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【不動】聖地奪還


更新情報(6月19日更新)
【不動】聖地奪還が作戦終了となりました。
東方からの援軍、ガエル・ソトそしてヤクシーとの決戦、ハイルタイによる聖地襲撃、アイゼンハンダーの強襲、
レチタティーヴォの暗躍――
果たして、辺境の地での決戦の結果は?
受勲者、功績点、負傷者一覧と合わせ、リプレイをご確認ください。
ボイスドラマは第4話「その先に待つもの」を公開!
聖地奪還のエピローグの一幕が描かれています。
6月19日、大規模連動ピンナップが完成しました!
ファナティックブラッド初となる大規模連動ピンナップ、2人のイラストレーターによる豪華な2作品をご覧ください!
東方からの援軍、ガエル・ソトそしてヤクシーとの決戦、ハイルタイによる聖地襲撃、アイゼンハンダーの強襲、
レチタティーヴォの暗躍――
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【不動】これまでの足跡
▼【不動】グランドシナリオ「マギア砦籠城戦」▼(1/28?2/18)
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▼【不動】連動シナリオ状況▼(1/21?4/17)
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▼【不動】聖地奪還 第1フェーズ▼(3/25?4/8)
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▼【不動】聖地奪還 第2フェーズ▼(4/8?4/21)
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▼【不動】聖地奪還 第3フェーズ▼(4/22?5/13)
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▼【不動】ボイスドラマ「蒼の巨人と紅の巨人」▼
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エピローグ(5月13日更新)
辺境東部で南下する怠惰に籠城戦を仕掛けた『マギア砦籠城戦』。
CAMの戦力投入を持って怠惰に打撃を加えた『ナナミ川撃滅戦』。
そして――。
辺境にて聖地として慕われる『リタ・ティト』を取り戻すべく大規模な反抗作戦を試みた『聖地奪還』。
三度の戦で流れた血は想像するだけで顔を背けたくなる惨状だ。
特に今回の戦いが一番被害が大きい。聖地は奪還できたものの、災厄の十三魔アイゼンハンダーがCAM実験場へ突入。CAMや物資を徹底的に破壊。さらに魔の手はホープにも及び施設だけではなく、人的被害も深刻なレベルであった。
勝利――だが、手放しで喜ぶ気にはなれなかった。
犠牲は決して無駄にはしない。
各国の想いが、永きに渡る激戦に終止符を打つ。
●
――CAM実験場、及び開拓地ホープ。
無傷で――というわけにはいかなかった。災厄の十三魔・アイゼンハンダーの激しい攻撃を受けた影響で、何れも甚大な被害が生じている。
おそらく、この地での活動を再会するためには、大規模な復興作業が必要となるだろう。
無論、戦闘に参加した多くのハンターも尋常でない傷を負っているものが多かった。ホープには医療施設こそあるものの、そこに収容しきれない怪我人があちこちでうめき声を上げている。人々の顔にはまだ疲労の色が濃くなっていて、辛い現実を目の当たりにした現実が、彼らの精神を蝕んでいるのだった。
勝利と呼ぶにはほど遠い、現在の状態。正直な話、壊滅していてもおかしくないような状況だった。何とか持ちこたえることができたのが、むしろ奇跡にも思えてくる。
しかし、曲がりなりにも歪虚を撤退させることができた――これは紛れもない事実で、結果だけを見れば人類側の勝利、なのだろう。大きな犠牲の上の、紙一重の勝利なのかも知れないが。
この開拓地ホープを訪れていた『ガーディナ』リーダーにして聖地の巫女・リムネラ(kz0018)も、何か手伝えることはないかと自ら申し出、彼女が出来るだけの医療支援や炊き出しなどにも協力をしていた。
初めて見る戦場が、恐ろしくなかったというとそれは嘘になる。
しかしリムネラには使命があった。
なんとしてでもこの戦いを勝利に導き、そして聖地を奪還するという使命である。
無論彼女自身が戦いに赴くわけではない。しかし今回の戦いにおいて、彼女が旗印のような存在だったのはおそらく間違いの無い事実だろう。
しかし、時間は無情にも過ぎていく。
怪我人が多く収容され、リムネラも右へ左へと手伝いに大わらわだ。出来るだけ笑顔を絶やさぬようにしながら、彼女は手伝いに走り回っていた。
――それでも。
「連絡が入りました、聖地は何とかなったようです――!」
ハンターたちからその言葉を聞いて、リムネラはかたんとくずおれた。
「……っ、リムネラさんっ!」
リムネラの尋常ならざる様子に気づいたハンターたちが慌てて彼女に近づく。……彼女はまるで糸の切れた操り人形のように、呆然と座り込んでいた。
張り詰めていた、緊張の糸がふつりと切れたのだ。
おそらく慣れない状況や作業の連続で、疲労は既に限界だったのだろう――見れば彼女は随分と擦り傷だらけになっている。以前よりも少しやつれている気もするが、しかしそれでも彼女にはやらなければならないことがある。
聖地の無事を確認すること。
ずっと心配し続けていた巫女たちの、そして白龍の状況を確認すること。
でも、ああ。
リムネラは大きな深呼吸を一つすると、ぽろりと一粒、涙をこぼした。それから、止めどなく涙があふれ出してくる。
「大丈夫……大丈夫、デス」
心配してくれるハンターたちにそう言いながら、彼女はハンカチでそっと頬をぬぐった。そして、小さく微笑んでみせる。
それこそが、疲れ切った彼女が今出せる、最大級の喜びの表現――なのだった。
●
「へぇ。蒼き勇者を導いた者が、こーんなジジイだとは思わなかったよ」
各国の戦士やハンター達を導いて聖地を人類の手に取り戻した功労者の姿を見た大巫女は、開口一番にそう言い放った。
大巫女の視界にいるのは、辺境は蛇の戦士・シバ(kz0048)だ。
「まだ生きておったか」
「お互いにね。しぶとく生き残っちまうのは、定めなのかねぇ」
前にお互い顔を合わせたのは、いつ頃だったろうか。
久しぶりの再会ではあるが、喉から言葉が出てこない。
だが、言葉は無くとも二人の空気が何となく意志を伝えてくれる。
「ここへ来るまで随分無理したみたいだね」
大巫女は、シバの身を案じた。
先程ハンターからシバの状況について話を聞いたのだろう。部族が滅んでも尚、戦い続けようとする姿勢は何一つ変わらない。
「無理をしてでも取り戻さなければならぬ。この聖地も。そして……」
「大巫女っ!」
シバがそう言い掛けた瞬間、傍らから駆け込んできたのはスコール族の族長ファリフ・スコール(kz0009)だ。
勢いそのまま大巫女へ抱きつき、満面の笑顔を浮かべる。大巫女はかなりの高齢なはずだが、まったく肉体に衰えを見せない巨躯がファリフの体当たりを正面から受け止める。
