、……其の悪夢を、断ち切ります)
 イェジドのエイルに乗ったイツキは、アリアと合流して仲間の援護に加わった。
 ルナ・レンフィールド(ka1565)はペガサスのアポロに騎乗…飛翔の翼で空中を飛行している状態から、ルナは前方にいる移動不能になったオート・パラディンに狙いを定めて『グラビティフォール』を放った。
 二体のオート・パラディンが魔法に巻き込まれ、爆発して消滅するが、すぐ後ろにいたオート・パラディンたちが、赤いエクスシアを守るように前へと移動していく。
「未悠ちゃん、パラディンたちは赤いエクスシアの守りに徹しているようです」
 飛翔の翼で空中を移動するペガサスのユノに騎乗した高瀬 未悠(ka3199)が、前方の戦況を確認してから、地上へと降り立つ。
「ルナが空中から攻撃するなら、私は地上から足止めしてみるわ」
「ラファル、この戦いが終わったら、いつもの御馳走するから。俺たちは、未悠さんたちの援護をしよう。それが、今、できることだから」
 ユリアン(ka1664)は、ルナと未悠たちと連携して、飛翔の翼で空中移動していくグリフォンのラファルに騎乗して、フライングファイトで一気に下降……オート・パラディン一体目掛けて獣爪「イルウェス」で攻撃……と同時にユリアンが『双月』を繰り出す。重ね繰り出す二つの刃が、滑らかに斬り込んでいく。
 オート・パラディンはグリフォンの攻撃を回避したが、ユリアンの攻撃が命中。
 グリフォンのラファルは、ホバリングで安定した飛行を続けていた。
「赤いエクスシアに乗っている人と、会わせたい人たちがいるんだ。ラファル、そのためにも、少しでも自動兵器の進行を抑えよう」
 ユリアンの言葉に、ラファルが相槌を打つように鳴いた。
「大精霊と接触する前に、止めなければ」
 ルカ(ka0962)はペガサスの白縹に騎乗し、飛翔の翼で低空飛行しながら、赤いエクスシアとオート・パラディンを足止めするため、『プルガトリオ』を解き放った。
 命中はしたが、赤いエクスシアは抵抗に打ち勝ち、移動を阻害することができなかった。
「地上に降りた方が、良いのかも」
 ルカが、未悠たちの援護をしながら、ペガサスの白縹を地上へと着地させた。
「橋を渡ってるパラディンなら、こいつで仕留めてやるぜ」
 イェジドの疾風に騎乗したセルゲン(ka6612)は、橋を駆け抜け、前方にいるオート・パラディン一体を『ファントムハンド』の巨大な幻影の腕で引き寄せ、大刀「緋虎童子」を軽々と振り回して『スタンピード』の衝撃波を放った。引き寄せたパラディンだけでなく、直前上にいたパラディンも巻き込み、薙ぎ払うと同時に敵の行動さえも阻害していた。
「このデスドクロ様が、止めてみせるぜ。赤いエクスシアよっ!」
 川沿いで待機していたのは、デスドクロ・ザ・ブラックホール(ka0013)が搭乗するR7エクスシアの閻王の盃【プルートー】だ。
 200mm4連カノン砲を放ち、北へと続く橋を一つ破壊してしまった。
 なんというヒール役だ。
 デスドクロは一兆個の暗黒スキルの一つ、デスインフェルノブレイザーを使えば一瞬で敵を消滅させられるとの事だったが、暗黒スキルは封印して(自称)、敵が川に落ちる作戦をしかけていたのだ(本来の目的?)。
「な、なんだと?!」
 デスドクロは、思わず驚愕した。
 赤いエクスシアはフライトパックで飛行して、川を越えて、河岸に着地すると、さらに北へと移動していた。
 積極的に飛行する気配はないが、それで問題が解決できるなら一時的な飛行も辞さないのだろう。
 破壊された橋から落ちたのは、オート・パラディン五体。
