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【空蒼】

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地球凍結作戦は無事完了か……。なんだか大転移の時を思い出すぜ。
LH044からこっちに飛ばされて、右も左もわからず、地球への帰還を夢見てた。
だからよ、俺は思うのさ。こいつァ既に通った道だ……ってな。
見つからない希望と諦めの中で、俺たちはリアルブルーに一度は辿り着いた。
なら、今度も取り戻せばいい。何も変わらねぇ。そうだろう、ハンターさんよ?

サルヴァトーレ・ロッソ艦長:ダニエル・ラーゲンベック(kz0024)

更新情報(11月28日更新)

【空蒼】大規模作戦連動ピンナップがついに公開!
KAXAK綾部史子の両イラストレーターによる、 鮮やかに描き出された大規模作戦の記憶。
ぜひその出来栄えをご確認ください!

▼【空蒼】大規模連動ピンナップ完成!▼

また、【空蒼】イベントの終了につき、スタッフページも公開致しました。
今回のイベントでご協力いただいたクリエイター様や、特設ページには載せきれなかったイラストなども掲載しております。
こちらもあわせてご覧ください!
 
 

【空蒼】これまでの足跡

▼大規模作戦第1フェーズ(8/1?8/14)▼

リプレイを確認!

▼グランドシナリオ【空蒼】レプリカント・ワルツ(9/7~9/27)▼

▼大規模作戦第2フェーズ(10/4~10/17)▼

リプレイを確認!

▼大規模作戦第3フェーズ(10/18?10/31)▼

リプレイを確認!
 
 

【空蒼】ストーリーノベル「空蒼作戦 ?今のあなたにできること?」(11月2日公開)


ドナテロ・バガニーニ

 クリムゾンウェストの月が二つに増え、大勢の傷つき、疲れ果てた人々は束の間の休息に涙した。
 地球に戻れない。日常は跡形もなく消えて、代わりに突き付けられたのは見ず知らずの世界での生活。
 だが――そこには確かな希望があった。
『我々は今もこうして命を繋いでいるのは、我らを救い受け入れてくれたクリムゾンウェスト人の友情のおかげである』
 月面都市崑崙は地上都市部分が大打撃を受けた為、人々は地下空間か広大な収容面積を持つサルヴァトーレ・ブルならびにニダヴェリールにて避難生活を過ごしている。
『地球は凍結された。だが! これは決して今生の別れではない! 敢えて言おう。これは転進であると!!』
 絶望的な混乱の中にあっても、ドナテロ・バガニーニ (kz0213)は決して俯かずに人々を鼓舞し続けた。
 そして崑崙の再建について的確に指示をすると、ハンターズ・ソサエティを通じてクリムゾンウェスト各国に理解を呼びかけた。
 クリムゾンウェストにとって、リアルブルー人の受け入れは既に通った道である。
 この世界には先の大転移を含み大小さまざまな転移があり、クリムゾンウェストにはリアルブルー人が開拓した土地もある。
 そういった場所に暮らすリアルブルー人は新たな同胞の来訪に大いに同情し、そして大いに支えた。
 月から地上への移動は、非覚醒者を大量に転移させることは危険であるため、サルヴァトーレ・ロッソが用いられた。
 そして多くの人々が冒険都市リゼリオを始め、クリムゾンウェストという異世界の大地を踏みしめるに至ったのだ。