「おお、ファリフかい。元気そうだね」
「うん! ここへ来るまですっごく大変だったけど、みんなで頑張ったからね」
ファリフはスコール族の族長へ就任する前に戦士として聖地を訪れている。
大巫女とはその時から知り合ったようだ。
久しぶりの再会に大巫女にも笑みが浮かぶ。
「それと、オイマトの子も一緒かい。今日は千客万来だね」
顔を上げた大巫女に対してオイマト族の族長バタルトゥ・オイマト(kz0023)は、小さく会釈をする。
大霊堂も一時、災厄の十三魔ハイルタイが到達する事態に見舞われた。
しかし、他の戦線から怠惰侵攻軍指揮官のヤクシーや同じく災厄の十三魔であるガエル・ソトが撃破された事を知ってハイルタイは撤退。聖地にも相応の被害は出ているものの、大霊堂そのものは無事のようだ。
「大巫女……再会を喜ぶのは良いが……白龍を」
バタルトゥ達がここを訪れたのは、大霊堂の無事を確かめるだけではない。
大霊堂の奥に居る白龍と謁見する為だ。永きに渡り生きてきた白龍は、多くの知識を持っている。白龍に相談したい事は山ほどある。少しでも白龍から対歪虚の情報を教えてもらわなければ――。
「そうだね。早く白龍に会った方がいい」
そう言いながら、ファリフを地面に立たせる大巫女。
その表情には先程のような笑顔は消えていた。変わって悲しみ交じりの真剣な表情が顔を見せる。
「白龍に残された時間は少ない。急いだ方がいい」
白龍は大霊堂を歪虚の侵攻から護るべく、残り少ない寿命を削って結界を張り続けていた。この為、白龍の寿命は間もなく尽きようとしている。ファリフ達が大霊堂へ到着したのはギリギリだったようだ。
「……行け御両人、恐らくは今生の別れとなるであろう。白龍の覚悟に……応えて来い」
「シバさんは……行かないの? これが最後なのに……」
ファリフの問いに、シバは穏やかに応えた。
「相応しき器がある。お主等二人が、行かねばならぬのだ」
「……」
シバの後押しでファリフとバタルトゥは、白龍の居る部屋へ歩み出す。
辺境の未来を指し示す道標を手に入れる為に。
●
『……来たか』
白龍は、巨大な部屋の中央で大きな体を丸めるように横たわっていた。
息も絶え絶えで、白く美しい体表から徐々に光の胞子が漏れ出している。マテリアルが白龍から失われていくのが傍目でも分かる。
「白龍……」
ファリフは。白龍の身を案じた。
ファリフの目から見ても寿命が尽きかけているのは一目瞭然だ。
初めてファリフが聖地を訪れた時に、優しい眼差しで見守ってくれた白龍。
体は崩れかけていても、白龍の優しい声は今も変わらない。
『案ずるな……こうなる事は、分かっていた。
時間が惜しい……知りたい事に応えよう』
白龍は、自らの寿命を把握していた。
本来であれば巫女を通して神託を授ける事が慣わしであったが、その慣わしを守る程の時間的余裕がない。だからこそ、ファリフ達と直接白龍が会話する事が大巫女によって認められたようだ。
「じゃあ、ボクから」
最初に問いかけたのは、ファリフだった。
「白龍が前に教えてくれたんだよね。星の友を探せって。
ボク、いろんなところを探しているんだけど、見つからないんだ。星の友が何処にいるか教えて?」
『星の友なら……もう出会っている』
「え?」
ファリフは、驚いた。
神託に従って一緒に辺境を救ってくれる星の友を捜し続けていたファリフ。辺境に限らず、王国にも星の友となってくれる者を捜し続けてきた。
だが、白龍によれば既に星の友と出会っているというのだ。
「どういう事?」
『星の友とは、迷う者を導き共に歩む者。
それは一人ではない。
星の友は星の数だけ存在し、迷った時は共に悩み、共に困難を乗り越えてくれる。そして、既に彼らとの出会いは果たしている』
神託を受けて様々な場所を探していたファリフにとって、衝撃的な事実であった。
既に出会っていた。
それも、一人ではなく星の数程の人々。
ファリフは必死に考えを巡らせる。
だが、その答えは傍らに居たバタルトゥから発せられる。
「……ハンターか」
『否。それに限らぬ。伝説の刺青を持つ者と共に歩む者すべて。即ち、いまこの地に生きる者すべてに資格がある』
「それは……帝国の人達も、星の友かもしれないって事?」
『私が答える事ではない。だが境界に囚われぬ様、心せよ。それを作るのは、他ならぬお前自身だ』
ファリフは再び考え始める。
星の友とは、共に歩むとは、どういう事か。
むしろ、様々な人の出会いがファリフを成長させて星の友を広げていく。
では……対立の先に進むには、どうすれば良いのか?
白龍は応えぬ代わりに、自らの話を続けた。
『我が子らよ、お前達はまだ弱い。力を探すがいい。伝承の狭間に失われた力を、生きる術を』
「どういうこと……?」
ファリフが興味を惹かれ、身を乗り出す。対して白龍の言葉は、あくまで穏やかに。
『かつてこの地にてイステマール、ナーランギと称されていた、幻獣と呼ばれし者達。彼らもいずれ我が子らに力を貸してくれよう。我が半身に会うもよかろうな。我が倒れれば悪い影響は避けられぬが……そこは、蛇の戦士に相談するがいい』
ファリフは考え込み、答えなかった。
沈黙が部屋を支配する前に、白龍はバタルトゥへ声をかける。
『それから……オイマトの者よ。
仇敵を撃つ事に拘るな。仇敵はいずれ撃たねばならぬ相手。だが、その時には傍らに助ける者の存在がある。彼らを蔑ろにしてはいけない』
仇敵――ハイルタイの事を差しているのであろう。
かつてのバタルトゥなら、ハイルタイが絡んだだけで単身動きだそうとする節もあった。白龍はその事を知って釘を刺してきたのだろう。
「……ご配慮、感謝する」
『……仇敵に心を乱される事なく、星の友の一人として……』
白龍がそこまで言い掛けた瞬間、白龍の体から大量の光の粒子が宙に舞う。
白龍の体にあったマテリアルが自然へ還っていく瞬間だ。
ファリフは――叫ぶ。
「白龍! 待ってっ!」
避けられない別れの時が来た。
その事はファリフも頭では理解している。
それでも、叫ばずにはいられない。
『……伝説の子……我は消えるのではない……マテリアルが歪虚に穢されぬ限り、すべてのマテリアルはあるべき場所に還る……だけ。
別れは一時……必ず、またいずこで……』
消えかける体の中、白龍は最後の言葉を残す。
星の友と出会うという事は、いつか別れが来る。
その出会いと別れを乗り越え、ファリフは成長していく。
白龍にとってそれを見届けられない事は無念であるが、マテリアルが還る場所でファリフのを願う事はできる。
『我が対に……会うことが……あれば……詫びを……我は……しばし、眠りを……』
白龍の体から大量のマテリアルが消失した。
白龍がいたはずの場所には、ただ広いだけの空間があった。
失われていく温もりの中、目に涙を溜めたファリフは一言だけ呟いた。
「おやすみ、白龍。……またね」
●
疲れ果てて横になってから、どれくらい経ったろう。
リムネラはぼんやりと目を開け、時間の経過を目の当たりにする。予想外の事態の数々に、リムネラの中の処理能力が追いつかなかったのだろうと、ホープで医療活動を行っているものたちが言って慰めてくれた。
たしかにそうかも知れない。
――と――。
わずかに空気が変わったような――気がした。
