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【蒼乱】「崑崙基地防衛戦A 市街地救助」 リプレイ

作戦2:市街地救助 リプレイ

近衛 惣助
近衛 惣助(ka0510
天王寺茜
天王寺茜(ka4080
米本 剛
米本 剛(ka0320
陽波 綾
陽波 綾(ka0487
ミィナ・アレグトーリア
ミィナ・アレグトーリア(ka0317
イーディス・ノースハイド
イーディス・ノースハイド(ka2106
神代 誠一
神代 誠一(ka2086
椿姫・T・ノーチェ
椿姫・T・ノーチェ(ka1225
クィーロ・ヴェリル
クィーロ・ヴェリル(ka4122
浅緋 零
浅緋 零(ka4710
不動シオン
不動シオン(ka5395
央崎 遥華
央崎 遥華(ka5644
高瀬 未悠
高瀬 未悠(ka3199
ショウコ=ヒナタ
ショウコ=ヒナタ(ka4653
クラヴィ・グレイディ
クラヴィ・グレイディ(ka4687
花厳 刹那
花厳 刹那(ka3984
烏丸 涼子
烏丸 涼子(ka5728
アリア
アリア(ka2394
カール・フォルシアン
カール・フォルシアン(ka3702
銀 桃花
銀 桃花(ka1507
神城・錬
神城・錬(ka3822
金鹿
金鹿(ka5959
キサ・I・アイオライト
キサ・I・アイオライト(ka4355
外待雨 時雨
外待雨 時雨(ka0227
柏木 秋子
柏木 秋子(ka4394
ルスティロ・イストワール
ルスティロ・イストワール(ka0252
星輝 Amhran
星輝 Amhran(ka0724
Uisca Amhran
Uisca Amhran(ka0754
咲月 春夜
咲月 春夜(ka6377
天竜寺 舞
天竜寺 舞(ka0377
藤堂 小夏
藤堂 小夏(ka5489
ディーナ・フェルミ
ディーナ・フェルミ(ka5843
●ヒトの記憶
 民間ドーム内には、逃げ遅れた人々がいた。
 近衛 惣助(ka0510)は、内部で住民誘導をしていた連合宙軍の兵士に身分を証明するIDカードを見せた。
「近衛惣助です。ご安心下さい、異装の者もおりますが、皆味方です」
 宙軍兵士は、惣助が元軍人でリアルブルー製の装備をしていたこともあり、傭兵たちが緊急で駆けつけてくれたのかと安堵していた。
「それは助かる。今は少しでも多くの助けが必要だからな」
「任せて下さい」
 惣助は市民の避難誘導と護衛を担当することになった。
「あの、VOIDに1番近いエレベーターの場所は何処ですか!?」
 そう言ったのは、天王寺茜(ka4080)だ。IDカードを提示すると、兵士は怪訝な顔をした。
「申し訳ないが、君は学生か?」
「いえ、違います。機械修理ができるので、万が一、エレベーターが故障していたら、直すために来ました」
 茜は大衆食堂で働いていた経緯を話した。オートマチック「パノルゴス」を装備していたこともあり、兵士はようやく茜が援軍の傭兵だと理解した。
「これは失礼した。機械の修理ができる者がいたとは、さすが傭兵たちだ」
 惣助は茜たちの遣り取りを聞き、地球連合軍用PDAに地図をダウンロードすると、シェルターの位置を確認していた。
「学校に地下シェルターがある。そこが一番近い。俺はそこへ行く」
 惣助はアサルトライフル「ヴォロンテAC47」を構え『制圧射撃』で小型狂気の動きを制し、市街地へと突入していく。
「一緒に行きます!」
 茜も後を追いかける。
「自分も住民救出に参加します」
 米本 剛(ka0320)も、惣助たちの突入に合わせて駆け出していく。
 住宅の物陰に隠れていた陽波 綾(ka0487)は、裏道から学校へと急行していた。
「VOIDとは視線を合わせないように、気を付けて」
 綾は逃げ遅れた民間人の家族を誘導しながら、周囲を警戒していた。