南雲芙蓉

大精霊リアルブルー

ナディア・ドラゴネッティ

ベアトリクス・アルキミア

ミリア・クロスフィールド

ルビー

「我が神……しっかり私に捕まってくださいね……!」
「そうは言うけど、君、非力じゃないか」
 ハンターズ・ソサエティ本部。その廊下を南雲芙蓉と大精霊リアルブルーが寄り添って歩いていた。
 大精霊はボディを大きく破損しているため南雲芙蓉が支えているのだ、少年の身体はオートマトン。つまり、見た目よりだいぶん重い。
「ぐぬぬ……だ、大丈夫です……! 守護者として、あなたを支えると決めたんですから……っ!!」
 顔を真っ赤にして歯を食いしばる芙蓉の横顔に少年は苦笑を浮かべる。
 あの時――ナディアが自分を逃がしてくれなかったら、今頃この身体は砕け散って消えていただろう。
 トマーゾが応急処置を施してくれたが、後でボディ自体を乗り換える必要がある。それまでは芙蓉の世話になるしかない。
 二人がリゼリオにやってきたのは、ここにある治療室に用があったからだ。
 扉をくぐるとそこには大きなベッドが一つ。様々な機械装置と魔導装置に繋がれて眠るナディア・ドラゴネッティ(kz0207)を取り囲んでいる。
「あら? やっと来たのね、二人とも」
 白衣の裾を翻し、ベアトリクス・アルキミア(kz0261)が微笑む。
「修理に時間がかかってね。クリムゾンウェストは……いや。ナディアの容態は?」
「ん?……わかんないわぁ。ただ、肉体は極限まで傷んでいたし、全然目を覚ます気配もなしよ。外科手術も魔法治療も全部やったけど、今の技術じゃお手上げねぇ」
 実際に両手をバンザイするベアトリクス。だがその表情は少し寂しげだ。
 ナディア・ドラゴネッティは地球の封印を最後まで成し遂げた。そしてリゼリオに転移してきた時には甚大なダメージを受けており、意識もなかった。
「ボロ雑巾みたいになって生死の境を彷徨ってたけど、流石は青龍の心臓ねぇ。本当に生きてるのが奇跡だわぁ」
「ナディア総長……」
「まあ、峠は越えたからそのうち目を覚ますと思うわ。でも……もう一回無茶をしたら、次はないわね」
 ベアトリクスの声色は冷たく、それが避けようのない事実だと伝える。
 ナディア・ドラゴネッティが全力で戦えるのは、あと一度きり。それが終われば彼女は、間違いなく死に至ると。
 リアルブルーはその小さな手を取り、眉を顰める。
「教えてくれ、ベアトリクス。僕にも何かできることはないか?」
「ほぼないわね?」
 なにせ、リアルブルーの力の源である地球は凍結されている。
 マスティマも一応改修したが、ボロボロで修理には当分かかるだろう。
「あなたは私と同じ、星を喪った神よ。クリムゾンウェストで出来ることはそう多くないわ」
「そう…………だね」
「でも、ナディアが目覚めるまで私たちが繋がなきゃいけない。この子が目覚めた時にがっかりするのは、それは……なんていうか、ダメだもん」
 ベアトリクスは優しく笑って、そして少年の手を握る。
「私とあなた。半端者同士でも力を合わせれば、きっと出来ることがあるわ。それを見つけましょう」
 リアルブルーはしっかりとその手を握り返す。迷いはなかった。
「ああ。この魂はクリムゾンウェストに救われた。借りは返す――絶対にね」
 病室で二人の元神が結束する様子を、ナディアの着替えを持ったミリア・クロスフィールド(kz0012)とルビー(kz0208)が覗き見ていた。
「……リアルブルーは救えなかったようですが、どうやら希望は繋がったようですね」
 ルビーは小さく呟き、震えるミリアの肩を抱く。
「だから……私たちも頑張りましょう。もう誰も、何も失ってしまうことがないように」
「うん……」
 ぼろぼろと涙を零すミリアの目には黒く隈取が出来ていた。
 ナディアが心配で心配でたまらない。それでも、諦めることも立ち止まることもしてはならない。
 あの小さな総長ならば、きっと前進だけを選んだはずだから――。