それがなんなのか、巫女であるリムネラにすらわかるようなわからないような、そんな本当にわずかな違い。マテリアルの質、といえばいいのだろうか、いやそれもしっくりこないのだが。
聖地が奪還出来たと聞いた時の疲労もある程度癒えてきたこともあり、起き上がろうとしたリムネラだったのだが、ふと顔を上げてみると小さな相棒のヘレが心配そうに彼女のことを見つめていた。
「大丈夫……問題ない、デスよ」
しかしそう言ってはみるものの、ぴりりとした違和感がぬぐえない。
――そこまで考えて、リムネラはふと、白龍のことが気になった。
といっても、ヘレのことではない。
聖地の守護をしていた、愛おしく懐かしい、年老いた白龍――。
あの龍は、無事だろうか。聖地を守り抜くことは、できたのだろうか。
そんなことをぼんやりと思いながら、幼い白龍をそっと撫でてやる。ヘレはいつもながらリムネラによく懐いていて、撫でてやると嬉しそうに喉を鳴らすのだ。
しかし、ヘレは今日はいつもよりおとなしい。
理由はわからないが、静かな雰囲気をたたえている。静謐な雰囲気は、どこか――リムネラの知っているヘレと、違うような気がした。
どうにも聖地の白龍に似ている気がして――しかし彼女は首を小さく横に振る。
いいや、不吉なことは考えまい。
可能性を疑ってばかりでは、動きも鈍ってしまう。
「ヘレ、……ドウかしましたか?」
リムネラがそう言ってそっと手を伸ばすと、ヘレはいつものように彼女の肩に乗る。
そう、いつも通りに。
考えてはいけない。
ユニオンリーダーとしてホープの状態も放って置くことは出来ないが、リムネラはそれ以前に聖地の巫女だ。
その彼女が聖地における良くない可能性を考えてしまえば、それは現実になってしまうかも知れない。
まだ、明らかになっていないのだから。
だからリムネラは考えないことにした、悪い可能性というものの存在を。
もっとも、現実は、やはり甘くないのだけれど――。
「サァ、行きマショウ。皆サン、マダとても困ってイルはずデス」
リムネラはゆっくりと起きて、そしてまだ混乱の続くホープの支援へと向かうのだった。
●
「お初にお目にかかります。エトファリカ連邦国より上様の命を受けて聖地奪還に馳せ参じました朱夏と申します。以後、お見知りおきを」
休んでいたファリフとバタルトゥに東方よりの使者、朱夏(kz0116)は恭しく挨拶をした。
シバを訪ねたが、彼は朱夏をまず二人の族長の前へと通したのだ。それが、器であり、筋であると。
朱夏はやや緊張気味した面持ちで二人に臨む。
「……そうか」
いつものようにバタルトゥは、最低限の口数で応える。
それが朱夏を更に焦らせる。
「あ、何か御無礼が!? 大変、も、申し訳……」
「バタルトゥはいつもこんな感じだよ。
あ、ボクはファリフ・スコール。よろしくね」
「スコール族の族長! 此れよりとも宜しくお願いいたす」
「そんなに固くならなくても良いよ。もっと気軽に……」
「いけませぬ。我が祖国を救うモノノフには礼を尽くせと上様から厳命されております」
祖国を救うモノノフ。
その事が自分達であり、東方――エトファリカ連邦国の事を指し示す事は二人にも分かっていた。彼らは助けを求める為に遠い西方までやってきた。自分達と同じように歪虚に攻められ、窮地に陥っている彼らの身の上をシバから聞いていた。
「我がエトファリカ連邦国は、歪虚の脅威に晒されております。国を護る最後の盾である我等を西方へ送り出した上様のご判断は、一種の賭け。今もエトファリカは危機に瀕しております」
朱夏が最後の盾という事は、最終防衛戦力を救援要請へ回した事を意味している。
その分防衛戦力が手薄になっている事に気付けば、歪虚が一気にすべてを終わらせにかかるだろう。
「話はシバから……聞いている。
我等の助けが必要、とか」
「左様。シバ殿から西方のモノノフは窮地に陥った弱者を救う者と伺っております。何卒、上様にお力添えを」
朱夏は、再び頭を下げた。
仮に東方の歪虚を撃退できたとしてもどのような礼ができるかは分からない。もしかしたら復興に費用がかかって礼らしい礼ができないかもしれない。
そうだとしても、祖国の命運を背負って西方へやってきた朱夏にできる事は頭を下げる事しかない。
「顔を上げてよ。君達は祖国が危ないのに、聖地奪還を助けてくれた。だったら、今度はボク達が君達を助ける番だよね?」
「……では!」
「一つ聞く……西方への転移門は、いつ稼働する?」
バタルトゥの問いに朱夏は答える。
歓喜と感謝が混じった声をあげて。
「……か、かたじけない。転移門は西方から持参した龍の欠片を用いて稼働させるが、今しばらく準備が必要。準備が整ったら、改めて我が東方を救うべく支援をお願いする」
●
「白龍は逝ったか」
「歪虚のせいでちょっとばかり早まったけどね。白龍にも寿命はあるんだよ」
シバと大巫女は、二人だけで会っていた。
大霊堂から出て聖なる山『ビャスラグ山』を背に広がるは、辺境の大地。
まだすべてではないが、怠惰との戦いで取り戻した大地が二人の前に広がっている。
「無論だ。可能なら、もう少し話したかったが……致し方ない」
「相変わらず素っ気ない男だねぇ」
「それより、これより巫女はどうする? 白龍はおらぬぞ」
シバは白龍が不在となった巫女を案じていた。
巫女は白龍に仕えて神託を受ける存在だ。その白龍がいなくなったとすれば、巫女の動揺は計り知れない。
しかし、巫女にして豪胆と評すべき大巫女に動揺は感じられない。
「何を言っているんだい。土地の浄化は巫女にもできる。これから歪虚に穢された土地を浄化していかなきゃならないんだ。泣き言を言っている暇はないよ」
「夜煌祭か」
シバは、ぽつりと呟いた。
辺境巫女に伝わる祭りで大精霊に捧げる感謝と祈りの祭り。
以前、リムネラが狂気の欠片を浄化した祭りとしてハンター達の記憶にも新しい。
だが、大巫女は大きく首を振る。
「そんなもんじゃないよ。大霊堂の巫女が総出で浄化の儀式をやらないといけない。こりゃ大仕事になるよ。新しい白龍が大霊堂に還ってくる日まで辺境を護らないといけないからね」
「ほう、するとやはりあの白い龍が……」
シバにはまだ幼い小さな白い龍の記憶が蘇る。
まだ巫女の背中を追いかけるだけの幼い龍であるが、長い年月をかけて成長すれば亡くなった白龍の後を継いで大霊堂に降り立つ白龍となるかもしれない。
「さぁね。先の事は分からないよ。
だけど、あたしは信じてるよ。あの子と一緒にいるあの龍が、きっと立派になって大霊堂に還ってくる事をね」
大巫女は、空を見上げた。
同じ空の下にいるはずの一人の巫女と小さな白い龍を思い浮かべながら。
拳を突き上げ勝鬨を上げる者。腰を抜かしたように座り込み、生あることに安堵する者。あるいは巨人との闘争に敗れ、倒れ伏した者。
闘争の果てにニンゲンどもが見せるそういった狂乱を遥か眼下に見下ろしながら、ガルドブルムは鼻を鳴らして両翼で大気を叩いた。
――悪くはねェ。悪くはなかった、が。
元は嫉妬の木偶人形の報せを受け、気も乗らぬまま首を突っ込んだこと。胸糞悪い始まりの割には愉しめたと言えなくはない。が、それでも満たされぬ塊が躰のうちで燻って、いや猛り狂っている。ドロドロとした塊が、叫んでいる。
さらなる闘争を! あらゆる欲望を!
