ゲスト
(ka0000)
【空蒼】レプリカント・ワルツ
マスター:WTRPGマスター
オープニング
『突如として出現した謎のCAMは、世界各地で使徒と協力し人類側の施設を攻撃しています』
『何が目的なんですかねぇ? ワープが出来るからって、世界中のあちこちに出るらしいじゃない?』
『これまでに襲撃が行われたのはドイツ、上海、カナダ、それから日本です』
『東京スカイツリーを制圧した謎のCAMと使徒たちは現在沈黙を守っています。周辺住民の避難と交通封鎖が行われ、観光地としての賑わいが嘘のように……』
「早いところ足り去りたいんだけどなあ」
少年は巨大な水槽の中を泳ぐ魚たちを横目に、誰かのスマートフォンをいじくる。
目的の為、既に四か所を制圧した。だが、この巨大電波塔も含めて、彼の目的は未だに達成されていない。
「やっぱり、相手の出方も見ない事にはわからない、か」
スマホをポケットに滑り込ませ、少年は水槽に苦笑を投げかける。
「すまないね。君たちが飢えてしまう前には、いなくなるからさ」
色とりどりの魚たちやペンギンは、人間がいなくなってものんびりと泳ぎ続けている。
――8時間前。突如東京に出現した謎のCAMと使徒の集団は、東京スカイツリーを制圧した。
そのまま破壊活動に入るかと思われたが、イクシード・アプリ契約者との小競り合いを経て、使徒たちは沈黙を始めた。
ビルの上に降り立った無数の天使たちは、揃って東京湾の空を睨みつけていた。
まるでその方向から来る何かを、待ち構えるかのように。
「やっと大精霊が動いたか。彼の狙いは……なるほど、そうきましたかー」
黙示騎士シュレディンガーはニダヴェリールの管制室で目を閉じながら呟く。
モニターには特に何も映されてはいないが、彼には大精霊の動きが手に取るようにわかった。
「動いたか」
待ち構えていたと言わんばかりに身を乗り出すクリュティエ。シュレディンガーは目を開き、コンソールを操作する。
「“目”に使ってる個体がバンバンやられてる。明らかに統率された使徒の集団が現れたね。あの子の狙いはここと、ここと……」
「流石は大精霊、痛い所を衝く」
「やみくもアタックだけどね。核心には至ってないから、タッチの差でこっちの勝利って感じ」
「こちらから接触したい。シュレディンガー、場所を割り出してくれ」
「ほいほい。でも僕これ動かすのめんどいから、アッシーはユーキくんにしてもらってよね」
『南雲艦長の報告によると、ニダヴェリールは間違いなく日本に向かって移動しています。つまり、地上に降り立ったマスティマと接触するつもりです!』
崑崙からの通信はいつもより情熱的で、画面いっぱいにネイサン・アワフォードと南雲芙蓉が映り込んでいる。
『我が神が万が一にも歪虚に倒されるようなことがあれば大問題です! なにせ異世界転移門が使えなくなりますのでっ!!』
『マスティマは対邪神用に作られた我が社の最高傑作! なんで地上に持ってかれたのかわかりませんが、破壊だけは絶対に阻止してください!!』
「わ、わかったわかった……なんじゃかもうよくわからんが、歪虚も使徒も東京で大激突するってことじゃな?」
その通信を受けながらナディア・ドラゴネッティ(kz0207)は必死に二人をなだめるが、落ち着く様子はない。
「ニダヴェリールとマスティマが東京で激突かぁ……これ、ひょっとしなくても大規模な戦いになるわねぇ」
ベアトリクス・アルキミア(kz0261)はのんきな声をあげている。ナディアに味方はいなかった。
「できればここで最終決戦は避けたいわねぇ。というか多分無理だから、マスティマと大精霊を何事もなく歪虚から守り切れれば御の字ね」
「マスティマはワープで逃げられるんじゃろう? だったらなんで逃げない?」
「目的はあるんだと思うけど……聞いてみないとわからないわね。それぞれの思惑が全然違うんだもの。逆に言えば、行ってみれば何かがわかるかもしれないってトコ」
「また出たとこ勝負ということか……わかった。とにかく、ハンターに出動を要請しておく!」
統一地球連合宙軍の専用ドックに冷たい風が吹き込んでくる。
季節を感じさせる風というよりは、これから与えられる試練を前に戦士へ覚悟を促す風に感じられる。
「……本当は、ここでこんな事を言うべきでは無いザマスが」
特殊部隊スワローテイル旗艦、ラズモネ・シャングリラ。