 宙軍兵士たちが銃で応戦している間に、綾は他の仲間と合流し、民間人を庇いながら公園に辿り着いた。
「もう少しで学校です。仲間たちがVOIDを引きつけているから、そのうちに逃げましょう」
 綾は住民たちを連れて、学校のシェルターへと続くエレベーターに誘導した。
「VOIDは機械に反応するようです。不要な所持機械の電源は落として下さい。ただし、避難が終了するまで、エレベータのロックには絶対に触らないこと、お願いします」
 そう住民たちに綾は声をかけて、シェルター内では携帯している機械類は使わないように強調した。
「ボクは学校の入口で、皆の援護に入ります」
 綾はオートマチック「シュラーゲン」で狙いを定め『遠射』の一撃を放ち、小型狂気を一体、撃ち落とした。
「今度はうちらがこっちの人助ける為に頑張るから、皆が助かる様にうちらを信じて」
 ミィナ・アレグトーリア(ka0317)は、狂気に飲まれ混乱して叫んでいる人間を見つけると、『スリープクラウド』を放った。魔法に包まれて、さきほどまで暴れていた人間が眠り出した。
 イーディス・ノースハイド(ka2106)は眠っている者に精神安定剤を使った。まだ眠ったままだが、顔付きは徐々に穏やかになってきた。
「どうやら効果はあったようだな。目覚めた時、傍にリアルブルー人がいた方が住民たちも安心するだろう」
「自分が彼を学校まで連れて行きます」
 剛は眠っている住民を背負うと、学校へと向かう。
「落ち着いて、自分に付いてきて下さい」
 子供や年配の人々を庇いながら、彼らの歩幅に合わせる剛。怪我人を見つけては剛が『神道之壹『穢落』』で治癒していく。その能力に、住民たちは驚きを隠せなかった。
「大丈夫です。心配ありません」
 剛が懸命に住民たちを説得して、なんとか付いてきてもらうことができた。
「では、私は皆の大盾となろう」
 シールド「トゥルム」を構えたイーディスが『ソウルトーチ』を纏うと、小型狂気たちがイーディスに接近してくる。
 その隙に、神代 誠一(ka2086)が避難経路を確保するため、試作光斬刀「MURASAMEブレイド」で『フェイントアタック』を繰り出す。行動不能になった小型狂気はダメージに耐え切れず、息絶えた。
(魔導短伝話でも繋がらないとは……敵のジャミングは思っていた以上だったな)
 誠一は離れている仲間と連絡を取りたかったが、それだけ敵も必死と言うことか。
 だが、誠一の周囲には仲間がいた。
 椿姫・T・ノーチェ(ka1225)、クィーロ・ヴェリル(ka4122)、浅緋 零(ka4710)の三人は、誠一と共に参戦していた。
 連携を取りながら、椿姫は『スローイング』で手裏剣「八握剣」を投げつけ、小型狂気を狙い撃つ。
「神代さん、中型狂気にも警戒していきましょう」
 誠一に対して穏やかに告げる椿姫。
 見れば、中型狂気はビルの壁に突き刺さり、小型狂気を次々と放出していた。
「……このイライラを、てめぇらにも叩き込んでやるぜっ!」
 クィーロは記憶の狭間で頭痛を起こしていたが、それを振り払うかのように日本刀「虎徹」で『攻めの構え』を取り、『チャージング』で小型狂気たちを貫いてく。
 零にはクィーロが普段よりも張り切っているように思えて、少し違和感があったが、今は戦いに専念することにした。
「レイたちの大切な世界を、こわさないで……」
 ロングボウ「アルチイ・ジルヒル」を構えた零は、地面から10メートルほどの高さに突き刺さっている中型狂気に狙いを定めて『ダブルシューティング』を放った。命中したが、中型狂気はダメージを負いながらも、その場から小型狂気を次から次へと吐き出していくではないか。
 浮遊する小型狂気は、路地裏や公園の方まで出没していた。