混沌の如き原始的衝動。
溶岩のようなそれを胸のうちで自覚し、赤子をあやすようにそっと撫でた。
時は腐るほどある。お前を――俺を――満たすものもいずれ現れよう。なればその時まではせいぜい愉しみを探そうではないか。
――さて。んじゃ、次は何をしようかねェ……。
いつだか強奪したあの機械人形――CAMとやらを弄ってみるか。あるいは突然ニンゲンどもの中に現れた、一風変わったニオイの一団を追ってみるか。
――いや。
どっちもやろう。どれもこれもやっちまおう。
何故ならこの身は、強欲なのだから。
哄笑を上げ天を駆けてゆく竜の姿を見つめ、劇作家は紅い唇を歪めて口角を吊り上げた。
「困った役者だ。私の話など聴きやしない……」
帽子のツバを引き、目元を隠してくつくつと忍び笑いを漏らす。そうして天上の竜がどこかへ去るのを待つと、劇作家の笑いは大笑に変わった。
両腕を広げて天を仰ぐ。
「だがそれこそが一流! 故に私は舞台を整えよう。“王に必要なのは玉座と衣装、けれどそれだけじゃあまだ足りない。群衆こそが王を王たらしめるのさ”」
ひとしきり笑った後で劇作家が視線を地上に移す。そこには、歓喜に沸く人間たちの姿がある。
「“英雄は群衆を殺し、群衆は英雄を殺す”。さあ、私の主筆諸君。唯一無二の戯曲を観せてくれ!」
帽子を被り直すと、劇作家――レチタティーヴォは逢魔時の狭間に消えた。
「寝ておられなくて宜しいのですか?」
ノアーラ・クンタウの執務室にて、カッテ・ウランゲル(kz0033)は部屋に入るなりそう口を開いた。
「私は覚醒者だぞ? あんな怪我など数日で治る……まあ、今回は流石に死にかけたがな」
「良かった。負傷したと聞いてずっと心配していたんです」
嬉しそうに笑うカッテに、流石の騎士皇ヴィルヘルミナ・ウランゲル(kz0021)も僅かに口元を緩めた。
「……心配をかけたな」
「全くです」
カッテはその笑顔を全く崩さぬまま、ドンッと分厚い書類の束を机の上に置いた。
「なんだこれは」
眉をひそめるヴィルヘルミナ。
「折角のこれも、姉上の決裁が無くては宝の持ち腐れですから」
その書類は言うまでも無く、今回の『聖地奪還作戦』における、魔導型CAM、そして魔導アーマーの実戦データーを纏めたものだ。
「くっ……傷が……」
「それは、いけませんね。さあ、すぐ横になってください。横になったままでも資料の確認は出来ますよね?」
「歪虚かお前は」
にこにこしている弟を、ジト目で睨みながらもヴィルヘルミナはざっと資料を見た。
「ふむ……斜め読みだが、感触は悪くないか?」
「ええ、ナサニエルとビットマン博士にも喜んで貰えると思います」
その言葉と裏腹に、少年の顔色は曇っていた。
「ナサニエルの奴は聞き流しそうだが、二人には成果を無駄にするなと伝えておけ」
確かに、人類は聖地の奪還に成功し、ヤクシーとガエル・ソトという強力な敵将を討つことにも成功している。
だが、その犠牲は決して少なくは無かった。
戦死者は勿論、ガエルとの戦いでは貴重なCAMが数機修理不能なまでに大破したという。
「負傷者の搬送と処置は第九師団に再度指令を。戦死者への補償は第一師団と各課を総動員して最優先で進めます」
淡々と、感情を抑えた声で必要なことだけを報告したカッテはこう付け加えた。
「二人には、血を流した人々のことを忘れないで欲しいと」
そして、最も被害が大きかったのがCAM実験場「ホープ」だ。
「アイゼンハンダーについては、その後の状況から帝国領内に去ったと見て間違いありません。……残念ですが」
「システィーナの様子は?」
「僕も真っ直ぐこっちへ来たので、お会いしてはいません。大きなお怪我が無かったのは……」
一瞬言葉に詰まった後、カッテは続ける。
「幸いでした」
ヴィルヘルミナも目を伏せ、実験場の被害と、それを目の当たりにしたであろう王女のことを慮った。
「これも、システィーナにとっては試練なのかもしれん」
カッテはそれには敢えて応じず、別の資料を取り出した。
「僕の方で把握している機甲兵器の被害はそこにある通りです。ですが――」
確認するように言葉を切ったカッテにヴィルヘルミナは頷く。
「間違いない。魔導アーマーが連中に奪取された」
聖地奪還に乗じるように姿を見せた暴食の歪虚――帝国で暗躍する四霊剣とその配下によって輸送部隊にも被害が出た他、魔導アーマー2機が歪虚に奪われていたのだ。
「それについても調査を命じましょう。では、失礼します」
皇子はそう言って一礼し、踵を返した。
「カッテ」
その背中に、ヴィルヘルミナは言葉を投げかける。
「親父殿を殺したのは不敗の剣豪だ」
「……そうですか」
カッテは足を止める。
「すまない」
「弟が、自分の命をかけて十三魔の一人を討ったというのに、姉がこれでは恰好がつかんな」
あくまでも冗談めかしたヴィルヘルミナの言葉には、様々な想いが込められていた。
「十三魔を討つことが出来たのは、僕の力ではありません。同じように、姉上が無事だったのは、姉上だけの力だけではない筈です。現に、不変の剣妃についてもこの戦いを通じて新しい情報が集まってきています」
「……そうだな。彼らに、ハンターたちに感謝しよう。我が愛しき剣たちに」
そう言ってから、ヴィルヘルミナは少しだけ優しい口調で呼びかけた。
「……良く頑張ったな。無事で良かったよ」
その言葉に振り返ったカッテは少しだけ柔らかい口調で返した。
「姉上こそ……ご無事で、何よりでした」
カッテの白い手袋を嵌めた細い指が眦を拭い、ヴィルヘルミナがそれを見て微笑む。
この一瞬だけ、ゾンネンシュトラール帝国の皇帝と皇帝代理人は姉弟の表情に戻っていた。
CAMの戦力投入を持って怠惰に打撃を加えた『ナナミ川撃滅戦』。
そして――。
辺境にて聖地として慕われる『リタ・ティト』を取り戻すべく大規模な反抗作戦を試みた『聖地奪還』。
三度の戦で流れた血は想像するだけで顔を背けたくなる惨状だ。
特に今回の戦いが一番被害が大きい。聖地は奪還できたものの、災厄の十三魔アイゼンハンダーがCAM実験場へ突入。CAMや物資を徹底的に破壊。さらに魔の手はホープにも及び施設だけではなく、人的被害も深刻なレベルであった。
勝利――だが、手放しで喜ぶ気にはなれなかった。
犠牲は決して無駄にはしない。
各国の想いが、永きに渡る激戦に終止符を打つ。
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――CAM実験場、及び開拓地ホープ。
無傷で――というわけにはいかなかった。災厄の十三魔・アイゼンハンダーの激しい攻撃を受けた影響で、何れも甚大な被害が生じている。
おそらく、この地での活動を再会するためには、大規模な復興作業が必要となるだろう。
無論、戦闘に参加した多くのハンターも尋常でない傷を負っているものが多かった。ホープには医療施設こそあるものの、そこに収容しきれない怪我人があちこちでうめき声を上げている。人々の顔にはまだ疲労の色が濃くなっていて、辛い現実を目の当たりにした現実が、彼らの精神を蝕んでいるのだった。
勝利と呼ぶにはほど遠い、現在の状態。正直な話、壊滅していてもおかしくないような状況だった。何とか持ちこたえることができたのが、むしろ奇跡にも思えてくる。
しかし、曲がりなりにも歪虚を撤退させることができた――これは紛れもない事実で、結果だけを見れば人類側の勝利、なのだろう。大きな犠牲の上の、紙一重の勝利なのかも知れないが。

リムネラ