その艦長である森山恭子(kz0216)は、ドックに姿を見せた少女へ問いかけた。
幼い顔立ちではあるが、ブロンドの髪を風になびかせながら颯爽と歩く。気品、それ以外にも人の上に立つ者のオーラを感じさせる。
「ラズモネ・シャングリラは軍艦ザマス。万一の際にはあたくしの指示に従ってもらうザマス」
「今更な確認だな」
ムーンリーフ財団総帥トモネ・ムーンリーフは、自嘲的な笑みを浮かべた。
もう後戻りは、出来ない。
そんな事は誰よりも理解している。
片腕であったユーキ・ソリアーノの裏切りにより、財団内部は混乱。トモネの総帥解任を画策する派閥も現れているのは承知している。
財団の危機。
それでもトモネはラズモネ・シャングリラの乗艦を希望した。
「無論だ」
「……それと、あの……乗船する理由はユーキさんと会う為、ザマスか?」
恭子は敢えて斬り込んだ。
軍部からのゴリ押しがあった時点でトモネが権力を行使したのは分かっている。だが、一般人であるトモネを軍艦に乗せて戦場へ出ようというのだ。
艦長である以上、その意思と覚悟を確認しておく必要がある。
たとえ、ユーキに会うという個人的な理由であったとしても。
「その通りだ。私はユーキと話す為に、この艦で戦場へ行く。愚かにもな」
「愚かなんて、思っては……」
「隠さずとも良い。個人的な理由で権力を使った素人。戦場では役に立つまい。そうだとしても、私はユーキと会わねばならぬ。会って話さねば、前には進めぬのだ」
前に進めない。
それはトモネ自身の事でもあり、ムーンリーフ財団そのものでもある。
組織を動かすには、相応の労力が必要となる。生半可な覚悟では多くの者に迷惑をかける。
ユーキに会って、話す。
財団の建て直しもすべてはその後だ。
「恥ずべき行為だとは分かっている」
「……いえ、悩んだ末の結論だと分かるザマス。軍から命令された以上、あたくしはトモネさんを全力で護るザマス」
恭子の敬礼。
それは軍人としてトモネを迎える意思表示でもあった。
「すまぬ。世話になる。私はこのまま総帥として歩み続けるべきか。その答えを一緒に探してもらうぞ」
――本当は、ユーキに会うのが少し怖い。
でも、沢山のハンター達が自分の心に寄り添い、そして支える意思を示してくれた。
……私は幸いにも、1人ではなかったのだ。
1人では上手に歩けないけれど。彼らと一緒なら、きっと……。
混乱と寂しさを心の奥底に押し込め、少女は足を踏み出した。
『何が目的なんですかねぇ? ワープが出来るからって、世界中のあちこちに出るらしいじゃない?』
『これまでに襲撃が行われたのはドイツ、上海、カナダ、それから日本です』
『東京スカイツリーを制圧した謎のCAMと使徒たちは現在沈黙を守っています。周辺住民の避難と交通封鎖が行われ、観光地としての賑わいが嘘のように……』
「早いところ足り去りたいんだけどなあ」
少年は巨大な水槽の中を泳ぐ魚たちを横目に、誰かのスマートフォンをいじくる。
目的の為、既に四か所を制圧した。だが、この巨大電波塔も含めて、彼の目的は未だに達成されていない。
「やっぱり、相手の出方も見ない事にはわからない、か」
スマホをポケットに滑り込ませ、少年は水槽に苦笑を投げかける。
「すまないね。君たちが飢えてしまう前には、いなくなるからさ」
色とりどりの魚たちやペンギンは、人間がいなくなってものんびりと泳ぎ続けている。
――8時間前。突如東京に出現した謎のCAMと使徒の集団は、東京スカイツリーを制圧した。
そのまま破壊活動に入るかと思われたが、イクシード・アプリ契約者との小競り合いを経て、使徒たちは沈黙を始めた。
ビルの上に降り立った無数の天使たちは、揃って東京湾の空を睨みつけていた。
まるでその方向から来る何かを、待ち構えるかのように。
「やっと大精霊が動いたか。彼の狙いは……なるほど、そうきましたかー」
黙示騎士シュレディンガーはニダヴェリールの管制室で目を閉じながら呟く。
モニターには特に何も映されてはいないが、彼には大精霊の動きが手に取るようにわかった。
「動いたか」
待ち構えていたと言わんばかりに身を乗り出すクリュティエ。シュレディンガーは目を開き、コンソールを操作する。
「“目”に使ってる個体がバンバンやられてる。明らかに統率された使徒の集団が現れたね。あの子の狙いはここと、ここと……」