 幼い少女の泣き声に気付き、不動シオン(ka5395)は現場まで駆けつけた。
「少女の近くに、錯乱している男がいるな」
 シオンは直ぐに男性に接近すると、手刀で気絶させた。
「一時しのぎだが、今のうちに」
 シオンは少女を宥めながら、公園へと走り出した。
「まずいな」
 公園には、発狂している人々が意味不明なことを叫んで歩き回っていた。
「みんな、ごめんなさいね」
 援護に来た央崎 遥華(ka5644)は『スリープクラウド』を放ち、発狂している人々を眠らせていく。
 その様子に気付いた兵士たちが一斉に駆けつけてきた。
「これは何事だ」
「説明は後よ。まずは住民たちをシェルターに運んで」
 シオンは少女を抱えていたこともあり、兵士たちに誘導班だと思われていた。
「ショッピングモールの地下にシェルターがある。そこまで付いてきたまえ」
 兵士は敬礼して促すが、シオンは少女を兵士たちに託した。
「私は援軍で来た。我々がVOIDたちを引き付ける」
 その言葉で、兵士たちはシオンが傭兵だと感付いた。
「了解した。武運を祈る」
「私はシェルターへ行くわ」
 高瀬 未悠(ka3199)はIDカードを提示して、連合軍兵士の護衛を申し出た。
「住民誘導中にVOID襲撃の可能性もあるからね」
「私も協力しよう」
 ショウコ=ヒナタ(ka4653)は未悠の護衛として共に付いていくことにした。
 公園にいた住民たちは、兵士たちがシェルターまで運ぶことになり、目的地までの護衛は未悠とショウコが担当した。
「こちらに向かってくる小型狂気の群れを発見」
 ショウコは試作型特殊魔導拳銃「憤慨せしアリオト」で狙いを定め、『高加速射撃』で小型狂気を撃ち抜いた。
「ここは私たちが食い止めるわ。兵士の皆さんは、住民誘導に専念して。なにがなんでも、市民たちは守り抜くのよ」
 未悠は『闘心昂揚』を発動させ、地上から攻めてくる狂気のVOID目掛け、試作振動刀「オートMURAMASA」を振るい、切り裂いた。
「さーて、おいでなすったな」
 シオンは試作振動刀「オートMURAMASA」による『薙ぎ払い』で、小型狂気たちを切り裂いていく。
「私も、この世界を守りたい気持ちは同じです」
 遥華は浮遊している小型狂気を『ブリザード』で巻き込んでいく。道を阻んでいた小型狂気がいなくなり、経路が確保できた。
「さあ、今のうちに」
 兵士たちは住民を連れて、ショッピングモールへと向かった。
「しつこい連中だな」
 ショウコは『クイックリロード』で装填し、『高加速射撃』で迫り来るVOIDの前方を威嚇する。
 未悠が刀で斬り付けると、シオンが『刺突一閃』で軌道上の敵を貫き、遥華が『フェイルノート』で確実に敵を仕留めていく。
 そのおかげもあり、ショッピングモールのシェルターまで住民たちを避難させることができた。
 だが、中型狂気は点在しており、小型狂気たちを放出していくため、敵の数は増えていくばかりだ。
 クラヴィ・グレイディ(ka4687)はIDカードを連合軍兵士に提示して、すぐさま現場へと駆けつけた。
 魔導短伝話は敵のジャミングで繋がらなかったため、UPC軍用PDAで地図を閲覧して、公園まで辿り着いた。
「自分も加勢に来たのであります!」
 クラヴィはカービン「プフェールトKT9」で『制圧射撃』を放った。壁に突き刺さっていた中型狂気に命中して、小型狂気の放出が一時的に止まった。
 花厳 刹那(ka3984)はチャンスとばかりに太刀「鬼神大王」を振りかざし、『アサルトディスタンス』で擦れ違いざまに小型狂気を斬り倒していく。
「私の世界を汚すならば、許しません」
 刹那は元の世界に戻ってきた喜びを隠して、戦いに身を投じていた。
 烏丸 涼子(ka5728)はリボルバー「ヴァールハイト」を構えて、中型狂気を狙い撃った。敵はさらにダメージを受けていたが、中型狂気は触手に着いている目のような部分から、レーザーを発射してきた。とっさに回避する涼子。