トマーゾ・アルキミア

イェルズ・オイマト

レギ

森山恭子

 そして、クリムゾンウェストへの二度目の大転移からほどなくして、トマーゾ・アルキミア (kz0214)教授は強化人間とイクシード・アプリ使用者への対策を打ち出した。
 邪神の契約者となってしまった彼らは、崑崙の地下でコールドスリープ状態にあったが、救済の方法が見つかったのだ。
 クリムゾンウェストで確立された、ハンターシステムによる精霊との契約――。
 契約者を覚醒者に切り替える事は技術的に可能だと、皮肉にもテセウスの元になったイェルズ・オイマト(kz0143)は証明している。
 精霊との契約で上書きし、契約者を覚醒者にする。それはリアルブルー人という、元々覚醒者適性が極めて高い人々だからこそ実行可能な対策でもあった。
 この実行にはクリアしなければならない条件が多かった。
 まずそもそも精霊との契約を簡略化したハンターシステムはクリムゾンウェストにしかなく、リアルブルーからの転移が必要だった。
 負のマテリアルを持つ存在の転移というのはクリムゾンウェスト側からもリアルウブルー側からも大精霊により本能的に拒絶されていたというのも大きな理由の一つだ。
 崑崙という一か所に集めた上で双方の大精霊の同意を受け、転移させるための大規模な術を使用して初めて実現可能になった方法である。
   それでも、強化人間やイクシード・アプリ使用者は、その依存度に応じて多くの寿命を消費している。
 邪神との契約で壊れた精神は戻せないし、食いつくされた寿命も取り戻せない。覚醒者になっても、余命はせいぜい数年だろう。
「それでも……人間に、戻れるんですね」
 崑崙基地でトマーゾから説明を受けた強化人間達の中、レギ(kz0229)が震える声で呟いた。
 彼だけではない。強化人間育成施設であるアスガルドからここに連れてきた子供たちも。ハンターが諦めずに拿捕してくれた仲間たちも――助かる。
 あの戦いは無駄ではなかった。光の見えない暗闇を走り続けた日々が、報われる。
 レギはきつく目を閉じ、拳を握りしめる。強化人間達はみな、一様に打ち震えていた。
「おおおおお????んっ!! 良かったザマスな???レギさん!!」
「も……森山艦長!?」
 顔中の穴という穴から汁を吹き出しながら、森山恭子(kz0216)は強化人間一人一人をハグしていく。
「これまでずっと苦しい思いをしながら戦い抜いてきた甲斐があったザマスッ!! 本当によかったザマスぅうううううっ!!」
 本当に……本当に苦しい戦いだった。
 人間の為に戦った強化人間たちが、ヒトとして認められず弾圧された。
 最後までVOIDと戦い抜いて散っていった命も。その役割を果たせず、操られて討たれた命もあった。
 辛いという言葉では言い表せないほどの日々が、いつの間にか強化人間の子供達から心を奪っていたのだ。
 その凍り付いた感情が、全力で泣きじゃくる森山を見て、氷解していく。
 気づけば誰もが涙を流し、ガッツポーズを取ったり抱き合ったり、全力で喜び、全力で悲しんでいた。
 ――そうだ。自分達がこうして生きていられるのも、指導、監督する立場であった恭子が最初から最後まで強化人間という存在を見捨てなかったからだ。
 そして……自分達の為に戦い続けたハンター達がいてくれたから。
 暴走をする強化人間を前に、辛い選択をしたハンター達もいた。
 強化人間達に生き残る道があるのなら、あの時とった手段は何だったのかと思う者もいるかもしれない。
 ――それは違う。あの選択は、あの時においては最善だった。
 1つの選択、1つの決断。それら全てがあって――今の結果がある。
 皆がそれぞれに足掻いて、もがいて……そして今、ひとつの戦争が終わったのだ。
 それを実感した瞬間、レギの両足から力が抜ける。
「よかった……本当に……本当に、よかった……」
 救えたモノよりも、救えなかったモノの方が多すぎる。
 壊れた日常はもう取り戻せない。それでも、命は続いていく。
「助けてやるのが遅くなって、すまんかったのう。じゃが、必要なデータは事前に揃えてある。明日からでも契約可能じゃ!」

 ……それはそれとして。

「ハンターシステムで契約している以上、全員登録上は“ハンター”なんですね……」
「ルビーさんっ!!!!! 今日の契約予定者!!!! 88人なんでっ!!!! 次のグループ!! お願いしますっ!!!!」
 ハンターオフィスはなんかすごく大変なことになっていた。
 文字通り血眼で書類整理に追われるミリア。正直、もう泣いてる暇もない。
 世界は問答無用で変わっていく。
 ルビーは軽く肩を回し、苦笑を浮かべるのだった。

(執筆:神宮寺飛鳥猫又ものと
(文責:フロンティアワークス)

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