 その五体が橋の代わりとなって、他のオート・パラディンたちが赤いエクスシアを追って川を乗り越え、北へと進んでいった。
「仲間を踏み台にして、先へ進むとは……敵ながらアッパレだぜ」
 だが、デスドクロの作戦に引っかかったオート・パラディン五体は、川に落ちてしまったため、かなりの移動力を削がれていた。
「なかなか、こちらの挑発に乗りませんね」
 R7エクスシアAzrael【アズラエル】に搭乗していたのは、鹿東 悠(ka0725)だ。
 アズラエル機がアクティブスラスターで市街地の中へと移動し、斬艦刀「雲山」を発動体としたスキルトレースLv20による『刺突一閃』を繰り出し、オート・パラディン一体に攻撃を繰り出すが、敵はダメージを受けても、特に反応せず、そのまま北へと移動していたのだ。
 悠は敵軍の疑心暗鬼を誘うように高速道路からビル群を抜けて、相手を引き付けようとしていたが、なかなか誘き出すことができなかった。
「……敵の目的は、ハンターとの対戦ではなく、大精霊に到達する……ということですか」
 仲間からの情報を頼りに、アズラエルを駆る悠……敵が誘いに乗らないなら、仲間と協力して敵軍を攻撃するという選択もある。
 オートマトンのマリナ アルフェウス(ka6934)は、オートソルジャーのトリトーン、魔導バイク「マルモリー」に騎乗したオートマトンのイリエスカ(ka6885)と同行して、オート・パラディンの排除に専念していた。
 前衛にはイリエスカとトリトーン、後衛はマリナだ。
「敵の目的も大精霊の目的も不明……が、やることは明白である。排除する」
 マリナが魔導銃「アクケルテ」を構え『威嚇射撃』でパラディンの移動を阻害していく。
 続け様、イリエスカは銃剣付き自動拳銃「DAGGER」による『レイターコールドショット』を放ち、パラディン一体が冷気に包まれ、身動きが取れなくなった。
 と、そこへトリトーンが『フォトンチャージ』を発動させ、斬艦刀「雲山」でパラディンを斬り裂いていく。ダメージを受けたパラディンは爆発して、消滅していく。
「トリトーン、えらいね」
 感心するイリエスカ。
「初出動だが、正常に動いているな」
 トリトーンの動作を確認して、冷静に言うマリナ。
 オート・パラディンが、胸からレーザーを放ってきたが、三人はとっさに回避する。
「まだ敵を全て倒した訳ではない。油断するな」
 マリナが『クイックリロード』からの『レイターコールドショット』を放ち、別のパラディンも身動きができなくなった。
 トリトーンは『スピンバッシュ』を放ち、パラディンを薙ぎ払っていく。
「すごいな、トリトーン」
 イリエスカはトリトーンを励ましながら、銃剣付き自動拳銃「DAGGER」を構えて『レイターコールドショット』を放ち、パラディンの移動を阻害していく。
「イリエスカ、トリトーン。OF-004に関しては専門の班に任せよう。私たちはパラディン遊撃に専念する」
 マリナで指示で、イリエスカたちはパラディンたちを虱潰しに倒していった。
 一方、多田野一数(ka7110)は『先手必勝』を発動させ、エクウスに騎乗して市街地の道路を駆け抜けていた。
「ノームちゃん、指示通り、頼むよ」
 刻令ゴーレム「Gnome」が、敵の行く手を阻むようにCモード「wall」による防壁を作っていく。
 オート・パラディンたちは道の真ん中を通り抜け、防壁を破壊しながら前方へと移動していた。
「こちら多田野、パラディンたちは北を目指してる。道の端にある防壁は残ってるから、俺は隠れて援護するよ」
 イヤリング「エピキノニア」を使い、仲間に連絡……応答したのは、ロジャー=ウィステリアランド(ka2900)だ。
『こちらロジャー、防壁は盾代わりに使わせてもらうぜ』