「銃を持ってきて良かったわ」
 涼子は接近戦を得意としてたが、浮遊する敵を想定して遠距離攻撃ができる武器を装備してきたのだろう。
「烏丸殿、助かるであります!」
 クラヴィはそう言いながら、『レイターコールドショット』で中型狂気の動きを止めた。
「他にも公園の周辺に中型狂気が複数、突き刺さっている模様です。この状況を知らせたいのですが、魔導短伝話では繋がらない状況が続いています」
 さすがに少し焦るクラヴィ。涼子にも連絡が取れる手段がない。
「地道に敵を潰していくしかないわ」
 涼子が銃で中型狂気を一体仕留めるが、住宅の壁には他にも突き刺さっている中型狂気たちが、小型狂気たちを吐き出していた。
「これでは敵の数が増える一方です。虱潰しにやりましょう」
 刹那は『立体攻撃』で小型狂気の頭部に飛び乗ると、太刀を叩き込んだ。
 クラヴィは別の方角にいる中型狂気に『レイターコールドショット』を放ち、涼子が銃で狙い撃つ。
 しばらくすると、冷気の嵐が吹き荒れた。ミィナの放った『ブリザード』だ。
「うちで良ければ、援護するよん! この周辺の住民たちは説得して避難できたから、戦闘に集中できるのん」
 ミィナは魔導短伝話で連絡を取ろうとしたが、繋がらなかったため、公園で戦っている仲間を見つけてやってきたのだ。
「直接、会った方が早いと思ってきちゃったのん」
「ありがとう、言われてみれば、その通りね」
 涼子がそう言うと、その場にいたハンターたちは、まさに虱潰しに敵を倒していくことになった。


●ソーシャルリンク
 その頃、アリア(ka2394)は仲間たちを探しながら、ビルの壁に突き刺さっている中型狂気と闘っていた。
『飛燕』で敵に隙を与えず、アリアは苦無「雷牙」を投げつけた。命中して、中型狂気は小型狂気を吐き出すことはなくなったが、それも氷山の一角に過ぎない。
(他にも、壁に突き刺さってる中型狂気がいるからね。どうにかしないと)
 そう思った矢先、ドーム内のスピーカーから声が響いた。
 カール・フォルシアン(ka3702)だ。『機導の徒』を使い、放送室の機材でドーム内にいる人々に伝えた。
『住民の皆さん、学校とショッピングモールのシェルターに避難して下さい。兵士と傭兵の皆さんは、住民たちをシェルターまで誘導して下さい。落ち着いて、移動して下さい。エレベーターを守っている兵士と傭兵がいますので、住民の皆さんはロックしないで、待機して下さい』
 スピーカーから繰り返し、カールの声が響き渡り、ドーム内に隠れていた住民たちも、姿を現した。
「あ、この家に住んでる人かな」
 銀 桃花(ka1507)が庭にいることを見つけて、老夫婦がゆっくりと近づいてきた。
「安心して。学校まで僕も付いていくから」
 桃花の優しい笑みに、老夫婦は安心したのか、手を差し伸べてきた。
「孫は無事じゃろか?」
「多分、学校にいるかもしれないよ」
 桃花はそう言いながら、老夫婦を連れて学校へと向かった。
 魔導短伝話で仲間に連絡を取りたかったが、ジャミングの影響で繋がらなかった。
 幸い、老夫婦が学校までの道順を知っていたこともあり、桃花は迷わずに目的地まで辿り着いた。
 兵士たちが暴れている住民を取り押さえていた。
「安心してね」
 桃花が精神安定剤を使うと、住民はようやく大人しくなった。
「僕は、学校の外にいるVOIDを倒しにいくね」
 ウォーピック「デストルクシオン」を構えた桃花は、『ラウンドスウィング』で小型狂気たちを薙ぎ払っていった。


 同時刻。
 カールは『連結通話』を試みたが、対象相手が見当たらず、交信できなかった。
「一か八か……」
 魔導短伝話を使ってみると、奇跡的に誠一と繋がった。