初めて見る戦場が、恐ろしくなかったというとそれは嘘になる。
しかしリムネラには使命があった。
なんとしてでもこの戦いを勝利に導き、そして聖地を奪還するという使命である。
無論彼女自身が戦いに赴くわけではない。しかし今回の戦いにおいて、彼女が旗印のような存在だったのはおそらく間違いの無い事実だろう。
しかし、時間は無情にも過ぎていく。
怪我人が多く収容され、リムネラも右へ左へと手伝いに大わらわだ。出来るだけ笑顔を絶やさぬようにしながら、彼女は手伝いに走り回っていた。
――それでも。
「連絡が入りました、聖地は何とかなったようです――!」
ハンターたちからその言葉を聞いて、リムネラはかたんとくずおれた。
「……っ、リムネラさんっ!」
リムネラの尋常ならざる様子に気づいたハンターたちが慌てて彼女に近づく。……彼女はまるで糸の切れた操り人形のように、呆然と座り込んでいた。
張り詰めていた、緊張の糸がふつりと切れたのだ。
おそらく慣れない状況や作業の連続で、疲労は既に限界だったのだろう――見れば彼女は随分と擦り傷だらけになっている。以前よりも少しやつれている気もするが、しかしそれでも彼女にはやらなければならないことがある。
聖地の無事を確認すること。
ずっと心配し続けていた巫女たちの、そして白龍の状況を確認すること。
でも、ああ。
リムネラは大きな深呼吸を一つすると、ぽろりと一粒、涙をこぼした。それから、止めどなく涙があふれ出してくる。
「大丈夫……大丈夫、デス」
心配してくれるハンターたちにそう言いながら、彼女はハンカチでそっと頬をぬぐった。そして、小さく微笑んでみせる。
それこそが、疲れ切った彼女が今出せる、最大級の喜びの表現――なのだった。
●

シバ

ファリフ・スコール

バタルトゥ・オイマト
各国の戦士やハンター達を導いて聖地を人類の手に取り戻した功労者の姿を見た大巫女は、開口一番にそう言い放った。
大巫女の視界にいるのは、辺境は蛇の戦士・シバ(kz0048)だ。
「まだ生きておったか」
「お互いにね。しぶとく生き残っちまうのは、定めなのかねぇ」
前にお互い顔を合わせたのは、いつ頃だったろうか。
久しぶりの再会ではあるが、喉から言葉が出てこない。
だが、言葉は無くとも二人の空気が何となく意志を伝えてくれる。
「ここへ来るまで随分無理したみたいだね」
大巫女は、シバの身を案じた。
先程ハンターからシバの状況について話を聞いたのだろう。部族が滅んでも尚、戦い続けようとする姿勢は何一つ変わらない。
「無理をしてでも取り戻さなければならぬ。この聖地も。そして……」
「大巫女っ!」
シバがそう言い掛けた瞬間、傍らから駆け込んできたのはスコール族の族長ファリフ・スコール(kz0009)だ。
勢いそのまま大巫女へ抱きつき、満面の笑顔を浮かべる。大巫女はかなりの高齢なはずだが、まったく肉体に衰えを見せない巨躯がファリフの体当たりを正面から受け止める。
「おお、ファリフかい。元気そうだね」
「うん! ここへ来るまですっごく大変だったけど、みんなで頑張ったからね」
ファリフはスコール族の族長へ就任する前に戦士として聖地を訪れている。
大巫女とはその時から知り合ったようだ。
久しぶりの再会に大巫女にも笑みが浮かぶ。
「それと、オイマトの子も一緒かい。今日は千客万来だね」
顔を上げた大巫女に対してオイマト族の族長バタルトゥ・オイマト(kz0023)は、小さく会釈をする。
大霊堂も一時、災厄の十三魔ハイルタイが到達する事態に見舞われた。
しかし、他の戦線から怠惰侵攻軍指揮官のヤクシーや同じく災厄の十三魔であるガエル・ソトが撃破された事を知ってハイルタイは撤退。聖地にも相応の被害は出ているものの、大霊堂そのものは無事のようだ。
「大巫女……再会を喜ぶのは良いが……白龍を」
バタルトゥ達がここを訪れたのは、大霊堂の無事を確かめるだけではない。
大霊堂の奥に居る白龍と謁見する為だ。永きに渡り生きてきた白龍は、多くの知識を持っている。白龍に相談したい事は山ほどある。少しでも白龍から対歪虚の情報を教えてもらわなければ――。
「そうだね。早く白龍に会った方がいい」
そう言いながら、ファリフを地面に立たせる大巫女。
その表情には先程のような笑顔は消えていた。変わって悲しみ交じりの真剣な表情が顔を見せる。
「白龍に残された時間は少ない。急いだ方がいい」
白龍は大霊堂を歪虚の侵攻から護るべく、残り少ない寿命を削って結界を張り続けていた。この為、白龍の寿命は間もなく尽きようとしている。ファリフ達が大霊堂へ到着したのはギリギリだったようだ。
「……行け御両人、恐らくは今生の別れとなるであろう。白龍の覚悟に……応えて来い」
「シバさんは……行かないの? これが最後なのに……」
ファリフの問いに、シバは穏やかに応えた。
「相応しき器がある。お主等二人が、行かねばならぬのだ」
「……」
シバの後押しでファリフとバタルトゥは、白龍の居る部屋へ歩み出す。
辺境の未来を指し示す道標を手に入れる為に。
●
『……来たか』
白龍は、巨大な部屋の中央で大きな体を丸めるように横たわっていた。
息も絶え絶えで、白く美しい体表から徐々に光の胞子が漏れ出している。マテリアルが白龍から失われていくのが傍目でも分かる。
「白龍……」
ファリフは。白龍の身を案じた。
ファリフの目から見ても寿命が尽きかけているのは一目瞭然だ。
初めてファリフが聖地を訪れた時に、優しい眼差しで見守ってくれた白龍。
体は崩れかけていても、白龍の優しい声は今も変わらない。
『案ずるな……こうなる事は、分かっていた。
時間が惜しい……知りたい事に応えよう』
白龍は、自らの寿命を把握していた。
本来であれば巫女を通して神託を授ける事が慣わしであったが、その慣わしを守る程の時間的余裕がない。だからこそ、ファリフ達と直接白龍が会話する事が大巫女によって認められたようだ。
「じゃあ、ボクから」
最初に問いかけたのは、ファリフだった。
「白龍が前に教えてくれたんだよね。星の友を探せって。
ボク、いろんなところを探しているんだけど、見つからないんだ。星の友が何処にいるか教えて?」
『星の友なら……もう出会っている』
「え?」
ファリフは、驚いた。
神託に従って一緒に辺境を救ってくれる星の友を捜し続けていたファリフ。辺境に限らず、王国にも星の友となってくれる者を捜し続けてきた。
だが、白龍によれば既に星の友と出会っているというのだ。
「どういう事?」
『星の友とは、迷う者を導き共に歩む者。
それは一人ではない。
星の友は星の数だけ存在し、迷った時は共に悩み、共に困難を乗り越えてくれる。そして、既に彼らとの出会いは果たしている』
神託を受けて様々な場所を探していたファリフにとって、衝撃的な事実であった。
既に出会っていた。
それも、一人ではなく星の数程の人々。
ファリフは必死に考えを巡らせる。
だが、その答えは傍らに居たバタルトゥから発せられる。
「……ハンターか」
『否。それに限らぬ。伝説の刺青を持つ者と共に歩む者すべて。即ち、いまこの地に生きる者すべてに資格がある』
「それは……帝国の人達も、星の友かもしれないって事?」
『私が答える事ではない。だが境界に囚われぬ様、心せよ。それを作るのは、他ならぬお前自身だ』
ファリフは再び考え始める。
星の友とは、共に歩むとは、どういう事か。
むしろ、様々な人の出会いがファリフを成長させて星の友を広げていく。
では……対立の先に進むには、どうすれば良いのか?