 ロジャーが搭乗するダインスレイブの海帝【シーカイザー】には、別のトランシーバーと会話することができるフレーム「アブスタクル」が装備されていた。
 シーカイザー機がロングレンジライフル「ルギートゥスD5」を構えて、ドラゴンの咆哮のような砲声が響き渡り、オート・パラディン一体に命中し、ダメージを与えることができた。
 だが、パラディンたちは反撃することもなく、ひたすら北を目指して移動していた。
「俺たちの攻撃を無視か。だが、パラディンの陣形を崩さないと、赤いエクスシアとの接触も、ままならないな」
 そう呟きながらも、ロジャーには、考えがあった。

 その頃。天川 麗美(ka1355)は魔導トラックの山猫号を運転しながら、市街地の中を移動していた。
 トラックに装備したトランシーバーを使い、仲間との通信を中継していた。
「こちら麗美、南東の方角から、小型狂気と中型狂気が接近してくるのを発見! 至急、応援に来てください」
 麗美との通信をしていたのは、カーミンだった。
 カーミンは『グラジオラス』を発動させ、ナム・フォウは『隠れるホー』で認識阻害をしていたこともあり、狂気ヴォイドを発見しても、敵の認識からは外れていたのだ。
『こちらカイン、オート・パラディンと接触する前に、まずは小型狂気を迎え撃つ』
 イェジドのWild Huntに騎乗したカイン・A・A・マッコール(ka5336)は、小型ヴォイドを警戒していたこともあり、すぐさま駆けつけることができた。
 Wild Huntが獣機銃「シエージュR4」の引き金を引くと、浮遊していた小型狂気を撃ち落としていく。
 カインはイェジドから飛び降り、斬魔刀「祢々切丸」を構えて『縦横無尽』を繰り出し、中型狂気を何度も斬りつけていく。その衝撃により、敵が弾けるように消滅していった。
 麗美の連絡を受けて、奏多とアリアが、それぞれのイェジドに騎乗して駆けつけてきた。
「狂気どもめ。ここまで来るとは……容赦はしない」
 奏多は『天誅殺』で中型狂気の隙をつき、絶火刀「シャイターン」を振り下ろして斬りつけていく。
「狂気ヴォイドを放置しておく訳にはいかないわ」
 アリアが身捧の腕輪を発動体とした『織花・祈奏』を祈り、魔導剣「カオスウィース」と双龍剣「ナラク・アグニ」による『想思花・月魄』を繰り出した。中型狂気の胴部に命中し、追い撃ちをかけるように『想思花・祓月』の衝撃波が迸る。
 中型狂気は、抵抗する術もなく、粉々に砕け散り、跡形もなく消滅していった。
 カインたちは、狂気ヴォイドの群れを撃破すると、すぐさまオート・パラディンの進撃を食い止めるため、イェジドに乗り、先へと急いだ。
「みなさん、ありがとうございます。麗美は、通信オペレーター兼ナースとしてがんばっちゃいますよぉ」
 魔導トラックを停車させる麗美。
 臨時救護所として、麗美は怪我をしているハンターの応急手当をすることにした。
「トラックにはトランシーバーと応急セットを積んでますし、麗美は魔導短伝話と魔導スマートフォンを持参してますから、後方支援は任せてくださいね」
 皆を応援する麗美であった。


●躍動
「アルカディア最大出力、はばたけ光の翼っ!!」
 時音 ざくろ(ka1250)の叫びと共に、R7エクスシアの魔動冒険機『アルカディア』が『ブラストハイロゥ』を展開する。
 前方にいたオート・パラディンたちは、ブラストハイロゥの結界により移動を阻害され、足並みが崩れてきた。
「みんな、今だよ!」
 ざくろの合図で、ハンターたちが一斉に攻撃をしかけていく。
「さあ、残酷で救いのない死闘で私の心を満たせ!」