「カールです。放送は聴こえてますか?」
『……ああ……聴こえ……大丈夫……指示通り……』
 誠一からの返答は、そこで途切れた。
「カールさん、応答して下さい!」
 誠一は何度か魔導短伝話で呼びかけたが、敵のジャミングにより、通信ができなくなった。
「一時的にせよ、カールさんとは連絡が取れた……俺たちは、避難経路確保に徹しましょう」
 誠一の言葉に、椿姫が頷く。
「アリアちゃんのことが心配だけど、きっと放送も聴いているはず」
 混乱の中、離れ離れになってしまった仲間もいた。
「そうだな。VOIDはまだ、うじゃうじゃいるからな」
 クィーロは道路沿いから『薙ぎ払い』で小型狂気たちに攻撃をしかける。
 零が壁に突き刺さっている中型狂気を狙い、『ダブルシューティング』を繰り出した。
「敵の…レーザーに、気をつけて……」
 中型狂気に矢が突き刺さり、ダメージを受けたが、壁に突き刺さったまま、レーザーを放ってきた。
 椿姫はワイヤーウィップ「ブラッドストリング」による『エンタングル』で牽制……中型狂気が落下してくる。すかさず誠一が『暁光撃』で中型狂気を撃破した。
「まだ気は抜けませんね。住民たちが全員、避難できるまで」
 仲間を信じて、誠一たちはVOIDの集団に立ち向かっていった。


 放送塔の二階から、ベランダに姿を現したのは神城・錬(ka3822)だ。
「やはり、あのデカイのは気になるな」
 龍剣「クベラ・ヴァナ」を両手持ちした錬は、『立体攻撃』でベランダに飛び乗り、中型狂気の感覚器らしき部位を狙い、切り裂いた。その衝撃で、壁に突き刺さっていた中型狂気が落下していく。
「……邪魔なんだよ」
 錬は地面に着地すると、龍剣を中型狂気に突き立て、感覚器を中心に全身を斬り裂いた。
 仕留めることができたが、放送塔の壁には複数の中型狂気が突き刺さっていた。
(ヤツら、小型狂気を産み出しているのか? ならば、中型狂気を優先した方がいいな)
 スキルの続く限り、錬は放送塔の敵を一体ずつ倒していった。
 小型狂気の集団は、放送塔の中にも侵入してきた。
「来ましたね」
 カールはギリギリまで放送していたが、敵に包囲されたことに気付いて脱出を試みた。
『ファイアスローワー』で前方の敵を焼き尽くすと、カールは非常階段から外へと出ることができた。
 地球連合軍用PDAに取りこんだ地図を確認しながら、ショッピングモールへと走るカール。
 狂気の影響で発狂している住民がいるかもしれないと、それが気掛かりだった。


●ヒューマンパワー
 金鹿(ka5959)が『生命感知』を使い、学校の裏庭にいる住民を発見したが、どう見ても混乱状態だった。
「逃げ遅れた人が、ここにもいましたわね」
 一人だけ取り残されたいたようで、金鹿は『地縛符』を貼り付け、住民の動きを止めた。
「大丈夫ですわ。すぐに解けますから」
 金鹿は安心させるように精神安定剤を使うと、住民は魔法の効果が切れた頃には正気に戻っていた。
「ここは、どこだ…」
 不安げな住民に、【MV】ペンライトを見せる金鹿。
「学校まで避難いたしましょう。このペンライトを見て、VOIDとは視線を合わせてはなりませんわ」
 住民は無言で頷くと、金鹿の指示に従い、学校のシェルターへと入った。
「私は外で、敵の襲撃に対応しますわ」
 学校の入口付近にある住宅地に、中型狂気が三体ほど突き刺さっていた。
 金鹿は『五色光符陣』を投げ飛ばし、中型狂気に命中すると結界に包まれた敵は光で焼かれ、さらに身動きが取れなくなった。
「まだ避難している住民がエレベーターを使っているの。ここから先は通さないわよ」
 キサ・I・アイオライト(ka4355)は 大身槍「紅椿」を振り回し『ラウンドスウィング』で小型狂気の集団を薙ぎ倒していく。