白龍は応えぬ代わりに、自らの話を続けた。
『我が子らよ、お前達はまだ弱い。力を探すがいい。伝承の狭間に失われた力を、生きる術を』
「どういうこと……?」
ファリフが興味を惹かれ、身を乗り出す。対して白龍の言葉は、あくまで穏やかに。
『かつてこの地にてイステマール、ナーランギと称されていた、幻獣と呼ばれし者達。彼らもいずれ我が子らに力を貸してくれよう。我が半身に会うもよかろうな。我が倒れれば悪い影響は避けられぬが……そこは、蛇の戦士に相談するがいい』
ファリフは考え込み、答えなかった。
沈黙が部屋を支配する前に、白龍はバタルトゥへ声をかける。
『それから……オイマトの者よ。
仇敵を撃つ事に拘るな。仇敵はいずれ撃たねばならぬ相手。だが、その時には傍らに助ける者の存在がある。彼らを蔑ろにしてはいけない』
仇敵――ハイルタイの事を差しているのであろう。
かつてのバタルトゥなら、ハイルタイが絡んだだけで単身動きだそうとする節もあった。白龍はその事を知って釘を刺してきたのだろう。
「……ご配慮、感謝する」
『……仇敵に心を乱される事なく、星の友の一人として……』
白龍がそこまで言い掛けた瞬間、白龍の体から大量の光の粒子が宙に舞う。
白龍の体にあったマテリアルが自然へ還っていく瞬間だ。
ファリフは――叫ぶ。
「白龍! 待ってっ!」
避けられない別れの時が来た。
その事はファリフも頭では理解している。
それでも、叫ばずにはいられない。
『……伝説の子……我は消えるのではない……マテリアルが歪虚に穢されぬ限り、すべてのマテリアルはあるべき場所に還る……だけ。
別れは一時……必ず、またいずこで……』
消えかける体の中、白龍は最後の言葉を残す。
星の友と出会うという事は、いつか別れが来る。
その出会いと別れを乗り越え、ファリフは成長していく。
白龍にとってそれを見届けられない事は無念であるが、マテリアルが還る場所でファリフのを願う事はできる。
『我が対に……会うことが……あれば……詫びを……我は……しばし、眠りを……』
白龍の体から大量のマテリアルが消失した。
白龍がいたはずの場所には、ただ広いだけの空間があった。
失われていく温もりの中、目に涙を溜めたファリフは一言だけ呟いた。
「おやすみ、白龍。……またね」
●
疲れ果てて横になってから、どれくらい経ったろう。
リムネラはぼんやりと目を開け、時間の経過を目の当たりにする。予想外の事態の数々に、リムネラの中の処理能力が追いつかなかったのだろうと、ホープで医療活動を行っているものたちが言って慰めてくれた。
たしかにそうかも知れない。
――と――。
わずかに空気が変わったような――気がした。
それがなんなのか、巫女であるリムネラにすらわかるようなわからないような、そんな本当にわずかな違い。マテリアルの質、といえばいいのだろうか、いやそれもしっくりこないのだが。
聖地が奪還出来たと聞いた時の疲労もある程度癒えてきたこともあり、起き上がろうとしたリムネラだったのだが、ふと顔を上げてみると小さな相棒のヘレが心配そうに彼女のことを見つめていた。
「大丈夫……問題ない、デスよ」
しかしそう言ってはみるものの、ぴりりとした違和感がぬぐえない。
――そこまで考えて、リムネラはふと、白龍のことが気になった。
といっても、ヘレのことではない。
聖地の守護をしていた、愛おしく懐かしい、年老いた白龍――。
あの龍は、無事だろうか。聖地を守り抜くことは、できたのだろうか。
そんなことをぼんやりと思いながら、幼い白龍をそっと撫でてやる。ヘレはいつもながらリムネラによく懐いていて、撫でてやると嬉しそうに喉を鳴らすのだ。
しかし、ヘレは今日はいつもよりおとなしい。
理由はわからないが、静かな雰囲気をたたえている。静謐な雰囲気は、どこか――リムネラの知っているヘレと、違うような気がした。
どうにも聖地の白龍に似ている気がして――しかし彼女は首を小さく横に振る。
いいや、不吉なことは考えまい。
可能性を疑ってばかりでは、動きも鈍ってしまう。
「ヘレ、……ドウかしましたか?」
リムネラがそう言ってそっと手を伸ばすと、ヘレはいつものように彼女の肩に乗る。
そう、いつも通りに。
考えてはいけない。
ユニオンリーダーとしてホープの状態も放って置くことは出来ないが、リムネラはそれ以前に聖地の巫女だ。
その彼女が聖地における良くない可能性を考えてしまえば、それは現実になってしまうかも知れない。
まだ、明らかになっていないのだから。
だからリムネラは考えないことにした、悪い可能性というものの存在を。
もっとも、現実は、やはり甘くないのだけれど――。
「サァ、行きマショウ。皆サン、マダとても困ってイルはずデス」
リムネラはゆっくりと起きて、そしてまだ混乱の続くホープの支援へと向かうのだった。
●

朱夏