 イェジドの神威に騎乗した不動 シオン(ka5395)が、十文字槍「猛火」を振り回して『薙ぎ払い』で前面にいたオート・パラディンを斬り裂いていく。
「届いてくれ!」
 魔導型ドミニオン【真改】が惣助の操縦で試作波動銃「アマテラス」を構え、スキルトレース:Lv15による『凍結弾』を放ち、パラディンに命中してダメージを与えると、冷気を纏って行動を阻害させた。
 その隙に、悠の乗ったアズラエル機が、ビルの狭間に立ち、プラズマボム「ネブリーナ」の『プラズマグレネード』を投擲し、前方にいるオート・パラディンに命中すると、着弾点の周囲にプラズマによる爆発を巻き起こした。
「卑怯上等。世の中は勝者が正義ですよ」
「さあさあ、戦いのゴングが鳴ったぜ」
 セルゲンが『破滅の大地』で地面を揺さ振り、半径10m範囲にいたオート・パラディンたちが移動不能になった。
「セルゲンさん、助かります」
 イェジドのグラに騎乗した神代 誠一(ka2086)は『アクセルオーバー』の残像を纏い、まずはオート・パラディンに攻撃をしかけていく。一撃目の『飛蝗』で法術棒手裏剣「射光」を投げ付け、オート・パラディンの胴部に命中、二撃目の『飛蝗』で投擲した手裏剣に自らのマテリアルを紐づけ、引き付けるように『広角投射』で残りの手裏剣を投げ飛ばす。範囲内にいたパラディン一体に命中して、法術棒手裏剣「射光」が敵の胴部に突き刺さっていた。
「ジャックさん!」
 それ以上の言葉は、いらなかった。
「任せとけ、誠一!」
 流れるような誠一の攻撃に合わせて、ジャック・エルギン(ka1522)はイェジドのフォーコに騎乗して駆り、狼牙「イフティヤージュ」による『ウォークライ』でパラディンを威嚇、さらにジャックがバスタードソード「アニマ・リベラ」からの『チャージング』を転化した『薙払「一閃」』を繰り出した。
 刃が閃光しながら、180度前方にいるパラディン一体を薙ぎ払い、敵陣の防衛が少しずつ崩れていく。
 カーミンはポロウに騎乗して、上空から戦況を偵察……仲間に通信機で連絡していた。
「こちらカーミン、南東の方角より、狂気ヴォイドが出現したようだけど、アリアたちが対処してくれたわ。オート・パラディンは、ロジャーのいる位置だと、ビルの陰で見え辛いかも。だけど、そのまま真っ直ぐ狙えば、当たるはずよ」
 ポロウのナム・フォウはカーミンを乗せて飛行しながら『見つけるホー』で、オート・パラディン一体の動向を追っていた。
 カーミンの情報を頼りに、ロジャーのシーカイザー機が『精密砲撃姿勢』で地面に脚部のジャッキを下ろして機体を固定…『連続砲撃』による『砲撃:徹甲榴弾』が放たれ、密集するオート・パラディンたちの装甲貫通後に内部で爆発。
 範囲内にいたオート・パラディン二体が爆発に巻き込まれ、消滅していった。
「お、やっと、敵陣の穴が開いたな」
 ロジャーからの通信を受けて、ガルガリンのSTAR DUST【スターダスト】に搭乗した南護 炎(ka6651)が『人機一体』を発動させた。機体が幻影のオーラを纏い、スキルリンカー:Lv20による『気息充溢』を機体の全身に漲らせ、斬艦刀「雲山」を『縦横無尽』に繰り出していく。
「クドウ・マコト! 君が大精霊と闘うことはVOIDの思うツボだ」
 スターダスト機は、赤いエクスシアに接近しながら、オート・パラディンを斬り裂いていく。
「ミリアさん、狙いはフライトパックだ!」
 コンフェッサーの【ごりらたん】に搭乗したミリア・ラスティソード(ka1287)は、前もって発動していたマテリアルラインによって、スターダスト機との通信が可能になっていた。
「分かった。やってみるよ」