 外待雨 時雨(ka0227)は戦況を鑑みて、連合宙軍の兵士に自分のIDカードを見せると、住民たちの避難誘導に協力することになった。狂化した住民には、時雨が『サルヴェイション』を施していた。
「この魔法なら……暴れている人でも……助けることが、できます」
 宙軍兵士たちが住民たちをシェルターへと誘導している間、時雨は金鹿とキサの援護に廻った。
「……私の世界……見知らぬどこか……されど、懐かしき現し世……」
 時雨の放った『ジャッジメント』により、中型狂気は光の杭を打ち込まれ、行動不能になった。
「もう一体、任せて下さいませ」
 金鹿が『五色光符陣』を投げつけ、別の中型狂気は結界の中で光に焼かれたと思うと、移動することもできなくなった。小型狂気を吐き出すことはなくなったが、周辺にはクラゲに似たVOIDが群れを成していた。
「こっちも纏めて倒すわよ。母さんの故郷だもの、歪虚に襲われてるなら助けて当然よ」
 キサは戦うことに迷いはなかった……『ラウンドスウィング』でVOIDの集団を一斉に薙ぎ倒した。
 時雨と金鹿は中型狂気に狙いを定めて、魔法攻撃を続けていく。『ジャッジメント』と『五色光符陣』の連携により、中型狂気を倒すことができた。
「……避難は……無事…?」
 時雨は住民たちの動向が気になっていた。
 キサが『超聴覚』を使い、主に学校から聴こえてくる声に耳を澄ましていた。
「住民たちはエレベーターを利用して、シェルターに降りていくみたいだわ」
「良かったですわ」
 金鹿は安堵の笑みを浮かべた。


 学校のシェルター内では、避難してきた住民たちが不安そうに身を寄せ合っていた。
「気絶している住民も、何人かいますね」
 柏木 秋子(ka4394)は気絶している住民に『キュア』を施す。効き目があったのか、住民はゆっくりと目覚めた。
「今、手当てしますから」
 秋子は住民たちを誘導して、現在はシェルターの中にいた。ここならば、じっくりと応急手当に専念できる。
「よし、特に異常は無いわね」
 茜はエレベーターの点検をしていたが、今のところは順調に作動していた。
 ルスティロ・イストワール(ka0252)が、住民たちを和ませようと、何やら語り始めた。
「聴いてみてはくれないかい。ここではない、僕らの世界でのお話を」
 ルスティロは、ロッソの人々と共に戦い、自分は別世界から来たと告げた。
 子供たちは少し興味を示すが、大人たちは疲れ切った表情で横になったり、顔を下に向けて座っている者もいた。
 それでも、ルスティロは話を続ける。
「ただの御伽噺だと思って聞いてくれれば満足さ! まずは海から来たる脅威との戦いからだ」
 そして、小さな王女と甦りし『傲慢』の因縁との経緯、東の国における、狐退治の物語……ルスティロはジェスチャーも加えながら、吟遊詩人のように物語を紡いでいく。
 そんな彼の姿に、子供たちは瞳を輝かせて、楽しそうに笑っている子もいた。
「少しは気が紛れたかな?」
 うれしそうに両手を叩く子供もいた。大人たちは驚いていた。ルスティロの話は全く信じていなかったが、彼が子供たちを笑わせてくれたのは確かだ。そのことに、大人たちは少しずつ気力を取り戻し始めた。
「おまえさん、作家志望なのか?」
 そう声をかけてくる一般人の男性がいた。
「僕の夢は、昔話のように子から子へと受け継がれる御伽噺を書くことなんだ」
 ルスティロの応えに、住民たちはようやく落ち着きを取り戻した。
 秋子はルスティロの話を聞きながら、このような方法で住民たちの気持ちを落ち着かせることもできることを目の当たりにした。
「私は……助けられる命を、助けなければ」
 秋子は応急手当で、住民の助けとなっていた。いつの日か、母と父に会えるのだろうか……ふと、そんな想いが過った。


●誰かのために