「流石は大精霊、痛い所を衝く」
「やみくもアタックだけどね。核心には至ってないから、タッチの差でこっちの勝利って感じ」
「こちらから接触したい。シュレディンガー、場所を割り出してくれ」
「ほいほい。でも僕これ動かすのめんどいから、アッシーはユーキくんにしてもらってよね」
『南雲艦長の報告によると、ニダヴェリールは間違いなく日本に向かって移動しています。つまり、地上に降り立ったマスティマと接触するつもりです!』
崑崙からの通信はいつもより情熱的で、画面いっぱいにネイサン・アワフォードと南雲芙蓉が映り込んでいる。
『我が神が万が一にも歪虚に倒されるようなことがあれば大問題です! なにせ異世界転移門が使えなくなりますのでっ!!』
『マスティマは対邪神用に作られた我が社の最高傑作! なんで地上に持ってかれたのかわかりませんが、破壊だけは絶対に阻止してください!!』
「わ、わかったわかった……なんじゃかもうよくわからんが、歪虚も使徒も東京で大激突するってことじゃな?」
その通信を受けながらナディア・ドラゴネッティ(kz0207)は必死に二人をなだめるが、落ち着く様子はない。
「ニダヴェリールとマスティマが東京で激突かぁ……これ、ひょっとしなくても大規模な戦いになるわねぇ」
ベアトリクス・アルキミア(kz0261)はのんきな声をあげている。ナディアに味方はいなかった。
「できればここで最終決戦は避けたいわねぇ。というか多分無理だから、マスティマと大精霊を何事もなく歪虚から守り切れれば御の字ね」
「マスティマはワープで逃げられるんじゃろう? だったらなんで逃げない?」
「目的はあるんだと思うけど……聞いてみないとわからないわね。それぞれの思惑が全然違うんだもの。逆に言えば、行ってみれば何かがわかるかもしれないってトコ」
「また出たとこ勝負ということか……わかった。とにかく、ハンターに出動を要請しておく!」
統一地球連合宙軍の専用ドックに冷たい風が吹き込んでくる。
季節を感じさせる風というよりは、これから与えられる試練を前に戦士へ覚悟を促す風に感じられる。
「……本当は、ここでこんな事を言うべきでは無いザマスが」
特殊部隊スワローテイル旗艦、ラズモネ・シャングリラ。
その艦長である森山恭子(kz0216)は、ドックに姿を見せた少女へ問いかけた。
幼い顔立ちではあるが、ブロンドの髪を風になびかせながら颯爽と歩く。気品、それ以外にも人の上に立つ者のオーラを感じさせる。
「ラズモネ・シャングリラは軍艦ザマス。万一の際にはあたくしの指示に従ってもらうザマス」
「今更な確認だな」
ムーンリーフ財団総帥トモネ・ムーンリーフは、自嘲的な笑みを浮かべた。
もう後戻りは、出来ない。
そんな事は誰よりも理解している。
片腕であったユーキ・ソリアーノの裏切りにより、財団内部は混乱。トモネの総帥解任を画策する派閥も現れているのは承知している。
財団の危機。
それでもトモネはラズモネ・シャングリラの乗艦を希望した。
「無論だ」
「……それと、あの……乗船する理由はユーキさんと会う為、ザマスか?」
恭子は敢えて斬り込んだ。
軍部からのゴリ押しがあった時点でトモネが権力を行使したのは分かっている。だが、一般人であるトモネを軍艦に乗せて戦場へ出ようというのだ。
艦長である以上、その意思と覚悟を確認しておく必要がある。
たとえ、ユーキに会うという個人的な理由であったとしても。
「その通りだ。私はユーキと話す為に、この艦で戦場へ行く。愚かにもな」
「愚かなんて、思っては……」
「隠さずとも良い。個人的な理由で権力を使った素人。戦場では役に立つまい。そうだとしても、私はユーキと会わねばならぬ。会って話さねば、前には進めぬのだ」
前に進めない。
それはトモネ自身の事でもあり、ムーンリーフ財団そのものでもある。
組織を動かすには、相応の労力が必要となる。生半可な覚悟では多くの者に迷惑をかける。
ユーキに会って、話す。
財団の建て直しもすべてはその後だ。
「恥ずべき行為だとは分かっている」
「……いえ、悩んだ末の結論だと分かるザマス。軍から命令された以上、あたくしはトモネさんを全力で護るザマス」
恭子の敬礼。
それは軍人としてトモネを迎える意思表示でもあった。
「すまぬ。世話になる。私はこのまま総帥として歩み続けるべきか。その答えを一緒に探してもらうぞ」