 アクティブスラスターを起動させて敵陣を抜けた【ごりらたん】が、大身槍「蜻蛉切」を振り下ろして、赤いエクスシアのフライトパックに狙いを定めた。
 すかさず、シールドで攻撃を受け流す赤いエクスシア……だが、反撃はせず、大精霊を目指して移動していく。
「待て! 赤いエクスシアよっ!」
 デスドクロのプルートー機もまた、赤いエクスシアのフライトパックを狙って、200mm4連カノン砲で攻撃をしかけた。
 赤いエクスシアは砲撃を全て回避すると、やはり反撃することなく、北へと目指していた。
 刻令ゴーレム「Gnome」が、一数の指示で、オート・パラディンの進行方向へと突撃していく。
「ノームちゃん、サンキュー」
 一数が『先手必勝』を発動させ、試作超硬刀「MURAKUMOデストロイ」を振り上げ、オート・パラディンを斬り裂く。
 パラディン集団の前方には、赤いエクスシアがいた。
 一数は想った。
 OF-004、君の未来を奪いたくない。諦めたくないと全会一致だった。
 皆の言葉は打算も何もない純粋な想いだと……。
「どうか、皆の想いが届く様に……」
 仲間を信じて、一数は戦い続けていた。

●刻、果敢無く
「ターゲット確認、発射!」
 ざくろが搭乗した魔動冒険機『アルカディア』が『マテリアルライフル』を放ち、直線を描きながら紫色の光線が炸裂して、範囲内にいたオート・パラディンたちが多大なダメージを受けて、消滅していく。
 そして、ルナの狂詩曲『赤の謳歌』が響き渡った。
 奏でる旋律が赤い光と化して溢れ出し、周囲の敵を包むように広がっていく。
 さらに『集束魔』で威力を高めた『グラビティフォール』を赤いエクスシアに叩き込んだ。
 命中してダメージを与えることができたが、赤いエクスシアの動きを止めることはできなかった。
「OF-004、あなたは……」
 どうしてだろう。ルナの心に悲しみが押し寄せてくる。
 OF-004対応班を援護するため、未悠がパラディンに狙いを定めた。
「近衛さんたちが、赤いエクスシアと接触しようとしているわ。……繋げなきゃいけない想いが、届けなきゃいけない言葉がある……それを願う人達の邪魔はさせないわ!」
 未悠が着地した状態から『ファントムハンド』でパラディン一体を引き寄せ、聖槍「ザイフリート」による『ワイルドラッシュ』を繰り出す。多大なダメージを受けたパラディンが爆発して消滅。
 ペガサスのユノは地面に降り立ち、未悠たちを守るため、『サンクチュアリ』の境界を作り、進入しようとしたパラディンの移動を食い止めていた。
「お願い……止まって」
 ルカは地上から赤いエクスシアとオート・パラディンを足止めするため、『プルガトリオ』を解き放つ。範囲内にいたオート・パラディンは移動不能になったが、赤いエクスシアは抵抗に打ち勝ち、さらに前方へと移動していく。
 ペガサスの白縹が地面に立ち、『サンクチュアリ』の結界を出現させ、オート・パラディン一体の進入を防いだ。だが、赤いエクスシアが強引に結界を突き破り、前方へと突き進んでいく。
 ユリアンがラファルに騎乗したまま、上空から『フライングファイト』で一気に下降し、着地したと同時に『ダウンバースト』を発生させ、パラディン二体を弾き飛ばした。
「よくやった、ラファル。今夜は御馳走だ」
 ユリアンたちの連携攻撃により、パラディンの防御陣形は崩れ落ち、惣助が搭乗するドミニオン真改が、『プラズマデフレクター』を発動させ、『アサルトダイブ』で一気に赤いエクスシアに突撃すると、ランスカノン「メテオール」を振り下ろした。
「頼む、クドウ! 俺たちの話を聞いてくれ!」
 赤いエクスシアはシールドで真改の攻撃を受け流す。
「周囲にいるパラディンは、任せて」