 ショッピングモール周辺では、狂気のVOID集団との戦闘が続いていた。
 星輝 Amhran(ka0724)は、Uisca Amhran(ka0754)と連携して、中型狂気に狙いを定めた。
「分かったわ。キララ姉さま」
 互いの距離が近かったこともあり、魔導短伝話で連絡を取り合うことができた。それでも、時折、通信が途切れることもあったが、互いに目視できる距離にいればそれほど問題はなかった。
 Uiscaは『【龍閃】白龍閃光散華』を解き放った。光の龍が発する波動が周囲に広がり、中型狂気に衝撃とダメージを与えた。凄まじい衝撃により、敵の触手が砕け散った。
 星輝は『流派禍断 隠系【融】』により建物の物陰に潜み、Uiscaに敵の動向を魔導短伝話で知らせていた。場所の把握は、地球連合軍用PDAに表示されている地図が頼りだった。
(距離が離れ過ぎていると、通信できないことが多いようじゃ)
 近くにいるUiscaとは連絡が取れることもあったが、他の仲間とは魔導短伝話で通信できなかった。
 日紫喜 嘉雅都(ka4222)はジャミング状況で通話できないと悟り、カーニバルバックラーを旗代わりにして、住民たちを公園まで避難させていた。後方にいる住民に対しては、嘉雅都が『防御障壁』を使い、怪我人が出ないように注意を払っていた。
「もう少しでショッピングモールのシェルターに辿り着きます。私の盾を目印にして、付いてきて下さい」
 嘉雅都が誘導して、住民たちがシェルターへと入っていく。
 咲月 春夜(ka6377)は覚醒してヘルシャフトとなり、住民誘導に協力していた。
「放送でも聞いたと思うが、エレベーターから降りてシェルターの中に入ってもロックはしないように」
 念を押すヘルシャフト。まだまだ避難中の住民がいるからだ。
(中型狂気が、やっかいだな)
 嘉雅都は『ジェットブーツ』でジャンプして、塀の上に立つと、ライフル「ペネトレイトC26」で中型狂気の目を一つ撃ち抜いた。
 星輝が『ランアウト』で敵に接近……中型狂気を狙い、手裏剣「八握剣」で攻撃をしかけた。
 続けて、Uiscaの『【龍閃】白龍閃光散華』が迸り、中型狂気は粉々に砕け散った。
「後は小型狂気を一掃するだけですね」
「俺も助太刀しよう」
 ヘルシャフトは『機導砲』を放ち、小型狂気を仕留めていく。
 嘉雅都が後方からライフルで敵を狙い撃ち、Uiscaは水中拳銃D5を構えて小型狂気に攻撃を加えた。
 星輝が鉄扇「北斗」で小型狂気を一体叩きのめした。
「小型も、数が多いと一般人には脅威じゃのう」
 ハンターにとっては倒せる敵でも、小型狂気たちが住民たちを襲撃したら一大事だ。
「この場にいる住民は全員、避難できたみたいね。だけど、住宅街が気になるわ」
 天竜寺 舞(ka0377)も避難誘導に参加していたが、もしものことを考えて、近くの住宅へ走り出した。
「落ち着いてっ……んー、仕方ないか」
 舞は泣き叫んで暴れている住民を気絶させると、背負って住宅から飛び出した。
「大丈夫ですか?」
 誠一が仲間と一緒に駆け寄ってきた。
「念の為、これを使って下さい」
 精神安定剤を住民に使う誠一。
「これで一安心だよ」
 舞は気絶している住民を連れて、シェルターへと急いだ。
 その道中、狂気のVOID集団と対峙していたのは誠一たちだ。
 ヘルシャフトが『機導砲』で小型狂気を撃ち抜き、星輝は軍用双眼鏡で敵の動向を見張っていた。
『イスカ、ショッピングモールに侵入しようとしている小型狂気、2体を発見』
 星輝がハンディLEDライトを点滅させて、Uiscaに信号を送る。
「了解」
 Uiscaはすぐさま現場まで直行して、銃で小型狂気を撃ち抜いた。
 嘉雅都が敵の動きに気付き、ライフルで狂気の触手に付いた目を狙い撃つ。
 その合間に、舞はエレベーター付近にいた兵士にIDカードを見せ、住民を預けた。