――本当は、ユーキに会うのが少し怖い。
でも、沢山のハンター達が自分の心に寄り添い、そして支える意思を示してくれた。
……私は幸いにも、1人ではなかったのだ。
1人では上手に歩けないけれど。彼らと一緒なら、きっと……。
混乱と寂しさを心の奥底に押し込め、少女は足を踏み出した。
リプレイ本文
該当リプレイは以下のURLの特設ページで公開されております。
http://www.wtrpg10.com/event/bt019/opening
http://www.wtrpg10.com/event/bt019/opening
依頼結果
依頼成功度 | 成功 |
---|
重体一覧
- 戦地を駆ける鳥人間
岩井崎 旭(ka0234) -
ヴァイス・エリダヌス(ka0364) - 赤髪の勇士
エヴァンス・カルヴィ(ka0639) - 無明に咲きし熾火
マッシュ・アクラシス(ka0771) - ボルディアせんせー
ボルディア・コンフラムス(ka0796) - 大悪党
神楽(ka2032) - 星を傾く者
サクラ・エルフリード(ka2598) - 紫煙の守護翼
シガレット=ウナギパイ(ka2884) - 東方帝の正室
アシェ-ル(ka2983) - 茨の王
アルト・ヴァレンティーニ(ka3109) - は た ら け
鵤(ka3319) - 非情なる狙撃手
コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561) - 不破の剣聖
紅薔薇(ka4766) - 灯光に託す鎮魂歌
ディーナ・フェルミ(ka5843) - 狂乱の貴婦人
エリ・ヲーヴェン(ka6159)
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
質問卓 エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142) 人間(リアルブルー)|30才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2018/09/13 13:03:23 |
|
![]() |
選択肢表明卓 鬼塚 陸(ka0038) 人間(リアルブルー)|22才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2018/09/11 17:52:42 |
|
![]() |
選択肢3:OF-004対応 アリア・セリウス(ka6424) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2018/09/14 18:31:40 |
|
![]() |
選択肢1:黙示騎士対応【2】 夢路 まよい(ka1328) 人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/09/14 18:41:22 |
|
![]() |
選択肢表明卓2 夢路 まよい(ka1328) 人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/09/13 20:12:14 |
|
![]() |
選択肢4:ニダヴェリール対応 フィーナ・マギ・フィルム(ka6617) エルフ|20才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/09/14 18:38:35 |
|
![]() |
選択肢2:マスティマ対応 ボルディア・コンフラムス(ka0796) 人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2018/09/14 08:43:17 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/09/11 23:26:57 |
|
![]() |
選択肢1:黙示騎士対応 アルト・ヴァレンティーニ(ka3109) 人間(クリムゾンウェスト)|21才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2018/09/12 20:03:00 |