 オリーヴェに騎乗したユーリが『桜花爛漫』を発動させ、刃を振るうと同時に桜吹雪の幻影を起こし、『雷切・穿』による一振りで、パラディンを鋭く貫いていく。さらにオリーヴェが『ブロッキング』でパラディンの動きを食い止めた。
(届かなかった悔しさを知っている。己の無力さも嫌という程自覚している。だけど、だからこそ……それが私を突き動かす力となる。阻む総てを斬り拓いてその先へ、大切なもの達と共に歩む未来を掴む為に)
 ユーリの攻撃に続いて、イツキが『疾風打』からの『落燕』をパラディンの身体に撃ちこみ、その威力で、オート・パラディン一体が爆発して消え去った。
「もう少しで、赤いエクスシアに近付けます」
「おっし! 見えてきたぜ」
 ジャックは剛弓「ファイアクレスト」を構えると『ソウルエッジ』で強化した豪快矢「ダイナミック」を番え、赤いエクスシアを狙って『貫徹の矢』を放った。
「OF-004、何を吹き込まれたかは知らねえが、どうしても大精霊の所にいきたいってんなら……俺らも一緒に行かせてくれ」
 ジャックの放った矢が、赤いエクスシアの胴部に突き刺さるが、貫徹できなかった。
 だが、ダメージを与えたことにより、『リバースエッジ』が発動し、魔力により加速を受けた一矢が、赤いエクスシアの動力部に突き刺さる。
 誠一は『クイックリロード』で法術棒手裏剣「射光」を装填し、『飛蝗』からの『広角投射』を繰り出すが、赤いエクスシアが回避…その瞬間、誠一のブーツ「アンドルディース」が反応して『影祓』が発動すると思いきや、広角投射によって手裏剣を全て消費していたため、効果は発揮されなかった。
 これは誠一の苦渋の想いであったのか?
 できれば、OF-004の乗る赤いエクスシアを攻撃したくなかったのだ。
「クドウさん、俺は……これ以上、嫉妬の眷属に人生を奪われる人間を見たくないんです」
「絶対に、止めてみせる!」
 炎の搭乗するスターダスト機が、赤いエクスシアのフライトパックを斬艦刀「雲山」で斬り裂いた。
「クドウ・マコト! 君はこの世界を護るために力を得たんだろ! 力の暴走を抑える研究も始まっている。俺もこの世界をここまで放置した『神』に文句を言いたい。お前の気持ちは、俺が持って行く。約束する! だから、ここで止まってくれ!」
 懸命に叫ぶ炎。
 赤いエクスシアとの通信は周波数が合わなかったのか、雑音が聞こえるだけで、OF-004からの反応はなかった。
 と、ミリアのコンフェッサーが振り下ろす大身槍「蜻蛉切」がフライトパックを叩き潰した。
「止まって、お願いだから!」
 赤いエクスシアはフライトパックを破壊されるが、それでも尚、大精霊を目指して移動しようとしていた。
「マコト、私はまだ、おまえのリクエストを聞いていないぞ」
 魔導拡声機「ナーハリヒト」を使い、OF-004に届く様に話しかけたのは、リーベ・ヴァチン(ka7144)だった。
 イェジドのガイストが、リーベを乗せて『スティールステップ』を駆使して、パラディンが放ったレーザーを回避していく。
「お前は家族思いのいい子だ。ずっと頑張っている……頑張り過ぎてる。お前は世界を守りたいと言っていた。それは、おまえ自身の家族も、守りたかったからだろう?」
 リーベの優しい問いかけに、赤いエクスシアが立ち止った。
「ようやく、クドウと会えたんだ。邪魔はさせねぇからな」
 セルゲンが『カーネージロア』を発動させ大刀「緋虎童子」を構えたまま大回転すると、360度周囲にいたパラディンたちが薙ぎ倒され、敵は衝撃に耐え切れずに爆発して消え去っていった。
「リーベさんたちとクドウさんが対面するまで、ここから先は通さないわ!」