「まだ周辺にVOIDがいるみたいね。ヤツらの好き勝手にはさせないから」
 そう言いながら、舞は公園へと駆け出した。


 誰もいない住宅を確認すると、藤堂 小夏(ka5489)は玄関に『捜索済み』と書かれた用紙を張りつけた。
「……叫び声?」
 三軒先に行くと、暴れている住民がいた。
 同行していた兵士が住民を気絶させると、小夏が精神安定剤を打った。
「シェルターまで、お願い」
 小夏が頼むと、兵士たちが住民を抱えて外へと出ていった。
 他にも隠れている住民がいないか探して見たが、特に変わった様子はなかった。
 玄関から出ると、小夏は用紙を張りつけ、地球連合軍用PDAに映る地図を確認した後、公園へと向うことにした。
 すでに、公園では舞がVOIDと戦っていた。
 舞は『立体攻撃』で小型狂気の頭部に飛び乗ると、ユナイテッド・ドライブ・ソードを突き刺した。
「住民たちには指一本、触れさせないから!」
 気合い十分の舞。
「人の形に似たVOIDもいるの、みんな、気を付けてなの」
 ディーナ・フェルミ(ka5843)は避難中の住民を守るため、『セイクリッドフラッシュ』の波動を、人型狂気の群れに解き放った。光の衝撃が広がり、人型狂気は抗うことができず、ダメージを受けていた。
 だが、狂気に魅入られた人々が大声で暴れ出した。
 小夏も戦闘に加わり、『攻めの構え』からの『渾身撃』を繰り出し、人型狂気を叩き斬る。
「やることやれば、どうにかなるでしょ」
「狂化した人々もいるけど、まずはVOIDを倒さないとね」
 舞の『連撃』が炸裂。小夏は敵の触手を回避。
「……そうだね」
 小夏は飄々と言い、コリシュマルド「フラーメ・ルージュ」で『チャージング』を繰り出した。
 小型狂気が貫かれ、次々と倒れていった。
「助けるの、待っててなの」
 ディーナが『サルヴェイション』を発動させ、暴れている者に施すと、見る見るうちに正気を取り戻した。
「……なんだ、今のは?」
 夢でも見ていたように、住民がポツリと言った。
「ここは、私たちに任せて、シェルターへ急ぐの!」
 ディーナの言葉で、住民は我に返り、舞の誘導で残っていた人々はシェルターへと避難した。
 ヒールを使ってパニックが起こる可能性も考えて、ディーナは狂化対策としてサルヴェイションを優先していた。
 そうすることにより、迅速的に対処することができたのだ。
 ディーナには手応えがあった。サルヴェイションが狂化を浄化させることができることを……。
 Uiscaもまた、『サルヴェイション』の聖歌を歌い、暴れている者を正気に戻した。
「ここは危険ですから、シェルターへ避難して下さい」
 住民たちは兵士に誘導されて、エレベーターに乗り込んだ。
「また、人型狂気が攻めてきたの。中型狂気も残ってる……これ以上、人々を苦しめるのはやめてほしいの」
 ディーナは迫り来るVOIDの群れに立ちはだかり、『セイクリッドフラッシュ』を放った。
 その輝きに導かれるように、続々とハンターたちが集った。
 激戦が繰り広げられ、VOIDの群れは成す術もなくなり、ハンターたちの猛攻撃が始まった。
「あたしは、みんなの力になりたいの。だから、負けられない!」
 アリアは『ドッジダッシュ』で敵の攻撃を翻弄しながら、仲間たちの援護に入った。
 見覚えのある顔触れに、アリアの心は勇気で漲っていた。
 ハンターたちの勢いに押されて、VOIDたちは徐々に、その数を減らしていった。
 逃げ遅れた住民たちは全員、シェルターへと入ることができ、犠牲者は一人もいなかった。

担当:大林さゆる
監修:神宮寺飛鳥高石英務
文責:フロンティアワークス

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