休んでいたファリフとバタルトゥに東方よりの使者、朱夏(kz0116)は恭しく挨拶をした。
シバを訪ねたが、彼は朱夏をまず二人の族長の前へと通したのだ。それが、器であり、筋であると。
朱夏はやや緊張気味した面持ちで二人に臨む。
「……そうか」
いつものようにバタルトゥは、最低限の口数で応える。
それが朱夏を更に焦らせる。
「あ、何か御無礼が!? 大変、も、申し訳……」
「バタルトゥはいつもこんな感じだよ。
あ、ボクはファリフ・スコール。よろしくね」
「スコール族の族長! 此れよりとも宜しくお願いいたす」
「そんなに固くならなくても良いよ。もっと気軽に……」
「いけませぬ。我が祖国を救うモノノフには礼を尽くせと上様から厳命されております」
祖国を救うモノノフ。
その事が自分達であり、東方――エトファリカ連邦国の事を指し示す事は二人にも分かっていた。彼らは助けを求める為に遠い西方までやってきた。自分達と同じように歪虚に攻められ、窮地に陥っている彼らの身の上をシバから聞いていた。
「我がエトファリカ連邦国は、歪虚の脅威に晒されております。国を護る最後の盾である我等を西方へ送り出した上様のご判断は、一種の賭け。今もエトファリカは危機に瀕しております」
朱夏が最後の盾という事は、最終防衛戦力を救援要請へ回した事を意味している。
その分防衛戦力が手薄になっている事に気付けば、歪虚が一気にすべてを終わらせにかかるだろう。
「話はシバから……聞いている。
我等の助けが必要、とか」
「左様。シバ殿から西方のモノノフは窮地に陥った弱者を救う者と伺っております。何卒、上様にお力添えを」
朱夏は、再び頭を下げた。
仮に東方の歪虚を撃退できたとしてもどのような礼ができるかは分からない。もしかしたら復興に費用がかかって礼らしい礼ができないかもしれない。
そうだとしても、祖国の命運を背負って西方へやってきた朱夏にできる事は頭を下げる事しかない。
「顔を上げてよ。君達は祖国が危ないのに、聖地奪還を助けてくれた。だったら、今度はボク達が君達を助ける番だよね?」
「……では!」
「一つ聞く……西方への転移門は、いつ稼働する?」
バタルトゥの問いに朱夏は答える。
歓喜と感謝が混じった声をあげて。
「……か、かたじけない。転移門は西方から持参した龍の欠片を用いて稼働させるが、今しばらく準備が必要。準備が整ったら、改めて我が東方を救うべく支援をお願いする」
●
「白龍は逝ったか」
「歪虚のせいでちょっとばかり早まったけどね。白龍にも寿命はあるんだよ」
シバと大巫女は、二人だけで会っていた。
大霊堂から出て聖なる山『ビャスラグ山』を背に広がるは、辺境の大地。
まだすべてではないが、怠惰との戦いで取り戻した大地が二人の前に広がっている。
「無論だ。可能なら、もう少し話したかったが……致し方ない」
「相変わらず素っ気ない男だねぇ」
「それより、これより巫女はどうする? 白龍はおらぬぞ」
シバは白龍が不在となった巫女を案じていた。
巫女は白龍に仕えて神託を受ける存在だ。その白龍がいなくなったとすれば、巫女の動揺は計り知れない。
しかし、巫女にして豪胆と評すべき大巫女に動揺は感じられない。
「何を言っているんだい。土地の浄化は巫女にもできる。これから歪虚に穢された土地を浄化していかなきゃならないんだ。泣き言を言っている暇はないよ」
「夜煌祭か」
シバは、ぽつりと呟いた。
辺境巫女に伝わる祭りで大精霊に捧げる感謝と祈りの祭り。
以前、リムネラが狂気の欠片を浄化した祭りとしてハンター達の記憶にも新しい。
だが、大巫女は大きく首を振る。
「そんなもんじゃないよ。大霊堂の巫女が総出で浄化の儀式をやらないといけない。こりゃ大仕事になるよ。新しい白龍が大霊堂に還ってくる日まで辺境を護らないといけないからね」
「ほう、するとやはりあの白い龍が……」
シバにはまだ幼い小さな白い龍の記憶が蘇る。
まだ巫女の背中を追いかけるだけの幼い龍であるが、長い年月をかけて成長すれば亡くなった白龍の後を継いで大霊堂に降り立つ白龍となるかもしれない。
「さぁね。先の事は分からないよ。
だけど、あたしは信じてるよ。あの子と一緒にいるあの龍が、きっと立派になって大霊堂に還ってくる事をね」
大巫女は、空を見上げた。
同じ空の下にいるはずの一人の巫女と小さな白い龍を思い浮かべながら。

ガルドブルム
闘争の果てにニンゲンどもが見せるそういった狂乱を遥か眼下に見下ろしながら、ガルドブルムは鼻を鳴らして両翼で大気を叩いた。
――悪くはねェ。悪くはなかった、が。
元は嫉妬の木偶人形の報せを受け、気も乗らぬまま首を突っ込んだこと。胸糞悪い始まりの割には愉しめたと言えなくはない。が、それでも満たされぬ塊が躰のうちで燻って、いや猛り狂っている。ドロドロとした塊が、叫んでいる。
さらなる闘争を! あらゆる欲望を!