 未悠は『ファントムハンド』でパラディン一体を移動不能にさせ、『クラッシュブロウ』の力を聖槍「ザイフリート」に込めて、大きく振り抜き、敵を叩き潰していく。
 ペガサスのユノが『サンクチュアリ』の結界を張り巡らせ、パラディンの進入を防ぎ、赤いエクスシアと分断させた。
 残りのオート・パラディンたちは、さらに進軍を続けていたが、赤いエクスシアだけが取り残されていた。
「大精霊のところまでは行かせない!」
 パラディンの進軍を食い止めるため、魔動冒険機『アルカディア』に搭乗したざくろが、スキルトレース:Lv20で起動した『超重練成』によって巨大化した機剣「イフテラーム」を振り下ろした。
「チャージアップ……機剣超重斬、縦一文字斬りだっ!」
 背後からの一撃が炸裂し、パラディン一体が多大なダメージを受けて爆発……そして消滅した。残りのパラディンたちは反撃はせず、ただひたすら大精霊を目指していた。
 イェジドに騎乗したハンターたちが、パラディンに追いつき、攻撃をしかけた。
 アリアが『氷輪詩』を詠唱し、『想思花・月魄』の二刀流でパラディンの胴部を斬り付け、『想思花・祓月』の衝撃が走った。直線状にいたパラディンを貫き、敵は爆発して消滅。
「無謀、無理、夢想? でも、諦めず見捨てないと此処にいる彼らの姿が、私の追いかけた憧憬(ユメ)で英雄(リソウ)……私を助けた貴方もそうであるように」
 OF-004を救いたい。その一心だった。
 奏多が『コール・ジャスティス』を発動させ、周囲の味方を鼓舞し、パラディン二体を標的にした。
「逃しはしない」
「貴様らは自動兵器、戦うことが存在意義のはずだ。ならば自爆覚悟で私を死の淵まで追い詰めてみろ。それでこそ私が斬るべき至高の敵だ」
 イェジドの神威が『ウォークライ』で威嚇し、シオンが十文字槍「猛火」を振るい『ソウルエッジ』を纏った『閃火爆砕』を叩き込んだ。凄まじい一撃に、パラディン一体が爆発し消え去った。
「これで終わりにしてやる」
 カインはパラディンに接近すると、斬魔刀「祢々切丸」を振り上げて『渾身撃』を叩き込んだ。
 パラディンは多大なダメージを受けたが、胸からレーザーを発射。カインは攻撃を受けた瞬間、『カウンターアタック』を繰り出した。度重なる攻撃により、パラディンが消滅する。
 ハンターたちは、オート・パラディンたちを全て倒して、大精霊との接触を阻止したのだった。


●この世界に君がいるから
 魔導拡声機を使い、リーベが懸命に呼びかけたことで、赤いエクスシアのコックピットが開いた。
 しばらく沈黙が続いたが、OF-004は地面に着地すると、ゆっくりとヘルメットを外した。
 ドミニオンから降りた惣助が、OF-004の元へと駆け寄ってくる。
「……」
「マコト、久し振りだな」
 穏やかな笑みを浮かべるリーベ。
「あなたが、クドウさんですね。俺は、神代 誠一と言います」
 誠一が歩み寄ると、ジャックが照れ笑いを浮かべた。
「……クドウ、こうして会うのは、初めてだな。ジャック・エルギンだ」
「クドウ、やっと会えたな。篠原も心配しているはずだ。戻ってこい」
 惣助が、篠原という名を告げると、OF-004が眉を顰めた。
「……何故、俺を止める。俺にはもう、時間がないんだ」
 OF-004は、自分の寿命を、ある程度は自覚していた。
「時間がない? まさか、……いえ、まだ間に合います。俺たちは、君を助けたい。そのために、イェジドのグラも連れてきた。こいつは、二人乗りなんですよ。頼む、こっちに来てくれ!」
 誠一が、手を差し伸べる。
 そして、リーベもまた。
「マコト、私たちと一緒にいこう。好きな物を教えてくれ。一緒に作ろう」
 OF-004が、躊躇いがちに手を出そうとした。