混沌の如き原始的衝動。
溶岩のようなそれを胸のうちで自覚し、赤子をあやすようにそっと撫でた。
時は腐るほどある。お前を――俺を――満たすものもいずれ現れよう。なればその時まではせいぜい愉しみを探そうではないか。
――さて。んじゃ、次は何をしようかねェ……。
いつだか強奪したあの機械人形――CAMとやらを弄ってみるか。あるいは突然ニンゲンどもの中に現れた、一風変わったニオイの一団を追ってみるか。
――いや。
どっちもやろう。どれもこれもやっちまおう。
何故ならこの身は、強欲なのだから。

レチタティーヴォ
「困った役者だ。私の話など聴きやしない……」
帽子のツバを引き、目元を隠してくつくつと忍び笑いを漏らす。そうして天上の竜がどこかへ去るのを待つと、劇作家の笑いは大笑に変わった。
両腕を広げて天を仰ぐ。
「だがそれこそが一流! 故に私は舞台を整えよう。“王に必要なのは玉座と衣装、けれどそれだけじゃあまだ足りない。群衆こそが王を王たらしめるのさ”」
ひとしきり笑った後で劇作家が視線を地上に移す。そこには、歓喜に沸く人間たちの姿がある。
「“英雄は群衆を殺し、群衆は英雄を殺す”。さあ、私の主筆諸君。唯一無二の戯曲を観せてくれ!」
帽子を被り直すと、劇作家――レチタティーヴォは逢魔時の狭間に消えた。
(執筆:京乃ゆらさ)
(文責:フロンティアワークス)
(文責:フロンティアワークス)

カッテ・ウランゲル

ヴィルヘルミナ・ウランゲル
ノアーラ・クンタウの執務室にて、カッテ・ウランゲル(kz0033)は部屋に入るなりそう口を開いた。
「私は覚醒者だぞ? あんな怪我など数日で治る……まあ、今回は流石に死にかけたがな」
「良かった。負傷したと聞いてずっと心配していたんです」
嬉しそうに笑うカッテに、流石の騎士皇ヴィルヘルミナ・ウランゲル(kz0021)も僅かに口元を緩めた。
「……心配をかけたな」
「全くです」
カッテはその笑顔を全く崩さぬまま、ドンッと分厚い書類の束を机の上に置いた。
「なんだこれは」
眉をひそめるヴィルヘルミナ。
「折角のこれも、姉上の決裁が無くては宝の持ち腐れですから」
その書類は言うまでも無く、今回の『聖地奪還作戦』における、魔導型CAM、そして魔導アーマーの実戦データーを纏めたものだ。
「くっ……傷が……」
「それは、いけませんね。さあ、すぐ横になってください。横になったままでも資料の確認は出来ますよね?」
「歪虚かお前は」
にこにこしている弟を、ジト目で睨みながらもヴィルヘルミナはざっと資料を見た。
「ふむ……斜め読みだが、感触は悪くないか?」
「ええ、ナサニエルとビットマン博士にも喜んで貰えると思います」
その言葉と裏腹に、少年の顔色は曇っていた。
「ナサニエルの奴は聞き流しそうだが、二人には成果を無駄にするなと伝えておけ」
確かに、人類は聖地の奪還に成功し、ヤクシーとガエル・ソトという強力な敵将を討つことにも成功している。
だが、その犠牲は決して少なくは無かった。
戦死者は勿論、ガエルとの戦いでは貴重なCAMが数機修理不能なまでに大破したという。
「負傷者の搬送と処置は第九師団に再度指令を。戦死者への補償は第一師団と各課を総動員して最優先で進めます」
淡々と、感情を抑えた声で必要なことだけを報告したカッテはこう付け加えた。
「二人には、血を流した人々のことを忘れないで欲しいと」
そして、最も被害が大きかったのがCAM実験場「ホープ」だ。
「アイゼンハンダーについては、その後の状況から帝国領内に去ったと見て間違いありません。……残念ですが」
「システィーナの様子は?」
「僕も真っ直ぐこっちへ来たので、お会いしてはいません。大きなお怪我が無かったのは……」
一瞬言葉に詰まった後、カッテは続ける。
「幸いでした」
ヴィルヘルミナも目を伏せ、実験場の被害と、それを目の当たりにしたであろう王女のことを慮った。
「これも、システィーナにとっては試練なのかもしれん」
カッテはそれには敢えて応じず、別の資料を取り出した。
「僕の方で把握している機甲兵器の被害はそこにある通りです。ですが――」
確認するように言葉を切ったカッテにヴィルヘルミナは頷く。
「間違いない。魔導アーマーが連中に奪取された」
聖地奪還に乗じるように姿を見せた暴食の歪虚――帝国で暗躍する四霊剣とその配下によって輸送部隊にも被害が出た他、魔導アーマー2機が歪虚に奪われていたのだ。
「それについても調査を命じましょう。では、失礼します」
皇子はそう言って一礼し、踵を返した。
「カッテ」
その背中に、ヴィルヘルミナは言葉を投げかける。
「親父殿を殺したのは不敗の剣豪だ」
「……そうですか」
カッテは足を止める。
「すまない」
「弟が、自分の命をかけて十三魔の一人を討ったというのに、姉がこれでは恰好がつかんな」
あくまでも冗談めかしたヴィルヘルミナの言葉には、様々な想いが込められていた。
「十三魔を討つことが出来たのは、僕の力ではありません。同じように、姉上が無事だったのは、姉上だけの力だけではない筈です。現に、不変の剣妃についてもこの戦いを通じて新しい情報が集まってきています」
「……そうだな。彼らに、ハンターたちに感謝しよう。我が愛しき剣たちに」
そう言ってから、ヴィルヘルミナは少しだけ優しい口調で呼びかけた。
「……良く頑張ったな。無事で良かったよ」
その言葉に振り返ったカッテは少しだけ柔らかい口調で返した。
「姉上こそ……ご無事で、何よりでした」
カッテの白い手袋を嵌めた細い指が眦を拭い、ヴィルヘルミナがそれを見て微笑む。
この一瞬だけ、ゾンネンシュトラール帝国の皇帝と皇帝代理人は姉弟の表情に戻っていた。
(執筆:稲田和夫)
(文責:フロンティアワークス)
(文責:フロンティアワークス)
関連NPC
リムネラ(kz0018) | |
---|---|
![]() |
リタ・ティトという、聖なる山の中にある大霊堂と呼ばれる場所で育った巫女。 現在は本人の要望と素養から辺境ユニオン「ガーディナ」のリーダーとして、ハンターたちのサポートのために大聖堂から下りている。 |
|
イラスト:狛蜜ザキ |
バタルトゥ・オイマト(kz0023) | |
---|---|
![]() |
辺境部族、オイマト族の若き族長。 部族の民を守るため、帝国と組んでヴォイドの殲滅に取り掛かると言う方針を取っており、それ故に一部の他部族から反発を受けている。寡黙で口数は多くこそないが、確固とした信念を持ち、部族を守るためならば手段を執る事を厭わない。 帝国への恭順もその一環。 |
|
イラスト:mati. |
ファリフ・スコール(kz0009) | |
---|---|
![]() |
スコール族の若き族長にして、赤い狼を祖霊とするベルセルク。スコール族の言い伝えにある狼の印を持っていた事から、当時の族長からその座を明け渡された。 巫女より宣託を受け、星の友というヴォイドを退ける為の仲間を探している。部族に服従を迫る帝国を強く警戒しており、部族会議の中では独立維持を主張する一派の旗印的存在。 |
|
イラスト:わたりとおる |
朱夏(kz0116) | |
---|---|
![]() |
エトファリカ東方連邦武家四十八家門第一位立花院家に仕える舞刀士。有事の際には幼き頃より磨いた剣技で敵を倒すが、普段は自らを制して礼儀を重んじている。 聖地奪還の折に東方より救援部隊として駆けつけた。 |
|
イラスト:ゆらり |
シバ(kz0048) | |
---|---|
![]() |
辺境の対歪虚部隊『山岳猟団』の団員にして、北方の戦闘部族『シバ族』最後の生き残り。自分以外の部族員が全滅した為、様々な組織を渡り歩いて歪虚を討つ術を模索してきた。剽軽で温厚な性格の好々爺だが、老獪な一面をちらつかせる事も。 |
|
イラスト:ちーせん |
カッテ・ウランゲル(kz0033) | |
---|---|
![]() |
皇帝ヴィルヘルミナ・ウランゲルの弟。 常人離れした記憶力や事務処理能力を持ち、少年ながら議会での皇帝代理人を務める。その可憐な容姿や穏やかで心優しい気質により一部の国民からはアイドル扱いされているとかいないとか。 |
|
イラスト:OMCオフィシャル |
ヴィルヘルミナ・ウランゲル(kz0021) | |
---|---|
![]() |
ゾンネンシュトラール帝国皇帝。失踪した先代皇帝である父の跡を引き継ぎ改革を推し進める。武力による支配を以て歪虚を打破し、世界を救済しようというその独裁を支えるのは、ひとえに彼女のカリスマである。 |
|
イラスト:綾部史子 |