 その時。
 拍手が聴こえてきた。
 ジャックには、すぐに分かった。
 カッツォ・ヴォイ(kz0224)だと。
「てめぇ、クドウに何しやがった?!」
 ジャックが睨み据えた先に、白い仮面を付けた男、カッツォが立っていた。
「フフフ、素晴らしい友情劇だ。満足したかね?」
 杖を持ち、楽しげに笑うカッツォ。
「笑うな! マコトは、おまえには渡さない」
 リーベはOF-004の右腕を引き寄せ、庇うように制した。
 惣助が、説得を試みる。
「トマーゾ教授が、強化人間の暴走を止める研究を進めているのはお前も知っているだろう。今どれだけ研究が進んでいるかは俺には分からん。だが彼は天才だ、必ず方法を編み出すだろう。お前が使徒を倒しているのは、人を守ろうとする意志があるからだと……少なくとも俺はそう思う」
「……さっきも言った通り、俺には時間がない。トマーゾの研究を待っている余裕はない」
 OF-004はそう言いながら、リーベの後ろで様子を窺っていた。
 誠一が、冷やかな眼差しで、カッツォに言い放った。
「カッツォ、おまえの仕業だな」
「愚問も良いところだ。答えが分かっているのに、わざわざ問いただすとはな……ククク」
 これは、カッツォの挑発だ。
 誠一にも分かっていたが、心の奥がざわつくのを抑えるのに必死だった。
 セルゲンは周囲を警戒していた。もしかしたら、使徒が来るかもしれない。
 だが、使徒の本体は遥か遠くに見え、こちらとの接触もなく、気が付いた時には大精霊も消えていた。
「……大精霊が、消えた?」
 セルゲンの呟きに、OF-004の身体が微かに震えていた。
「……消えたか。この世界を守るべき存在が、強化人間たちを消滅させていく……俺が、今までしてきたことは……」
 OF-004の言葉に、リーベが心配そうな表情をしながらも、優しく彼の手を握り締める。
「マコト、おまえは世界を守るために戦ってきた。それは誰にも真似できることじゃない」
 その言葉を聞いたカッツォが、さも面白そうに笑っていた。
「クドウ・マコトよ。おまえが今までしてきたことは、無駄だったのだよ。そう、無駄なのだ」
「なんだ、その言い草は! やめろ!」
 ジャックが怒りで思わず叫んだ。
「ククク、今回も楽しませてもらったよ。それでは、邪魔者は退散するとしよう」
 カッツォは一礼すると、瞬間移動で、その場から消え去った。
「……さあ、クドウさん、今のうちに」
 誠一が、イェジドのグラへと乗るように促すが、OF-004は、その場から動かなかった。
「どうしたんですか? 具合でも悪いのなら…」
 ルカが『ゴッドブレス』を施すが、OF-004の顔色は優れなかった。
「……みんな、ありがとう。こんな俺のために、ここまで来てくれて……」
 OF-004が、哀しげに小さく微笑む。
「だから、……サヨナラだ」
 そう告げた途端、OF-004の姿は消えていた。
「クドウ!」
 ジャックが呼びかける。
 フォーコが狼嗅覚でOF-004の匂いを覚えていたこともあり、『追跡』をしていたが、辺りを歩き回るだけで、OF-004を見つけ出すことができなかった。
「マコト、どうして?」
 リーベは、自分の掌を見つめていた。
 さきほどまで、OF-004の手を握り締めていたのに。今は、温もりさえ消えていた。
 誠一は拳を握り締めていた。自らの爪が喰いこむほどに……。
 手から滴り落ちる血は、まるで泣いているようにも見えた。

執筆:大林さゆる
監修:神宮寺飛鳥
文責:フロンティアワークス

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